Benbatl 牡 鹿毛 2014.2.15生 英国・Darley生産 馬主・Godolphin UAE・Saeed bin Suroor厩舎
Dubawi 鹿毛 2002.2.7 種付け時活性値:0.75 |
Dubai Millennium 鹿毛 1996.3.20 |
Seeking the Gold 鹿毛 1985.4.7 |
Mr. Prospector 1970.1.28 |
Con Game 1974.3.20 | |||
Colorado Dancer 黒鹿毛 1986.2.13 |
Shareef Dancer 1980.3.3 | ||
Fall Aspen 1976.3.9 | |||
Zomaradah 鹿毛 1995.2.21 |
Deploy 鹿毛 1987.5.15 |
Shirley Heights 1975 | |
Slightly Dangerous 1979.4.8 | |||
Jawaher 鹿毛 1989.5.13 |
ダンシングブレーヴ 1983.5.11 | ||
High Tern 1982.5.1 | |||
Nahrain 栗毛 2008.1.29 仔受胎時活性値:1.25 |
Selkirk 栗毛 1988.2.19 種付け時活性値:0.75 |
Sharpen Up 栗毛 1969.3.17 |
エタン 1961.3.14 |
Rocchetta 1961 | |||
Annie Edge 栗毛 1980.3.24 |
Nebbiolo 1974 | ||
Friendly Court 1971 | |||
Bahr 栗毛 1995.4.19 仔受胎時活性値:1.00 |
ジェネラス 栗毛 1988.2.8 種付け時活性値:1.50 |
Caerleon 1980.3.27 | |
Doff the Derby 1981.5.13 | |||
Lady of the Sea 栗毛 1986.2.21 仔受胎時活性値:2.00(0.00) |
◆Mill Reef 鹿毛 1968.2.23 種付け時活性値:0.25 |
||
La Mer 栗毛 1973.11.6 仔受胎時活性値:0.875 |
<5代血統表内のクロス:Mill Reef5×4>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Dubawi (Mr. Prospector系) |
Selkirk (エタン系) |
ジェネラス (Nijinsky系) |
◆Mill Reef (Never Bend系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
ジェネラス | 5.125 or 3.125 |
母がGI2勝馬 (No. 6-d) |
初仔 |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破時計 ・着差 |
調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | Benbatl | 牡4 | 57 | Oisin Murphy | 1:46.02 | Saeed bin Suroor |
2 | 7 | ヴィブロス | 牝5 | 55 | Cristian Demuro | 3 1/4 | 友道康夫 |
3 | 13 | ディアドラ | 牝4 | 55 | C.ルメール | クビ | 橋田満 |
3 | 8 | リアルスティール | 牡6 | 57 | Mickael Barzalona | 同着 | 矢作芳人 |
5 | 3 | Promising Run | 牝5 | 55 | Pat Cosgrave | 4 3/4 | Saeed bin Suroor |
2018年の第23回ドバイターフ。後続の熾烈な2着争いを尻目に、その3と4分の1馬身前をハツラツと先頭でゴールしたのはBenbatlとオイシン・マーフィー騎手。2018年に入ってからシングスピールS(UAE・GIII)1着、アルラシディヤ(UAE・GII)1着、第19回ジェベルハッタ(UAE・GI)2着と好調を維持して、第23回ドバイターフ1着。Benbatl、2018年はメイダン芝1800mばかり4連戦で3勝2着1回。勝手知ったる俺の庭とばかりに、本番も快走を見せました。日本勢も頑張りましたが、前を行ったBenbatlには及ばず。今回は、Benbatlの強さを褒め称えるほかありません。
では、以下にBenbatlの近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。
La Mer 1973.11.6 24勝 ニュージーランドオークス エアニュージーランドS マナワツサイアーズプロデュースS含むグループレース17勝
|Loughmore 1980.9.15 1勝
||Little Carey 1987.9.25 不出走
|||Little Jamie 1997.8.25 1勝 マナワツサイアーズプロデュースS(新GI)
|Lady of the Sea 1986.2.21 1勝
||Clerio 1994.4.21 5勝 メイトロンS(愛GIII)
|||Clerihew 2003.4.27 不出走
||||He's Our Rokkii 2012.9.28 現役 トゥーラックH(豪GI) カービンクラブS(豪GIII) フランクパッカープレート(豪GIII)ほか
