ハートレイク(1991.4.22)-タイム差なしの好勝負を辿る(No.11)-

Series

ハートレイク(Heart Lake) 牡 栗毛 1991.4.22生~1999.9.24没 英国・Sheikh Mohammed Bin Rashid Al Maktoum生産 馬主・Godolphin 愛国・John Oxx厩舎→UAE・Saeed bin Suroor厩舎

ハートレイク(1991.4.22)の4代血統表
Nureyev
鹿毛 1977.5.2
種付け時活性値:1.25【13】
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic
黒鹿毛 1954.2.11
Nearco 1935.1.24
Lady Angela 1944
Natalma
鹿毛 1957.3.26
Native Dancer 1950.3.27
Almahmoud 1947.5.18
Special
鹿毛 1969.3.28
Forli
栗毛 1963.8.10
Aristophanes 1948
Trevisa 1951
Thong
鹿毛 1964.4.23
Nantallah 1953.3.5
Rough Shod 1944
My Darling One
栗毛 1981.3.1
仔受胎時活性値:0.25【9】
Exclusive Native
栗毛 1965.4.17
種付け時活性値:1.75【15】
Raise a Native
栗毛 1961.4.18
Native Dancer 1950.3.27
Raise You 1946
Exclusive
栗毛 1953.4.12
Shut Out 1939
Good Example 1944
Princess Marshua
鹿毛 1974.1.14
仔受胎時活性値:1.50【6】
Prince John
栗毛 1953.4.6
種付け時活性値:1.00【20】
Princequillo 1940
Not Afraid 1948
Marshua
鹿毛 1962.3.19
仔受胎時活性値:0.75【11】
Nashua
鹿毛 1952.4.14
種付け時活性値:0.25【9】
Emardee
黒鹿毛 1950
仔受胎時活性値:0.75【11】

<5代血統表内のクロス:Native Dancer4×4、Hyperion5×5(父方)、Nasrullah5×5>

ハートレイク(1991.4.22)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Nureyev
(Northern Dancer系)
Exclusive Native
(Raise a Native系)
Prince John
(Princequillo系)
Nashua
(Nasrullah系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Exclusive Native 3.25
(【9】+【6】+【11】+【11】)
母が米GI馬
(No. 16)
6番仔
(6連産目)

*

1995年の第45回安田記念(GI。東京芝1600m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 6 ハートレイク 牡4 武 豊 1:33.2 S.ビン・スルール 4
2 11 サクラチトセオー 牡5 小島 太 1:33.2 ハナ 境 勝太郎 1
3 7 タイキブリザード 牡4 岡部 幸雄 1:33.3 3/4 藤沢 和雄 6
4 13 ビコーペガサス 牡4 的場 均 1:33.4 3/4 柳田 次男 10
5 10 ホクトベガ 牝5 横山 典弘 1:33.5 1/2 中野 隆良 3
1995年の第45回安田記念(GI。東京芝1600m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.6 – 10.8 – 11.3 – 11.4 – 11.9 – 12.7 – 11.3 – 11.2
ラップの
累計タイム
12.6 – 23.4 – 34.7 – 46.1 – 58.0 – 1:10.7 – 1:22.0 – 1:33.2
上り 4F 47.1 – 3F 35.2

国際競走として開放されて3年目、ついにカク外馬が安田記念の勝ち馬となりました。赤い帽子、ゴドルフィンのロイヤルブルーの勝負服に身を包んだ武豊騎手を鞍上に迎えた栗毛の流星、大きめの白いシャドーロールを着けたハートレイクが、中団位置から直線鋭くインを突き、小島太騎手騎乗のサクラチトセオー(1990.5.11)の追い込みを「ハナ」差封じました。

思い出のGI1勝馬を辿る(其の弐)-サクラチトセオー(1990.5.11)&サクラキャンドル(1992.4.9)-
サクラチトセオー 牡 黒鹿毛 1990.5.11生~2014.1.30没 静内・谷岡牧場生産 馬主・(株)さくらコマース 美浦・境勝太郎厩舎サクラキャンドル 牝 鹿毛 1992.4.9生~2019.3.4没 静内・谷岡牧場生産 馬主・(株)さくらコマース 美浦・境勝太郎厩舎→小島太厩舎

ラップを見ればGIマイル戦らしく1000m通過58秒0という締まった流れなのですが、東京芝の4コーナーから直線にかけて12秒7とレースの中で流れが一番緩んでいます。逃げたビコーアルファー(1990.4.24)と大塚栄三郎騎手が上手く息を入れるペースを作ったというところでしょうか。……名前を出してみて、リヴリア(1982.4.20)の仔ビコーアルファーも懐かしいですし「逃げの大塚」も懐かしい。ともあれ、直線坂下を迎えてから後続の勢いが勝り、タイキブリザード(1991.3.12)が最初に前に出たところで、内ラチ沿いのハートレイク、外から切れ込むようにしてサクラチトセオーと2頭が揃って末脚を見せました。ゴールに近付くにつれて鋭さを増したのがサスガにGIの勝負というところで、11秒3、11秒2と上がりのラップが上がっています。中でもハートレイク、追いすがるタイキブリザードを振り落とすように脚を伸ばし、最後の最後でサクラチトセオーが強襲して来ても凌ぎ切りました。

年度代表馬の同期生を辿る(其の拾肆)-タイキブリザード(1991.3.12)-
タイキブリザード(Taiki Blizzard) 牡 黒鹿毛 1991.3.12生~2014.8.18没 米国・H &amp; Y Bloodstock生産 馬主・(有)大樹ファーム 美浦・藤沢和雄厩舎

