ヒルノダムール(2007.3.20)-タイム差なしの好勝負を辿る(No.3)-

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ヒルノダムール 牡 鹿毛 2007.5.20生 新ひだか町・橋本牧場生産 馬主・蛭川 正文氏 栗東・昆 貢厩舎

ヒルノダムール(2007.5.20)の4代血統表

マンハッタンカフェ
青鹿毛 1998.3.5
種付け時活性値:0.00【8】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
サトルチェンジ
黒鹿毛 1988.4.2
Law Society
黒鹿毛 1982.2.16
Alleged 1974.5.4
Bold Bikini 1969.4.11
Santa Luciana
黒鹿毛 1973.4.4
★Luciano 1964.5.7
Suleika 1954
シェアエレガンス
鹿毛 1998.4.3
仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】
ラムタラ
栗毛 1992.2.2
種付け時活性値:1.25【5】
Nijinsky
鹿毛 1967.2.21
Northern Dancer 1961.5.27
Flaming Page 1959.4.24
Snow Bride
栗毛 1986.2.28
Blushing Groom 1974.4.8
Awaasif 1979.5.27
メアリーリノア
黒鹿毛 1986.2.5
仔受胎時活性値:0.75【11】
L’Emigrant
黒鹿毛 1980.4.26
種付け時活性値:1.25【5】
The Minstrel 1974.3.11
Suprina 1970.3.11
Marie Noelle
鹿毛 1978.1.26
仔受胎時活性値:1.75【7】
Brigadier Gerard
鹿毛 1968.3.5
種付け時活性値:0.25【9】
Marike
鹿毛 1971.3.22
仔受胎時活性値:1.50【6】

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×5(母方)>

ヒルノダムール(2007.5.20)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
マンハッタンカフェ
(サンデーサイレンス系)
ラムタラ
(Nijinsky系)
L’Emigrant
(Northern Dancer系)
Brigadier Gerard
(Fair Trial系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ラムタラ
(Snow Knight)
6.00 or 4.00
(【8】+【11】+【7】+【6】)
祖母が仏GI馬
(No. 4-i)
2番仔
(2連産目)

*

2011年の第55回産経大阪杯(GII。阪神芝2000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 8 ヒルノダムール 牡4 57 藤田 伸二 1:57.8 レコード 8-7-7-6 34.4 474
[-2]
昆 貢 1
2 13 ダークシャドウ 牡4 57 福永 祐一 1:57.8 ハナ 11-11-12-12 33.9 492
[-16]
堀 宣行 8
3 15 エイシンフラッシュ 牡4 59 内田 博幸 1:57.8 クビ 11-11-9-9 34.1 492
[+4]
藤原 英昭 3
4 10 ダノンシャンティ 牡4 59 安藤 勝己 1:57.9 クビ 15-15-15-14 33.6 480
[0]
松田 国英 5
5 5 キャプテントゥーレ 牡6 58 小牧 太 1:57.9 クビ 1-1-1-1 35.4 456
[+4]
森 秀行 2
2011年の第55回産経大阪杯(GII。阪神芝2000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.5 – 11.0 – 12.3 – 12.1 – 11.4 – 11.6 – 11.6 – 11.3 – 11.8 – 12.2
ラップの
累計タイム
12.5 – 23.5 – 35.8 – 47.9 – 59.3 – 1:10.9 – 1:22.5 – 1:33.8 – 1:45.6 – 1:57.8
上り 4F 46.9 – 3F 35.3

晴れの良馬場、阪神芝2000mで覇を競った15頭。別定重量の斤量差も加味されてか、皐月賞(JpnI)馬キャプテントゥーレ(2005.4.5)、東京優駿(GI)勝ち馬エイシンフラッシュ(2007.3.27)、GI3勝馬ドリームジャーニー(2004.2.24)、NHKマイルカップ(GI)勝ち馬ダノンシャンティ(2007.4.28)等の実績上位馬を差し置いて1番人気に推されたヒルノダムール。皐月賞馬が逃げて作り出した淀みなく速いペースを馬群中央で追走すると、直線で鋭脚を発揮。映像を見直すと鞍上の藤田伸二騎手の仕掛けのタイミングがドンピシャ。差し迫ったダークシャドウ(2007.2.17)、エイシンフラッシュ、ダノンシャンティ、逃げ粘ったキャプテントゥーレ。「ハナ」「クビ」×3の大混戦となった決勝点、本当に僅かに先んじたヒルノダムール。刻んだ時計1分57秒8は、タップダンスシチー(1997.3.16)が所持していた1分58秒1をコンマ3秒更新するコースレコードでした。

皐月賞(GI)2着、鳴尾記念(GIII)2着、日経新春杯(GII)2着、京都記念(GII)3着と重賞を好戦するも、あと一歩届かなかったタイトル。そんなヒルノダムールが天皇賞・春(GI)の前哨戦となる、産経大阪杯で重賞初制覇。そうして、ひとつ重賞を制して憑き物が落ちたのか、ヒルノダムール。今回は産経大阪杯レコード勝ちの勢いを以て臨んだ次走、天皇賞・春(GI)も併せてご案内しておきます。

