ミックファイア(2020.4.5)-第25回ジャパンダートダービー(JpnI)の勝ち馬-

Result

ミックファイア 牡 鹿毛 2020.4.5生 新ひだか町・高橋ファーム生産 馬主・星加 浩一氏 大井・渡辺 和雄厩舎

ミックファイア(2020.4.5)の4代血統表

シニスターミニスター
鹿毛 2003.3.29
種付け時活性値:0.00【16】
Old Trieste
栗毛 1995.3.2
A.P. Indy
黒鹿毛 1989.3.31
Seattle Slew 1974.2.15
Weekend Surprise 1980.4.8
Lovlier Linda
栗毛 1980.5.17
Vigors 1973
Linda Summers 1967.2.28
Sweet Minister
鹿毛 1997.4.3
The Prime Minister
鹿毛 1987.4.15
Deputy Minister 1979.5.17
Stick to Beauty 1973.4.17
Sweet Blue
黒鹿毛 1985.4.15
Hurry Up Blue 1977.5.16
Sugar Gold 1980.4.22
マリアージュ
栗毛 2005.4.3
仔受胎時活性値:1.50【14】
ブライアンズタイム
黒鹿毛 1985.5.28
種付け時活性値:0.75【19】
Roberto
鹿毛 1969.3.16
Hail to Reason 1958.4.18
Bramalea 1959.4.12
Kelley’s Day
鹿毛 1977.5.11
Graustark 1963.4.7
Golden Trail 1958.3.5
アーミールージュ
鹿毛 1999.5.24
仔受胎時活性値:1.25【5】
Miswaki
栗毛 1978.2.22
種付け時活性値:1.00【20】
Mr. Prospector 1970.1.28
Hopespringseternal 1971.5.27
All Along
鹿毛 1979.4.17
仔受胎時活性値:0.75【19】
★ターゴワイス
黒鹿毛 1970.4.10
種付け時活性値:0.00【8】
Agujita
鹿毛 1966.2.18
仔受胎時活性値:1.00【12】

<5代血統表内のクロス:Mr. Prospector4×5>

ミックファイア(2020.4.5)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
★シニスターミニスター
(A.P. Indy系)
ブライアンズタイム
(Roberto系)
Miswaki
(Mr. Prospector系)
ターゴワイス
(Round Table系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Miswaki
(Mr. Prospector)
4.50
(【14】+【5】+【19】+【12】)
曾祖母が凱旋門賞馬
(No. 1-d)
8番仔
(8連産目)

*

2023年の第25回ジャパンダートダービー(JpnI。大井ダート2000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 6 ミックファイア 牡3 57 御神本訓史 2:04.6 5-5-5-3 38.7 487
[+4]
渡辺和雄 1
2 11 キリンジ 牡3 57 藤岡佑介 2:05.1 2.1/2 7-7-6-6 38.9 489
[+2]
佐々木晶三 6
3 7 ミトノオー 牡3 57 武豊 2:05.2 クビ 1-1-1-1 40.0 501
[+8]
牧光二 3
4 5 ユティタム 牡3 57 川田将雅 2:05.9 3.1/2 3-4-3-2 40.1 525
[+5]
須貝尚介 2
5 4 オーロイプラータ 牡3 57 團野大成 2:06.2 1.1/2 11-11-11-11 38.9 544
[+12]
宮本博 4
2023年の第25回ジャパンダートダービー(JpnI。大井ダート2000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
11.9 – 11.1 – 11.9 – 12.8 – 12.5 – 12.3 – 12.7 – 13.0 – 12.7 – 13.7
ラップの
累計タイム
11.9 – 23.0 – 34.9 – 47.7 – 1:00.2 – 1:12.5 – 1:25.2 – 1:38.2 – 1:50.9 – 2:04.6
上り 4F 52.1 – 3F 39.4

ミックファイア、トーシンブリザード(1998.5.15)以来22年ぶり史上2頭目の無敗の南関東三冠達成(!!!)。

ミックファイア(2020.4.5)-第68回羽田盃の勝ち馬-
ミックファイア 牡 鹿毛 2020.4.5生 新ひだか町・高橋ファーム生産 馬主・星加 浩一氏 大井・渡辺 和雄厩舎
ミックファイア(2020.4.5)-第69回東京ダービーの勝ち馬-
ミックファイア 牡 鹿毛 2020.4.5生 新ひだか町・高橋ファーム生産 馬主・星加 浩一氏 大井・渡辺 和雄厩舎

