JRA賞になって以降の年度代表馬を辿る(其の伍)-トウカイテイオー(1988.4.20)-。

1993年 有馬記念(GⅠ) | トウカイテイオー | JRA公式 https://youtu.be/fGIx7bHC-I0 Horse of the Year
1993年 有馬記念(GⅠ) | トウカイテイオー | JRA公式 https://youtu.be/fGIx7bHC-I0

トウカイテイオー 牡 鹿毛 1988.4.20生~2013.8.30没 新冠・長浜牧場生産 馬主・内村正則氏 栗東・松元省一厩舎

トウカイテイオー(1988.4.20)の4代血統表
シンボリルドルフ
鹿毛 1981.3.13
種付け時活性値:1.50【6】
パーソロン
鹿毛 1960
Milesian
鹿毛 1953
My Babu 1945
Oatflake 1942
Paleo
鹿毛 1953
★Pharis 1936
Calonice 1940
スイートルナ
栗毛 1972.5.4
スピードシンボリ
黒鹿毛 1963.5.3
ロイヤルチヤレンヂヤー 1951
スイートイン 1958
ダンスタイム
鹿毛 1957
Palestine 1947
Samaritaine 1949
トウカイナチユラル
鹿毛 1982.5.20
仔受胎時活性値:1.25【5】
ナイスダンサー
鹿毛 1969.3.6
種付け時活性値:1.00【12】
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Nice Princess
栗毛 1964.3.23
Le Beau Prince 1952
Happy Night 1957
トウカイミドリ
鹿毛 1977.3.20
仔受胎時活性値:1.00【4】
フアバージ
鹿毛 1961.4.19
種付け時活性値:1.75【15】
Princely Gift 1951
Spring Offensive 1943
トウカイクイン
鹿毛 1966.4.17
仔受胎時活性値:0.50【10】
アトランテイス
鹿毛 1959
種付け時活性値:1.50【6】
トツプリユウ
黒鹿毛 1959.4.1
仔受胎時活性値:1.50【6】

<5代血統表内のクロス:Milesian3×5>

トウカイテイオー(1988.4.20)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
シンボリルドルフ
(My Babu系)
ナイスダンサー
(Northern Dancer系)
フアバージ
(Princely Gift系)
アトランテイス
(Djebel系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
フアバージ
(トウカイナチユラル)
4.25
(【5】+【4】+【10】+【6】)
伯母トウカイローマン
(No. 19-b 星友系)
2番仔
(2連産目)

*

1991年の第51回皐月賞(GI。中山芝2000m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 18 トウカイテイオー 牡3 安田 隆行 2:01.8 松元 省一 1
2 2 シャコーグレイド 牡3 蛯名 正義 2:02.0 1 矢野 照正 16
3 13 イイデセゾン 牡3 田島 良保 2:02.2 1・1/4 大久保 正陽 5
4 11 イブキマイカグラ 牡3 南井 克巳 2:02.3 3/4 中尾 正 2
5 10 ダンスダンスダンス 牝3 的場 均 2:02.3 クビ 柄崎 孝 15
1991年の第51回皐月賞(GI。中山芝2000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.3 – 10.8 – 12.1 – 12.8 – 12.4 – 12.1 – 12.3 – 12.4 – 12.3 – 12.3
ラップの
累計タイム
12.3 – 23.1 – 35.2 – 48.0 – 1:00.4 – 1:12.5 – 1:24.8 – 1:37.2 – 1:49.5 – 2:01.8
上り 4F 49.3 – 3F 37.0

今は懐かしき単枠指定、ピンクの帽子唯1頭だったトウカイテイオー。見れば勝ち時計2分1秒8は、中山で行われた皐月賞史上2位の好時計。稍重の馬場で叩き出したのですから、サスガにトウカイテイオー。なお、当時の皐月賞レコードは父シンボリルドルフが持っていた2分1秒1でした。

また、2着に連れてやって来たのがミスターシービー(1980.4.7)の仔、シャコーグレイド(1988.3.27)。日本の三冠馬の仔どうしでのワンツーフィニッシュでした。

#シャコーグレイド現年齢表記6歳秋の東京スポーツ杯(OP)も忘れ難きレースです。2歳時の葉牡丹賞以来、3年10ヶ月ぶりの勝利は、1994年10月23日の日曜日、トウカイテイオーの引退式当日でした。

