ロックディスタウン 牝 栗毛 2015.2.15生 白老・(有)社台コーポレーション白老ファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 美浦・二ノ宮敬宇厩舎
オルフェーヴル 栗毛 2008.5.14 種付け時活性値:1.50 |
ステイゴールド 黒鹿毛 1994.3.24 |
サンデーサイレンス 青鹿毛 1986.3.25 |
★Halo 1969.2.7 |
Wishing Well 1975.4.12 | |||
ゴールデンサッシュ 栗毛 1988.4.23 |
デイクタス 1967.4.11 | ||
ダイナサツシユ 1979.3.16 | |||
オリエンタルアート 栗毛 1997.5.12 |
メジロマックイーン 芦毛 1987.4.3 |
★メジロテイターン 1978.3.22 | |
メジロオーロラ 1978.3.8 | |||
エレクトロアート 栗毛 1986.3.29 |
ノーザンテースト 1971.3.15 | ||
グランマステイーヴンス 1977.2.9 | |||
ストレイキャット 鹿毛 1999.4.7 仔受胎時活性値:1.75 |
Storm Cat 黒鹿毛 1983.2.27 種付け時活性値:1.75 |
Storm Bird 鹿毛 1978.4.19 |
★Northern Dancer 1961.5.27 |
South Ocean 1967.4.8 | |||
Terlingua 栗毛 1976.2.7 |
Secretariat 1970.3.30 | ||
Crimson Saint 1969.3.15 | |||
ローミンレイチェル 鹿毛 1990.4.18 仔受胎時活性値:2.00 |
マイニング 栗毛 1984.4.4 種付け時活性値:1.25 |
Mr. Prospector 1970.1.28 | |
I Pass 1978.4.8 | |||
One Smart Lady 鹿毛 1984.5.3 仔受胎時活性値:1.25 |
Clever Trick 黒鹿毛 1976.3.10 種付け時活性値:1.75 |
||
Pia’s Lady 鹿毛 1971.4.11 仔受胎時活性値:1.00 |
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer5×4、ノーザンテースト4×5(父方)>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
オルフェーヴル (Halo系) |
Storm Cat (Storm Bird系) |
マイニング (Mr. Prospector系) |
Clever Trick (Nearctic系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Storm Cat (ストレイキャット) |
6.00 |
半姉2頭が重賞勝ち馬 (No. 2-b) |
10番仔 (不受胎後) |
2017年の第52回札幌2歳S(GIII)。旧年齢表記の札幌3歳S時代を含めて、札幌芝1800mの施行条件になってからの勝ち馬には、第35回のジャングルポケット(1998.5.7)、第40回のアドマイヤムーン(2003.2.23)、第43回のロジユニヴァース(2006.3.11)、第48回のレッドリヴェール(2011.2.19)と後のジーワン馬も名を連ねます。2017年の勝ち馬は1番人気に応えた牝馬、ロックディスタウン。「金色の三冠馬」オルフェーヴルの初年度産駒、見事な重賞初制覇でした。ロックディスタウンの馬名意味は「曲名」ということで、母ストレイキャットからの連想で、1980年代に人気を博した「Stray Cats」の大ヒット曲である「Rock This Town」を名付けられました。
ロックディスタウンの最優性先祖である母父Storm Catは、現役時代に4勝を挙げ、その主な勝ち鞍に第9回ヤングアメリカS(米GI)があり、第2回ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(米GI)ではTasso(1983.4.20)の2着でした。
1985年の第9回ヤングアメリカS。決勝点、2頭の激しい鍔競り合いを制したのは、外の黒鹿毛馬Storm Cat。内で2着の鹿毛馬は翌1986年の第118回ベルモントS(米GI)を制するDanzig Connection(1983.4.6)、最内を追い込んだ3着の栗毛馬はヤングアメリカSの9日後にシャンペンS(米GI)を勝つ、のちの輸入種牡馬モガンボ(1983.3.17)でした。
さて、競走馬としては2歳GIを制したに留まったStorm Catでしたが、種牡馬入りすると驚異的な繁殖能力を発揮しました。以下、代表産駒と共に示すGIレースのレース名および格付けは、いずれも施行当時のものです。
- November Snow(1989.5.18)
→テストS(米GI)、アラバマS(米GI)ほか - Harlan(1989.3.2)
→ヴォスバーグS(米GI) - Desert Stormer(1990.2.25)
