Urban Sea(1989.2.18)-凱旋門賞(仏GI)が100回を迎えるに当たり(No.9)-

Special feature

Urban Sea(アーバンシー) 牝 栗毛 1989.2.18生~2009.3.2没 米国・Marystead Farm生産 馬主・David Tsui 仏国・Jean Lesbordes厩舎

Urban Sea(1989.2.18)の4代血統表
Miswaki
栗毛 1978.2.22
種付け時活性値:0.50【10】
Mr. Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native
栗毛 1961.4.18
Native Dancer 1950.3.27
Raise You 1946
Gold Digger
鹿毛 1962.5.28
Nashua 1952.4.14
Sequence 1946
Hopespringseternal
栗毛 1971.5.27
Buckpasser
鹿毛 1963.4.28
Tom Fool 1949.3.31
Busanda 1947
Rose Bower
栗毛 1958.3.24
▲Princequillo 1940
Lea Lane 1952
Allegretta
栗毛 1978.3.10
仔受胎時活性値:0.50【10】
Lombard
栗毛 1967.1.31
種付け時活性値:0.50【10】
Agio
鹿毛 1955.3.7
Tantieme 1947
Aralia 1945.2.22
Promised Lady
栗毛 1961
▲Prince Chevalier 1943
Belle Sauvage 1949
Anatevka
栗毛 1969.2.13
仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】
Espresso
栗毛 1958
種付け時活性値:0.50【10】
Acropolis 1952
Babylon 1940
Almyra
栗毛 1962.5.19
仔受胎時活性値:1.50【6】
★Birkhahn
黒鹿毛 1945.3.14
種付け時活性値:0.00【16】
Alameda
黒鹿毛 1951
仔受胎時活性値:0.50【10】

<5代血統表内のクロス:Nasrullah5×5、Prince Rose5×5、Alchimist5×5>

Urban Sea(1989.2.18)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Miswaki
(Mr. Prospector系)
Lombard
(Teddy系)
Espresso
(Blenheim系)
Birkhahn
(Alchimist系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Miswaki 4.50 or 2.50 半弟キングズベスト&仔にGI馬4頭
(No. 9-h)
5番仔?
(5連産目?)

*

1993年の第72回凱旋門賞(仏GI。ロンシャン芝2400m)の結果(上位5頭)

馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 Urban Sea 牝4 57.5 E Saint-Martin 2:37.90 J Lesbordes 13
2 ホワイトマズル 牡3 56 John Reid クビ Peter Chapple-Hyam 17
3 オペラハウス 牡5 59 M Roberts 1/2 Sir Michael Stoute 2
4 Intrepidity 牝3 54.5 Thierry Jarnet 3/4 A Fabre 2
5 Only Royale 牝4 57.5 Ray Cochrane 1 Luca Cumani 10

Urban Sea。重馬場で23頭立てとなった1993年の第72回凱旋門賞、Urban Seaとエリック・サンマルタン騎手、道中は先行5~6番手の内側を進むと、フォルスストレートを抜けた後、馬場中央外側を先に抜け出していた馬たちのやり合いを横目に、最内からスルスルと脚を伸ばしました。最後は鼻面の白い馬ホワイトマズル(1990.3.21)、当年の”キング・ジョージ”(英GI)を制していたオペラハウス(1988.2.24)と、後に日本で名種牡馬となる2頭を「クビ」「2分の1馬身」と抑え込んだところが決勝点。前々走エレバージュ賞(仏L)、前走ゴントービロン賞(仏GIII)、そして凱旋門賞と3連勝で頂きを収めましたが、豪華メンバーが揃う凱旋門賞では実績に乏しく13番人気。2着のホワイトマズルは伊ダービー(GI)を制していましたが17番人気と、人気薄どうしワンツーにより波乱の結末を見せた第72回でした。

Urban Seaと共に殊勲を立てたサンマルタン騎手は、実はUrban Seaにはテン乗りであり、この凱旋門賞が馬人共にGI初制覇となりました。そんなサンマルタン騎手の父イヴ・サンマルタン騎手は、第49回のSassafras(1967.2.19)、第53回のAllez France(1970.5.24)、第61回のAkiyda(1979.4.21)、第63回のSagace(1980.5.26)と凱旋門賞4勝の「仏国の至宝」。サンマルタン父子による「騎手の凱旋門賞父子制覇」と相成りました。

