オルフェーヴル(2008.5.14)-三冠馬を辿る(No.7)-

Special feature

オルフェーヴル 牡 栗毛 2008.5.14生 白老・(有)社台コーポレーション白老ファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 栗東・池江泰寿厩舎

オルフェーヴル(2008.5.14)の4代血統表
ステイゴールド
黒鹿毛 1994.3.24
種付け時活性値:1.25【13】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
ゴールデンサッシュ
栗毛 1988.4.23
デイクタス
栗毛 1967.4.11
Sanctus 1960.2.28
Doronic 1960.3.25
ダイナサツシユ
鹿毛 1979.3.16
ノーザンテースト 1971.3.15
ロイヤルサツシユ 1966
オリエンタルアート
栗毛 1997.5.12
仔受胎時活性値:0.50【10】
メジロマックイーン
芦毛 1987.4.3
種付け時活性値:0.25【9】
★メジロテイターン
芦毛 1978.3.22
メジロアサマ 1966.2.23
シエリル 1971.5.15
メジロオーロラ
栗毛 1978.3.8
リマンド 1965.2.16
メジロアイリス 1964.4.8
エレクトロアート
栗毛 1986.3.29
仔受胎時活性値:0.50【10】
ノーザンテースト
栗毛 1971.3.15
種付け時活性値:1.50【14】
Northern Dancer 1961.5.27
Lady Victoria 1962.2.20
グランマステイーヴンス
栗毛 1977.2.9
仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】
Lt. Stevens
鹿毛 1961.3.14
種付け時活性値:1.75【15】
Dhow
芦毛 1968.3.21
仔受胎時活性値:2.00【8】

<5代血統表内のクロス:ノーザンテースト3×4>

オルフェーヴル(2008.5.14)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ステイゴールド
(サンデーサイレンス系)
メジロマックイーン
(My Babu系)
ノーザンテースト
(Northern Dancer系)
Lt. Stevens
(Nasrullah系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Lt. Stevens
(エレクトロアート)
5.00 or 3.00 全兄ドリームジャーニー
(No. 8-c)
5番仔
(5連産目)

*

2011年の第45回日刊スポーツ賞シンザン記念(GIII。京都芝1600m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 8 レッドデイヴィス せん3 56 浜中 俊 1:34.0 3-3 34.3 472
[-10]
音無 秀孝 7
2 1 オルフェーヴル 牡3 56 池添 謙一 1:34.2 1 1/2 10-8 33.5 456
[+2]
池江 泰寿 3
3 4 マルセリーナ 牝3 54 安藤 勝己 1:34.3 1/2 8-6 33.9 456
[-6]
松田 博資 6
4 5 アドマイヤサガス 牡3 56 小牧 太 1:34.5 1 1/4 5-4 34.5 510
[-2]
橋田 満 2
5 12 ドナウブルー 牝3 54 福永 祐一 1:34.8 2 6-6 34.4 422
[-4]
石坂 正 1

*

2011年の第51回きさらぎ賞(GIII。京都芝1800m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 6 トーセンラー 牡3 56 M.デムーロ 1:47.6 5-4 33.4 432
[-10]
藤原 英昭 3
2 7 リキサンマックス 牡3 56 柴原 央明 1:47.6 クビ 1-1 35.4 442
[-6]
昆 貢 8
3 10 オルフェーヴル 牡3 56 池添 謙一 1:47.8 1 1/4 9-7 33.2 450
[-6]
池江 泰寿 2
4 9 ウインバリアシオン 牡3 56 福永 祐一 1:48.0 1 1/4 7-5 33.6 514
[+2]
松永 昌博 1
5 12 メイショウナルト 牡3 56 幸 英明 1:48.1 1/2 2-2 34.8 456
[+4]
武田 博 5

