フラワーパーク 牝 鹿毛 1992.5.8生~2024.4.6没 平取・高橋 啓氏生産 馬主・吉田 勝己氏 栗東・松元 省一厩舎
ニホンピロウイナー 黒鹿毛 1980.4.27 種付け時活性値:0.75【11】 |
ステイールハート 黒鹿毛 1972.3.25 |
Habitat 鹿毛 1966.5.4 |
Sir Gaylord 1959.2.12 |
Little Hut 1952 | |||
A. 1. 芦毛 1963 |
★Abernant 1946 | ||
Asti Spumante 1947 | |||
ニホンピロエバート 鹿毛 1974.3.17 |
チヤイナロツク 栃栗毛 1953 |
Rockefella 1941 | |
May Wong 1934 | |||
ライトフレーム 黒鹿毛 1959.3.15 |
ライジングフレーム 1947 | ||
グリンライト 1947.4.6 | |||
ノーザンフラワー 栗毛 1977.5.1 仔受胎時活性値:1.50【14】 |
ノーザンテースト 栗毛 1971.3.15 種付け時活性値:1.25【5】 |
Northern Dancer 鹿毛 1961.5.27 |
Nearctic 1954.2.11 |
Natalma 1957.3.26 | |||
Lady Victoria 黒鹿毛 1962.2.20 |
Victoria Park 1957.5.10 | ||
Lady Angela 1944 ♀ | |||
フアイアフラワー 鹿毛 1972.4.19 仔受胎時活性値:1.00【4】 |
Dike 栗毛 1966.4.29 種付け時活性値:1.25【5】 |
Herbager 1956.4.19 | |
Delta 1952 | |||
Pascha 鹿毛 1965 仔受胎時活性値:1.50【6】 |
★セントクレスピン 栗毛 1956 種付け時活性値:0.00【8】 |
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Easter Gala 鹿毛 1956 仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】 |
<5代血統表内のクロス:Lady Angela(♀)4×5(母方)、Hyperion5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
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ニホンピロウイナー (Habitat系) |
ノーザンテースト (Northern Dancer系) |
Dike (Herbager系) |
★セントクレスピン (Aureole系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
ノーザンテースト | 6.00 or 4.00 (【14】+【4】+【6】+【8】) |
叔父ダイナカーペンター (No. 1-n) |
9番仔 (10連産目) |
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着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 | 騎手 | 走破 時計 |
着差 | 調教師 | 人 気 |
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1 | 11 | フラワーパーク | 牝4 | 田原 成貴 | 1:08.8 | 松元 省一 | 1 | |
2 | 8 | エイシンワシントン | 牡5 | 熊沢 重文 | 1:08.8 | ハナ | 内藤 繁春 | 3 |
3 | 7 | シンコウキング | 牡5 | 岡部 幸雄 | 1:09.6 | 5 | 藤沢 和雄 | 6 |
4 | 9 | ヒシアケボノ | 牡4 | 角田 晃一 | 1:09.7 | 3/4 | 佐山 優 | 4 |
5 | 6 | スギノハヤカゼ | 牡3 | 田島 裕和 | 1:09.9 | 1・1/2 | 鹿戸 幸治 | 7 |
1F毎の ラップ |
11.9 – 10.6 – 11.0 – 11.7 – 11.6 – 12.0 |
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ラップの 累計タイム |
11.9 – 22.5 – 33.5 – 45.2 – 56.8 – 1:08.8 |
上り | 4F 46.3 – 3F 35.3 |