Sea-Bird(1962.3.8)+α-凱旋門賞(仏GI)が100回を迎えるに当たり(No.3)-
Sea-Bird(シーバード) 牡 栗毛 1962.3.8生~1973.3没 仏国・J. Ternynck生産 馬主・J. Ternynck 仏国・Etienne Pollet厩舎Allez France(アレフランス) 牝 鹿毛 1970.5.24生~1989.2.11没 米国・Bieber-Jacobs Stable生産 馬主・Daniel Wildenstein 仏国・Albert Klimscha厩舎 → Angel Penna, Sr.厩舎
Sagace(1980.5.26)-凱旋門賞(仏GI)が100回を迎えるに当たり(No.7)-
Sagace(サガス) 牡 鹿毛 1980.5.26生~1989.5.4没 仏国・Dayton Limited生産 馬主・Daniel Widenstein 仏国・Patrick-Louis Biancone厩舎

*

さて、Urban Seaを語る上では、その恐るべき繁殖成績に触れない訳にはいきません。代表産駒を生年順に確認しますと、、、

  1. Urban Ocean(1996.2.15)
    →4勝。ガリニュールS(愛GIII)
  2. Melikah(1997.3.17)
    →1勝。愛オークス(GI)2着、英オークス(GI)3着。牝馬。第74回凱旋門賞を制したラムタラ(1992.2.2)の娘で、英ダービー(GI)馬Masar(2015.4.16)の曾祖母
  3. Galileo(1998.3.30)
    →6勝。英ダービー(GI)、愛ダービー(GI)、”キング・ジョージ”(英GI)ほか
  4. Black Sam Bellamy(1999.4.21)
    →4勝。タタソールズゴールドC(愛GI)、伊ジョッキークラブ大賞(GI)ほか
  5. All Too Beautiful(2001.4.30)
    →3勝。ミドルトンS(英GIII)、英オークス(GI)2着ほか。牝馬
  6. My Typhoon(2002.5.7)
    →9勝。ダイアナS(米GI)ほか。牝馬
  7. Cherry Hinton(2004.1.25)
    →0勝。ブルーウインドS(愛GIII)2着。牝馬。愛オークス(GI)馬Bracelet(2011.1.24)の母
  8. Sea The Stars(2006.4.6)
    →8勝。英ダービー(GI)、凱旋門賞(仏GI)、英2000ギニー(GI)、エクリプスS(英GI)、英インターナショナルS(GI)、愛チャンピオンS(GI)ほか
  9. Born To Sea(2009.3.2)
    →1勝。愛ダービー(GI)2着ほか

なんじゃこりゃ^^;。Galileo、Black Sam Bellamy、My Typhoon、Sea The Starsの4頭がGI馬。GalileoとSea The Starsが兄弟英ダービー馬、そしてSea The Starsは2009年の第88回を制してUrban Seaと母仔凱旋門賞制覇。

Galileo(1998.3.30)
Galileo(ガリレオ) 牡 鹿毛 1998.3.30生~2021.7.10没 愛国・D Tsui and Orpendale生産 馬主・Mrs John Magnier & Michael Tabor 愛国・A P O'Brien厩舎
カルティエ賞年度代表馬を辿る(其の拾捌)-Sea The Stars(2006.4.6)-
Sea The Stars(シーザスターズ) 牡 鹿毛 2006.4.6生 愛国・Sunderland Holdings Ltd生産 馬主・Christopher Tsui 愛国・John Oxx厩舎

そしてまたGalileoは言わずと知れた21世紀の欧州の大種牡馬、Sea The Starsも英ダービー馬超弩級ステイヤーを輩出する名種牡馬。Urban Seaは種牡馬の母として父系から、そして直牝系の母系から、ずっと影響を与え続けるのでしょう。20世紀末には競走であっと言わせ、21世紀には繁殖牝馬として世界を喫驚させたUrban Sea。競馬史上に残る大名牝です。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[Urban Sea(1989.2.18)の主な競走成績]

  1. 凱旋門賞(仏GI)、アルクール賞(仏GII)、エクスビュリ賞(仏GIII)、ゴントービロン賞(仏GIII)
  2. プリンスオブウェールズS(英GII)、E.P.テイラーS(加GII)、ミネルヴ賞(仏GIII)
  3. ヴェルメイユ賞(仏GI)、ガネー賞(仏GI)、独1000ギニー(GII)

通算23戦8勝、2着4回、3着3回。

#余談。Urban Sea、凱旋門賞制覇の後、よく第13回ジャパンカップ(GI)を走ってくれたなぁ。今となってはそう思います。その第13回ジャパンカップを制したレガシーワールド(1989.4.23)は今年2021年8月18日に32歳で大往生。28年という時は流れましたが、変わらず馬は駆け巡り続けます。

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