Lambourn(ランボーン) 牡 鹿毛 2022.4.24生 愛国・Coolmore生産 馬主・Mrs John Magnier & Michael Tabor & Derrick Smith 愛国・A P O’Brien厩舎
| Australia 栗毛 2011.4.8 種付け時活性値:0.50【10】 | Galileo 鹿毛 1998.3.30 | ★Sadler’s Wells 鹿毛 1981.4.11 | Northern Dancer 1961.5.27 | 
| Fairy Bridge 1975.5.4 | |||
| Urban Sea 栗毛 1989.2.18 | Miswaki 1978.2.22 | ||
| Allegretta 1978.3.10 | |||
| Ouija Board 黒鹿毛 2001.3.6 | Cape Cross 黒鹿毛 1994.3.13 | Green Desert 1983.4.16 | |
| Park Appeal 1982.4.9 | |||
| Selection Board 鹿毛 1982.4.21 | Welsh Pageant 1966.4.3 | ||
| Ouija 1971 | |||
| Gossamer Wings 黒鹿毛 2016.5.14 仔受胎時活性値:1.25【5】 | Scat Daddy 黒鹿毛 2004.5.11 種付け時活性値:0.75【11】 | ヨハネスブルグ 鹿毛 1999.2.23 | ヘネシー 1993.3.25 | 
| Myth 1993.2.26 | |||
| Love Style 栗毛 1999.3.22 | Mr. Prospector 1970.1.28 | ||
| Likeable Style 1990.1.30 | |||
| Lavender Baby 芦毛 1999.4.2 仔受胎時活性値:2.00(0.00)【16】 | Rubiano 芦毛 1987.3.26 種付け時活性値:0.75【11】 | Fappiano 1977.5.19 | |
| Ruby Slippers 1982.3.18 | |||
| Mighty Milk 芦毛 1986.2.22 仔受胎時活性値:1.00【12】 | Hero’s Honor 鹿毛 1980.4.28 種付け時活性値:1.25【5】 | ||
| Hot Milk 芦毛 1981.4.9 仔受胎時活性値:1.00【4】 | 
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×5、Mr. Prospector4×5×5、Nijinsky5×5(母方)>
| 父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 | 
|---|---|---|---|
| Australia (Galileo系) | Scat Daddy (Storm Cat系) | Rubiano (Mr. Prospector系) | Hero’s Honor (Northern Dancer系) | 
| 形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? | 
| Hero’s Honor (Mighty Milk) | 5.25 or 3.25 (【5】+【16】+【12】+【4】) | 伯母が米GIII勝ち馬 (No. 7-f) | 2番仔 (2連産目) | 
*
| 着 順 | 馬 番 | 馬名 | 性齢 | 斤 量 | 騎手 | 走破時計 ・着差 | 調教師 | 人 気 | 
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 5 | Lambourn | 牡3 | 58.1 | Wayne Lordan | 2:38.50 | A P O’Brien | 3 | 
| 2 | 6 | Lazy Griff | 牡3 | 58.1 | Christophe Soumillon | 3 3/4 | Charlie Johnston | 12 | 
| 3 | 16 | Tennessee Stud | 牡3 | 58.1 | Dylan Browne McMonagle | 1 | Joseph Patrick O’Brien | 8 | 
| 4 | 8 | New Ground | 牡3 | 58.1 | Alexis Pouchin | クビ | H-F Devin | 12 | 
| 5 | 15 | Stanhope Gardens | 牡3 | 58.1 | Hector Crouch | クビ | Ralph Beckett | 6 | 

気が付けば弊サイトで紹介する当年の英ダービー勝ち馬も10頭目。Harzand(2013.3.6)、Wings of Eagles(2014.3.17)、Masar(2015.4.16)、Anthony Van Dyck(2016.5.19)、Serpentine(2017.3.20)、アダイヤー(2018.3.31)、Desert Crown(2019.3.2)、Auguste Rodin(2020.1.26)、City of Troy(2021.3.7)に続いての紹介となったのはLambourn。
前走5月のチェスターヴァーズ(英GIII)を制してやって来た「別路線からの挑戦者」であったLambourn。英2000ギニー(GI)馬Ruling Court(2022.2.8)が馬場悪化を理由にスクラッチして18頭立てとなった一戦、逃げの手に出たLambournとウェイン・ローダン騎手。ローダン騎手にとっては前日の英オークス(GI)に続いてエプソムダウンズ芝12ハロン6ヤードの逃げとなった訳ですが、前日のレースが良い予行演習となったのでしょうか。マイペースで逃げた馬人、タッテナムコーナーを回ってからの直線3ハロンでもまったく脚色は衰えず。道中内ラチ沿いの3、4番手に構えていたLazy Griff(2022.2.6)が迫ろうとしたものの、前との差は縮まらず。終わってみれば3と4分の3馬身差、濃紺の帽子に濃紺の勝負服を背にした鹿毛の流星Lambourn、鮮やかな逃げ切り勝ちを決めて第246代の英ダービー馬の栄誉を蹄中に収めたという結末でした。
Lambournは祖父Galileo、父Australiaに続いて父仔3代の英ダービー制覇を果たしました。「英ダービー 歴代勝ち馬【おうまのアイコン wire-to-wire】」の記事を参考に、父仔3代英ダービー馬たちを確認してみますと、
| No. | 1代目(生年月日) | 2代目(生年月日) | 3代目(生年月日) | 
|---|---|---|---|
| 1 | Waxy(1790)★ | Whalebone(1807)★ | Lap-dog(1823) | 
| 2 | Waxy(1790)★ | Whalebone(1807)★ | Spaniel(1828) | 
| 3 | Bay Middleton(1833)★ | The Flying Dutchman(1846.2.27) | Ellington(1853) | 
| 4 | Doncaster(1870) | Bend Or(1877) | Ormonde(1883.3.18) | 
| 5 | Gainsborough(1915.1.24)★ | Hyperion(1930.4.18) | Owen Tudor(1938) | 
| 6 | Mill Reef(1968.2.23) | Shirley Heights(1975.3.1) | Slip Anchor(1982.4.5) | 
| 7 | Galileo(1998.3.30)★ | New Approach(2005.2.18) | Masar(2015.4.16) | 
| 8 | Galileo(1998.3.30)★ | Australia(2011.4.8) | Lambourn(2022.4.24) | 
本稿の主役であるLambournは8組目の父仔3代の英ダービー制覇の模様。そうして約200年(!!)の時を経て祖父GalileoはWaxy以来史上2頭目となる2頭の父仔3代英ダービー馬の祖父となり、2代目が異なる祖父として史上初めて父仔3代英ダービー馬の祖父となりました。分かり辛い表現で恐縮ですが上表のNo. 1とNo. 2の3代目であるLap-dogとSpanielは母Canopus mare(1812)の全兄弟ですから、祖父も父も同じ組み合わせになるのですよね^^;

