アグネスデジタル(1997.5.15)

Obituary

アグネスデジタル 牡 栗毛 1997.5.15生~2021.12.8没 米国・Catesby W. Clay & Peter J. Callahan氏生産 馬主・渡辺 孝男氏 栗東・白井 寿昭厩舎

アグネスデジタル(1997.5.15)の4代血統表
Crafty Prospector
栗毛 1979.4.7
種付け時活性値:0.25【17】

Mr. Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native
栗毛 1961.4.18
Native Dancer 1950.3.27
Raise You 1946
Gold Digger
鹿毛 1962.5.28
Nashua 1952.4.14
Sequence 1946
Real Crafty Lady
栗毛 1975.4.2
▲In Reality
鹿毛 1964.3.1
Intentionally 1956.4.2
My Dear Girl 1957.2.17
Princess Roycraft
栗毛 1967.1.25
Royal Note 1952
Crafty Princess 1958.2.22
Chancey Squaw
鹿毛 1991.4.9
仔受胎時活性値:1.25【5】

Chief’s Crown
鹿毛 1982.4.7
種付け時活性値:0.00【8】
Danzig
鹿毛 1977.2.12
Northern Dancer 1961.5.27
Pas de Nom 1968.1.27
Six Crowns
栗毛 1976.4.21
Secretariat 1970.3.30
Chris Evert 1971.2.14
Allicance
鹿毛 1980.4.1
仔受胎時活性値:0.50【10】
Alleged
鹿毛 1974.5.4
種付け時活性値:1.25【5】
Hoist the Flag 1968.3.31
Princess Pout 1966.3.29
Runaway Bride
鹿毛 1962
仔受胎時活性値:0.25【17】
Wild Risk
鹿毛 1940
種付け時活性値:1.25【21】
Aimee
鹿毛 1957
仔受胎時活性値:1.00【4】

<5代血統表内のクロス:なし>

アグネスデジタル(1997.5.15)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Crafty Prospector
(Mr. Prospector系)
Chief’s Crown
(Danzig系)
Alleged
(Ribot系)
Wild Risk
(Rabelais系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Alleged
(Princess Pout)
3.00 半弟ジャリスコライト
(No. 22-d)
初仔

*

2000年の第17回マイルチャンピオンシップ(GI。京都芝1600m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 13 アグネスデジタル 牡3 55 的場 均 1:32.6 レコード 15-15 34.3 444
[+2]
白井 寿昭 13
2 11 ダイタクリーヴァ 牡3 55 安藤 勝己 1:32.7 1/2 14-10 34.6 494
[+14]
橋口 弘次郎 1
3 7 メイショウオウドウ 牡5 57 飯田 祐史 1:32.8 3/4 17-16 34.3 462
[+8]
飯田 明弘 12
4 4 ダイタクヤマト 牡6 57 江田 照男 1:33.0 1 1/2 5-5 35.5 488
[0]
石坂 正 6
5 2 エイシンプレストン 牡3 55 福永 祐一 1:33.2 3/4 9-6 35.6 466
[-4]
北橋 修二 4

2000年の第17回マイルチャンピオンシップ。それまでの5勝をすべてダートで挙げていたアグネスデジタル。前走武蔵野S(GIII)2着から挑んだここは13番人気もやむなし。ところがどっこい「京都の外回りは的場均」に導かれて、京都芝外回り1600mのコースレコード1分32秒6で快勝。このマイルチャンピオンシップは、的場騎手にとって最後のGI勝利にもなりました。

*

2001年の第14回マイルチャンピオンシップ南部杯(統一GI。盛岡ダート1600m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
馬体重
[増減]
調教師
1 7 アグネスデジタル 牡4 56 四位洋文 1:37.7   2-1 445
[+1]
白井寿昭 1
2 1 トーホウエンペラー 牡5 56 村上忍 1:37.8 3/4 4-4 506
[+7]
千葉四美 5
3 3 ノボトゥルー 牡5 56 菅原勲 1:37.9 1/2 4-5 450
[-4]
森秀行 3
4 4 ゴールドティアラ 牝5 54 蛯名正義 1:38.0 1/2 2-1 486
[+27]
松田国英 4
5 6 ウイングアロー 牡6 56 岡部幸雄 1:38.8 5 7-7 463
[-7]
南井克巳 2

2001年の第14回マイルチャンピオンシップ南部杯。不本意だった4歳初頭から春にかけての3戦の後、休養明けの日本テレビ盃(統一GIII)を楽勝して挑んだマイルチャンピオンシップ南部杯。見れば強いメンツが集まったこのレースも制して、芝とダートのGI勝ちを収めたという結果でした。

*

2001年の第124回天皇賞・秋(GI。東京芝2000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 10 アグネスデジタル 牡4 58 四位 洋文 2:02.0   9-10-7 35.4 452
[+7]
白井 寿昭 4
2 6 テイエムオペラオー 牡5 58 和田 竜二 2:02.2 1 2-4-4 35.8 470
[-8]
岩元 市三 1
3 2 メイショウドトウ 牡5 58 安田 康彦 2:02.6 2 1/2 1-1-1 36.5 510
[+2]
安田 伊佐夫 2
4 8 イブキガバメント 牡5 58 河内 洋 2:02.7 3/4 9-11-11 35.9 490
[+6]
橋口 弘次郎 5
5 11 ダイワテキサス 牡8 58 柴田 善臣 2:02.8 クビ 2-6-4 36.3 478
[+4]
増沢 末夫 11