→ブリーダーズカップ・スプリント(米GI)ほか - Missed the Storm(1990.1.23)
→テストSほか - Mistle Cat(1990.5.31)
→ヴィットリオディカプア賞(伊GI)ほか - タバスコキャット(1991.4.15)
→プリークネスS(米GI)、ベルモントSほか - Sardula(1991.5.4)
→ケンタッキーオークス(米GI)、ハリウッドスターレットS(米GI)ほか - ヘネシー(1993.3.25)
→ホープフルS(米GI)ほか。第24回フェブラリーS(GI)を制したサンライズバッカス(2002.4.30)の父 - Sharp Cat(1994.2.24)
→エイコーンS(米GI)、ベルデイムS(米GI)、ハリウッドスターレットS、メイトロンS(米GI)、サンタアニタオークス(米GI)、ラフィアンH(米GI)、ラスヴァージネスS(米GI)ほか - Aldiza(1994.4.21)
→ゴーフォーワンドH(米GI) - Catinca(1995.4.13)
→ラフィアンHほか - Cat Thief(1996.1.30)
→ブリーダーズカップ・クラシック(米GI)、スワップスS(米GI)ほか - Aljabr(1996.2.3)
→サセックスS(英GI)、ロッキンジS(英GI)、サラマンドル賞(仏GI)ほか - Forestry(1996.5.9)
→キングズビショップS(米GI)ほか - Tactical Cat(1996.5.7)
→ハリウッドフューチュリティ(米GI) - Giant’s Causeway(1997.2.14)
→エクリプスS(英GI)、インターナショナルS(英GI)、愛チャンピオンS(GI)、サセックスS、セントジェームズパレスS(英GI)、サラマンドル賞ほか - High Yield(1997.3.30)
→ブルーグラスS(米GI)、ファウンテンオブユースS(米GI)、ホープフルS - Finder’s Fee(1997.5.8)
→エイコーンS、メイトロンSほか - Black Minnaloushe(1998.2.5)
→愛2000ギニー(GI)、セントジェームズパレスS - Raging Fever(1998.4.2)
→フリゼットS(米GI)、メイトロンS、オグデンフィップスH(米GI)ほか - Sophisticat(1999.1.25)
→コロネーションS(英GI)ほか - Nebraska Tornado(2000.1.19)
→仏オークス(GI)、ムーラン・ド・ロンシャン賞(仏GI) - Storm Flag Flying(2000.4.11)
→ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ(米GI)、フリゼットS、メイトロンS、パーソナルエンスンH(米GI)ほか - Dessert(2000.2.27)
→デルマーオークス(米GI) - Hold That Tiger(2000.2.25)
→仏グランクリテリウム(GI)ほか - Good Reward(2001.3.1)
→ハリウッドダービー(米GI)、マンハッタンH(米GI) - One Cool Cat(2001.3.26)
→フィーニクスS(愛GI)、愛ナショナルS(GI)ほか - デネボラ(2001.4.6)
→マルセルブサック賞(仏GI)ほか - Sweet Catomine(2002.2.14)
→ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ、デルマーデビュータントS(米GI)、サンタアニタオークスほか - Consolidator(2002.5.16)
→ブリーダーズフューチュリティS(米GI)ほか - After Market(2003.2.9)
→チャールズウィッティンガム記念H(米GI)、エディリードH(米GI)ほか - Bluegrass Cat(2003.1.23)
→ハスケル招待H(米GI)ほか - Mr. Sidney(2004.1.23)
→メーカーズマークマイルS(米GI)ほか - Life is Sweet(2005.3.5)
→ブリーダーズカップ・レディーズクラシック(米GI)、サンタマルガリータ招待H(米GI)ほか - Courageous Cat(2006.4.14)
→シューメーカーマイルS(米GI)ほか
……というGI勝ち馬たちを始めとして、数多の活躍馬、数多の後継種牡馬を送り込みました。日本で走った産駒ではジーワン2着9回でも知られた重賞5勝馬シーキングザダイヤ(2001.3.1)、統一GIII2勝のゲイリーイグリット(1995.5.14)がいます。またブルードメアサイアーとしては、現代日本のリーディングサイアーであるディープインパクト(2002.3.25)との相性の良さでも知られています。キズナ(2010.3.5)、アユサン(2010.2.21)、ラキシス(2010.1.31)、エイシンヒカリ(2011.5.3)、サトノアラジン(2011.2.16)、リアルスティール(2012.3.1)がこのニックから輩出されたGI馬ですね。
