2018年のクラシック候補生を確認する(其の捌)

Pedigree

ハヤブサマカオー 牡 栗毛 2015.3.3生 新ひだか・グランド牧場生産 馬主・武田修氏 美浦・伊藤圭三厩舎

ハヤブサマカオー(2015.3.3)の4代血統表
シニスターミニスター
鹿毛 2003.3.29
種付け時活性値:0.75
Old Trieste
栗毛 1995.3.2
A.P. Indy
黒鹿毛 1989.3.31
Seattle Slew 1974.2.15
Weekend Surprise 1980.4.8
Lovlier Linda
栗毛 1980.5.17
Vigors 1973
Linda Summers 1967.2.28
Sweet Minister
鹿毛 1997.4.3
The Prime Minister
鹿毛 1987.4.15
Deputy Minister 1979.5.17
Stick to Beauty 1973.4.17
Sweet Blue
黒鹿毛 1985.4.15
Hurry Up Blue 1977.5.16
Sugar Gold 1980.4.22
ハヤブサエミネンス
鹿毛 2007.2.25
仔受胎時活性値:1.75
Medaglia d’Oro
黒鹿毛 1999.4.11
種付け時活性値:1.75
El Prado
芦毛 1989.2.3
Sadler’s Wells 1981.4.11
Lady Capulet 1974.4.3
Cappucino Bay
鹿毛 1989.2.12
Bailjumper 1974.3.28
Dubbed In 1973.5.31
プリエミネンス
鹿毛 1997.4.18
仔受胎時活性値:0.25
アフリート
栗毛 1984.4.10
種付け時活性値:1.00
Mr. Prospector 1970.1.128
Polite Lady 1977.3.13
アジテーション
鹿毛 1989.5.24
仔受胎時活性値:1.75
Caerleon
鹿毛 1980.3.27
種付け時活性値:0.00
Run the Risk
鹿毛 1976.3.9
仔受胎時活性値:1.00

<5代血統表内のクロス:Mr. Prospector5×4>

ハヤブサマカオー(2015.3.3)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
シニスターミニスター
(Seattle Slew系)
Medaglia d’Oro
(Sadler’s Wells系)
アフリート
(Mr. Prospector系)
Caerleon
(Nijinsky系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Medaglia d’Oro
(Bailjumper)
4.75 祖母が重賞8勝の活躍馬
(No. 5-d)
初仔

2017年の第19回兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)。デビュー戦の札幌ダート1700mを1.7秒差の大差勝ち、2戦目の京都ダート1400mのなでしこ賞を0秒7差の4馬身差勝ちと連勝でここに挑んだハヤブサマカオー。単勝1.1倍の圧倒的1番人気に推されたこの一戦、クリストフ・ルメール騎手に促されて、過去2戦同様、軽快な逃げ。ただ、敵もさるもので、3番人気のアスターソード(2015.5.21)と和田竜二騎手が3角から4角に掛けて並びかけると、直線は一騎打ち。気迫あふれる追い合いでしたが、ハヤブサマカオーの脚色には余裕がありました。結果、決勝点での着差はクビ差でしたが完勝。ハヤブサマカオー、デビュー以来無敗、3戦3勝での重賞初制覇となりました。ハヤブサマカオー、その馬名意味は「冠名+マカ(生命力が強い植物)+王」ということです。

ハヤブサマカオーの最優性先祖である母父Medaglia d’Oroは、現役時代に8勝を挙げ、その主な勝ち鞍に第133回トラヴァーズS(米GI)、第76回ホイットニーH(米GI)、第46回ドンH(当時米GI)、オークローンH(米GII)、ジムダンディS(米GII)、サンフェリペS(米GII)、ストラブS(米GII)と米国のグレードレースを7勝の活躍馬でした。

勝利を収めた3つのGIレースからも分かるように、米国の最強路線を走ったMedaglia d’Oroですが、ブリーダーズカップ・クラシック(米GI)2着2回(第19回と第20回)、第9回ドバイワールドカップ(UAE・GI)2着、第134回ベルモントS(米GI)2着、第13回パシフィッククラシックS(米GI)2着、第78回ウッドメモリアルS(当時米GI、現米GII)2着とGI2着が6回を数えました。

「Medaglia d’Oro(メダーリアドーロ)」とは伊語で「金メダル」を意味しますけれど、競走成績では一歩届かない「銀メダル」も多く獲得したMedaglia d’Oro。その悔しさは世代を重ねる時に晴らされました。以下、代表産駒と共に示すGIレースのレース名および格付けは、いずれも施行当時のものです。