振り返れば開放初年の1993年はヤマニンゼファー(1988.5.27)が勝ち、カク外馬はLotus Pool(1987.3.12)5着、Kitwood(1989.5.12)6着。Lotus Poolは(有)大樹ファームが馬主でしたので、「緑、白星散、袖白縦縞」の勝負服。そしてまたジャンプラ賞(仏GI)の勝ち馬KitwoodはNureyev産駒にしてシェイク・モハメドの持ち馬で鞍上が武騎手。1994年は前哨戦の京王杯スプリングC(GII)でスキーパラダイス(1990.5.12)、Zieten(1990.3.23)、Sayyedati(1990.1.26)、Dolphin Street(1990.2.27)と上位4頭が1990年生まれ世代のカク外馬であり、特にスキーパラダイスの持ったまんまの勝ちっぷりに、ザイーテンならぬ「目がテン」になったのを覚えています。「うわ、本番もカク外馬に持って行かれるのか……」かと思いきや、ノースフライト(1990.4.12)とトーワダーリン(1990.4.21)という日本生産調教の1990年生まれ世代の牝馬2頭、鞍上も角田晃一騎手と田中勝春騎手という競馬学校5期生のワンツーで、カク外馬はDolphin Streetの3着が最高着順。

年度代表馬の同期生を辿る(其の伍)-ヤマニンゼファー(1988.5.27)-。
ヤマニンゼファー 牡 鹿毛 1988.5.27生~2017.5.16没 新冠・錦岡牧場生産 馬主・土井肇氏 美浦・栗田博憲厩舎
思い出の女馬を辿る(其の参)-スキーパラダイス(1990.5.12)-
スキーパラダイス(Ski Paradise) 牝 芦毛 1990.5.12生 米国・Fontainebleau Farm, Inc.生産 馬主・吉田照哉氏 仏国・A Fabre厩舎
ノースフライト(1990.4.12)
ノースフライト 牝 鹿毛 1990.4.12生~2018.1.22没 浦河・大北牧場生産 馬主・(有)大北牧場 栗東・加藤敬二厩舎

そうして迎えた1995年の安田記念を制したのがハートレイク。1995年当時、日本生産調教のNorthern Dancer直系馬は0の理論的にはミニモの遺伝を受けている馬しかJRA・GIを勝てていませんでしたので、「カク外馬でNureyev産駒の絶対数が少ないから、日本の競馬ではチャレンジャーの精神を持ってGIレースに臨めたんやろうなぁ」と思ったもの。世界的大種牡馬Nureyevは日本でも「サスガ」というところを見せていて、JBISによると日本で走った産駒のアーニングインデックスは「4.47」。ハートレイクはNureyev産駒として初めてJRA重賞を勝った馬でもありました。そしてまたハートレイクが安田記念を制した3週間後、曾祖母Marshuaからの別分枝馬が宝塚記念(GI)を制しました。ダンツシアトル(1990.5.13)、タイキブリザードとのSeattle Slew(1974.2.15)産駒のワンツーを決めて、京都芝2200mを2分10秒2という日本レコード駆け。「同一牝系馬の連動する活躍」は、1993年から1994年にかけてビワハヤヒデ(1990.3.10)ナリタブライアン(1991.5.3)兄弟によって、いやと言う程知らされたのです。それに輪を掛けるように1995年、西洋で生まれた馬たちが東洋の島国で立て続けにGIレースを制したことにより、改めて思い知らされることになりました。

ダンツシアトル(1990.5.13)
ダンツシアトル 牡 鹿毛 1990.5.13生~2020.9.24没 米国・Thoroughbred Breeding Associates Series IV, L. P.生産 馬主・山元哲二氏 栗東・山内研二厩舎

*

ハートレイクは1996年にも来日し、輸送トラブルがあったにも関わらず、59kgを背負った京王杯スプリングC(GII)で勝利を収め、日本の馬場適性を見せました。1990年代半ばはヒシアマゾン(1991.3.26)ワンダーパヒューム(1992.3.7)等Nureyevの孫たちもJRA・GIを制していた時期ということもあり、種牡馬として社台スタリオンステーションで繋養されたハートレイク。しかしながら3年目の夏となる1999年、シャトル先の豪州において不慮の事故で夭折。産駒唯一の重賞勝ち馬であったプレシャスカフェ(1999.3.29)が種牡馬供用されたものの、たった1年で御役御免。また、ブルードメアイサーとしてラジオNIKKEI賞(GIII)を制したアロマカフェ(2007.3.9)を輩出しましたが、母父としての唯一の重賞勝ち馬でした。人との奇縁は巡るのか、ハートレイクが制した安田記念で2着だったサクラチトセオーの鞍上だった小島騎手が、調教師となって管理されたプレシャスカフェとアロマカフェ。そしてまた「カフェ」の冠名からも明らかなように、2頭共に西川家の持ち馬でした。

栗毛の流星の鮮やかさが印象に残るハートレイク。安田記念の季節が巡ると思い出す馬の1頭です。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

*

[ハートレイク(1991.4.22)の主な競走成績]

  1. 安田記念(GI)、京王杯スプリングC(GII)、コンコルドS(愛GIII)
  2. 香港国際ボウル(GIII)

通算17戦6勝、2着3回、3着1回。

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マイシンザン
マイシンザン

安田記念はハートレイクが外国調教馬として初めて制した後、Fairy King Prawn(フェアリーキングプローン。1995.10.13)Bullish Luck(ブリッシュラック。1999.4.3)の香港勢2頭が制しているな。

ワイルドブラスター
ワイルドブラスター

ええ。特にFairy King Prawnが制した2000年は2着にディクタット(1995.2.25)が入り、外国調教馬のワンツーフィニッシュでした。

マイシンザン
マイシンザン

「また安田記念で外国調教馬の速く強い姿を見てみたいもの」とは、このサイトの管理人の言。


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