ノッキングポイント(2020.1.30)&モリアーナ(2020.3.2)-2023年のクラシック候補生を確認する(No.35)-

Pedigree

ノッキングポイント 牡 栗毛 2020.1.30生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 美浦・木村 哲也厩舎

ノッキングポイント(2020.1.30)の4代血統表

モーリス
鹿毛 2011.3.2
種付け時活性値:0.00【8】
スクリーンヒーロー
栗毛 2004.4.18
グラスワンダー
栗毛 1995.2.18
Silver Hawk 1979.4.20
Ameriflora 1989.1.29
ランニングヒロイン
鹿毛 1993.4.8
サンデーサイレンス 1986.3.25
ダイナアクトレス 1983.5.4
メジロフランシス
鹿毛 2001.3.18
カーネギー
鹿毛 1991.2.26
Sadler’s Wells 1981.4.11
Detroit 1977.2.24
メジロモントレー
黒鹿毛 1986.4.25
モガミ 1976.5.18
メジロクインシー 1981.7.1
チェッキーノ
栗毛 2013.2.8
仔受胎時活性値:1.50【6】
キングカメハメハ
鹿毛 2001.3.20
種付け時活性値:0.75【11】
Kingmambo
鹿毛 1990.2.19
Mr. Prospector 1970.1.28
Miesque 1984.3.14
マンファス
黒鹿毛 1991.2.23
ラストタイクーン 1983.5.9
Pilot Bird 1983.2.9
ハッピーパス
鹿毛 1998.6.3
仔受胎時活性値:1.50【14】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
種付け時活性値:0.75【11】
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
ハッピートレイルズ
鹿毛 1984.5.29
仔受胎時活性値:1.25【13】
ポツセ
栗毛 1977.5.15
種付け時活性値:1.50【6】
ロイコン
鹿毛 1975.3.4
仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】

<5代血統表内のクロス:サンデーサイレンス3×4>

ノッキングポイント(2020.1.30)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
モーリス
(Roberto系)
キングカメハメハ
(Mr. Prospector系)
サンデーサイレンス
(Halo系)
ポツセ
(Forli系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ポツセ
(Aristophanes)
6.25 or 4.25
(【6】+【14】+【13】+【8】)
母がGII勝ち馬
(No. 4-d)
初仔

*

2023年の第59回農林水産省賞典新潟記念(GIII。新潟芝2000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 3 ノッキングポイント 牡3 54 北村 宏司 1:59.0 5-6 33.8 494
[+6]
木村 哲也 2
2 9 ユーキャンスマイル 牡8 58 石橋 脩 1:59.2 1 10-11 33.6 514
[0]
友道 康夫 7
3 8 インプレス 牡4 56 菅原 明良 1:59.2 クビ 13-13 33.4 524
[-2]
佐々木 晶三 10
4 13 プラダリア 牡4 57 池添 謙一 1:59.3 1/2 5-6 34.1 464
[-2]
池添 学 3
5 11 バラジ 牡4 56 三浦 皇成 1:59.4 クビ 8-8 34.1 506
[-6]
鹿戸 雄一 5
2023年の第59回農林水産省賞典新潟記念(GIII。新潟芝2000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
13.2 – 11.0 – 11.9 – 12.1 – 12.4 – 12.4 – 11.7 – 11.3 – 11.2 – 11.8
ラップの
累計タイム
13.2 – 24.2 – 36.1 – 48.2 – 1:00.6 – 1:13.0 – 1:24.7 – 1:36.0 – 1:47.2 – 1:59.0
上り 4F 46.0 – 3F 34.3

新潟芝2000m、晴の良馬場、14頭立て。出走馬中唯1頭だけの3歳馬だったノッキングポイント、発馬後二の脚で行きたがるところを抑えて道中5~6番手あたりの内ラチ沿いをじっと我慢し、新潟芝Aコースの外回りの直線658.7mを迎えると馬場の内側を鋭進。最後は古豪ユーキャンスマイル(2015.5.3)が追い込みで迫りましたが、1馬身抜け出したところが決勝点。歴戦の古馬たちを相手に一歩もひるまずに伸び続けたノッキングポイント、快勝と言える見事な新潟記念勝ちでした。

