ブローザホーン(2019.5.10)-第65回宝塚記念(GI)の勝ち馬-

Result

ブローザホーン 牡 鹿毛 2019.5.10生 新ひだか町・岡田スタツド生産 馬主・岡田 牧雄氏 栗東・吉岡 辰弥厩舎

ブローザホーン(2019.5.10)の4代血統表

エピファネイア
鹿毛 2010.2.11
種付け時活性値:0.00【8】
シンボリクリスエス
黒鹿毛 1999.1.21
Kris S.
黒鹿毛 1977.4.25
Roberto 1969.3.16
Sharp Queen 1965.4.19
Tee Kay
黒鹿毛 1991.2.9
★Gold Meridian 1982.4.14
Tri Argo 1982.5.18
シーザリオ
青毛 2002.3.31
スペシャルウィーク
黒鹿毛 1995.5.2
サンデーサイレンス 1986.3.25
キャンペンガール 1987.4.19
キロフプリミエール
鹿毛 1990.4.15
Sadler’s Wells 1981.4.11
Querida 1975.3.14
オートクレール
栗毛 2011.3.31
仔受胎時活性値:1.75【7】
デュランダル
栗毛 1999.5.10
種付け時活性値:0.75【11】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
サワヤカプリンセス
栗毛 1986.6.5
ノーザンテースト 1971.3.15
スコツチプリンセス 1970.3.19
ジョイアサーティン
栗毛 1997.3.22
仔受胎時活性値:1.25【13】
フォーティナイナー
栗毛 1985.5.11
種付け時活性値:0.75【11】
Mr. Prospector 1970.1.28
File 1976.4.30
アサーテイン
鹿毛 1985.5.25
仔受胎時活性値:0.75【11】
Assert
鹿毛 1979.4.17
種付け時活性値:1.25【5】
Obeah
鹿毛 1965.4.15
仔受胎時活性値:0.75【19】

<5代血統表内のクロス:サンデーサイレンス3×4、Hail to Reason5×5、Northern Dancer5×5>

ブローザホーン(2019.5.10)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
エピファネイア
(Roberto系)
デュランダル
(サンデーサイレンス系)
フォーティナイナー
(Mr. Prospector系)
Assert
(Northern Dancer系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Assert
(Irish Bird)
4.50
(【7】+【13】+【11】+【19】)
Go for Wandと同牝系
(No. 2-f)
初仔

*

2024年の第65回宝塚記念(GI。京都芝2200m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 12 ブローザホーン 牡5 58 菅原 明良 2:12.0 11-11-10-7 34.0 428
[+4]
吉岡 辰弥 3
2 9 ソールオリエンス 牡4 58 横山 武史 2:12.3 2 7-7-12-11 34.0 460
[+4]
手塚 貴久 7
3 3 ベラジオオペラ 牡4 58 横山 和生 2:12.4 クビ 3-4-3-2 34.8 518
[+12]
上村 洋行 5
4 7 プラダリア 牡5 58 池添 謙一 2:12.4 クビ 3-2-2-1 34.9 468
[-2]
池添 学 6
5 10 ローシャムパーク 牡5 58 戸崎 圭太 2:12.9 3 9-9-3-4 35.3 506
[+2]
田中 博康 4
2024年の第65回宝塚記念(GI。京都芝2200m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.4 – 10.9 – 12.3 – 12.7 – 12.7 – 12.9 – 12.2 – 11.4 – 11.7 – 11.3 – 11.5
ラップの
累計タイム
12.4 – 23.3 – 35.6 – 48.3 – 1:01.0 – 1:13.9 – 1:26.1 – 1:37.5 – 1:49.2 – 2:00.5 – 2:12.0
上り 4F 45.9 – 3F 34.5

京都芝2200m、曇の重馬場、13頭立て。

○ 宝塚記念(GⅠ)
本競走は、1960 年に創設された重賞競走。初年度は 3 歳以上の 1800m で実施されたが、翌 1961 年に 2000m となり、1966 年から現行の 2200m となった。また、1968 年から開催時期が前倒しとなったことに伴い 4 歳以上の古馬限定戦となったが、1987 年に開催時期が繰り下げられたことにより、春を終えた 3 歳馬にも再び出走資格が与えられるようになった。年末に中山競馬場で行われる『有馬記念』と同様、ファン投票によって出走馬が選定され、上半期のGⅠ戦線を締めくくる一戦として定着している。本年は阪神競馬場スタンドリフレッシュ工事に伴い、京都競馬場において 2200m で実施される。
宝塚(たからづか)は、兵庫県南東部の市。同市は阪神競馬場の所在地でもある。

2024年度第4回京都競馬特別レース名解説

ディープインパクト(2002.3.25)が制した2006年の第47回以来18年ぶりに京都開催となった宝塚記念。そのひとつ前の京都開催の宝塚記念はダンツシアトル(1990.5.13)が制した1995年の第36回。ダンツシアトル、タイキブリザード(1991.3.12)Seattle Slew(1974.2.15)産駒のワンツーフィニッシュ、そしてライスシャワー(1989.3.5)の落命。1995年6月4日の開催であったこともきっちりかっちり覚えていますが、既に29年前と気付きますと私は馬齢を重ねたものです。