*
アサクサゲンキ 牡 鹿毛 2015.4.17生 米国・Alexander – Groves – Matz, LLC. 生産 馬主・田原麗子氏 栗東・音無秀孝厩舎
Stormy Atlantic 黒鹿毛 1994.4.23 種付け時活性値:1.00 |
Storm Cat 黒鹿毛 1983.2.27 |
Storm Bird 鹿毛 1978.4.19 |
★Northern Dancer 1961.5.27 |
South Ocean 1967.4.8 | |||
Terlingua 栗毛 1976.2.7 |
Secretariat 1970.3.30 | ||
Crimson Saint 1969.3.15 | |||
Hail Atlantis 鹿毛 1987.2.17 |
Seattle Slew 黒鹿毛 1974.2.15 |
Bold Reasoning 1968.4.29 | |
My Charmer 1969.3.25 | |||
Flippers 栗毛 1981.4.23 |
Coastal 1976.4.6 | ||
Moccasin 1963.4.16 | |||
Amelia 栗毛 1998.4.13 仔受胎時活性値:2.00(0.00) |
Dixieland Band 鹿毛 1980.3.20 種付け時活性値:0.25 |
▲Northern Dancer 鹿毛 1961.5.27 |
Nearctic 1954.2.11 |
Natalma 1957.3.26 | |||
Mississippi Mud 鹿毛 1973.4.29 |
Delta Judge 1960.3.23 | ||
Sand Buggy 1963.4.19 | |||
Aquilegia 栗毛 1989.4.25 仔受胎時活性値:2.00 |
Alydar 栗毛 1975.3.23 種付け時活性値:1.25 |
Raise a Native 1961.4.18 | |
Sweet Tooth 1965.4.17 | |||
Courtly Dee 黒鹿毛 1968.3.8 仔受胎時活性値:1.00 |
Never Bend 黒鹿毛 1960.3.15 種付け時活性値:1.75 |
||
Tulle 黒鹿毛 1950 仔受胎時活性値:0.25 |
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×3、Native Dancer5×5(母方)>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Stormy Atlantic (Storm Cat系) |
Dixieland Band (Northern Dancer系) |
Alydar (Raise a Native系) |
Never Bend (Nasrullah系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Never Bend (Courtly Dee) |
5.25 or 3.25 |
半姉ラビットラン (No. A4) |
7番仔+ (2連産目+) |
2017年の第37回小倉2歳S(GIII)。紹介が前後してしまいましたが、やはり「同一牝系の連動する活躍」を思わされます。アサクサゲンキが第37回小倉2歳Sを制した2週間後、半姉ラビットラン(2014.3.18)が第35回ローズS(GII)で勝利を収めたのでした。
さて、以下にアサクサゲンキのごく簡単な近親牝系図を示しておきます。図内のレース名および格付けは、いずれも施行当時のものです。
Aquilegia 1989.4.25 8勝 ニューヨークH(米GII) ブラックヘレンH(米GIII)ほか |Bertolini 1996.2.9 2勝 ジュライS(英GIII)ほか |Amelia 1998.4.13 4勝 ||Acadiana 2004.5.16 0勝 |||Duff One 2011.4.2 2勝 レイクプラシッドS(米GII)2着 ||Kindergarden Kid 5勝 2007.4.1 シカモアS(米GIII)ほか ||Assateague 5勝 2009.3.25 ドクタージェームズペニーメモリアルH(米GIII) ||He's Had Enough 2010.4.22 1勝 ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(米GI)2着ほか ||Rainha da Bateria 2012.2.23 現役 ダンススマートリーS(加GII) カナディアンS(加GII) ジェサミンS(米GIII)ほか ||ラビットラン 2014.3.18 現役 ローズS(GII) ||アサクサゲンキ 2015.4.17 (本馬) 小倉2歳S(GIII) |Alittlebitearly 2002.12.14 不出走 ||Bayern 2011.5.3 6勝 ブリーダーズカップ・クラシック(米GI) ハスケル招待S(米GI)ほか米GII2勝など