||Bahr 1995.4.19 4勝 リブルスデイルS(英GII) ムシドラS(英GIII)ほか
|||Nahrain 2008.1.29 5勝 フラワーボウル招待S(米GI) オペラ賞(仏GI)ほか
||||Benbatl 2014.2.15 (本馬)ドバイターフ(UAE・GI) アルラシディヤ(UAE・GII) ハンプトンコートS(英GIII) シングスピールS(UAE・GIII)ほか
元を辿ればドルメロに行き着く活力充分な6号族d分枝系。Benbatlの母NahrainがGI2勝馬、祖母Bahrが英グループレース2勝馬とボトムラインは優秀の一言。その極め付きが曾祖母La Mer。同馬は現行の新国GIレース3勝を含むグループレース17勝という活躍馬で、第2次世界大戦以後の新国競馬ではShow Gate(1969)、Horlicks(1983.10.7)、Sunline(1995.9.29)等と並び称される超名牝の一角。
1979年のエアニュージーランドSの動画。世界の何処にも競馬が好きな方が多いと思わされます^_^;
また、上図に現れる活躍馬には日本に馴染みのある血統を持つ馬が多く、He’s Our Rokkiiは第143回ニュージーランドダービー(GI)を制したVin de Dance(2014.9.13)と同じく父がロックドゥカンブ(2004.9.29)、Clerioは父がソヴィエトスター(1984.4.20)、Little Jamieはサイアーラインの曽祖父がダンサーズイメージ(1965.4.10)です。余談となりますが、今をときめくクールモアのシャトルサイアー戦略の嚆矢は、実はダンサーズイメージの仔Godswalk(1974.2.9)でした。故に南半球産馬には、Godswalkを通じて、ダンサーズイメージの血が見えるケースがままあります。0の理論的には、Godswalkはダンサーズイメージが満8歳時のミニモの遺伝を受けた0交配馬でもあります。
さて、Benbatlの最優性先祖である祖母父ジェネラスは、現役時代に6勝を挙げ、その主な勝ち鞍に第212回英ダービー(GI)、第126回愛ダービー(GI)、第41回”キング・ジョージ”(英GI)、デューハーストS(英GI)がある、1990年代初頭の欧州の名馬。タイムフォーム社が1991年の彼に与えたレーティング「139」ポンドは、1990年代の最高数値です。ジェネラス、2歳時はそれほど評価が高く無かったのか、デューハーストSは単勝51倍のアップセットを見せました。3歳になってからは英ダービー5馬身差、愛ダービー3馬身差、”キング・ジョージ”に至っては7馬身差の圧勝続き。英ダービー以降、その鞍上には、やはり日本に馴染み深いアラン・ムンロ騎手の姿がありました。日本に馴染み深いというところでは、半弟オースミタイクーン(1991.3.23)は武幸四郎騎手(現調教師)のJRA初勝利にして重賞初勝利になった1997年のマイラーズC(GII)勝ちの相棒として知られています。また、半妹Imagine(1998.2.20)は第223回英オークス(GI)の勝ち馬であり、恐ろしいことに英ダービー馬と英オークス馬の兄妹となりました。尊ぶべきは母Doff the Derby。
1991年の第212回英ダービー。2着Marju(1998.3.12)-サトノクラウン(2012.3.10)の父-を5馬身置き去りにした、直線の脚色の良さ。そんなジェネラスの代表産駒を示しておきます。以下、代表産駒と共に示すGレースのレース名および格付けは、いずれも施行当時のものです。
- Catella(1996.3.14)
→ELEポカル(独GI)、ゲルリンク賞(独GII)、ヘニンガートロフィ(独GII)、ドイツヘロルト賞(独GIII)、ヘッセンポカル(独GIII)ほか - ミスティックリップス(2004.3.5)
→独オークス(GI)ほか - Radevore(1993.2.5)
→ユジェーヌアダム賞(仏GII)、ラフォルス賞(仏GIII)ほか - Blueprint(1995.4.3)
→ジョッキークラブS(英GII)、サンルイレイS(米GII)、サンセットH(米GII)ほか - Lisieux Rose(1995.4.29)
→ブランドフォードS(愛GII)、オーキッドH(米GII)、シープスヘッドベイH(米GII)ほか - Bahr(1995.4.19)
→リブルスデイルS、ムシドラSほか。上述のとおり、Benbatlの祖母 - Capri(1995.5.10)
→ジャンティイ大賞(仏GII)、カンバーランドロッジS(英GIII)ほか - Courteous(1995.5.14)
→ドーヴィル大賞(仏GII)、サンダウンクラシックトライアルS(英GIII)ほか - Teapot Row(1995.2.7)
→ロイヤルロッジS(英GII)ほか - エリモハリアー(2000.3.21)
→函館記念(GIII)3回ほか
日本では「函館の名優」エリモハリアーの2005年から2007年までの函館記念3連覇が印象に残ります。海外の産駒では1995年生まれ世代に、Benbatlの祖母Bahrを含むGII勝ち馬が6頭も輩出されており、当たり年でした。
メイダン芝1800mのスペシャリストとして花開いたBenbatl。ミドルディスタンスの強者として、向かう先はいずこになりますでしょうか。また次を楽しみにしたいものです。
それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。