2020年生まれ世代における東京開催の1番最初のJRA新馬戦である芝1600mをオールパルフェ(2020.4.7)に3馬身差で勝ち上がった際には「大物候補」と目されたノッキングポイント、サウジアラビアロイヤルC(GIII)を1番人気でドルチェモア(2020.2.21)の4着、明けて2023年の初戦ジュニアC(L)を1番人気でクルゼイロドスル(2020.5.8)の6着と人気を裏切りましたが、2月の東京芝1600mの1勝クラスをバルサムノート(2020.2.5)相手に1馬身半差で勝利。3月の毎日杯(GIII)をシーズンリッチ(2020.2.23)に半馬身差の2着で賞金加算して臨んだ東京優駿(GI)は15番人気でしたがタスティエーラ(2020.3.22)から0秒2差の5着。改めて世代の中でも上位の素質馬であることを示した栗毛の流星、東京優駿からコンビを組む北村宏司騎手と共に挑んだ新潟記念において重賞初勝利を古馬混合戦で遂げると共に、3歳馬による新潟記念の勝利はヤマテスコ(1970.3.24)、アツプセツター(1980.4.27)ブラストワンピース(2015.4.2)に続く史上4頭目と相成りました。

ノッキングポイントは母チェッキーノがフローラS(GII)の勝ち馬であり優駿牝馬(GI)ではシンハライト(2013.4.11)からクビ差の2着、祖母ハッピーパスが京都牝馬S(GIII)の勝ち馬、伯父にGIII2勝のコディーノ(2010.2.15)、大伯母に「愛国からのベストマイラー」シンコウラブリイ(1989.2.2)が見える4号族d分枝系。

思い出の女馬を辿る(其の弐)-シンコウラブリイ(1989.2.2)-
シンコウラブリイ 牝 鹿毛 1989.2.2生~2011.12.5没 愛国・B. R. and Mrs Firestone生産 馬主・安田修氏 美浦・藤沢和雄厩舎

シンコウラブリイ好きの私はこの4号族から輩出される馬を応援したくなるのですが、牝系の真骨頂としては「古馬になってから実が入るところ」と思っています。見ればノッキングポイントもデビュー時の464kgから新潟記念の折には494kgと30kgも馬体が増えていますし、その素質に身体が伴って来たということもあるのでしょう。また近親馬の名前を見れば「藤沢和雄厩舎ゆかりの血」と言えますけれど、管理される木村哲也調教師も

「藤沢先生の血統ですし、今日も(藤沢和厩舎に所属した)北村宏ジョッキーで勝てて感謝しています」

【新潟記念】3歳ノッキングポイントが初タイトル イクイノックスの木村哲也厩舎からまた新星 | 競馬ニュース – netkeiba.com

とコメントされていました。そして藤沢厩舎所属だった北村騎手は前週のアスコリピチェーノ(2021.2.24)の新潟2歳S(GIII)に続いて(有)サンデーレーシングの勝負服で2週連続重賞勝ち。新潟2歳Sが5年ぶりのJRA重賞制覇だった北村騎手、一度勝ってしまえば堰を切ったように連勝を見せられました。いいぞヒロシ、キタサンブラック(2012.3.10)菊花賞(GI)以来のGI勝利も期待しています(^^)

という訳で、応援したくなる牝系馬であるが故に記事が長くなってしまったノッキングポイント、その馬名意味は「アーチェリーで矢を弦につがえる場所」ということです。

*

モリアーナ 牝 鹿毛 2020.3.2生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・高橋 文男氏 美浦・武藤 善則厩舎

