Mill Reef(1968.2.23)-凱旋門賞(仏GI)が100回を迎えるに当たり(No.4)-

Special feature

Mill Reef(ミルリーフ) 牡 鹿毛 1968.2.23生~1986.2.2没 米国・Paul Mellon生産 馬主・Paul Mellon 英国・Ian Balding厩舎

Mill Reef(1968.2.23)の4代血統表
Never Bend
黒鹿毛 1960.3.15
種付け時活性値:1.75【7】
Nasrullah
鹿毛 1940.3.2
Nearco
黒鹿毛 1935.1.24
Pharos 1920.4.4
Nogara 1928
Mumtaz Begum
鹿毛 1932
Blenheim 1927.4.16
Mumtaz Mahal 1921
Lalun
鹿毛 1952
Djeddah
栗毛 1945
Djebel 1937
Djezima 1933
Be Faithful
黒鹿毛 1942
Bimelech 1937.2.27
Bloodroot 1932
Milan Mill
鹿毛 1962.2.10
仔受胎時活性値:1.25【5】
Princequillo
鹿毛 1940
種付け時活性値:1.25【21】
Prince Rose
鹿毛 1928
★Rose Prince 1919
Indolence 1920
Cosquilla
鹿毛 1933
Papyrus 1920
Quick Thought 1918
Virginia Water
芦毛 1953.4.18
仔受胎時活性値:2.00【8】
Count Fleet
黒鹿毛 1940.3.24
種付け時活性値:1.00【12】
Reigh Count 1925
Quickly 1930
Red Ray
芦毛 1947
仔受胎時活性値:1.25【5】
Hyperion
栗毛 1930.4.18
種付け時活性値:0.00【16】
Infra Red
芦毛 1936
仔受胎時活性値:0.50【10】

<5代血統表内のクロス:なし>

Mill Reef(1968.2.23)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Never Bend
(Nasrullah系)
Princequillo
(Prince Rose系)
Count Fleet
(Sundridge系)
Hyperion
(Gainsborough系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Never Bend
(Lalun)
5.00 フジキセキが同牝系
(No. 22-d)
2番仔?

*

1971年の第50回凱旋門賞(仏GI。ロンシャン芝2400m)の結果(上位3頭)

馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 Mill Reef 牡3 55.5 Geoff Lewis 2:28.30 I. A. Balding
2 Pistol Packer 牝3 54 F. Head 3 Alec Head
3 Cambrizzia 牝3 54 A. Barclay 1 1/2 D. Watson

Mill Reef。日本の競馬ファンが大きな関心を持つ欧州の3競走、英ダービー(GI)、”キング・ジョージ”(英GI)、そして凱旋門賞(仏GI)。その3競走をすべて制した初めての馬こそ、Mill Reef。今からちょうど50年前。1971年は欧州でグループ制が施行、いわゆるGI、GII、GIIIの格付けがなされた初年となりますが、その初年にMill Reefがエポックメイキングを果たしました。鹿毛に白いシャドーロール、その鋭い瞬発力は他の追随を許さないものであり、節目の第50回凱旋門賞ではディアヌ賞(仏GI)、ヴェルメイユ賞(仏GI)、サンタラリ賞(仏GI)と仏国の牝馬GI3勝で同じ1968年生まれ世代の名牝Pistol Packer(1968.5.9)以下を3馬身突き放しての快勝。ロンシャン芝2400mの勝ち時計2分28秒30はコースレコード。サスガは名馬Mill Reef。

日本にはMill Reef産駒の種牡馬が多く導入されましたので、直孫に日本のJRA・GIの勝ち馬が多数見えます。ミルジョージ(1975.4.12)からはイナリワン(1984.5.7)オサイチジョージ(1986.4.13)エイシンサニー(1987.3.29)リンデンリリー(1988.3.16)。マグニテュード(1975.3.16)からはエルプス(1982.5.3)、コガネタイフウ(1987.6.12)ミホノブルボン(1989.4.25)マサラッキ(1993.4.14)。そしてパドスール(1979.5.8)からはタケノベルベット(1989.3.13)

日本でのMill Reef系はミルジョージ産駒の闘争心を全面に押し出した姿が印象に残ったのか、気性の難しさを言われることもありました。ただ、Mill Reef自身は、穏やかな馬であったようです。その証拠の映像をYouTubeチャンネル「Dubai Racing」がアップしてくれています。

Mill Reefが4歳夏の調教中に左前脚を骨折してしまい、大手術がなされたエピソードはよく知られています。映像でも左前脚に盛大にギプスが巻かれた痛々しい場面が見られます。ただ驚くなかれ、ギプスが巻かれているにも関わらず、藁の上で左前脚を上にして寝転がるMill Reefの姿が(!!)。サラブレッドは脚の大手術をした後が大変というのは、我が国のテンポイント(1973.4.19)サクラスターオー(1984.5.2)の例からも伺い知れます。ところがMill Reefは、一度横になり立ち上がれなくなったら、それは即ち死に直結するはずの四足歩行のサラブレッドであるにも関わらず、左前脚が不自由な状態であるにも関わらず、寝転がっていました。むぅっ、恐るべきはMill Reef。名馬は人間の想定の範囲外にいるものです。そうして、Mill Reefの穏やかさが最も現れた場面は、キングスクレアの厩舎を離れる時の映像。その門出を見届けようとファンに囲まれたMill Reef、たくさんの人間に囲まれてもまったく動ずることなく、鼻面をなでさせていたその姿。サスガは名馬Mill Reef。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[Mill Reef(1968.2.23)の主な競走成績]

  1. 英ダービー(GI)、凱旋門賞(仏GI)、”キング・ジョージ”(英GI)、エクリプスS(英GI)、コロネーションC(英GI)、ガネー賞(仏GI)、デューハーストS、コヴェントリーS、ジムクラックS、グリーナムS(英GIII)、インペリアルプロデュースS
  2. 英2000ギニー(GI)、ロベールパパン賞

通算14戦12勝、2着2回。

#余談。Mill Reefの生涯14戦のすべての鞍上を務めたジェフ・ルイス騎手は、Mill Reefで英ダービーを制した1971年、第38回凱旋門賞の勝ち馬セントクレスピン(1956)の娘であるAltesse Royale(1968)により英オークス(GI)でも勝利を収められています。

日本に輸入された凱旋門賞馬を辿る(其の壱)-セントクレスピン(1956)&プリンスロイヤル(1961)-
セントクレスピン(Saint Crespin) 牡 栗毛 1956生~1981没 英国・Prince Aly Khan生産 馬主・Prince Aly Khan 仏国・Alec Head厩舎プリンスロイヤル(Prince Royal) 牡 鹿毛 1961生~1983.8.4没 英国・Charles W. Wacker III生産 馬主・Rex Ellsworth 仏国・Georges Bridgland厩舎

Mill ReefとAltesse Royaleの名前を出してピンと来られる方もいらっしゃるでしょう。ええ、上述のマグニテュードの父母こそMill ReefとAltesse Royale。マグニテュードの種牡馬成績は基本短距離得意の産駒を輩出でしたが、「英ダービー馬×英オークス馬」のカップリングから生み出されたのですから、距離をこなす仔が出ても不思議ではなかったのです。まま、坂路の申し子、栗毛の超特急はサイボーグみたいな身体をしていましたけれど^^;

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