Medina Spirit(2018.4.5)-第147回ケンタッキーダービー(米GI)の勝ち馬-

Result

Medina Spirit(メディーナスピリット) 牡 黒鹿毛 2018.4.5生 米国・Gail Rice生産 馬主・Zedan Racing Stables 米国・Bob Baffert厩舎

Medina Spirit(2018.4.5)の4代血統表
Protonico
黒鹿毛 2011.2.21
種付け時活性値:1.50【6】
Giant’s Causeway
栗毛 1997.2.14
Storm Cat
黒鹿毛 1983.2.27
Storm Bird 1978.4.19
Terlingua 1976.2.7
Mariah’s Storm
鹿毛 1991.4.1
Rahy 1985.2.18
イメンス 1979.3.17
Alpha Spirit
黒鹿毛 2006.3.29
A.P. Indy
黒鹿毛 1989.3.31
Seattle Slew 1974.2.15
Weekend Surprise 1980.4.8
Wild Spirit
黒鹿毛 1999.7.28
Hussonet 1991.1.29
Wild Princess 1990.2.10
Mongolian Changa
鹿毛 2014.5.8
仔受胎時活性値:0.75【3】
Brilliant Speed
黒鹿毛 2008.4.22
種付け時活性値:1.25【5】
Dynaformer
黒鹿毛 1985.4.1
Roberto 1969.3.16
Andover Way 1978.4.11
Speed Succeeds
黒鹿毛 2001.2.18
★Gone West 1984.3.10
Daijin 1992.2.19
Bridled
鹿毛 2001.1.23
仔受胎時活性値:1.00【12】
Unbridled
鹿毛 1987.3.5
種付け時活性値:1.25【13】
Fappiano 1977.5.19
Gana Facil 1981.2.9
Holy Niner
芦毛 1996.3.16
仔受胎時活性値:1.00【4】
Holy Bull
芦毛 1991.1.24
種付け時活性値:1.00【4】
Scoop the Gold
栗毛 1990.4.2
仔受胎時活性値:1.25【5】

<5代血統表内のクロス:Roberto5×4、Mr. Prospector5×5×5、Secretariat5×5(父方)>

Medina Spirit(2018.4.5)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Protonico
(Storm Cat系)
Brilliant Speed
(Roberto系)
Unbridled
(Mr. Prospector系)
Holy Bull
(Rough’n Tumble系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Protonico 4.00 High Yieldと同牝系
(No. 2-n)
初仔

*

2021年の第147回ケンタッキーダービー(米GI。チャーチルダウンズ・ダート10F)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 8 Medina Spirit 牡3 57.2 John R Velazquez 2:01.02 Bob Baffert 6
2 7 Mandaloun 牡3 57.2 Florent Geroux 1/2 Brad H Cox 8
3 9 Hot Rod Charlie 牡3 57.2 Flavien Prat 1/2 Doug O’Neill 3
4 14 Essential Quality 牡3 57.2 Luis Saez アタマ Brad H Cox 1
5 6 O Besos 牡3 57.2 Marcelino Pedroza 4 1/2 Gregory D Foley 14
KYダービーはメディーナスピリットが逃げ切り、連覇のバファート師は最多7勝目 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト
米チャーチルダウンズ競馬場で現地1日に行われたG1ケンタッキーダービー(3歳、ダート10ハロン)は、発馬を決めてスムーズにハナを切った6番人気のメディーナスピリットが、3番手追走から最終コーナーで併

2021年の第147回ケンタッキーダービー(米GI)。19頭立てとなった”The Run for the Roses”、バラの首飾りを賭けた一戦を制したのは6番人気のMedina Spirit。戦前まで5戦2勝、2着3回だった成績を確認すれば、デビューとなった昨年11月のロスアラミトス・ダート5.5ハロンのメイドン、グレードレース初勝利となった今年1月のサンタアニタ・ダート8.5ハロンのロバートB.ルイスS(米GIII)では共に逃げての勝利。2着3回を見ればサンタアニタダービー(米GI)、サンフェリペS(米GII)、シャムS(米GIII)であり、その3レースは先行するものの逃げてという訳ではありませんでした。そして迎えた大一番のケンタッキーダービーではしっかりと逃げ、終始差がなく後続から圧を受けたものの、最後の最後まで頑張りきりました。チャーチルダウンズ・ダート10ハロンの勝ち時計2分1秒02は史上10位の好タイム。競馬は時計が全てではありませんけれど、Medina Spiritが自身で刻んだこの勝ち時計は立派です。

そんなMedina Spiritを御したのは「ザ・キャプテン」ジョン・ヴェラスケス騎手、昨年2020年の第146回を制したAuthentic(2017.5.5)に続いて、2年連続となるケンタッキーダービー逃げ切り勝ち。ヴェラスケス騎手は2011年の第137回をアニマルキングダム(2008.3.20)、2014年の第143回をAlways Dreaming(2014.2.25)で勝利を収められており、通算ではケンタッキーダービー4勝目。

Authentic(2017.5.5)-第146回ケンタッキーダービー(米GI)の勝ち馬-
Authentic(オーセンティック) 牡 鹿毛 2017.5.5生 米国・Peter E. Blum Thoroughbreds, LLC生産 馬主・Spendthrift Farm LLC, MyRaceHorse Stable, Madaket Stables LLC and Starlight Racing Owner Link 米国・Bob Baffert厩舎

そうしてMedina Spiritを管理されるボブ・バファート調教師は、調教師として単独で史上最多となるケンタッキーダービー7勝目(!!)を遂げられました。バファート師が管理されたケンタッキーダービー馬を生年順に確認しますと、

