2017年のクラシック候補生を確認する(其の拾弐)

アドマイヤミヤビ 牝 芦毛 2014.1.14生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・近藤利一氏 栗東・友道康夫厩舎

アドマイヤミヤビ(2014.1.14)の4代血統表
ハーツクライ
鹿毛 2001.4.15
種付け時活性値:1.00
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
アイリッシュダンス
鹿毛 1990.3.26
トニービン
鹿毛 1983.4.7
カンパラ 1976.2.19
Severn Bridge 1965
ビユーパーダンス
黒鹿毛 1983.2.26
Lyphard 1969.5.10
My Bupers 1967.6.1
レディスキッパー
芦毛 2007.3.27
仔受胎時活性値:1.50

クロフネ
芦毛 1998.3.31
種付け時活性値:0.00
フレンチデピュティ
栗毛 1992.1.30
Deputy Minister 1979.5.17
Mitterand 1981.2.19
ブルーアヴェニュー
芦毛 1990.2.15
Classic Go Go 1978.2.11
Eliza Blue 1983.4.11
ライクザウインド
鹿毛 2000.3.21
仔受胎時活性値:1.50
デインヒル
鹿毛 1986.3.26
種付け時活性値:1.25
Danzig 1977.2.12
Razyana 1981.4.18
ウインドインハーヘア
鹿毛 1991.2.20
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
Alzao
鹿毛 1980.2.28
種付け時活性値:0.50
Burghclere
鹿毛 1977.4.26
仔受胎時活性値:1.25

<5代血統表内のクロス:Lyphard4×5、Northern Dancer5×5>

アドマイヤミヤビ(2014.1.14)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ハーツクライ
(Halo系)
クロフネ
(Deputy Minister系)
デインヒル
(Danzig系)
Alzao
(Lyphard系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
デインヒル
(レディスキッパー)
6.25 or 4.25 大叔父ディープインパクト
(No. 2-f)
3番仔
(3連産目)

2017年の第52回クイーンC(GIII)。東京芝1600mの出世レースを制したのはアドマイヤミヤビ。阪神芝1600mの未勝利戦を1分34秒8で勝ち上がった後、東京芝2000mの百日草特別では後の京都2歳S(GIII)勝ち馬カデナ(2014.3.30)を2分3秒4で破り、そして今回のクイーンCと3連勝での重賞初制覇と相成りました。昨年2016年のメジャーエンブレム(2013.3.26)の1分32秒5が速すぎますが、アドマイヤミヤビが叩き出した1分33秒2もレース史上2位の好時計でした。

アドマイヤミヤビの最優性先祖である祖母父デインヒルは現役時代に4勝を挙げ、その主な勝ち鞍にスプリントC(英GI)、コーク&オラリーS(英GIII)があります。デインヒル、0の理論的にはその父Danzigが8歳時交配のミニモの遺伝を受けており、豪首位種牡馬9回、英愛首位種牡馬3回、仏首位種牡馬2回と、世界を股に掛けるシャトルサイアーの嚆矢として大成しました。