*

2011年の第60回スプリングS(GII。阪神芝1800m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 6 オルフェーヴル 牡3 56 池添 謙一 1:46.4 11-9 34.3 444
[-6]
池江 泰寿 1
2 7 ベルシャザール 牡3 56 安藤 勝己 1:46.5 3/4 3-5 34.6 528
[-12]
松田 国英 4
3 15 ステラロッサ 牡3 56 U.リスポリ 1:46.6 3/4 13-12 34.3 476
[-6]
角居 勝彦 8
4 11 グランプリボス 牡3 56 岩田 康誠 1:46.6 アタマ 2-1 35.0 510
[+6]
矢作 芳人 5
5 3 エイシンオスマン 牡3 56 後藤 浩輝 1:47.0 2 1/2 5-9 34.9 468
[-2]
松永 昌博 12

*

2011年の第71回皐月賞(GI。東京芝2000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 12 オルフェーヴル 牡3 57 池添 謙一 2:00.6 12-11-11 34.2 440
[-4]
池江 泰寿 4
2 4 サダムパテック 牡3 57 岩田 康誠 2:01.1 3 8-8-8 34.9 500
[-8]
西園 正都 1
3 2 ダノンバラード 牡3 57 武 豊 2:01.3 1 1/4 5-5-5 35.3 464
[+4]
池江 泰寿 8
4 15 デボネア 牡3 57 佐藤 哲三 2:01.4 3/4 15-15-16 34.4 530
[-4]
中竹 和也 14
5 5 ナカヤマナイト 牡3 57 柴田 善臣 2:01.5 1/2 8-8-8 35.3 458
[-8]
二ノ宮 敬宇 2

不意の東京開催となった、2011年の第71回皐月賞。オルフェーヴル、繰り出した脚の鋭さが他馬とは1枚も2枚も違いました。内の狭い位置から抜け出す新味を見せて、なおかつ3馬身抜け出すという強さ。オルフェーヴル、全兄ドリームジャーニー(2004.2.24)に続いてGI制覇。そして、全兄が果たせなかったクラシック制覇と相成りました。これは「お見事」というほかありませんでした。

*

2011年の第78回東京優駿(GI。東京芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 5 オルフェーヴル 牡3 57 池添 謙一 2:30.5 14-14-14-12 34.8 444
[+4]
池江 泰寿 1
2 1 ウインバリアシオン 牡3 57 安藤 勝己 2:30.8 1 3/4 15-15-15-15 34.7 496
[-4]
松永 昌博 10
3 7 ベルシャザール 牡3 57 後藤 浩輝 2:31.9 7 6-5-5-5 36.7 542
[+16]
松田 国英 8
4 10 ナカヤマナイト 牡3 57 柴田 善臣 2:32.0 クビ 9-10-13-12 36.4 458
[0]
二ノ宮 敬宇 4
5 6 クレスコグランド 牡3 57 浜中 俊 2:32.0 アタマ 12-13-11-7 36.7 496
[+6]
石坂 正 9

2011年の第78回東京優駿。不良馬場の争い。普通ならば「前に付けて好位から抜け出し」の勝負を思うところです。けれど、1着馬と2着馬はそんな常識にとらわれること無く、自分の競馬に徹しました。勝ったオルフェーヴルは道中後方5番手、2着のウインバリアシオン(2008.4.10)は道中後方4番手。1番人気のオルフェーヴル、折り合いはピタリとついていましたけれど、多くのファンが「その位置で大丈夫なのか?」と思われたのではないでしょうか。

そんなオルフェーヴル、直線では厳しい競馬を強いられました。真ん中外目辺りから抜け出そうとした時、外のナカヤマナイト(2008.3.24)に寄られて閉じ込められ、更にその後にナカヤマナイトとサダムパテック(2008.3.30)に挟まれる形となり、前がなかなか開かなかったのです。けれど、皐月賞馬の底力は、2頭の挟撃を打ち破りました。自力でこじ開けると、内に進路を取りながら烈火の如き末脚を繰り出し、水の浮かぶ芝を蹴って、一目散に駆けました。最後、ウインバリアシオンがその父ハーツクライ(2001.4.15)の2着を超えるべく外から迫りましたが、詰め寄られると、その分以上に突き放すようにして伸びました。

