タスティエーラ(2020.3.22)-第90回東京優駿(GI)の勝ち馬-

2023年 日本ダービー(GⅠ) | タスティエーラ | JRA公式 https://youtu.be/NuASiD_30hM Result
2023年 日本ダービー(GⅠ) | タスティエーラ | JRA公式 https://youtu.be/NuASiD_30hM

タスティエーラ 牡 鹿毛 2020.3.22生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)キャロットファーム 美浦・堀 宣行厩舎

タスティエーラ(2020.3.22)の4代血統表
サトノクラウン
黒鹿毛 2012.3.10
種付け時活性値:1.75【7】
Marju
黒鹿毛 1988.3.12
ラストタイクーン
黒鹿毛 1983.5.9
トライマイベスト 1975.4.28
Mill Princess 1977.5.21
Flame of Tara
鹿毛 1980.4.20
アーテイアス 1974.2.26
Welsh Flame 1973
ジョコンダ2
鹿毛 2003.3.28
Rossini
鹿毛 1997.2.17
Miswaki 1978.2.22
Touch of Greatness 1986.4.30
La Joconde
鹿毛 1999.2.8
Vettori 1992.2.18
Lust 1994.6.3
パルティトゥーラ
黒鹿毛 2014.2.2
仔受胎時活性値:1.25【5】
マンハッタンカフェ
青鹿毛 1998.3.5
種付け時活性値:1.75【15】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
サトルチェンジ
黒鹿毛 1988.4.2
Law Society 1982.2.16
Santa Luciana 1973.4.4
フォルテピアノ
栗毛 2003.2.24
仔受胎時活性値:0.50【10】
フレンチデピュティ
栗毛 1992.1.30
種付け時活性値:0.50【10】
Deputy Minister 1979.5.17
Mitterand 1981.2.19
キョウエイフォルテ
栗毛 1994.3.15
仔受胎時活性値:2.00【8】
ノーザンテースト
栗毛 1971.3.15
種付け時活性値:1.50【22】
クラフテイワイフ
栗毛 1985.1.17
仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer5×5>

タスティエーラ(2020.3.22)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
サトノクラウン
(トライマイベスト系)
マンハッタンカフェ
(サンデーサイレンス系)
フレンチデピュティ
(Deputy Minister系)
ノーザンテースト
(Northern Dancer系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
サトノクラウン 5.75 or 3.75
(【5】+【10】+【8】+【8】)
カンパニーと同牝系
(No. 9-a)
初仔

*

2023年の第90回東京優駿(GI。東京芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 12 タスティエーラ 牡3 57 D.レーン 2:25.2   4-4-4-4 33.5 478
[0]
堀 宣行 4
2 5 ソールオリエンス 牡3 57 横山 武史 2:25.2 クビ 6-6-6-6 33.3 460
[-2]
手塚 貴久 1
3 11 ハーツコンチェルト 牡3 57 松山 弘平 2:25.2 ハナ 16-14-6-6 33.4 494
[-4]
武井 亮 6
4 1 ベラジオオペラ 牡3 57 横山 和生 2:25.2 ハナ 8-8-11-11 33.0 494
[-2]
上村 洋行 9
5 15 ノッキングポイント 牡3 57 北村 宏司 2:25.4 1 6-7-9-9 33.4 488
[+4]
木村 哲也 15
2023年の第90回東京優駿(GI。東京芝2400m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.6 – 10.7 – 12.0 – 12.6 – 12.5 – 12.4 – 12.8 – 12.4 – 11.9 – 11.6 – 11.9 – 11.8
ラップの
累計タイム
12.6 – 23.3 – 35.3 – 47.9 – 1:00.4 – 1:12.8 – 1:25.6 – 1:38.0 – 1:49.9 – 2:01.5 – 2:13.4 – 2:25.2
上り 4F 47.2 – 3F 35.3

東京芝2400m、晴の良馬場、18頭立て。スタート直後にドゥラエレーデ(2020.1.29)の坂井瑠星騎手の落馬というアクシデントから始まった、節目の第90回東京優駿。逃げたパクスオトマニカ(2020.2.12)が作り出した1000m通過60秒4という淡々とした流れを道中先行5番手から進めたタスティエーラ、東京の直線525.9mを迎えても先頭のパクスオトマニカとの差は5馬身程ありましたが、じわじわと脚を伸ばして差を詰めると、坂を登り切ったラスト200m辺りでホウオウビスケッツ(2020.6.5)と併せ馬の形で先頭に立ち、差し迫ったソールオリエンス(2020.4.4)、ハーツコンチェルト(2020.5.5)、ベラジオオペラ(2020.4.7)との「クビ」「ハナ」「ハナ」というタイム差なしの激戦を僅かに制しました。節目の一戦にアクシデントは続き、2番人気に推されたスキルヴィング(2020.3.25)は17着入線後、1角手前でクリストフ・ルメール騎手が下馬した後に横たわりました。そして後の発表で急性心不全により死亡…。

【日本ダービー】17着でゴール後に馬場に倒れたスキルヴィングは死す | 競馬ニュース - netkeiba
3歳馬の頂点を決める競馬の祭典は18頭で争われ、クリストフ・ルメール騎手が騎乗した単勝2番人気のスキルヴィング(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎、父キタサンブラック)は17着に敗れた。大きく遅れてフィニッ… No.1競馬情報サイト「netkeib...