そんなデインヒルの代表産駒には、

  1. North Light(2001.3.1)
    →英ダービー(GI)ほか
  2. デザートキング(1994.3.31)
    →愛ダービー(GI)、愛2000ギニー(GI)、愛ナショナルS(GI)ほか
  3. Dylan Thomas(2003.4.23)
    →凱旋門賞(仏GI)、”キング・ジョージ”(英GI)、愛ダービー、愛チャンピオンS(GI)2回、ガネー賞(仏GI)ほか
  4. Duke of Marmalade(2004.3.12)
    →”キング・ジョージ”、英インターナショナルS(GI)、プリンスオブウェールズS(英GI)、タタソールズゴールドC(愛GI)、ガネー賞ほか
  5. ロックオブジブラルタル(1999.3.8)
    →英2000ギニー(GI)、愛2000ギニー(GI)、サセックスS(英GI)、ムーラン・ド・ロンシャン賞(仏GI)、セントジェームズパレスS(英GI)、デューハーストS(英GI)、仏グランクリテリウム(現ジャン・リュック・ラガルデール賞、GI)ほか
  6. George Washington(2003.3.1)
    →英2000ギニー、クイーンエリザベス2世S(英GI)、愛ナショナルS、フィーニクスS(愛GI)ほか
  7. Landseer(1999.2.28)
    →仏2000ギニー(GI)、キーンランドターフマイルS(現シャドウェルターフマイルS、米GI)ほか
  8. Clodovil(2000.4.9)
    →仏2000ギニーほか
  9. Aussie Rules(2003.2.6)
    →仏2000ギニー、シャドウェルターフマイルSほか
  10. Aquarelliste(1998.1.23)
    →ガネー賞、仏オークス(GI)、ヴェルメイユ賞(仏GI)ほか
  11. ピーピングフォーン(2004.1.15)
    →愛オークス(GI)、ヨークシャーオークス(英GI)、プリティポリーS(愛GI)、ナッソーS(英GI)ほか
  12. フェアリーキングプローン(1995.10.13)
    →安田記念(GI)ほか
  13. ファインモーション(1999.1.27)
    →エリザベス女王杯(GI)、秋華賞(GI)、札幌記念(GII)、阪神牝馬S(GII)、ローズS(GII)ほか
  14. ゼネラリスト(1993.3.25)
    →金鯱賞(GII)、シンザン記念(GIII)ほか
  15. エアスマップ(1995.4.4)
    →オールカマー(GII)ほか
  16. エアエミネム(1998.5.21)
    →札幌記念、オールカマー、神戸新聞杯(GII)、函館記念(GIII)ほか
  17. ツクバシンフォニー(1993.1.22)
    →エプソムC(GIII)ほか
  18. ゲイリーフラッシュ(1993.2.28)
    →シルクロードS(GIII)
  19. ブレイクタイム(1997.5.21)
    →京成杯オータムH(GIII)2回ほか

等がいます。名前を挙げた馬が北半球産馬ばかりで恐縮ですが、デインヒル、上記の仔たちを始めとして、英語版Wikipediaの記事によると実に349頭のステークスウイナーを輩出しました。デインヒル自身は短距離馬でしたが、選手権距離もこなす仔も多く見られたのはDanzig系らしさの現れですね。日本で走った仔では、やはりファインモーションでしょうか。このピルサドスキー(1992.4.23)の半妹は新馬、500万下、阿寒湖特別、ローズS、秋華賞、エリザベス女王杯と6連勝でぶっこ抜き、JRA史上初めて無敗で古馬GIを制した名牝でした。

*

スワーヴリチャード 牡 栗毛 2014.3.10生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・(株)NICKS 栗東・庄野靖志厩舎

スワーヴリチャード(2014.3.10)の4代血統表
ハーツクライ
鹿毛 2001.4.15
種付け時活性値:1.00
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
アイリッシュダンス
鹿毛 1990.3.26
トニービン
鹿毛 1983.4.7
カンパラ 1976.2.19
Severn Bridge 1965
ビユーパーダンス
黒鹿毛 1983.2.26
Lyphard 1969.5.10
My Bupers 1967.6.1
ピラミマ
黒鹿毛 2005.5.1
仔受胎時活性値:2.00
Unbridled’s Song
芦毛 1993.2.18
種付け時活性値:0.75
Unbridled
鹿毛 1987.3.5
Fappiano 1977.5.19
Gana Facil 1981.2.9
Trolley Song
芦毛 1983.4.13
Caro 1967.4.11
Lucky Spell 1971.1.28
キャリアコレクション
鹿毛 1995.1.30
仔受胎時活性値:0.25
General Meeting
鹿毛 1988.4.3
種付け時活性値:1.50
Seattle Slew 1974.2.15
Alydar’s Promise 1983.4.5
River of Stars
黒鹿毛 1983.5.6
仔受胎時活性値:0.75
Riverman
鹿毛 1969
種付け時活性値:1.25
Star Fortune
黒鹿毛 1971.3.30
仔受胎時活性値:0.75