オルフェーヴル、決勝点では2着に1馬身4分の3差を付けて、見事な勝利。「完勝」と言える内容で、二冠馬の栄誉を蹄中に収めたのでした。併せて、生産の(有)社台コーポレーション白老ファーム生産、馬主の(有)サンデーレーシング 、管理される池江泰寿調教師、そして池添謙一騎手それぞれに、初めての東京優駿制覇をプレゼントしました。

*

2011年の第59回神戸新聞杯(GII。阪神芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 7 オルフェーヴル 牡3 56 池添 謙一 2:28.3 5-5-5-5 32.8 460
[+16]
池江 泰寿 1
2 5 ウインバリアシオン 牡3 56 安藤 勝己 2:28.7 2 1/2 7-7-7-5 33.2 514
[+18]
松永 昌博 2
3 11 フレールジャック 牡3 56 福永 祐一 2:29.1 2 1/2 8-8-7-7 33.3 442
[+6]
友道 康夫 3
4 3 スマートロビン 牡3 56 小牧 太 2:29.2 1/2 1-1-1-1 34.5 522
[0]
松田 国英 5
5 6 ショウナンマイティ 牡3 56 武 豊 2:29.3 1/2 9-9-9-7 33.5 482
[-8]
梅田 智之 4

*

2011年の第72回菊花賞(GI。京都芝3000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 14 オルフェーヴル 牡3 57 池添 謙一 3:02.8 10-10-6-3 34.6 466
[+6]
池江 泰寿 1
2 13 ウインバリアシオン 牡3 57 安藤 勝己 3:03.2 2 1/2 18-18-16-14 34.3 516
[+2]
松永 昌博 2
3 1 トーセンラー 牡3 57 蛯名 正義 3:03.5 1 3/4 11-12-8-6 35.2 436
[+8]
藤原 英昭 3
4 12 ハーバーコマンド 牡3 57 木村 健 3:03.6 クビ 6-5-5-5 35.5 466
[-10]
加用 正 14
5 11 サダムパテック 牡3 57 岩田 康誠 3:03.8 1 1/2 4-3-2-2 35.9 502
[-4]
西園 正都 7

2011年の第72回菊花賞。JRA史上7頭目の牡馬クラシック三冠達成。最後の直線、抜け出した時には、「お見事」と繰り返すしかありませんでした。金色の三冠馬オルフェーヴルと池添謙一騎手。文句なしの勝利でした。

三冠達成に湧く中、勝ち時計が如何ほどのものか思っていたところ、アナウンサーが伝えてくれた「3分2秒8」。3歳馬だけの菊花賞らしく出入りの激しい展開で、5ハロンずつのラップが60秒6、62秒1、60秒1。底力勝負の競馬で、決勝点手前で「おいでおいで」と流していても、当時の菊花賞レコードまで0秒1差の史上2位の好時計。恐るべしは、オルフェーヴル。ゴール後、向こう流しでジョッキーを振り落としたのは、ご愛嬌でした。

そんなご愛嬌を見せた中での三冠達成。それは後の戦績からも「オルフェーヴルにはまだまだ伸び代がある」ということの証左でした。皐月賞では「苦手なのでは?」と思われた左回りニモマケズ、日本ダービーでは降りしきる雨と不良馬場ニモマケズ、そして菊花賞では自身の折り合いにも時計勝負ニモマケズ。難題をことごとく跳ね返したオルフェーヴル。ただただ、素晴らしかった。

また「父ステイゴールド×母父メジロマックイーン」という池江厩舎ゆかりの血統で達成したということも、ファンの琴線に触れたのではないでしょうか。走っている姿を知っている馬の仔、孫が三冠馬に成ったということ。競馬が点から線へとなった時。そんな時、競馬者は優しくなれるものです。目を閉じれば、気難しい小柄の黒鹿毛の天皇賞・春(GI)2着や日経新春杯(GII)で58.5kgのトップハンデに負けなかった姿が、白さの増した大柄の芦毛が淀芝2400mを2分22秒7で悠然と駆けた姿が、まぶたの裏に蘇ります。

*

[オルフェーヴル(2008.5.14)の主な競走成績]

