テンハッピーローズ(2018.2.26)-第19回ヴィクトリアマイル(GI)の勝ち馬-

Result

テンハッピーローズ 牝 栗毛 2018.2.26生 千歳市・社台ファーム生産 馬主・天白 泰司氏 栗東・高柳 大輔厩舎

テンハッピーローズ(2018.2.26)の4代血統表
エピファネイア
鹿毛 2010.2.11
種付け時活性値:1.75【7】
シンボリクリスエス
黒鹿毛 1999.1.21
Kris S.
黒鹿毛 1977.4.25
Roberto 1969.3.16
Sharp Queen 1965.4.19
Tee Kay
黒鹿毛 1991.2.9
★Gold Meridian 1982.4.14
Tri Argo 1982.5.18
シーザリオ
青毛 2002.3.31
スペシャルウィーク
黒鹿毛 1995.5.2
サンデーサイレンス 1986.3.25
キャンペンガール 1987.4.19
キロフプリミエール
鹿毛 1990.4.15
Sadler’s Wells 1981.4.11
Querida 1975.3.14
フェータルローズ
栗毛 2009.2.27
仔受胎時活性値:2.00【8】
タニノギムレット
鹿毛 1999.5.4
種付け時活性値:0.25【9】
ブライアンズタイム
黒鹿毛 1985.5.28
Roberto 1969.3.16
Kelley’s Day 1977.5.11
タニノクリスタル
栗毛 1988.4.4
クリスタルパレス 1974.3.25
タニノシーバード 1972.4.27
プリムローズイヴ
鹿毛 2000.3.5
仔受胎時活性値:2.00【8】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
種付け時活性値:1.25【13】
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
オエノセラ
栗毛 1990.3.16
仔受胎時活性値:0.25【9】
Night Shift
鹿毛 1980.4.4
種付け時活性値:0.25【9】
Fruition
鹿毛 1978.2.19
仔受胎時活性値:0.75【11】

<5代血統表内のクロス:サンデーサイレンス3×4、Roberto4×4、Hail to Reason5×5×5、Northern Dancer5×5>

テンハッピーローズ(2018.2.26)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
エピファネイア
(Roberto系)
タニノギムレット
(Roberto系)
サンデーサイレンス
(Halo系)
Night Shift
(Northern Dancer系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
エピファネイア
(シーザリオ)
5.00
(【8】+【8】+【9】+【11】)
ドゥレッツァと同牝系
(No. 2-f)
3番仔
(3連産目)

*

2024年の第19回ヴィクトリアマイル(GI。東京芝1600m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 9 テンハッピーローズ 牝6 56 津村 明秀 1:31.8 10-8 33.9 458
[-4]
高柳 大輔 14
2 2 フィアスプライド 牝6 56 C.ルメール 1:32.0 1 1/4 3-3 34.9 470
[-8]
国枝 栄 4
3 6 マスクトディーヴァ 牝4 56 J.モレイラ 1:32.0 クビ 7-8 34.1 454
[-2]
辻野 泰之 1
4 15 ドゥアイズ 牝4 56 鮫島 克駿 1:32.1 クビ 7-6 34.4 472
[+4]
庄野 靖志 11
5 11 ルージュリナージュ 牝5 56 横山 和生 1:32.2 1/2 15-15 33.6 448
[+2]
宗像 義忠 13
2024年の第19回ヴィクトリアマイル(GI。東京芝1600m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.2 – 10.5 – 11.1 – 11.6 – 11.4 – 11.6 – 11.7 – 11.7
ラップの
累計タイム
12.2 – 22.7 – 33.8 – 45.4 – 56.8 – 1:08.4 – 1:20.1 – 1:31.8
上り 4F 46.4 – 3F 35.0

東京芝1600m、曇の良馬場、18頭立て。

○ ヴィクトリアマイル(GⅠ)
本競走は、2006 年に創設されたGI競走。従来、生産の原点である牝馬は、早期に生産界へ還元することが望ましいと考えられていたため、古馬牝馬の目標となる競走の編成は長らく見送られていた。しかし、1996 年以降、『エリザベス女王杯』の古馬牝馬への開放や古馬牝馬重賞競走の増設およびローテーションの整備によって、競走馬として長く活躍する牝馬が多くなった。また、そうした牝馬からも優良な産駒が誕生するようになったことから、生産界における考え方にも変化が生じてきたため、春に古馬牝馬の目標となる競走として、本競走が創設された。
ヴィクトリア(Victoria)は、ローマ神話に登場する勝利の女神のこと。