1996年のスプリント王を決める12月のスプリンターズS。戦前3頭の馬に人気が集まりました。1番人気は単勝2.3倍のフラワーパーク。春はナリタブライアン(1991.5.3)の出走で話題となった高松宮杯(GI)を見事なレコード勝ち。休養明けとなった前走CBC賞(GII)でも、プラス24kgの太目残りにも関わらず、しっかりと2着に食い込んで健在ぶりをアピールしました。2番人気は単勝5.3倍のビコーペガサス(1991.2.8)。前々年はサクラバクシンオー(1989.4.14)の2着、前年はヒシアケボノ(1992.2.27)の2着と2年連続2着を続けており、「三度目の正直」が期待されました。3番人気は単勝6.5倍のエイシンワシントン(1991.5.5)。15番人気で挑んだマイルチャンピオンシップ(GI)をジェニュイン(1992.4.28)の3着と逃げ粘り復調を示した後、連闘でCBC賞に挑戦。そこを1分7秒3のレコードタイムで駆けました。いずれ違わぬ実力馬たち。冬の中山のスプリント戦で雌雄を決することになりました。
電撃の6ハロン戦はスタートが命。そこで防衛王者ヒシアケボノが痛恨の出負け。それに対してフラワーパークとエイシンワシントンは素晴らしいスタートを決めました。二の脚も速く、エイシンワシントンが快調に飛ばしました。1ハロン目が11秒9、2ハロン目が10秒6、3ハロン目が11秒0。前半の3ハロンが33秒5というのは、エイシンワシントンにとって普通のラップ。フラワーパークは「相手はこの馬」と決めてかかって終始2番手キープ。ビコーペガサスはじっくりと7番手からレースを進めていました。そんな中、アクシデントは3角過ぎで起こりました。前方集団の内ラチ沿いにつけていたニホンピロスタディ(1992.4.17)が故障を発生(!!)。ニホンピロスタディの後ろにいたビコーペガサスは大きく立ち上がってしまいました。
中山芝の直線310m。誰の目にも、前を行く2頭の一騎討ちということが見て取れました。逃げるエイシンワシントン、追うフラワーパーク。内ラチ沿いの鹿毛の牡馬、外からかぶせる鹿毛の牝馬。橙の帽子に「赤、黒縦縞、黒袖」の勝負服、桃の帽子に「黄、赤縦縞、黒袖」の勝負服。ゴール前、エイシンワシントンがなんとか頑張るのかと思った瞬間、フラワーパークが差し込んだところが決勝点。「どっちが1着なんだ!?」。レースの勝ち時計は1分8秒8。上り4ハロンが46秒3、3ハロンが35秒3の決着。2頭から遅れること5馬身差の3着にシンコウキング(1991.4.24)、4着にヒシアケボノ、5着に3歳馬スギノハヤカゼ(1993.4.21)と続きました。
長い長い写真判定でした。10分以上の時間をかけて、ようやく、シビレを切らしたように結果が出ました。電光掲示板の1着のところにフラワーパークの馬番である11番が示されたのです。1200mを走り切って、その差は僅かに1cm差。GIレースでなければ、同着の扱いだったのではないでしょうか。エイシンワシントンのハナが、クレオパトラの鼻と同様にもう少しの長さ、高さがあれば、歴史は変わっていました。
フラワーパーク。果たせるかなスプリンターズSで勝利をもぎ取ったことにより、1996年のスプリントGI2勝を以て、JRA賞最優秀短距離馬&最優秀父内国産馬に選出されたのでした。
#ニホンピロスタディは目野哲也厩舎に所属されていた小林徹弥騎手が全17戦の手綱を取った馬。フラワーパークと同じくニホンピロウイナーの仔、テンの速さはピカイチの快速馬でした。コバテツの相棒といえばニホンピロスタディが思い出されます。
##フラワーパークの近親の主な活躍馬には、叔父に阪神大賞典(GII)と京都記念(GII)を制したダイナカーペンター(1984.5.17)がいます。思えば僅差の勝負に縁がある牝系なのかもしれません。ダイナカーペンターは阪神大賞典でタマモクロス(1984.5.23)と1着同着を分け合いました。余談ですがダイナカーペンター(Dyna Carpenter)の馬名由来は母父Dike(ダイク)の洒落と聞いた記憶があります。Carpenterは英語で「大工」の意味ですね(^^)
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着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 | 騎手 | 走破 時計 |
着差 | 調教師 | 人 気 |
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1 | 10 | フラワーパーク | 牝4 | 田原 成貴 | 1:07.4 | レコード | 松元 省一 | 3 |
2 | 13 | ビコーペガサス | 牡5 | 横山 典弘 | 1:07.8 | 2・1/2 | 柳田 次男 | 4 |
3 | 7 | ヒシアケボノ | 牡4 | 角田 晃一 | 1:08.0 | 1 | 佐山 優 | 1 |
4 | 5 | ナリタブライアン | 牡5 | 武 豊 | 1:08.2 | 1・1/4 | 大久保 正陽 | 2 |
5 | 8 | フジノマッケンオー | 牡5 | 藤田 伸二 | 1:08.5 | 1・3/4 | 中村 好夫 | 6 |
1F毎の ラップ |
11.8 – 10.3 – 11.0 – 11.1 – 11.3 – 11.9 |