  1. Rachel Alexandra(2006.1.29)
    →プリークネスS(米GI)、ケンタッキーオークス(米GI)、ハスケル招待S(米GI)、ウッドワードS(米GI)、マザーグースS(米GI)ほか
  2. ギャビーズゴールデンギャル(2006.4.3)
    →エイコーンS(米GI)、サンタモニカH(米GI)
  3. C. S. Silk(2006.3.24)
    →ジャストアゲームS(米GI)ほか
  4. Warrior’s Reward(2006.4.3)
    →カーターH(米GI)ほか
  5. シャンパンドーロ(2007.2.7)
    →エイコーンS、テストS(米GI)ほか
  6. Passion for Gold(2007)
    →クリテリウム・ド・サンクルー(仏GI)ほか
  7. Marketing Mix(2008.4.8)
    →ゲイムリーS(米GI)、ロデオドライブS(米GI)ほか
  8. Plum Pretty(2008.3.4)
    →ケンタッキーオークス、アップルブロッサムH(米GI)ほか
  9. Coffee Clique(2010.2.24)
    →ジャストアゲームSほか
  10. Mshawish(2010.5.16)
    →ガルフストリームパークターフH(米GI)ほか
  11. Lochte(2010.3.7)
    →ガルフストリームパークターフHほか
  12. Violence(2010.3.21)
    →キャッシュコールフューチュリティ(米GI)ほか
  13. Bar of Gold(2012.2.9)
    →ブリーダーズカップ・フィリー&メアスプリント(米GI)ほか
  14. Vancouver(2012.10.25)
    →ゴールデンスリッパー(豪GI)ほか
  15. Dickinson(2012.2.2)
    →ジェニーワイリーS(米GI)ほか
  16. Songbird(2013.4.30)
    →ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ(米GI)、コティリオンS(米GI)、オグデンフィップスS(米GI)、デラウェアH(米GI)、アラバマS(米GI)、サンタアニタオークス(米GI)、CCAオークス(米GI)、シャンデリアS(米GI)、デルマーデビュタントS(米GI)ほか
  17. Talismanic(2013.2.28)
    →ブリーダーズカップ・ターフ(米GI)ほか
  18. Astern(2013.9.24)
    →ゴールデンローズS(豪GI)ほか
  19. New Money Honey(2014.5.1)
    →ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ、ベルモントオークス招待S(米GI)ほか
  20. Elate(2014.4.10)
    →アラバマS、ベルデイムS(米GI)ほか
  21. Bolt d’Oro(2015.3.17)
    →デルマーフューチュリティ(米GI)、フロントランナーS(米GI)ほか

GI勝ちを収める産駒を続出させている名種牡馬Medaglia d’Oroですが、第135回ケンタッキーオークスで20と4分の1馬身差の大圧勝を収め、第134回プリークネスSで85年ぶり史上5頭目の牝馬による制覇を果たしたRachel Alexandra、GI9勝の名牝Song Birdと、傑出馬は女馬寄りに見えます。ともあれ、今年2017年の第34回ブリーダーズカップ・ターフを制したTalismanicもいるように、もちろん男馬も強い。米国でも花開いたSadler’s Wellsの血、21世紀のこれからにも期待が掛かります。

*

グレイル 牡 黒鹿毛 2015.3.7生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・(株)カナヤマホールディングス 栗東・野中賢二厩舎

グレイル(2015.3.7)の4代血統表
ハーツクライ
鹿毛 2001.4.15
種付け時活性値:1.25
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
アイリッシュダンス
鹿毛 1990.3.26
トニービン
鹿毛 1983.4.7
カンパラ 1976.2.19
Severn Bridge 1965
ビユーパーダンス
黒鹿毛 1983.2.26
Lyphard 1969.5.10
My Bupers 1967.6.1
プラチナチャリス
黒鹿毛 2006.1.24
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
ロックオブジブラルタル
鹿毛 1999.3.8
種付け時活性値:1.50
デインヒル
鹿毛 1986.3.26
Danzig 1977.2.12
Razyana 1981.4.18
Offshore Boom
栗毛 1985.3.23
Be My Guest 1974.4.12
Push a Button 1980.5.30
シルバーチャリス
鹿毛 2001.3.25
仔受胎時活性値:1.00
Rainbow Quest
鹿毛 1981.5.15
種付け時活性値:0.75
Blushing Groom 1974.4.8
I Will Follow 1975.4.29
シルバーレーン
黒鹿毛 1985.2.10
仔受胎時活性値:1.75
Silver Hawk
鹿毛 1979.4.20
種付け時活性値:1.25
Strait Lane
黒鹿毛 1974.3.27
仔受胎時活性値:0.50