2001年の第124回天皇賞・秋。ひとつの決断が他馬にとっての分水嶺となることもあります。マルチプルな活躍を見せたアグネスデジタルの天皇賞・秋出走に伴い、武蔵野Sに回ることになったクロフネ(1998.3.31)。アグネスデジタル、間接的にではありますが、後のもう1頭の芝ダートGI勝ち馬を生み出すことに寄与することとなりました。

ともあれ、戦前の謂れ無きそしりを結果で見返したこの天皇賞・秋は、アグネスデジタルが真に非凡であることを示したレースでした。なお、外国産馬による天皇賞・秋制覇は1956年のミツドフアーム(1951.9.17)以来45年ぶりのことでした。

*

2001年の第15回香港カップ(GI。シャティン芝2000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 1 アグネスデジタル 牡4 57.2 四位 洋文 2:02.80 白井 寿昭 2
2 13 Tob ougg 牡3 55.8 Frankie Dettori アタマ Saeed bin Suroor 1
3 12 Terre A Terre 牝4 55.8 Christophe Soumillon クビ E Libaud 7
4 11 Hawkeye 牡3 55.8 Gary Stevens 1/2 Michael Jarvis 6
5 5 Jim And Tonic せん7 57.2 Thierry Thulliez 1 F Doumen 3

2001年の第15回香港カップ。「ラストコーナー、グッドフィーリング」。香港ヴァーズ(GI)ステイゴールド(1994.3.24)香港マイル(GI)エイシンプレストン(1997.4.9)、そして香港カップのアグネスデジタル。この2001年の香港国際競走のGI3戦は日本馬による見事な3タテでした。

*

2002年の第19回フェブラリーS(GI。東京ダート1600m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 9 アグネスデジタル 牡5 57 四位 洋文 1:35.1   6-6 35.6 452
[-1]
白井 寿昭 1
2 12 トーシンブリザード 牡4 57 石崎 隆之 1:35.3 1 8-8 35.6 486
[-5]
佐藤 賢二 4
3 2 ノボトゥルー 牡6 57 O.ペリエ 1:35.4 1/2 3-4 36.3 460
[0]
森 秀行 2
4 3 トゥザヴィクトリー 牝6 55 武 豊 1:35.5 1/2 2-2 36.6 494
[+6]
池江 泰郎 3
5 8 トーホウエンペラー 牡6 57 菅原 勲 1:35.6 1/2 5-5 36.3 506
[+2]
千葉 四美 6

2002年の第19回フェブラリーS。盛岡ダート1600m、東京芝2000m、シャティン芝2000m、そして迎えた東京ダート1600m。国内外、そして芝ダート問わずにGI4連勝を遂げたアグネスデジタル。環境に負けない、そのタフネスぶりも素晴らしい。なお、GI昇格後のフェブラリーSを1番人気馬が制したのは施行6回目で初めてでした。また、このフェブラリーSは鞍上の四位騎手にとって、JRA700勝の区切りの勝利でもありました。

*

2003年の第53回安田記念(GI。東京芝1600m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 3 アグネスデジタル 牡6 58 四位 洋文 1:32.1 レコード 9-8 33.7 468
[-4]
白井 寿昭 4
2 16 アドマイヤマックス 牡4 58 武 豊 1:32.1 クビ 4-3 34.0 478
[+16]
橋田 満 6
3 8 ローエングリン 牡4 58 後藤 浩輝 1:32.2 3/4 2-2 34.3 474
[-4]
伊藤 正徳 1
4 14 イーグルカフェ 牡6 58 D.オリヴァー 1:32.2 ハナ 14-12 33.6 468
[-10]
小島 太 10
5 7 ダンツフレーム 牡5 58 藤田 伸二 1:32.3 1/2 4-5 34.1 508
[+2]
山内 研二 3

2003年の第53回安田記念。異能の才を見せ続けたアグネスデジタル、最後のGI勝利は、改めてその絶対能力の奥深さを思わされるものでした。2002年のクイーンエリザベス2世カップ(香GI)2着以来1年ぶりの出走となった、前走かきつばた記念(統一GIII)4着を叩いて挑んだこの一戦。アドマイヤマックス(1999.4.9)の先行抜け出しの様が絶妙に見えたところで、外から追い込んで来たのは、黒の帽子に「黄、赤袖、水二本輪」の勝負服、栗毛も鮮やかにアグネスデジタル。追い詰めて追い詰めて、決勝点では「クビ」だけ交わし切っていました。そうして、計時されたタイム1分32秒1は、新装となった東京芝1600mののコースレコード。恐るべしは、アグネスデジタル。この勝利を以て4年連続GI制覇の偉業を遂げたのでした。

*

アグネスデジタルという馬は、国内外のGI6勝という実績において「本物の強者」であったことは言わずもがなです。そんな彼の真骨頂は、追い込み脚の鋭さや立ち回りの器用さよりも、いつでもどこでも、最後の最後まで諦めずに頑張ろうとする「精神力」にあったように思います。

真の勇者は、戦場を選ばない。

JRAポスター ヒーロー列伝コレクション

忘れがたきオールラウンダー、アグネスデジタル。今はただただ、合掌。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[アグネスデジタル(1997.5.15)の主な競走成績]

  1. 天皇賞・秋(GI)、香港カップ(GI)、安田記念(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)、フェブラリーS(GI)、マイルチャンピオンシップ南部杯(統一GI)、全日本3歳優駿(統一GII)、日本テレビ盃(統一GIII)、ユニコーンS(GIII)、名古屋優駿(統一GIII)
  2. クイーンエリザベス2世カップ(香GI)、日本テレビ盃(統一GII)、武蔵野S(GIII)
  3. ニュージーランドT4歳S(GII)、京都金杯(GIII)、クリスタルC(GIII)

通算32戦12勝、2着5回、3着4回。

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