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ラップの 累計タイム |
11.8 – 22.1 – 33.1 – 44.2 – 55.5 – 1:07.4 |
上り | 4F 45.3 – 3F 34.3 |
JRAの競馬番組の改変が大きくなされた1996年。その改変のひとつとして取り上げられるのが、高松宮杯がスプリントGIとして生まれ変わったことでした。そんな新生となった高松宮杯の初回は、ナリタブライアンが3200mの天皇賞・春(GI)から1200mのGIレースに挑戦ということで話題となり、高松宮杯当日の中京競馬場の入場者数は新記録となる74201人を集めました。レースは、逃げたスリーコース(1991.4.14)の番手に控えた3番人気のフラワーパークが、直線であっさりと抜け出して2着の4番人気のビコーペガサスに2馬身半差を着けての快勝。勝ち時計1分7秒4は中京競馬場の芝1200mのコースレコード。3着には1番人気のヒシアケボノ、そして4着に2番人気のナリタブライアンが入りました。
フラワーパークはデビューが現年齢表記3歳時の1995年10月29日とだいぶん遅かったのですが、2戦目で初勝利を飾るとポンポンと勝利を重ねて行き、1996年5月19日にはGI馬にまで登り詰めていました。デビューからの所要日数は204日という、7ヶ月足らずのスピード出世でした。
#ナリタブライアンはこの高松宮杯の4着賞金を加算したことにより、獲得総賞金が10億2691万6000円となり、メジロマックイーン(1987.4.3)の10億1465万8000円を抜いて当時の歴代1位となったのでした。ただ、直接の因果関係は不明ですが、出走後に右前脚の屈腱炎の発症となったのですが……。
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フラワーパークは繁殖牝馬としても2015年の東京新聞杯(GIII)を勝ったヴァンセンヌ(2009.4.11)を産みました。安田記念(GI)ではモーリス(2011.3.2)の2着に入ったヴァンセンヌ、今春の中山グランドジャンプ(J・GI)を制した熊本県産馬イロゴトシ(2017.3.7)の父でもあります。またフラワーパークは牝駒フローラルパレス(2002.2.18)、メイカ(2004.4.21)、クリアンサス(2008.2.7)、レッドミモザ(2013.2.2)等が母系から血を繋いでいます。特にクリアンサスは父がRedoute’s Choice(1996.8.15)であり、フラワーパークが2006年から2007年にかけて豪州に繁殖留学して出来た仔。クリアンサス、短距離得意の父母の血を継いでしっかりマーガレットS(OP)を制したのですから立派でした。
#ニホンピロウイナーは極少の血の組み合わせに縁があるのかも知れません。代表産駒筆頭のヤマニンゼファー(1988.5.27)は「ニホンピロウイナー×Blushing Groom×ガーサント×ハクリヨウ」ですし、フラワーパークの仔クリアンサスは「Redoute’s Choice×ニホンピロウイナー×ノーザンテースト×Dike」。
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フラワーパークは競走馬としても繁殖牝馬としても超一流であることを示してくれたのですが、生命力でも超一流であることを示し続けてくれています。
2021年ということはフラワーパーク29歳時の動画ですが、第一印象は「フラワーパーク、可愛いなぁ」。ずっと変わらず、オメメパチクリの美人さんのまま。「花園の駿馬」フラワーパーク、一生青春で壮健に過ごしていて欲しいと願います。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。
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[フラワーパーク(1992.5.8)の主な競走成績]
- スプリンターズS(GI)、高松宮杯(GI)、シルクロードS(GIII)
- CBC賞(GII)
通算18戦7勝、2着2回、3着1回。
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青春野郎のウイニングチケット(1990.3.21)がこっちに来てしまったから、JRA・GI勝ちの存命馬の最年長がフラワーパークになったんよな。
はい。誇るべき同期生の1頭であるフラワーパークには、本当に長生きして欲しいです。
おまはんの同期生、1992年生まれ世代ではエイシンサンサン(1992.3.7)も達者みたいやな。
ええ。31歳、2頭共に「元気でいて」と祈っています。
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フラワーパーク、32歳。終の棲家となったスガタ牧場の代表取締役である白瀬善直氏のお言葉の通り「大往生」でした。本当にお疲れ様でした。合掌。
#2023年09月29日(金)初出、2024年04月07日(日)記事改め。