私が初めて意識をして見た東京優駿である、ウイニングチケット(1990.3.21)が制した1993年の第60回からしてマルチマックス(1990.4.24)の落馬で始まった一戦でしたが、レース後、こんなになんとも言えない気持ちになった東京優駿は、30年ほどの競馬者人生で初めてのことです。もう、一気に色々やり過ぎるねん、競馬の神様は……。

年度代表馬の同期生を辿る(其の玖)-ウイニングチケット(1990.3.21)-
ウイニングチケット 牡 黒鹿毛 1990.3.21生~2023.2.18没 静内・藤原牧場生産 馬主・太田美實氏 栗東・伊藤雄二厩舎

ともあれ、タスティエーラの東京優駿制覇を見直してみます。以下の箇条書き3点は、すべてJRAがグレード制を敷いた1984年以降のデータです。

  1. キャリア5戦目の優勝
    アグネスフライト(1997.3.2)ディープインパクト(2002.3.25)マカヒキ(2013.1.28)レイデオロ(2014.2.5)コントレイル(2017.4.1)の5頭に並ぶ少キャリア
  2. 皐月賞2着から東京優駿1着という巻き返し
    ウィナーズサークル(1986.4.10)アイネスフウジン(1987.4.10)タヤスツヨシ(1992.4.26)マカヒキ(2013.1.28)の4頭に続きました
  3. 3戦目で弥生賞を制した馬はGI馬まで登り詰める
    アグネスタキオン(1998.4.13)ディープインパクト(2002.3.25)、父サトノクラウン(2012.3.10)マカヒキ(2013.1.28)の4頭に続きました

タスティエーラの鞍上ダミアン・レーン騎手は東京優駿4回目の騎乗で初勝利となりました。レーン騎手は母国の豪州でオーストラリアンダービー(GI)をJon Snow(2013.9.21)で制していて、既に「ダービージョッキー」でいらっしゃいました。

第156回オーストラリアンダービー(GI)の勝ち馬+α
Jon Snow 牡 鹿毛 2013.9.21生 新国・R W E Moore生産 馬主・Zame Partnership 新国・Murray Baker & Andrew Forsman厩舎 Jon Snow(2013.9.21)の4代血...

このサイトも案外長くやっていますので、レーン騎手のオーストラリアンダービー初勝利の記事もちゃんとあるんですね。レーン騎手が初来日された際には、このサイトへ「ダミアン・レーン」というキーワードで足を運んでくださった方もいらしたものです。それはさておき、レーン騎手、日本の東京優駿勝ちも「very special」とサスガの私でも分かる平易な言葉でヒーローインタビューにて応えてくださっていました。またレーン騎手はタスティエーラには初騎乗で東京優駿1着に導かれたのですが、テン乗りの騎手による東京優駿勝ちは、1954年の第21回を制したゴールデンウエーブ(1951.5.5)以来、実に69年ぶりの出来事でした。

タスティエーラを管理される堀宣行調教師は、2015年の第82回のドゥラメンテ(2012.3.22)以来8年ぶりの東京優駿2勝目。気が付けばドゥラメンテとタスティエーラは同じ3月22日生まれですね。またドゥラメンテが制した際は2頭出しのもう1頭であったサトノクラウンも頑張って3着でしたが、そのサトノクラウンの仔で東京優駿勝ちですから、感慨深いところもおありでしょう。そしてまた馬主の(有)キャロットファームも、2017年の第84回のレイデオロ以来6年ぶりの東京優駿2勝目。ただ2頭出しのもう1頭が、ですね…。

そうしてタスティエーラを生産したノーザンファームは社台ファーム早来時代のフサイチコンコルド(1993.2.11)も含めて、アドマイヤベガ(1996.3.12)ジャングルポケット(1998.5.7)キングカメハメハ(2001.3.20)、ディープインパクト、ロジユニヴァース(2006.3.11)、ドゥラメンテ、マカヒキ、レイデオロ、ワグネリアン(2015.2.10)シャフリヤール(2018.4.13)ドウデュース(2019.5.7)に続く東京優駿13勝目。ええ、終わってみればノーザンファームです。ノーザンファームということでは、今回のタスティエーラは堀厩舎にしては珍しく外厩でノーザンファーム天栄を使用されたということ。なりふり構わずの勝負掛かりだった、ということもあるのでしょうか。

タスティエーラの父サトノクラウン。上述の通り自身はドゥラメンテの3着だった東京優駿、仔タスティエーラが雪辱を果たしてくれました。サトノクラウン、タスティエーラが弥生賞で父仔制覇を果たした時

種牡馬サトノクラウンはその父Marjuが23歳時交配という高齢時の仔だけに「世代を重ねる時、果たしてどうなるのか」と、若干心配していたのです。しかしサトノクラウン、初年度産駒からしっかり弥生賞勝ち馬を送り込んだのですから、サスガ。恐れ入りました。

と書いていたのですが、初年度から「ダービー馬の父」に輝いたのですから、平伏するより他に無しです。2023年現在、Northern Dancer(1961.5.27)の直系として、世界的に勢いがある父系のひとつであるトライマイベスト系。日本でもその末裔であるタスティエーラが、東京優駿の大舞台をしっかり勝ち切りました。

  

競馬というものの難しさを改めて知らされた第90回東京優駿でした。それ故に、いつもと変わらず、祈りのフレーズを記しておきます。

  

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。



#今回の東京優駿では6着でしたが、ホウオウビスケッツは随分強いと感じました。ダンスインザダーク(1993.6.5)と同じ6月5日という遅生まれですし、秋以降、良馬場の2000mくらいまでで良い仕事をしてくれるのではないか、と。またホウオウビスケッツの4代血統表を記事にする機会があると思いました。

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