*

2011年の第143回天皇賞・春(GI。京都芝3200m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 2 ヒルノダムール 牡4 58 藤田 伸二 3:20.6 9-8-7-6 35.3 474
[0]
昆 貢 7
2 15 エイシンフラッシュ 牡4 58 内田 博幸 3:20.7 1/2 9-10-10-8 35.2 490
[-2]
藤原 英昭 3
3 3 ナムラクレセント 牡6 58 和田 竜二 3:20.9 1 1/2 11-10-1-1 36.3 502
[+2]
福島 信晴 5
4 7 マカニビスティー 牡4 58 小牧 太 3:21.1 1 1/4 12-12-13-12 35.4 476
[-2]
矢作 芳人 17
5 14 トウカイトリック 牡9 58 川田 将雅 3:21.1 クビ 17-17-18-16 35.1 454
[+2]
野中 賢二 18
2011年の第143回天皇賞・春(GI。京都芝3200m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
13.2 – 11.7 – 12.9 – 13.0 – 13.4 –
12.5 – 12.9 – 12.6 – 13.9 – 12.6 –
12.0 – 12.2 – 11.7 – 11.4 – 12.1 –
12.5
ラップの
累計タイム
13.2 – 24.9 – 37.8 – 50.8 – 1:04.2 –
1:16.7 – 1:29.6 – 1:42.2 – 1:56.1 – 2:08.7 –
2:20.7 – 2:32.9 – 2:44.6 – 2:56.0 – 3:08.1 –
3:20.6
上り 4F 47.7 – 3F 36.0

この天皇賞・春は印象深く、よく覚えています。古い友人たちとの飲み会があった日で、あるお店を貸切にして飲んでいた時に見たレースでした。

果たされたのはシーマー(1944.3.22)&タカオー(1951.3.8)以来、実に56年ぶりとなった天皇賞・春の父仔2代制覇。父マンハッタンカフェが9年前に制した京都芝3200mの舞台、

平成の首位種牡馬を辿る(其の漆)-マンハッタンカフェ(1998.3.5)-
マンハッタンカフェ(Manhattan Cafe) 牡 青鹿毛 1998.3.5生~2015.8.14没 千歳・社台ファーム生産 馬主・西川清氏 美浦・小島太厩舎

大一番でその真価を発揮した愛息ヒルノダムール。歴戦の古馬が揃う一戦としては珍しく、ゲシュタルト(2007.2.25)、コスモヘレノス(2007.5.6)、トゥザグローリー(2007.2.16)、ナムラクレセント(2005.4.22)と、先頭を行く馬の入れ替わりの激しい競馬を制することが出来たのは、どんなレースでも好戦してきた経験が生きたのでしょうか。ヒルノダムール、道中は内々をじっと我慢して静かに折り合っていました。3角から4角、周りが我先に行かんと躍起に追い出す中でも、ただただ冷静に、じっくりと脚を溜めていました。勝ったからそう見える部分もあるのでしょうけれど、気合の入った競馬ファンは、ヒルノダムールと藤田騎手の手応えの良さを感じ取られていたのではないでしょうか。

そうして、直線。ステイヤーの血を開花させたナムラクレセントと和田竜二騎手が必死に逃げ込みを図り、2年前の王者の矜持を見せんと粘るマイネルキッツ(2003.3.18)と松岡正海騎手が先を行くところで、ヒルノダムールと藤田騎手が内寄りの馬場中央を猛然と駆けました。一気呵成の末脚でゴールに向かいましたが、やはり、そこは敵もさる者。外から負けじと追い込んできたのは、同じ2007年生まれ世代の日本ダービー馬エイシンフラッシュと内田博幸騎手。最後、激しい一騎打ちとなった末に、軍配は2分の1馬身差でヒルノダムールに上がりました。

ヒルノダムール、主に中距離で良績を残してきた故に7番人気に甘んじてしまいましたが、その評価をあざ笑うかのようにGIタイトルを奪取しました。馬主歴20年目での初GIとなった蛭川正文オーナー、自身を見出してくれた昆貢調教師、そしてデビュー以来ずっと変わらずその背にまたがる藤田騎手。周りにいてくれる人間の「愛」に対する恩返しの舞台が、古馬の最高峰の決戦でした。

ヒルノダムール、その名に戴くように、すべて、愛されていました。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

#まったくの余談ですが、貸切にしていたお店で酔っ払った友人が暴れ出して、お店を追い出されてしまったのも、今となっては懐かしい思い出です^^;

*

[ヒルノダムール(2007.5.20)の主な競走成績]

  1. 天皇賞・春(GI)、産経大阪杯(GII)
  2. 皐月賞(GI)、フォワ賞(仏GII)、日経新春杯(GII)、鳴尾記念(GIII)
  3. 札幌記念(GII)、京都記念(GII)2回

通算21戦4勝、2着6回、3着3回。

*

マイシンザン
マイシンザン

「ヒルノダムール鞍上の藤田騎手、なんだかんだ言いながら上手な馬乗りと改めて思った」とは、このサイトの管理人の言。

ワイルドブラスター
ワイルドブラスター

鞍ハマりが良い騎乗ぶりで、大阪杯も天皇賞・春も道中の拳の落ち具合から折り合いを付けるウマさを思いますね。

マイシンザン
マイシンザン

追い出してからも騎座がブレず、ムチの持ち替えも巧み。やっぱり相当努力してはったんやろうな。

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