タスティエーラ 牡 鹿毛 2020.3.22生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)キャロットファーム 美浦・堀 宣行厩舎
サトノクラウン 黒鹿毛 2012.3.10 種付け時活性値:1.75【7】 |
Marju 黒鹿毛 1988.3.12 |
ラストタイクーン 黒鹿毛 1983.5.9 |
トライマイベスト 1975.4.28 |
Mill Princess 1977.5.21 | |||
Flame of Tara 鹿毛 1980.4.20 |
アーテイアス 1974.2.26 | ||
Welsh Flame 1973 | |||
ジョコンダ2 鹿毛 2003.3.28 |
Rossini 鹿毛 1997.2.17 |
Miswaki 1978.2.22 | |
Touch of Greatness 1986.4.30 | |||
La Joconde 鹿毛 1999.2.8 |
Vettori 1992.2.18 | ||
Lust 1994.6.3 | |||
パルティトゥーラ 黒鹿毛 2014.2.2 仔受胎時活性値:1.25【5】 |
マンハッタンカフェ 青鹿毛 1998.3.5 種付け時活性値:1.75【15】 |
サンデーサイレンス 青鹿毛 1986.3.25 |
★Halo 1969.2.7 |
Wishing Well 1975.4.12 | |||
サトルチェンジ 黒鹿毛 1988.4.2 |
Law Society 1982.2.16 | ||
Santa Luciana 1973.4.4 | |||
フォルテピアノ 栗毛 2003.2.24 仔受胎時活性値:0.50【10】 |
フレンチデピュティ 栗毛 1992.1.30 種付け時活性値:0.50【10】 |
Deputy Minister 1979.5.17 | |
Mitterand 1981.2.19 | |||
キョウエイフォルテ 栗毛 1994.3.15 仔受胎時活性値:2.00【8】 |
ノーザンテースト 栗毛 1971.3.15 種付け時活性値:1.50【22】 |
||
クラフテイワイフ 栗毛 1985.1.17 仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】 |
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
サトノクラウン (トライマイベスト系) |
マンハッタンカフェ (サンデーサイレンス系) |
フレンチデピュティ (Deputy Minister系) |
ノーザンテースト (Northern Dancer系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
サトノクラウン |
5.75 or 3.75 (【5】+【10】+【8】+【8】) |
カンパニーと同牝系 (No. 9-a) |
初仔 |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
通過 順位 |
上り 3F |
馬体重 [増減] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 12 | タスティエーラ | 牡3 | 57 | D.レーン | 2:25.2 | 4-4-4-4 | 33.5 |
478 [0] |
堀 宣行 | 4 | |
2 | 5 | ソールオリエンス | 牡3 | 57 | 横山 武史 | 2:25.2 | クビ | 6-6-6-6 | 33.3 |
460 [-2] |
手塚 貴久 | 1 |
3 | 11 | ハーツコンチェルト | 牡3 | 57 | 松山 弘平 | 2:25.2 | ハナ | 16-14-6-6 | 33.4 |
494 [-4] |
武井 亮 | 6 |
4 | 1 | ベラジオオペラ | 牡3 | 57 | 横山 和生 | 2:25.2 | ハナ | 8-8-11-11 | 33.0 |
494 [-2] |
上村 洋行 | 9 |
5 | 15 | ノッキングポイント | 牡3 | 57 | 北村 宏司 | 2:25.4 | 1 | 6-7-9-9 | 33.4 |
488 [+4] |
木村 哲也 | 15 |
1F毎の ラップ |
12.6 – 10.7 – 12.0 – 12.6 – 12.5 – 12.4 – 12.8 – 12.4 – 11.9 – 11.6 – 11.9 – 11.8 |
---|---|
ラップの 累計タイム |
12.6 – 23.3 – 35.3 – 47.9 – 1:00.4 – 1:12.8 – 1:25.6 – 1:38.0 – 1:49.9 – 2:01.5 – 2:13.4 – 2:25.2 |
上り | 4F 47.2 – 3F 35.3 |
東京芝2400m、晴の良馬場、18頭立て。スタート直後にドゥラエレーデ(2020.1.29)の坂井瑠星騎手の落馬というアクシデントから始まった、節目の第90回東京優駿。逃げたパクスオトマニカ(2020.2.12)が作り出した1000m通過60秒4という淡々とした流れを道中先行5番手から進めたタスティエーラ、東京の直線525.9mを迎えても先頭のパクスオトマニカとの差は5馬身程ありましたが、じわじわと脚を伸ばして差を詰めると、坂を登り切ったラスト200m辺りでホウオウビスケッツ(2020.6.5)と併せ馬の形で先頭に立ち、差し迫ったソールオリエンス(2020.4.4)、ハーツコンチェルト(2020.5.5)、ベラジオオペラ(2020.4.7)との「クビ」「ハナ」「ハナ」というタイム差なしの激戦を僅かに制しました。節目の一戦にアクシデントは続き、2番人気に推されたスキルヴィング(2020.3.25)は17着入線後、1角手前でクリストフ・ルメール騎手が下馬した後に横たわりました。そして後の発表で急性心不全により死亡…。