2024年度第2回東京競馬特別レース名解説

「津村ぁ、ここで勝つんかよぉ!!」と思わず叫んでしまった決勝点。14番人気だったテンハッピーローズと共に馬人初のGI初制覇を強豪相手のヴィクトリアマイルで決めてみせました。いや、確かに人気薄ではありましたけれど、テンハッピーローズの勝ちっぷりは14番人気馬のそれではありませんでした。ナミュール(2019.3.2)、ルージュリナージュ(2019.4.8)という6枠2頭の立ち遅れの発馬から始まった一戦、逃げたコンクシェル(2020.4.25)、追ったフィールシンパシー(2019.5.17)が作り出したペースは入りの600m33秒8、半マイル45秒4、1000m56秒8という超速の流れ。そのハイラップを道中10番手の外側を追走していたテンハッピーローズと津村騎手、4角では8番手に順位を押し上げつつ、大外から機を窺うように東京芝Bコースの直線525.9mを迎えました。ラスト300mを切って4番手先行からフィアスプライド(2018.4.10)、白い小さめのブリンカーを着けた青鹿毛が抜け出しに掛かったところを、外から切れ込むようにして強襲したのが黄色の帽子に「白、青山形一本輪、鼠袖赤二本輪」の勝負服をまとった津村騎手を乗せた、白い大きめのブリンカーを着けた栗毛の大作、左後一白のテンハッピーローズ。ラスト100mの地点では完全に先頭に立ったテンハッピーローズと津村騎手、2着を死守しようとするフィアスプライド、最後に最内を着いて伸びた1番人気馬マスクトティーヴァ(2020.5.12)の争いを尻目に、決勝点では1と4分の1馬身差を着けての勝利。展開がハマったとかそんな風には見えなかった、日本で言うところのブービー人気馬によるGI完勝劇。テンハッピーローズと津村騎手、お見事でした。おめでとうございました(^^)

では、以下にテンハッピーローズの近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。

Fruition 1978.2.19 0勝
|Heaven Only Knows 1984.2.28 0勝
||L'Ereditiera 1989.5.6 3勝 レニャーノ賞(伊GIII)3着ほか
|||L'Erede 1998.3.11 2勝 伊2000ギニー(GII)2着
||Glyndebourne 1997.3.21 2勝 ガリニュールS(愛GIII)ほか
|Kneller 1985.5.4 5勝 英ジョッキークラブC(GIII) ドンカスターC(英GIII)
|Deloraine 1986.5.23 0勝
|||Astrocharm 1999.1.17 7勝 ホーダフォンフィリーズS(英GIII)ほか
|Great Marquess 1987.5.18 10勝 ドンカスターC(英GIII) 英ジョッキークラブC(GIII)ほか
|オエノセラ 1990.3.16 3勝 ノイス牝馬賞(独GIII)2着ほか
||プリムローズイヴ 2000.3.5 1勝
|||フェータルローズ 2009.2.27 3勝
||||テンハッピーローズ 2018.2.26 (本馬) ヴィクトリアマイル(GI)ほか
||Sundrop 2001.3.16 4勝 プリンセスエリザベスS(英GIII) カーディナルH(米GIII)ほか
||プリムローズレーン 2002.5.9 3勝
|||サマーセント 2016.3.20 4勝 マーメイドS(GIII)
|Northern Spur 1991.4.16 6勝 ブリーダーズカップ・ターフ(米GI) オークツリー招待S(米GI) ユベールドショードネイ賞(仏GII) リス賞(仏GIII)ほか
|Tamarino 1995.5.31 0勝
||Danalaga 2000.8.11 3勝
|||モアザンセイクリッド 2009.9.26 5勝 新オークス(GI) サンラインヴァーズ(新GIII) ワイカトC(新GIII)ほか
||||ドゥレッツァ 2020.4.24 現役 菊花賞(GI)ほか

世界各国で継承されている2号族f分枝系。なんだか、どうしても津村騎手と関連して考えてしまうのですが、私が確認する限りテンハッピーローズの近親にはGII勝ち馬は見えず、GI勝ち馬かGIII勝ち馬のみが見えます。

いや、すっ飛ばして勝ってもいいじゃないか。ツムツムなんだもの。……という訳でテンハッピーローズの同牝系馬には、高祖母Fruitionから別分肢にブリーダーズカップ・ターフの勝ち馬Northern Spur、新オークス勝ち馬モアザンセイクリッド、そして菊花賞馬ドゥレッツァの姿が見えます。ドゥレッツァの菊花賞制覇は記憶に新しいところですが、劣勢に立たされている感もある2020年生まれ世代の代表馬の1頭として、なんとか復活を遂げてほしいものです。またNorthern Spurは元々シンボリ牧場の和田共弘オーナーの持ち馬でした。そしてまたテンハッピーローズから見れば大叔母のSundropは英語表記ですが社台ファームの生産馬であり、父はサンデーサイレンスです。Sundropの競走成績はGIII2勝ですが英1000ギニー(GI)2着、フィリーズマイル(英GI)2着もある活躍馬でした。