モリアーナ(2020.3.2)の4代血統表
エピファネイア
鹿毛 2010.2.11
種付け時活性値:0.25【9】

シンボリクリスエス
黒鹿毛 1999.1.21
Kris S.
黒鹿毛 1977.4.25
Roberto 1969.3.16
Sharp Queen 1965.4.19
Tee Kay
黒鹿毛 1991.2.9
★Gold Meridian 1982.4.14
Tri Argo 1982.5.18
シーザリオ
青毛 2002.3.31
スペシャルウィーク
黒鹿毛 1995.5.2
サンデーサイレンス 1986.3.25
キャンペンガール 1987.4.19
キロフプリミエール
鹿毛 1990.4.15
Sadler’s Wells 1981.4.11
Querida 1975.3.14
ガルデルスリール
鹿毛 2011.4.10
仔受胎時活性値:2.00【8】
ダイワメジャー
栗毛 2001.4.8
種付け時活性値:0.25【9】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
スカーレットブーケ
栗毛 1988.4.11
ノーザンテースト 1971.3.15
スカーレツトインク 1971.5.5
バシマー
黒鹿毛 2003.5.6
仔受胎時活性値:1.75【7】
Grand Lodge
栗毛 1991.3.6
種付け時活性値:0.75【11】
★Chief’s Crown 1982.4.7
La Papagena 1983.5.26
Bella Vitessa
鹿毛 1992.3.9
仔受胎時活性値:0.50【10】
★Thatching
鹿毛 1975.5.31
種付け時活性値:0.00【16】
Burghclere
鹿毛 1977.4.26
仔受胎時活性値:1.50【14】

<5代血統表内のクロス:サンデーサイレンス3×4、Hail to Reason5×5、Northern Dancer5×5、Habitat5×5>

モリアーナ(2020.3.2)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
エピファネイア
(Roberto系)
ダイワメジャー
(サンデーサイレンス系)
Grand Lodge
(Danzig系)
Thatching
(Forli系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Grand Lodge
(バシマー)
5.75
(【8】+【7】+【10】+【14】)
高祖母からの別分枝に活躍馬多数
(No. 2-f)
3番仔
(3連産目)

*

2023年の第8回紫苑S(GII。中山芝2000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 2 モリアーナ 牝3 54 横山 典弘 1:58.0 16-15-15-14 34.3 474
[+4]
武藤 善則 4
2 3 ヒップホップソウル 牝3 54 横山 武史 1:58.1 1/2 4-4-4-3 35.9 490
[0]
木村 哲也 2
3 13 シランケド 牝3 54 国分 恭介 1:58.3 1 1/4 11-12-13-12 35.0 502
[+2]
牧浦 充徳 9
4 5 キミノナハマリア 牝3 54 C.ルメール 1:58.4 3/4 6-4-6-5 35.8 494
[+2]
千田 輝彦 6
5 7 ミシシッピテソーロ 牝3 54 石川 裕紀人 1:58.5 1/2 7-7-8-8 35.6 438
[+4]
畠山 吉宏 8
2023年の第8回紫苑S(GII。中山芝2000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.2 – 11.0 – 11.8 – 11.5 – 11.6 – 11.8 – 11.8 – 11.9 – 12.4 – 12.0
ラップの
累計タイム
12.2 – 23.2 – 35.0 – 46.5 – 58.1 – 1:09.9 – 1:21.7 – 1:33.6 – 1:46.0 – 1:58.0
上り 4F 48.1 – 3F 36.3

中山芝2000m、晴の稍重馬場、17頭立て。「紫苑S」もオープン特別時代も含めて20年以上の歴史を重ねて、そのレースの名前を聞くと秋の訪れを感じるようになったものです。2016年の重賞格上げ後の勝ち馬を見ればディアドラ(2014.4.4)ノームコア(2015.2.25)スタニングローズ(2019.1.18)と後のGI勝ち馬が既に3頭も輩出されており、本番秋華賞(GI)との結び付きの強い前哨戦であることも加味されて今年2023年からGIIに昇格となりました。