  1. シルバーチャーム(1994.2.22)
    →ケンタッキーダービー(米GI)、プリークネスS(米GI)、ドバイワールドC(UAE・GI)ほか
  2. Real Quiet(1995.3.7)
    →ケンタッキーダービー(米GI)、プリークネスS(米GI)、ハリウッドゴールドC(米GI)、ピムリコスペシャルH(米GI)、ハリウッドフューチュリティ(米GI)ほか
  3. ウォーエンブレム(1999.2.20)
    →ケンタッキーダービー(米GI)、プリークネスS(米GI)、ハスケル招待H(米GI)ほか
  4. American Pharoah(2012.2.2)
    →ケンタッキーダービー(米GI)、プリークネスS(米GI)、ベルモントS(米GI)、ブリーダーズカップ・クラシック(米GI)、ハスケル招待S(米GI)、アーカンソーダービー(米GI)、フロントランナーS(米GI)、デルマーフューチュリティ(米GI)ほか
  5. Justify(2015.3.28)
    →ケンタッキーダービー(米GI)、プリークネスS(米GI)、ベルモントS(米GI)、サンタアニタダービー(米GI)
  6. Authentic(2017.5.5)
    →ケンタッキーダービー(米GI)、ブリーダーズカップ・クラシック(米GI)、ハスケルS(米GI)ほか
  7. Medina Spirit(2018.4.5)
    →ケンタッキーダービー(米GI)ほか。本稿の主役

シルバーチャームとReal Quietとウォーエンブレムは二冠馬、American PharoahとJustifyは三冠馬。ええ、イレギュラーな開催だった昨年のAuthenticを除けば、三冠の一冠目となるケンタッキーダービーを勝てば二冠以上は獲得ということです^^;。Authenticとてブリーダーズカップ・クラシックを制して2020年のエクリプス賞年度代表馬に選出されたのですから、バファート師が育てられた先代のケンタッキーダービー馬たちは、人々の耳目を集める特に格式の高い米GIレースを必ず2勝以上はしています。恐るべしはその手腕、名伯楽バファート師。

*

Medina Spiritはフロリダ州産馬であり、2019年1月のオカラセールでクリスティ・ホイットマン氏に「1000米ドル」で購入され、コンサイニングの後、2020年7月のオカラセールで現オーナーに「35000米ドル」で購入されました。日本円にすると約11万円、約370万円で取引された馬がケンタッキーダービー馬となるのですから、サスガに夢があります。そしてまた、

Tales from the Crib: Medina Spirit | Kentucky Derby

によりますと、出産予定日から遅れていた初産の母Mongolian Changaは、Medina Spiritを産んだ時に初乳を与える準備が出来ていなかったそうです。結果、Medina SpiritはScribbling Sarah(2010.4.29)という別の繁殖牝馬の、冷凍保存されていた余分の初乳を与えられたそうな。むぅ、色んな物語があります。

*

0の理論的にはMedina Spiritの最優性先祖でもある父Protonicoは、現役時代に7勝を挙げ、その主な勝ち鞍にアリシーバS(米GII)、ベンアリS(米GIII)、ディスカヴァリーH(米GIII)、スマーティジョーンズS(米GIII)と8ハロン70ヤードから9ハロンの米グレードレース4勝があります。特にベンアリSではキーンランド・ダート9ハロンのトラックレコードとなる1分48秒79で駆けました。今回のケンタッキーダービーにおいてMedina Spiritは逃げ切りで勝利を収めた訳ですが、父ProtonicoもベンアリSでは逃げてトラックレコード勝ちを果たしました。そんなProtonico、GIレースではクラークH(米GI)2着、ジョッキークラブゴールドC(米GI)3着がありますけれど、勝利には至らず。それでもProtonico自身が米グレードレース4勝、祖母Wild SpiritがラフィアンH(米GI)、アルベルトSマグナスコ賞(智GI)、ミルギニーズ(智GI)、智グランクリテリウム(GI)と米国と智国(チリ)でGI4勝という母系の血筋の良さを買われたのか、ケンタッキー州の老舗名門であるキャッスルトンライオンズファームにおいて種牡馬として繋養されています。

https://www.castletonlyons.com/stallions/protonico

Protonico、2021年のスタッドフィーは5000米ドル(産駒誕生後)。「どうです旦那、こいつはお買い得ですぜ」と手揉みをしたくなるような種付け料ですが、初年度産駒からいきなりケンタッキーダービー馬を輩出したのですから、来年2022年からは値上がり必死ですね^^;。なお、米国ジョッキークラブによるProtonicoの種付け頭数(翌年の生産頭数)の推移は2017年34頭(19頭)、2018年51頭(35頭)、2019年23頭(16頭)、2020年16頭。Medina Spiritは19頭しかいないProtonicoの初年度産駒、2018年生まれ世代の1頭ということですね。

Medina Spiritの強みは、0の理論的な見解では父Protonicoの初年度産駒、輪を掛けて生産頭数が少ないマイナー種牡馬の仔、そして母Mongolian Changaの初仔というバックボーンがあることでしょうか。そしてまた父ProtonicoがA.P. Indyの0化を果たしており、Medina Spiritは繁殖入りした際にも良い働きが出来そうです。

*

Medina Spirit。アメリカンドリームの新しい体現馬として向かう先にあるもの。三冠街道をひた走るであろうMedina Spiritの未来に幸多かれと祈り願います。

  

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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