母Ameliaはラビットラン&アサクサゲンキ姉弟を含めて、実に5頭のグレードレース勝ち馬の母となった名繁殖牝馬。また、ラビットラン&アサクサゲンキ姉弟からすると伯父にBertoliniの名前が見えますが、おなじみジェンティルドンナ(2009.2.20)の母父がBertoliniですね。併せて、従兄に2014年の第31回ブリーダーズカップ・クラシック勝ち馬のBayernがいます。Bayernの母、つまりラビットラン&アサクサゲンキ姉弟からすると叔母のAlittlebitearly。馬名綴りにはスペースが無いので分かり辛いのですが、スペースを入れると「A little bit early」。「ちょっと早いです」くらいの意味ですが、それは本来Alittlebitearlyは2003年に生まれてくるところが、2002年12月14日、年が明ける前に生まれてしまったので、Alittlebitearlyとなったのでした。
えー、「ラビットランの記事の使い回しだろう」というご意見ごもっともですので、ラビットラン&アサクサゲンキ姉弟の最優性先祖である曾祖母父Never Bendについても記しておきます。Never Bendは現役時代に13勝を挙げ、その主な勝ち鞍にシャンペンS(現米GI)、フューチュリティS(現米GIII)、カウディンS、フラミンゴSがあり、第89回ケンタッキーダービー(現米GI)ではシヤトーゲイ(1960.2.29)の2着でした。
大種牡馬Nasrullah(1940.3.2)のラストクロップであるNever Bendは、種牡馬としても、その能力を遺憾無く発揮しました。以下に代表産駒を示しますと、
- Mill Reef(1968.2.23)
→英ダービー(GI)、凱旋門賞(仏GI)、”キング・ジョージ”(英GI)、エクリプスS、コロネーションC(英GI)、ガネー賞(仏GI)、デューハーストS(現英GI)ほか - Riverman(1969.3.22)
→仏2000ギニー(GI)、イスパーン賞(仏GI)、ジャンプラ賞(当時仏GII、現仏GI)ほか - J. O. Tobin(1974.3.28)
→カリフォルニアンS(当時米GI、現米GII)、スワップスS(当時米GI。現ロスアラミトスダービー、米GIII)ほか。スワップスSは、Seattle Slew(1974.2.15)が初敗戦(4着)を喫したことでも有名 - Triple Bend(1968.3.20)
→サンタアニタH(現米GI)、ヴォスバーグH(現ヴォスバーグS)ほか。ロサンゼルスH(現米GIII)ではダート7ハロンを1分19秒80の世界レコード駆け - Proudest Roman(1968.4.19)
→ホープフルS。後述のブレイヴェストローマンの全兄。直孫に第7回ブリーダーズカップ・スプリントの勝ち馬Safely Kept(1986.4.7) - Full Out(1973.3.29)
→サプリングS(当時米GI)ほか - Iron Ruler(1965)
→ジェロームH(現ジェロームS、米GIII)、カウディンS、ウエストチェスターS(現米GIII)ほか - Never Bow(1966.4.9)
→ブルックリンH(現米GII)、ワイドナーH、スタイヴァザントH、ウェストチェスターSほか - Distinctive(1966.3.22)
→ウイリアムデュポンJr. H、ガヴァナーニコルスHほか - ブレイヴエストローマン(1972.5.19)
→サラナクS(当時米GII。現米GIII)。輸入種牡馬としてマツクスビユーテイ(1984.5.3)、トウカイローマン(1981.5.19)、オグリローマン(1991.5.20)を始めとして活躍馬を多数輩出
最初の2頭だけで、十二分ですね^_^;。かたや世紀の名馬の1頭に数えられるMill Reef、こなた名種牡馬として名高いRiverman。この2頭の直孫は日本でGI勝ち馬となっているように、日本の馬場にも相性が良い系統です。Mill Reef産駒は、ミルジヨージ(1975.4.12)&マグニテユード(1975.3.16)の「競走成績はマイナーに終わったものの出自が名牝系」という、同い年の種牡馬2頭が複数のGI勝ち馬を送り込み、日本にMill Reefブームを呼びました。Riverman産駒は、名牝Dahlia(1970.3.25)の仔でもあるリヴリア(1982.4.20)が初年度から第53代皐月賞(GI)馬ナリタタイシン(1990.6.10)を含む5頭のJRA重賞勝ち馬を輩出して期待されましたが、早世が残念でした。ほかのRiverman産駒ではルション(1981.4.10)が第49回川崎記念(現JpnI)の勝ち馬インテリパワー(1995.5.7)の父となり、名牝ウオッカ(2004.4.4)の母父としても脚光を浴びました。Riverman自身も第59回優駿牝馬(GI)の勝ち馬エリモエクセル(1995.5.18)、第7回ジャパンカップダート(現チャンピオンズカップ、GI)勝ち馬アロンダイト(2003.5.4)の母父として知られていますね。
それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。