前置きが長くなりましたけれど、2024年の宝塚記念を制したのは単勝3番人気だったブローザホーン。雨の道悪馬場について戦前から「どんと来い」と自信を持っていたのはブローザホーン陣営だけだったように思います。同じ京都芝2200mの舞台では2023年5月の烏丸Sにおいて不良馬場の中で5馬身差圧勝しており、京都競馬場では昨年10月の京都大賞典(GII)こそ心房細動の発症で競走中止となりましたが、今年1月の日経新春杯(GII)では自身の重賞初制覇と共に元々管理されていた中野栄治調教師に最後の重賞勝ちをプレゼント。そして吉岡辰弥厩舎に転厩2戦目であった前走天皇賞・春(GI)では出走17頭中最速の上がり3ハロン34秒6の末脚でテーオーロイヤル(2018.3.6)の2着。淀の坂越え得意は、やはり直父系Roberto系というところでしょうか。

淀上手の雨上手ブローザホーン、今回の宝塚記念は道中ほぼ最後方。3角の坂の頂上から下りに掛けて進出した時、じわっと脚を溜めながら、「まだよまだよ」となだめながら我慢をさせた菅原明良騎手も上手かった。京都芝Dコースの外回りの直線398.7mでは大外を駆けたブローザホーン。「グランプリレースにおける外ラチ沿いの疾走」と言いますとシンザン(1961.4.2)の有馬記念を思うところですけれど、今回の宝塚記念のブローザホーンもかなり外ラチに近いところを駆けていました。自身より内で先に抜け出そうとしていたベラジオオペラ(2020.4.7)プラダリア(2019.4.3)、後ろから迫ったソールオリエンス(2020.4.4)との勝負になりましたが、最後は脚色が違ったブローザホーン。決勝点ではソールオリエンスに2馬身差を着けての完勝を以て、春のグランプリでGI初勝利を蹄中に収めたという結末でした。

ブローザホーンの鞍上を務めた菅原騎手はデビュー6年目でGI初勝利。それは嬉しかったでしょう、曇天の下で白い歯が何度もこぼれました。「新・黄金世代」と目される競馬学校35期生の1人である菅原騎手、今回の宝塚記念でも一緒に騎乗していた団野大成騎手に続くJRA・GI勝利となりました。またブローザホーンを管理される吉岡調教師も2020年の初出走から数えると5年目のGI初優勝。ブローザホーンは中野師の引退に伴う転厩でしたが、見事にGIの大輪を咲かせられました。そしてまたオーナーブリードとなった岡田牧雄氏は、生産者としてはタイトルホルダー(2018.2.10)による2022年の第63回宝塚記念以来のJRA・GI勝ち、馬主としてはスノードラゴン(2008.4.6)による2014年のスプリンターズS以来のJRA・GI勝ちとなりました。皆様、おめでとうございました。

では、以下にブローザホーンの近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。

Obeah 1965.4.15 11勝 デラウェアH2回 フィレンツェH ヴァインランドHほか
|Black Powder 1972.4.1 27勝 アレゲニーS(米GIII)3着
|Dance Spell 1973.3.29 7勝 ジェロームH(米GII) サラナクS(米GII)ほか
|Voodoo Rhythm 1977.3.31 4勝
|Discorama 1978.4.10 5勝 ガゼルH(米GII)ほか
|アサーテイン 1985.5.25 1勝
||ジョーヤマト 1993.4.19 6勝 ダイヤモンドS(GIII)2着
||ジョイアサーティン 1997.3.22 3勝
|||オートクレール 2011.3.31 4勝
||||ブローザホーン 2019.5.10 (本馬) 宝塚記念(GI) 日経新春杯(GII)ほか
|Go for Wand 1987.4.6 10勝 ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ(米GI) マザーグースS(米GI) アシュランドS(米GI) ベルデイムS(米GI) アラバマS(米GI) テストS(米GI) マスケットS(米GI)ほか

ブローザホーンの牝系は2号族f分枝系。母オートクレールはJRA4勝を挙げ、準オープンの東京芝1600mの紅葉Sを5馬身差勝ちがあり、この紅葉Sはキタサンブラック(2012.3.10)が制した2017年の天皇賞・秋(GI)と同日に行われました。つまりはドロドロの不良馬場での圧勝劇であり、息子の重上手は母から伝えられたということも言えるでしょうか。

ブローザホーンの近親における最大の活躍馬は高祖母Obeahの娘Go for Wand。Deputy Minister(1979.5.17)産駒の同馬は米国で10勝を挙げ、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ、マザーグースS、アシュランドS、ベルデイムS、アラバマS、テストS、マスケットSとGI7勝の名牝。米国競馬名誉の殿堂入りを果たしたGo for Wandでしたが、1990年のブリーダーズカップ・ディスタフ(米GI)で若い命を散らしてしまったことは、ブリーダーズカップ史上に残る悲劇としても知られています。

Go for Wand (PA) | National Museum of Racing and Hall of Fame

Go for Wandの名前は自身が制したマスケットSを改名する形で現代にも受け継がれ、ゴーフォーワンドS(米GIII)は現在は毎年12月にアケダクト・ダート8ハロンの牝馬限定戦として行われています。またGo for Wandの半兄Dance Spellは、日本でもGI馬を輩出した名種牡馬エンドスウィープ(1991.5.31)の母父でもあります。同じく半兄Voodoo Rhythmはアローワンス競走勝ちに留まりましたが、血筋の良さを発揮してGI25勝の豪州の大名牝Winx(2011.9.14)の祖母父として名を残しています。

428kgという馬体の小ささを感じさせない雄大な走りでGI勝ち馬に上り詰めたブローザホーン。エピファネイア産駒の4歳以上の古馬牡馬として初めてGI勝ちを収めた成長力を発揮する機会はまだまだあるでしょう。その角笛が高らかに吹かれる次の舞台は国内なのか、あるいは国外なのか。グランプリホースの今後を楽しみにしたいと思います。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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