羽田盃6馬身差、東京ダービー6馬身差と圧勝、大勝を続けて迎えた、JRA勢も交えたジャパンダートダービー。この大一番で単勝2.0倍の1番人気に推されたミックファイア、外側の隣枠だったミトノオー(2020.4.24)が出脚鋭く内に切れ込みながら逃げると、内側の隣枠だったユティタム(2020.4.5)もミックファイアを牽制するように前に行き、結局外外を追走する形。周囲からのプレッシャーが掛かる中入りの3ハロンは34秒9、1000m通過は60秒2という締まった流れを道中5番手から進めたミックファイア。3角から4角、武豊騎手がミトノオーを上手く促すと、大井ダート外回りの直線386mの入り口ではセーフティリードのようにも見えました。「これはユタカさん、逃げ切りそうな気もしますが」と叫んでいましたら、やって来ました。緑の帽子に「茶、白星散、袖白縦縞」の勝負服をまとった御神本訓史騎手を背にした鹿毛馬ミックファイア。併走していたユティタムを残り200mで振り払い、逃げ粘るミトノオーに一完歩ずつ詰め寄り、ラスト100mを切ったところで捉えると、後はミックファイアと御神本騎手の世界。あっという間に差を広げて最後は大外から差し込んだキリンジに2と2分の1馬身差。

ミックファイア、素晴らしく強い。タレントが揃っている2020年生まれ世代のダート路線、真打ちは2023年5月にふっと現れて瞬く間に駆け上がって行きました。三冠、本当におめでとうございました(^^)

*

そんな訳で、南関東公営競馬において3歳クラシック三冠を果たした馬たちを確認してみますと、

南関東三冠を達成した8頭の馬たち
No. 馬名
(生年月日)
[F No.]
母の
何番仔?
[料の遺伝]
4代血統構成
母父 祖母父 曾祖母父
1 ヒカルタカイ
(1964.4.9)
[5-h 種正系]
初仔
[6.00]
リンボー
(Man o’ War系)
ハクリヨウ
(Blandford系)
クモハタ
(Gainsborough系)
ダイオライト
(Orby系)
2 ゴールデンリボー
(1972.3.23)
[1-w]
7番仔?
(5連産目?)
[5.75 or 3.75]
フアラモンド
(Prince Bio系)
Ribot
(Rabelais系)
◆Umidwar
(Blandford系)
Tai-Yang
(Gainsborough系)
3 ハツシバオー
(1975.3.11)
[3-m フライアースメードン系]
初仔
[6.25 or 4.25]
タケシバオー
(Rockefella系)
ブランブルー
(Clarion系)
ハクリヨウ
(Blandford系)
トキノチカラ
(Gainsborough系)
4 サンオーイ
(1980.2.15)
[3-e]
初仔
[5.75]
リマンド
(Blenheim系)
ステユーペンダス
(Bold Ruler系)
★King’s Leap
(Princely Gift系)
Acropolis
(Blenheim系)
5 ハナキオー
(1983.4.19)
[6-a ビリーヴサリー系]
8番仔?
(3連産目?)
[4.75]
アラナス
(Owen Tudor系)
カリム
(Nearco系)
セントオー
(Orby系)
トビサクラ
(Blandford系)
6 ロジータ
(1986.5.26)
[4-m チツプトツプ系]
2番仔
(2連産目)
[3.25]
ミルジヨージ
(Mill Reef系)
マダング
(Sir Gaylord系)
チヤイナロツク
(Rockefella系)
トサミドリ
(Blandford系)
7 トーシンブリザード
(1998.5.15)
[6-a エスサーデイー系]
初仔
[3.50]
デュラブ
(Northern Dancer系)
ブレイヴエストローマン
(Never Bend系)
テスコボーイ
(Princely Gift系)
ダラノーア
(Teddy系)
8 ミックファイア
(2020.4.5)
[1-d]
8番仔
(8連産目)
[4.50]
★シニスターミニスター
(A.P. Indy系)
ブライアンズタイム
(Roberto系)
Miswaki
(Mr. Prospector系)
ターゴワイス
(Round Table系)

ヒカルタカイは史上初めて羽田盃、東京ダービー、東京王冠賞の三冠を制した後、現年齢表記4歳で中央競馬に移籍すると、天皇賞・春を推定17馬身差の大差勝ち、続く宝塚記念をレコード勝ちという強者ぶりを見せました。ゴールデンリボーはカブラヤオー(1972.6.13)と同じ1972年生まれ世代で同じフアラモンド(1957)の仔。4代血統表を開くとフアラモンドの祖母Monsoon(1941)とゴールデンリボーの祖母Squall(1946)が全姉妹という仕掛けられた配合。ハツシバオーは3歳時に三冠に加えて東京大賞典も勝つという快挙を見せ、種牡馬としても朝日チャレンジC(GIII)を制したハツシバエース(1983.4.22)を輩出。サンオーイは同じ1980年生まれ世代ミスターシービー(1980.4.7)がおり、中央移籍後の1984年の毎日王冠(GII)では三冠馬対決を果たし、休み明けだったミスターシービーから1番人気を奪取。結果は3着でしたが先着したのがカツラギエース(1980.4.24)、ミスターシービーと聞くとサンオーイもやはり強い。ハナキオーはノースガスト(1977.3.17)と並ぶ種牡馬アラナス(1964.4.24)の代表産駒であり、通算13戦9勝、2着3回、3着1回という安定した成績を残しました。ロジータは8頭の南関東三冠馬のうち唯1頭だけの牝馬。私が競馬を見始めた頃にちょうど産駒が走り始め、シスターソノ(1991.4.26)、オースミサンデー(1994.4.25)、イブキガバメント(1996.4.20)、カネツフルーヴ(1997.4.26)等が懐かしい。トーシンブリザードは羽田盃、東京王冠賞、東京ダービー、そしてジャパンダートダービーまで8戦8勝で通過。4歳時に挑んだフェブラリーS(GI)ではアグネスデジタル(1997.5.15)からコンマ2秒差の2着と頑張りました。