<5代血統表内のクロス:なし>

スワーヴリチャード(2014.3.10)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ハーツクライ
(Halo系)
Unbridled’s Song
(Mr. Prospector系)
General Meeting
(Seattle Slew系)
Riverman
(Never Bend系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
General Meeting
(キャリアコレクション)
3.75 半兄バンドワゴン
(No. 1-a)
5番仔
(5連産目)

2017年の第51回共同通信杯(GIII)。名馬の登竜門とも言える東京芝1800mの伝統重賞を制したのは、2番人気のスワーヴリチャードと四位洋文騎手。道中は6番手の内でじっと我慢、手応え良く直線を向くと、外から差し迫る1番人気のムーヴザワールド(2014.3.9)と戸崎圭太騎手の動向を見る余裕が、スワーヴリチャードの鞍上である四位騎手にはありました。そうして「おいでおいで」と引き寄せて、ラスト1ハロンを切ってから追い出しに掛かると、後はスワーヴリチャードと四位騎手の独擅場。2着争いの4頭を尻目に、1分47秒5で悠々と1着ゴール。2馬身半差の2着には6番人気のエトルディーニュ(2014.4.8)と柴山雄一騎手が続き、さらにアタマ差の3着にムーヴザワールドと戸崎騎手が続きました。なお、スワーヴリチャードの勝利により、馬主である (株)NICKSは、JRA重賞初制覇となりました。おめでとうございました。

さて、スワーヴリチャードの最優性先祖である祖母父General Meetingは、現役時代に4勝を挙げ、主な勝ち鞍にサンタアニタパーク芝9ハロンのヴォランテH(当時米GIII。現トワイライトダービー、米GII)があります。

その競走成績からはマイナー種牡馬の域を出なかったGeneral Meetingの代表産駒には、

  1. Magical Allure(1995.4.4)
    →ラブレアS(米GI)、レディーズシークレットH(米GII)ほか
  2. General Challenge(1996.3.18)
    →サンタアニタダービー(米GI)、サンタアニタH(米GI)、パシフィッククラシックS(米GI)ほか
  3. Excellent Meeting(1996.4.5)
    →サンタアニタオークス(米GI)、ラスヴァージネスS(米GI)、ハリウッドスターレットS(米GI)、オークリーフS(米GI)ほか
  4. キャリアコレクション(1995.1.30)
    →ランダルースS(米GII)、ソレントS(GII)ほか。上述の通り、スワーヴリチャードの祖母
  5. Classy Cara(1997.4.18)
    →ファンタジーS(米GII)、ハニムーンH(米GII)ほか
  6. Yearly Report(2001.1.23)
    →ブラックアイドスーザンS(米GII)、サンタイネスS(米GII)、デラウェアオークス(米GII)ほか
  7. Tap It Light(2004.4.28)
    →東京シティCH(米GIII)ほか
  8. Century Park(2006.1.27)
    →サンタイザベルS(米GIII)ほか

等がいます。Magical Allure、General Challenge、Excellent MeetingとGI勝ち馬3頭を輩出しているのは立派ですね。父がサンタアニタパークの重賞勝ち馬だからでしょうか、仔も3頭のGI勝ち馬を始めとして、グレードレース勝ちの産駒8頭のうち7頭が、サンタアニタパークのグレードレース勝ち馬です。そして、サンタアニタパークでグレードレースを勝っていない唯1頭の産駒が、スワーヴリチャードの祖母であり、0の理論的には形相の対象であるキャリアコレクションです。

スワーヴリチャードの誕生日は2014年3月10日。近年は3月10日生まれのGI勝ち馬が多く輩出されている印象もあります。共同通信杯の同日に行われた京都記念(GII)で連覇を果たしたサトノクラウン(2012.3.10)、2016年のJRA賞年度代表馬キタサンブラック(2012.3.10)、GI3勝の強豪ロゴタイプ(2010.3.10)、ジャパンカップ(GI)と秋華賞(GI)を制したショウナンパンドラ(2011.3.10)、優駿牝馬(GI)勝ちのエリンコート(2008.3.10)。果たして、同じ誕生日の先達に続くことが出来るでしょうか、スワーヴリチャード。行く末が楽しみな素質馬です。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

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