中島国治氏関連馬(其の捌)-カミノスミレ(1978.4.30)-

カミノスミレ 牝 鹿毛 1978.4.30生~2008没 青森・タケミファーム生産 馬主・保手浜弘規氏 美浦・中村広厩舎

カミノスミレ(1978.4.30)の4代血統表

インデイアナ
鹿毛 1961
種付け時活性値:0.00

Sayajirao
黒鹿毛 1944
Nearco
黒鹿毛 1935.1.24
Pharos 1920.4.4
Nogara 1928
Rosy Legend
黒鹿毛 1931 ♀
★Dark Legend 1914
Rosy Cheeks 1919
Willow Ann
栗毛 1942
Solario
鹿毛 1922
Gainsborough 1915.1.24
Sun Worship 1912
Court of Appeal
芦毛 1931
Apelle 1923
Brown Princess 1925
カミノコトブキ
鹿毛 1970.3.8
仔受胎時活性値:1.75
フエリオール
黒鹿毛 1951.3.2
種付け時活性値:0.50
▲Fastnet
鹿毛 1933
Pharos 1920.4.4
Tatoule 1925
Aisse
鹿毛 1939
★Thor 1930
Asturie 1932
マントン
栗毛 1954
仔受胎時活性値:1.75
Dante
黒鹿毛 1942
種付け時活性値:0.75
Nearco 1935.1.24
Rosy Legend 1931 ♀
Pin Stripe
栗毛 1947
仔受胎時活性値:1.50
Hyperion
栗毛 1930.4.18
種付け時活性値:0.00
Herringbone
鹿毛 1940
仔受胎時活性値:1.50

<5代血統表内のクロス:Nearco3×4、Rosy Legend(♀)3×4、Pharos4×4・5、Gainsborough4×5>

カミノスミレ(1978.4.30)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
★インデイアナ
(Nearco系)
フエリオール
(Pharos系)
Dante
(Nearco系)
Hyperion
(Gainsborough系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Dante 6.50 半姉カミノローラが現GIII2着
(No. 8-c)
3番仔
(3連産目)

*

[カミノスミレの主な競走成績]

  1. 目黒記念・春(現GII)
  2. 天皇賞・秋(現GI)、ダイヤモンドS(GIII)
  3. 目黒記念・秋(現GII)、ステイヤーズS(現GII)

通算32戦5勝、2着2回、3着3回。

*

故・中島国治氏の配合馬の中では、その近親交配に目が行くカミノスミレ。長くなりますが、原典から引用しておきます。

私がこの0の法則に基づいて生産した超近親配合馬にカミノスミレ(1978)がいる。

母親のカミノコトブキ(1970)、その父フェリオール(1951)はファロス系のファスネー(Fastnet)の仔である。祖母のマントン(1954)、その父ダンテ(Dante、1942)、その父がネアルコで母がロージーレジェンド(Rosy Legend)である。ネアルコの父がファロスだから、この配合自体が近親交配にあたる。

私がカミノコトブキの満7歳の種付けに選んだ相手はインディアナ(タケホープの父、1961)であった。インディアナの父がサヤジラオ(1944)、その母がロージーレジェンド、サヤジラオの父がネアルコ(1935)だから、つまり父方の祖父と母方の曾祖父が全兄弟ということになる。つまり、カミノコトブキとインディアナの組み合わせは、ネアルコとロージーレジェンド両者を3×4で持ち、母方にファロスを4×4で持つ超近親交配ということになる。

しかしながらインディアナはそのとき満16歳で活性値が0であり、その父サヤジラオが満16歳で種付けた仔どもで0、さらにネアルコの種付けも満8歳でここも0と切れている。従って、父のすべての先祖が0であるからには弊害は生まれず、資質を固定するためには絶好の機会と判断した。

-KKベストセラーズ、中島国治著「血とコンプレックス」、P312~P313より引用-

私は、こういう極端な近親交配は、牡馬よりも牝馬のほうが耐性があるように感じています。牡牝の産み分けについては、私が知る限り、中島氏の生前、誌面による言及は無かったのですが、牝馬の生産を狙われていたのではないでしょうか。

なお、全兄弟クロスとなったDanteとSayajiraoですが、兄Danteは第166回英ダービー(現GI)、ミドルパークS(現英GI)、コヴェントリーS(現英GII)の勝ち馬、弟Sayajiraoは第171回英セントレジャー(現英GI)、第82回愛ダービー(現GI)、ハードウィックS(現英GII)の勝ち馬と、共に英国のクラシックホースになった超一流の兄弟でした。また両馬の半兄ハロウエー(1940)は種牡馬として日本に輸入され、満16歳時の0交配でスターロツチ(1957.4.16)、満24歳時の0交配でタニノハローモア(1965.4.23)と、クラシックホースを送り込んだ名種牡馬となりました。

*

閑話休題。カミノスミレは長距離得意の牝馬として名を馳せ、東京芝2500mの目黒記念・春を制し、最後の東京芝3200mの開催となった1983年の第88回天皇賞・秋でも12頭立てのブービー人気を跳ね返してキョウエイプロミス(1977.4.14)の2着に差し込みました。

【競馬】[1983年]天皇賞(秋) キョウエイプロミス
【競馬】天皇賞(秋) キョウエイプロミス 【youtube転載】3200mで行なわれた最後の天皇賞(秋)■1着キョウエイプロミス(柴田政人)■2着カミノス...
第88回天皇賞・秋(現GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 馬体重 調教師
1 2 キョウエイプロミス 牡6 58 柴田政人 3:22.7 482 高松邦男 2
2 11 カミノスミレ 牝5 56 加賀武見 3:23.1 1.1/2 444 中村広 11
3 5 アンバーシャダイ 牡6 58 加藤和宏 3:23.3 1.1/4 474 二本柳俊夫 3
4 7 モンテファスト 牡5 58 吉永正人 3:23.3 アタマ 544 松山吉三郎 6
5 9 リーゼングロス 牝4 56 菅原泰夫 3:23.4 1/2 488 新関力 7

末広がりの八が2つ揃った、第88回天皇賞・秋。キョウエイプロミスの鞍上だった柴田政人騎手にとっても、通算800勝の区切りの勝利。カミノスミレは8枠発進からの末脚発揮でした。なお、現在は東京芝3200mの施行条件自体が廃されていますけれど、オールドファンは残念に思われているのではないかと、よく思います。

また、この天皇賞・秋でカミノスミレの鞍上を務められたのは、↑の通り、「闘将」加賀武見騎手(当時)。カミノスミレの故郷であるタケミファームは、実は加賀武見騎手と「鉄人」佐々木竹見騎手(当時)の、名に「タケミ」を持つお2人が共同所有されていた牧場だったそうです。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

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