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer5×5×5>

グレイル(2015.3.7)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ハーツクライ
(Halo系)
ロックオブジブラルタル
(Danzig系)
Rainbow Quest
(Red God系)
Silver Hawk
(Roberto系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ロックオブジブラルタル
(プラチナチャリス)
5.25 or 3.25 半兄ロジチャリス
(No. 5-g)
5番仔
(5連産目)

2017年の第4回ラジオNIKKEI杯京都2歳S(GIII)。単勝1.7倍の圧倒的1番人気馬タイムフライヤー(2015.2.1)を道中マークする形で進めた単勝4.8倍の2番人気馬グレイル。4角では先に抜け出したタイムフライヤーの勝ちパターンかと思った刹那、外から強襲すると、決勝点では「アタマ」だけ差し切っていました。グレイル、新馬勝ちから返す刀で重賞勝ちを収めて2戦2勝。これはエリートコースに乗りました。そんなグレイルのデビュー戦は、素質馬が揃うことでおなじみの菊花賞(GI)当日の京都芝の新馬戦。今年2017年の第78回菊花賞と同日ということは、その馬場状態は推して知るべしで、京都2歳Sと同じ京都芝2000mの勝ち時計は2分12秒9(!!)。グレイル、京都2歳Sは2分1秒6で勝ち切り、持ち時計を一気に11秒以上縮めました。まま、菊花賞当日の馬場が極悪過ぎたというところですが、不良馬場でも良馬場でも対応できるところを見せたのは、これから大舞台に臨む上で、大きな強みでしょう。グレイル、その馬名意味は「聖杯」です。

グレイルの馬主である(株)カナヤマホールディングスは、第49回函館2歳S(GIII)を制したカシアス(2015.3.27)に続く2歳重賞制覇となりました。2歳重賞で「黒、緑星散、袖緑縦縞」の勝負服がやけに目立つなと思えば、第52回デイリー杯2歳S(GII)でジャンダルム(2015.4.25)の2着だったカツジ(2015.4.27)、第22回東京スポーツ杯2歳S(GIII)でワグネリアン(2015.2.10)の3着だったシャルルマーニュ(2015.3.31)も、同じく(株)カナヤマホールディングスの持ち馬。(株)カナヤマホールディングスは、2015年生まれ世代の現2歳が3世代目の持ち馬のようですが、勢いがありますね。

では、以下にグレイルのごく簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。

シルバーレーン 1985.2.10 3勝 グロット賞(仏GIII)ほか
|Misty Silver 1992.1.3 不出走
||マルターズホーク 1997.5.9 6勝 共同通信杯4歳S(GIII)3着
||シベリアンホーク 2000.3.12 4勝 キャピタルS(OP) 京成杯AH(GIII)2着
|ブラックホーク 1994.5.14 9勝 安田記念(GI) スプリンターズS(GI) スワンS(GII) ダービー卿CT(GIII) 阪急杯(GIII)ほか
|シルバーチャリス 2001.3.25 不出走
||プラチナチャリス 2006.1.24 0勝
|||ロジチャリス 2012.2.11 現役 ダービー卿CT(GIII)ほか
|||グッドスカイ 2013.2.9 現役 新潟ジャンプS(J・GIII)ほか
|||グレイル 2015.3.7 (本馬) ラジオNIKKEI杯京都2歳S(GIII)
|ピンクカメオ 2004.4.24 4勝 NHKマイルカップ(GI)ほか
|カウアイレーン 2006.4.9 5勝 ターコイズS(OP) クイーンS(GIII)3着

近親に重賞好戦馬が揃う、活力充分の5号族。特にグレイルは半兄ロジチャリス、半姉グッドスカイがJRA重賞を制しており、3きょうだいによるJRA重賞制覇となりました。これは母プラチナチャリスを尊ぶべきですけれど、残念ながら、プラチナチャリスはグレイルが生まれた9日後、2015年3月16日に死亡しています。母の忘れ形見となったグレイル、亡き母に捧げるGI勝利が遂げられるか、楽しみにしたい若駒です。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

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