*

津村 東京でウイニングランかぁ、きっと最高だよね。それにしても、あのとき感じた悔しさは、今までに味わったことのない感情だったな。あのときの気持ちをこれからにつなげていかないと…。

さっき「今が一番競馬が楽しい」っていう話をしたけど、こんなに「GIを勝ちたい!」と思っているのも、ジョッキーになって今が一番だよ。

【津村明秀×藤岡佑介】第4回『カレンブーケドールで3度のGI2着 心に大きく伸し掛かる“GIの壁”』 – 藤岡佑介 | 競馬コラム – netkeiba

弊サイトでもカレンブーケドール(2016.4.23)がスイートピーS(L)を制した際、

カレンブーケドールの鞍上を務めた津村騎手。その技量の高さは同業者の間でも度々名前が挙がりますが、2017年51勝、2018年52勝と2年連続でキャリアハイを更新する50勝以上をあげ、今年2019年も既に20勝。関東の中堅どころで次にGIレースを勝ちそうなのは、津村騎手ではないでしょうか。なお、津村騎手と同期となる競馬学校20期生には、川田将雅騎手、藤岡佑介騎手、吉田隼人騎手等がいます。また、津村騎手の重賞初勝利はタマモサポート(2003.3.9)による2006年のラジオNIKKEI賞(GIII)でしたが、タマモサポートは藤岡健一厩舎の所属馬。藤岡調教師は佑介&康太の兄弟騎手の父君であり、タマモサポートは息子の同期生を鞍上に据えての重賞制覇でした。

2019年のクラシック候補生を確認する(其の弐拾) | 雪の家雑記帳

と記していたのですけれど、ついにGI制覇を遂げられた津村騎手。

予備知識無しにレースを見ていて「内で我慢している馬がいるな。4コーナーで他馬が外に膨れたところで上手く抜け出して来れたら」と思いましたら、その通りのレースをして、確認してみれば鞍上が津村騎手。フラワーC同日の阪神メインの若葉S(L)は藤岡佑介騎手のミスタージーティー(2021.3.25)が勝利を収めましたが、競馬学校20期の同期生どうしが東西でメインジャックを見せてくれました。という訳でツムラ、おまはんも、もうGIを勝っても良いと思うぞ。まだGIIも勝っていないけれど、一足飛びで勝ってしまいなはれ。

ミアネーロ(2021.2.16)&シックスペンス(2021.4.17)-2024年のクラシック候補生を確認する(No. 31)- | 雪の家雑記帳

こうなったらミアネーロで優駿牝馬(GI)も勝って「ま、まさかツムツムが2週連続GI制覇とは……」と、良い意味でビックリさせて欲しいものです。来週は東京競馬場でご家族と共に喜びを分かちあえるように、ホンマに期待しているぞ、津村騎手。

「冠名+幸福+母名の一部」という馬名意味のテンハッピーローズ。冠名「テン」の天白泰司オーナーにも初GIどころか初重賞制覇という「幸福」を運んでくれた栗毛の6歳牝馬。テンハッピーローズにより2018年生まれ世代はソダシ(2018.3.8)、ソングライン(2018.3.4)に続いて3年連続でヴィクトリアマイル勝ちを収めました。

ソダシ(2018.3.8)-第17回ヴィクトリアマイル(GI)の勝ち馬-
ソダシ 牝 白毛 2018.3.8生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・金子真人ホールディングス(株) 栗東・須貝 尚介厩舎
ソングライン(2018.3.4)-第18回ヴィクトリアマイル(GI)の勝ち馬-
ソングライン 牝 青鹿毛 2018.3.4生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 美浦・林 徹厩舎

……と言いますか、

  1. ソダシ(2018.3.8)とファインルージュ(2018.3.11)
  2. ソングライン(2018.3.4)とソダシ(2018.3.8)
  3. テンハッピーローズ(2018.2.26)とフィアスプライド(2018.4.10)

と、3年連続で同一世代でワンツーフィニッシュを決めています。強いなぁ。そんな世代の強力牝馬の一角に名を連ねたテンハッピーローズ、今後のレースでも津村騎手と共に勝利を収める姿を心待ちにしたいと思います。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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