私が初めて意識をして見た東京優駿である、ウイニングチケット(1990.3.21)が制した1993年の第60回からしてマルチマックス(1990.4.24)の落馬で始まった一戦でしたが、レース後、こんなになんとも言えない気持ちになった東京優駿は、30年ほどの競馬者人生で初めてのことです。もう、一気に色々やり過ぎるねん、競馬の神様は……。
ともあれ、タスティエーラの東京優駿制覇を見直してみます。以下の箇条書き3点は、すべてJRAがグレード制を敷いた1984年以降のデータです。
- キャリア5戦目の優勝
→アグネスフライト(1997.3.2)、ディープインパクト(2002.3.25)、マカヒキ(2013.1.28)、レイデオロ(2014.2.5)、コントレイル(2017.4.1)の5頭に並ぶ少キャリア - 皐月賞2着から東京優駿1着という巻き返し
→ウィナーズサークル(1986.4.10)、アイネスフウジン(1987.4.10)、タヤスツヨシ(1992.4.26)、マカヒキ(2013.1.28)の4頭に続きました - 3戦目で弥生賞を制した馬はGI馬まで登り詰める
→アグネスタキオン(1998.4.13)、ディープインパクト(2002.3.25)、父サトノクラウン(2012.3.10)、マカヒキ(2013.1.28)の4頭に続きました
タスティエーラの鞍上ダミアン・レーン騎手は東京優駿4回目の騎乗で初勝利となりました。レーン騎手は母国の豪州でオーストラリアンダービー(GI)をJon Snow(2013.9.21)で制していて、既に「ダービージョッキー」でいらっしゃいました。
このサイトも案外長くやっていますので、レーン騎手のオーストラリアンダービー初勝利の記事もちゃんとあるんですね。レーン騎手が初来日された際には、このサイトへ「ダミアン・レーン」というキーワードで足を運んでくださった方もいらしたものです。それはさておき、レーン騎手、日本の東京優駿勝ちも「very special」とサスガの私でも分かる平易な言葉でヒーローインタビューにて応えてくださっていました。またレーン騎手はタスティエーラには初騎乗で東京優駿1着に導かれたのですが、テン乗りの騎手による東京優駿勝ちは、1954年の第21回を制したゴールデンウエーブ(1951.5.5)以来、実に69年ぶりの出来事でした。
タスティエーラを管理される堀宣行調教師は、2015年の第82回のドゥラメンテ(2012.3.22)以来8年ぶりの東京優駿2勝目。気が付けばドゥラメンテとタスティエーラは同じ3月22日生まれですね。またドゥラメンテが制した際は2頭出しのもう1頭であったサトノクラウンも頑張って3着でしたが、そのサトノクラウンの仔で東京優駿勝ちですから、感慨深いところもおありでしょう。そしてまた馬主の(有)キャロットファームも、2017年の第84回のレイデオロ以来6年ぶりの東京優駿2勝目。ただ2頭出しのもう1頭が、ですね…。
そうしてタスティエーラを生産したノーザンファームは社台ファーム早来時代のフサイチコンコルド(1993.2.11)も含めて、アドマイヤベガ(1996.3.12)、ジャングルポケット(1998.5.7)、キングカメハメハ(2001.3.20)、ディープインパクト、ロジユニヴァース(2006.3.11)、ドゥラメンテ、マカヒキ、レイデオロ、ワグネリアン(2015.2.10)、シャフリヤール(2018.4.13)、ドウデュース(2019.5.7)に続く東京優駿13勝目。ええ、終わってみればノーザンファームです。ノーザンファームということでは、今回のタスティエーラは堀厩舎にしては珍しく外厩でノーザンファーム天栄を使用されたということ。なりふり構わずの勝負掛かりだった、ということもあるのでしょうか。
タスティエーラの父サトノクラウン。上述の通り自身はドゥラメンテの3着だった東京優駿、仔タスティエーラが雪辱を果たしてくれました。サトノクラウン、タスティエーラが弥生賞で父仔制覇を果たした時に
種牡馬サトノクラウンはその父Marjuが23歳時交配という高齢時の仔だけに「世代を重ねる時、果たしてどうなるのか」と、若干心配していたのです。しかしサトノクラウン、初年度産駒からしっかり弥生賞勝ち馬を送り込んだのですから、サスガ。恐れ入りました。
と書いていたのですが、初年度から「ダービー馬の父」に輝いたのですから、平伏するより他に無しです。2023年現在、Northern Dancer(1961.5.27)の直系として、世界的に勢いがある父系のひとつであるトライマイベスト系。日本でもその末裔であるタスティエーラが、東京優駿の大舞台をしっかり勝ち切りました。
競馬というものの難しさを改めて知らされた第90回東京優駿でした。それ故に、いつもと変わらず、祈りのフレーズを記しておきます。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。
#今回の東京優駿では6着でしたが、ホウオウビスケッツは随分強いと感じました。ダンスインザダーク(1993.6.5)と同じ6月5日という遅生まれですし、秋以降、良馬場の2000mくらいまでで良い仕事をしてくれるのではないか、と。またホウオウビスケッツの4代血統表を記事にする機会があると思いました。