父系についてもう少しお話をしますと、Lambournの父であるAustraliaは父Galileo、母Ouija Boardという「父が英ダービー1着馬×母が英オークス1位入線1着馬」という組み合わせから生み出された、史上初めての英ダービー馬でした。Australiaの父Galileoは21世紀最初の英ダービー、愛ダービー(GI)、”キング・ジョージ”(英GI)勝ち馬であり、”キング・ジョージ”まで6戦無敗で駆け抜けたワンダーホースとして私の記憶に深く刻み込まれた馬。Australiaの母Ouija Boardは英オークス(GI)、愛オークス(GI)、プリンスオブウェールズS(英GI)、香港ヴァーズ(GI)、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ(米GI)2回、英ナッソーS(GI)とGIレース7勝の名牝。そしてまた2005年のジャパンカップ(GI)5着、2006年のジャパンカップ3着と2年連続で来日を果たしてくれたことにより、やはり私の記憶に深く刻み込まれた馬。そうしてGalileoとOuija Boardの愛の結晶となったAustralia。英ダービー、愛ダービー、英インターナショナルS(GI)とGI3勝を遂げた栗毛の超々良血馬。その血筋の良さを改めて見せ付けた、Lambournによる父仔3代の英ダービー制覇でした。


では、以下にLambournの簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。
Mighty Milk 1986.2.22 5勝 |Lavender Baby 1999.4.2 8勝 ||Baby J 2010.3.6 4勝 ヴィクトリーライドS(米GIII)ほか ||Childhood 2014.4.20 2勝 |||Infancy 2020.8.9 現役 サファイアS(豪GII) ||Gossamer Wings 2016.5.14 1勝 クイーンメアリーS(英GII)2着 フライングチルダーズS(英GII)3着 |||Lambourn 2022.4.24 (本馬) 英ダービー(GI) チェスターヴァーズ(英GIII)
Lambournの牝系は7号族f分枝系。従姉Infancyが今年2025年4月12日に豪州のサファイアSを制した後、Lambournが5月7日にに英国のチェスターヴァーズ、そして6月7日に英ダービーを勝利しました。2ヶ月足らずの間に2頭でグループレースを3勝。半球の南北を越えて、同一牝系馬の連動する活躍を見せたというところでした。
英ダービー3連覇で通算11勝目としたオブライエン師は、英競馬メディア『racingtv.com』のインタビューに「ウェイン(ローダン騎手)が信じられないような騎乗をしてくれた。彼は極めて勤勉な素晴らしい仲間だからうれしいよ」と殊勲のローダン騎手を祝福。そしてオーストラリア、その父ガリレオと手がけた馬での三代ダービー制覇を喜ぶと「彼は愛ダービー向きの馬だと思うが、もっと距離ももつだろう。彼は凄く素直だからね」と、英セントレジャーを見据えるような発言もしている。
僚友たちの影に隠れていたランボーン、英ダービーでスポットライトを奪う | JRA-VAN World – 海外競馬情報サイト
Lambourn、英ダービー馬として次に向かう舞台は父Australia、父父Galileo、父母Ouija Boardが制したカラ芝12ハロンの舞台の模様。そうして、その先にあるのは世界最古のクラシックレースになるのでしょうか。名伯楽エイダン・パトリック・オブライエン調教師が手掛けられた11頭目(!!)の英ダービー馬Lambourn、優駿の未来を楽しみにしたいと思います。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。
#オブライエン師が手掛けられた英ダービー馬11頭。Galileo、High Chaparral(1999.3.1)、Camelot(2009.3.5)、Ruler of the World(2010.3.17)、Australia、Wings of Eagles、Anthony Van Dyck、Serpentine、Auguste Rodin、City of Troy、そしてLambournの面々です。
 
  
  
  
  