そうして、本稿の主役であるミックファイア。現行の南関東三冠路線の最後の三冠馬は、もしかしたら、歴代最強の南関東三冠馬なのかも知れません。鹿毛の流星ミックファイア、その未来に幸多からんことを。

*

という訳で、今回はジャパンダートダービーで2着に頑張った馬の4代血統表も併せてご紹介しておきます。

キリンジ 牡 鹿毛 2020.5.5生 新ひだか町・(株)サンデーヒルズ生産 馬主・岡 浩二氏 栗東・佐々木 晶三厩舎

キリンジ(2020.5.5)の4代血統表
キズナ
青鹿毛 2010.3.5
種付け時活性値:0.25【9】
ディープインパクト
鹿毛 2002.3.25
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
ウインドインハーヘア
鹿毛 1991.2.20
Alzao 1980.2.28
Burghclere 1977.4.26
キャットクイル
鹿毛 1990.5.22
Storm Cat
黒鹿毛 1983.2.27
Storm Bird 1978.4.19
Terlingua 1976.2.7
Pacific Princess
鹿毛 1973.5.10
★Damascus 1964.4.14
Fiji 1960
タイムピース
鹿毛 2014.4.4
仔受胎時活性値:1.25【5】
ルーラーシップ
鹿毛 2007.5.15
種付け時活性値:1.50【6】
キングカメハメハ
鹿毛 2001.3.20
Kingmambo 1990.2.19
マンファス 1991.2.23
エアグルーヴ
鹿毛 1993.4.6
トニービン 1983.4.7
ダイナカール 1980.5.10
エアラグーン
鹿毛 1998.5.25
仔受胎時活性値:1.75【15】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
種付け時活性値:0.75【11】
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
アイドリームドアドリーム
鹿毛 1987.3.31
仔受胎時活性値:0.50【10】
★Well Decorated
黒鹿毛 1978.3.30
種付け時活性値:0.00【8】
Hidden Trail
鹿毛 1975.4.14
仔受胎時活性値:0.75【11】

<5代血統表内のクロス:サンデーサイレンス3×3>

キリンジ(2020.5.5)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
キズナ
(サンデーサイレンス系)
ルーラーシップ
(Mr. Prospector系)
サンデーサイレンス
(Halo系)
★Well Decorated
(Bold Ruler系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ルーラーシップ
(シヤダイフエザー)
4.25
(【5】+【15】+【10】+【11】)
大伯父エアシャカール
(No. 4-r)
3番仔
(3連産目)

「麒麟児。優れた才能を持ち将来が期待される若者。母名より連想」という馬名意味からは、大相撲のかつての関取を思い起こしたキリンジ。前走の兵庫チャンピオンシップ(JpnII)では勝ったミトノオーから6馬身差の2着でしたが、ジャパンダートダービーではクビだけ先着して、ひとまずのリベンジ。管理される佐々木晶三調教師にとっても、自身にダービートレーナーの称号を贈ってくれたキズナの仔だけに力も入るでしょう。そしてまたジャパンダートダービーでは、鞍上の藤岡祐介騎手の最後のひと押しの気迫も感じました。キリンジ、その馬名意味のとおり、将来を期待したい若駒です。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

#本稿ではサンオーイの名前を出しましたが、このトミシノポルンガ(1989.3.31)のお父さんのエピソードを凝縮した記事が、月刊『優駿』1994年11月号の競作ノンフィクション・シリーズ、『もうひとつの三冠馬・サンオーイ』という内容でまとめられています。もう30年近く前となると遠い昔のお話ですが、私はサンオーイの生産者である酒巻仁五郎氏が披露された、英国詩人チャールズ・ラムの『古なじみの顔』という詩の一節が、強く印象に残っています。

恩を知らぬ者のように、私はその人をいきなり捨てた。

ひとりになって、古なじみの顔を、思うのだ。

あるものは死んでしまい、あるものはわたしを捨て、あるものはわたしから奪い取られて、みんな行ってしまった。

みんな、みんないなくなった。古なじみの顔が。

月刊『優駿』1994年11月号P102、吉沢譲治著、『もうひとつの三冠馬・サンオーイ』より引用

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