  1. 東京優駿(GI)、皐月賞(GI)、菊花賞(GI)、有馬記念(GI)2回、宝塚記念(GI)、産経大阪杯(GII)、神戸新聞杯(GII)、スプリングS(GII)、フォワ賞(仏GII)2回
  2. 凱旋門賞(仏GI)2回、ジャパンカップ(GI)、阪神大賞典(GII)、シンザン記念(GIII)
  3. きさらぎ賞(GIII)

通算21戦12勝、2着6回、3着1回。

オルフェーヴル:競馬の殿堂 JRA

*

そんな訳で、

三冠馬を辿る
No. 馬名
(生年月日)
[F No.]
母の
何番仔?
[料の遺伝]
4代血統構成
母父 祖母父 曾祖母父
1 セントライト
(1938.4.2)
[22-b]
7番仔?
(前年産駒なし後?)
[3.75]
ダイオライト
(Orby系)
Flamboyant
(Rock Sand系)
Robert Le Diable
(Hampton系)
Donovan
(Galopin系)
2 シンザン
(1961.4.2)

[12 ビユーチフルドリーマー系]
4番仔?
(前年産駒無し後?)
[4.00]
ヒンドスタン
(Bois Roussel系)
ハヤタケ
(The Tetrarch系)
トウルヌソル
(Gainsborough系)
シアンモア
(Sundridge系)
3 ミスターシービー
(1980.4.7)

[9-h チルウインド系]
初仔
(最初で最後の仔)

[5.50]
トウシヨウボーイ
(Princely Gift系)
トピオ
(Fine Top系)
アドミラルバード
(Nearco系)
ゲイタイム
(Hyperion系)
4 シンボリルドルフ
(1981.3.13)

[11-c]
4番仔
(不受胎後)
[6.25]
パーソロン
(My Babu系)
★スピードシンボリ
(Royal Charger系)
Palestine
(Fairway系)
Maravedis
(St.Simon系)
5 ナリタブライアン
(1991.5.3)

[13-a]
5番仔
(4連産目)
[4.25]
ブライアンズタイム
(Roberto系)
Northern Dancer
(Nearctic系)
Damascus
(Sword Dancer系)
Acropolis
(Blenheim系)
6 ディープインパクト
(2002.3.25)

[2-f]
7番仔
(7連産目)
[4.00]
サンデーサイレンス
(Halo系)
Alzao
(Lyphard系)
Busted
(Blenheim系)
Queen’s Hussar
(Fairway系)
7 オルフェーヴル
(2008.5.14)

[9-c]
5番仔
(5連産目)
[5.00]
ステイゴールド
(サンデーサイレンス系)
メジロマックイーン
(My Babu系)
ノーザンテースト
(Northern Dancer系)
Lt. Stevens
(Nasrullah系)

と辿って参りました「三冠馬を辿る」シリーズ。過去の三冠馬を辿れば、0の理論的には7頭いずれも異系、あるいはEclipse(1764.4.1)系でも分枝の進んだネオ異系を4代血統構成の中に持ち合わせています。そしてまたミスターシービーとシンボリルドルフの2頭は母父がミニモの遺伝を与えています。

という訳で、

2020年のクラシック候補生(牡馬編)より
馬名
(生年月日)
[F No.]
母の
何番仔?
[料の遺伝]
4代血統構成
母父 祖母父 曾祖母父
GI コントレイル
(2017.4.1)
[1-s]
3番仔
(3連産目)
[4.25]
ディープインパクト
(サンデーサイレンス系)
★Unbridled’s Song
(Mr. Prospector系)
Tiznow
(Intent系)
Storm Cat
(Storm Bird系)

まま、こんな辺境WEBをご覧の方はお察しのとおりですね(^^)。今年2020年の三冠馬候補も4代血統構成の中に異系を持ち、母父がミニモの遺伝を与えています。

果たして史上8頭目の三冠馬、そしてまた史上初の「父仔2代の無敗の三冠馬」が成されますでしょうか。大一番は2020年10月25日の日曜日、15時40分の発走です。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*