そんな昇格初回の一戦を制したのは戦前4番人気だったモリアーナ。その馬名意味「スラブの伝承に登場する風の女神」のとおり、吹き抜ける風のように、いえ、さながら嵐のような強さを持った末脚が炸裂となったレースでした。台風13号の影響も残った稍重の馬場で入りの3ハロン35秒0、1000m通過が58秒1という淀みない流れ。「開幕週の馬場故に前に行った馬も残るか」と思い見ていましたら、4角3番手で回ったヒップホップソウル(2020.3.20)が中山芝Bコースの直線310mを堂々と抜け出しに掛かりました。「(津村から乗り代わった)タケシ、(札幌開催リーディングの勢いのまま)ここも勝つんか」とディスプレイに向かってつぶやきましたら、他馬とはまったく違う末脚で追い込んで来た馬が1頭。「うわっ、横山家のお父さん、飛んで来た。差すんか、差すんか、差したぁ!!」とディスプレイに向かって叫んでしまいました^^;。モリアーナ、最後はヒップホップソウルを半馬身差し切ったところが決勝点。4回のコーナー通過順位を見れば「16-15-15-14」とずっと後方に構えていた、白い帽子に「白、桃縦縞、袖桃一本輪」の勝負服を乗せた黒の頭巾を着けた鹿毛馬、中山の短い直線を縫うようにして伸びた様の鮮やかさ。サスガは2歳時にデビュー2連勝で臨んだ阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)リバティアイランド(2020.2.2)に続く2番人気に推された素質馬。この紫苑Sの勝利を以て、改めて絶対王者への挑戦権を獲得しました。

モリアーナの牝系は高祖母がBurghclereということで、言わずと知れたディープインパクト(2002.3.25)等と同じ2号族f分枝系。牝系図をパッと見て不思議な縁を感じたのがBurghclereの半兄ミルフオード(1976.4.29)。名馬Mill Reef(1968.2.23)を配されて「Queen’s」Highclere(1971.4.9)の初仔として生まれたエリザベス2世女王陛下のオーナーブリード馬は、プリンセスオブウェールズS(英GII)、リングフィールドダービートライアルS(英GIII)、ホワイトローズS(英GIII)と3歳時に英グループレース3勝を挙げた活躍馬。そんなミルフオード、種牡馬として1987年から日本で供用されると、産駒の稼ぎ頭で馬名が大変気になったサダマーサー(1988.4.9)、桜花賞(GI)でニシノフラワー(1989.4.19)の3着だったラックムゲン(1989.3.18)、クロッカスS(OP)の勝ち馬リワードガルソン(1989.4.21)、そして関屋記念(GIII)2着のシャインフォード(1991.5.20)等を輩出しました。最後に名前を挙げたシャインフォード、デビューの新馬戦ではサクラローレル(1991.5.8)を負かして勝ち上がり、現在で言う2勝クラスのテレビ埼玉杯連覇を果たし、フサイチコンコルド(1993.2.11)が制した東京優駿(GI)当日のアンダーカード・むらさき賞を制した同馬は、実はモリアーナ同様に高橋文男オーナーの持ち馬であり、高橋オーナーにとって初めてのJRA平地重賞出走馬だった模様。「シャインフォード、関屋記念2着の時は『アンパンマン』橋本広喜が乗っていたなぁ。懐かしい」なんてことを思い出していたのですが、そのシャインフォードの父ミルフオードと、高橋オーナーにJRA平地重賞初勝利を贈ったモリアーナが同一牝系馬でしたので、不思議な縁を感じたというところでした。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

#シャインフォードが新馬戦を勝った際の2着馬はホワイトローズ(1991.4.8)。シャインフォードの父ミルフオードの主な勝ち鞍には上述の通りホワイトローズSがあります。ホワイトローズはJRA4勝を挙げた牝馬でしたが、内2勝は横山典弘騎手によるものでした。

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