*

1991年の第58回東京優駿(GI。東京芝2400m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 20 トウカイテイオー 牡3 安田 隆行 2:25.9 松元 省一 1
2 11 レオダーバン 牡3 岡部 幸雄 2:26.4 3 奥平 真治 2
3 13 イイデセゾン 牡3 柴田 政人 2:26.6 1・1/4 大久保 正陽 4
4 12 コガネパワー 牡3 田原 成貴 2:26.8 1・1/4 鶴留 明雄 7
5 14 ソーエームテキ 牡3 的場 均 2:26.8 ハナ 土門 一美 5
1991年の第58回東京優駿(GI。東京芝2400m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.5 – 11.2 – 12.8 – 12.4 – 12.4 – 12.0 – 12.1 – 12.0 – 12.1 – 12.6 – 11.7 – 12.1
ラップの
累計タイム
12.5 – 23.7 – 36.5 – 48.9 – 1:01.3 – 1:13.3 – 1:25.4 – 1:37.4 – 1:49.5 – 2:02.1 – 2:13.8 – 2:25.9
上り 4F 48.5 – 3F 36.4

皐月賞に続いて、ピンクの帽子唯1頭のトウカイテイオー。東京優駿史上に残る大楽勝は父仔2代による無敗の二冠達成の瞬間でした。勝ち時計2分25秒9は、前年のアイネスフウジン(1987.4.10)の2分25秒3に次ぐ、史上2頭目の2分25秒台の好時計でした。

*

1992年の第36回産經大阪杯(GII。阪神芝2000m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
4F
馬体重
[増減]
調教師
1 2 トウカイテイオー 牡4 58 岡部幸雄 2:06.3 3-3-3-2 47.3 480
[+20]
松元省一 1
2 3 ゴールデンアワー 牡5 57 岡潤一郎 2:06.6 1.3/4 2-2-2-2 47.9 504
[-2]
安藤正敏 6
3 5 マミーグレイス 牝4 54 田島信行 2:06.9 1.3/4 8-8-8-7 47.3 486
[0]
橋本寿正 5
4 8 イクノディクタス 牝5 55 村本善之 2:06.9 ハナ 1-1-1-1 48.3 446
[-6]
福島信晴 7
5 1 ホワイトストーン 牡5 58 柴田政人 2:07.0 3/4 3-4-3-4 47.9 456
[0]
高松邦男 3
1992年の第36回産經大阪杯(GII。阪神芝2000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
13.0 – 12.3 – 13.8 – 13.7 – 13.1 – 12.7 – 12.2 – 12.1 – 11.5 – 11.9
ラップの
累計タイム
13.0 – 25.3 – 39.1 – 52.8 – 1:05.9 – 1:18.6 – 1:30.8 – 1:42.9 – 1:54.4 – 2:06.3
上り 4F 47.7 – 3F 35.5

*

1992年の第12回ジャパンカップ(GI。東京芝2400m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 14 トウカイテイオー 牡4 岡部 幸雄 2:24.6 松元 省一 5
2 7 ナチュラリズム 牡4 L.ディットマン 2:24.7 クビ D.L.フリードマン 2
3 9 ディアドクター 牡5 C.アスムッセン 2:24.8 1/2 J.ハモンド 4
4 6 レガシーワールド せん3 小谷内 秀夫 2:25.4 3・1/2 戸山 為夫 10
5 13 ヒシマサル 牡3 武 豊 2:25.5 3/4 佐山 優 8
1992年の第12回ジャパンカップ(GI。東京芝2400m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.9 – 11.2 – 12.8 – 11.7 – 11.7 – 11.5 – 11.8 – 11.9 – 12.3 – 12.6 – 11.7 – 12.5
ラップの
累計タイム
12.9 – 24.1 – 36.9 – 48.6 – 1:00.3 – 1:11.8 – 1:23.6 – 1:35.5 – 1:47.8 – 2:00.4 – 2:12.1 – 2:24.6
上り 4F 49.1 – 3F 36.8

1992年の第12回、この年から国際GIとして認められたジャパンカップ。11月末、極東の冬枯れのターフに世界から強豪が集まりました。それにしても豪華メンバーですね。この年の外国招待馬7頭を人気順に記してみると

  1. ユーザーフレンドリー(1989.2.4)
    →1992年の欧州年度代表馬にして、英セントレジャーS(GI)、英オークス(GI)、愛オークス(GI)、ヨークシャーオークス(英GI)勝ち馬
  2. ナチュラリズム(1988.10.19)
    →1992年のAJCダービー(豪GI)、ローズヒルギニー(豪GI)の勝ち馬
  3. レッツイロープ(1987.11.20)
    →1991年~1992年シーズンの豪州年度代表馬。その期間にメルボルンC(豪GI)、コーフィールドC(豪GI)、マッキノンS(豪GI)、オーストラリアンS(豪GI)勝ち
  4. ディアドクター(1987.5.12)
    →1992年のアーリントンミリオン(米GI)の勝ち馬
  5. クエストフォーフェイム(1987.2.15)
    →1990年の英ダービー(GI)馬。1992年のハリウッドターフH(米GI、現チャールズウィッティンガムメモリアルH)勝ち馬
  6. ドクターデヴィアス(1989.3.10)
    →1992年の英ダービー、愛チャンピオンS(GI)勝ち馬。他にデューハーストS(英GI)勝ち
  7. ヴェールタマンド(1988.1.26)
    →ジャパンカップ出走時点では仏GII1勝、仏GIII1勝も、1993年にガネー賞(仏GI)勝ち

むぅ、こんなメンバーはもう集まってくれないような気がします……。ちなみに、レッツイロープ(Let’s Elope)は「駆け落ちしよう」という意味ですが、当時フジテレビ系列の深夜のスポーツ番組に出演されていた東ちづるさんが、「良い名前ですね」とおっしゃっていたことを思い出します。

閑話休題。さながら「世界最速の選手権距離王者を決めるレース」。そんな様相を呈した、国際GIとして初回の第12回ジャパンカップ。

勝ったのは、我が国のトウカイテイオーでした。

こんな豪華メンバーでも、戦前5番人気でも、なんにも関係なし。勝つ時はいつでもサラっと、鮮やかすぎるくらい、鮮やかに。

第5回を制したお父さんと同じく大外から発進して、ジャパンカップ史上初の父仔制覇。併せて、岡部騎手には史上初のジャパンカップ2勝目をプレゼント。

鹿毛の流星、目もと涼やか、脚並みも軽やかに、トウカイテイオー。その鞍上には桃色の帽子に「白、青山形一本輪、桃袖」の勝負服の岡部騎手。

馬と人、その綺麗さが渾然一体となって、今もまぶたの裏に、蘇ります。

*

1993年の第38回有馬記念(GI。中山芝2500m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 4 トウカイテイオー 牡5 田原 成貴 2:30.9 松元 省一 4
2 13 ビワハヤヒデ 牡3 岡部 幸雄 2:31.0 1/2 濱田 光正 1
3 12 ナイスネイチャ 牡5 松永 昌博 2:31.6 3・1/2 松永 善晴 10
4 8 マチカネタンホイザ 牡4 柴田 善臣 2:31.6 アタマ 伊藤 雄二 13
5 9 レガシーワールド せ4 河内 洋 2:31.7 クビ 森 秀行 2
1993年の第38回有馬記念(GI。中山芝2500m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
7.0 – 11.2 – 11.9 – 11.4 – 11.7 – 12.4 – 13.3 – 12.4 – 12.1 – 12.2 – 12.0 – 11.5 – 11.8
ラップの
累計タイム
7.0 – 18.2 – 30.1 – 41.5 – 53.2 – 1:05.6 – 1:18.9 – 1:31.3 – 1:43.4 – 1:55.6 – 2:07.6 – 2:19.1 – 2:30.9
上り 4F 47.5 – 3F 35.3

競馬を見て大泣きした初めてのレースでした、1993年の第38回有馬記念。鹿毛の流星、両前脚が高く上がり、中山のオーバーシードを蹴る度に、芦毛の新王者との差を詰めて、最後は2分の1馬身先着していました。前年の有馬記念を1番人気11着と凡走して以来、中363日の長期休養明けをものともしない、見事な勝利でした。

トウカイテイオーは、自身の持ち得る最大限の能力に人気が及んでいない時、「さもありなん」と勝利を収め、良い意味で人々を裏切ったのです。

前年のジャパンカップ然り、この有馬記念然り。

熱血系の美男子は、齢重ねて骨折を繰り返す度、その代わりに、反骨心を得ていたのかも知れませんね。

*

トウカイテイオー。

口ずさめば、その甘美な響きと共に、鹿毛の流星を思い起こします。

彼ほどに人心をつかむことの出来る馬は、そうそう現れません。

美しさと強さと、儚さと脆さと。

トウカイテイオーという馬は、その意味で、唯一無二です。

 

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[トウカイテイオー(1988.4.20)の主な競走成績]

  1. 東京優駿(GI)、ジャパンカップ(GI)、有馬記念(GI)、皐月賞(GI)、産經大阪杯(GII)

通算12戦9勝。

#2016年11月23日(水)初出、2023年02月05日(日)記事改め、2023年12月23日(土)記事再改め。

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20世紀の名馬 第05位 トウカイテイオー 何度聴いても最後の有馬記念はガチで泣く。 画質最優先のため、音質はモノラルになってますがご了...

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