デルタブルース(2001.5.3)-濁音・半濁音にてGI馬を辿る(No.7)-

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デルタブルース 牡 鹿毛 2001.5.3生~2024.10.8没 早来町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 栗東・角居 勝彦厩舎

デルタブルース(2001.5.3)の4代血統表
ダンスインザダーク
鹿毛 1993.6.5
種付け時活性値:1.75【7】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
ダンシングキイ
鹿毛 1983.5.21
Nijinsky
鹿毛 1967.2.21
Northern Dancer 1961.5.27
Flaming Page 1959.4.24
Key Partner
黒鹿毛 1976.3.26
Key to the Mint 1969.3.9
Native Partner 1966.4.5
ディクシースプラッシュ
鹿毛 1988.5.1
仔受胎時活性値:1.00【12】
Dixieland Band
鹿毛 1980.3.20
種付け時活性値:1.75【7】
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Mississippi Mud
鹿毛 1973.4.29
Delta Judge 1960.3.23
Sand Buggy 1963.4.19
Ocean Jewel
鹿毛 1983.3.20
仔受胎時活性値:1.00【4】
Alleged
鹿毛 1974.5.4
種付け時活性値:0.00【8】
Hoist the Flag 1968.3.31
Princess Pout 1966.3.29
Lady Offshore
栗毛 1977.2.18
仔受胎時活性値:1.25【5】
Sir Ivor
鹿毛 1965.5.5
種付け時活性値:0.75【11】
Bonnie Google
鹿毛 1959.3.29
仔受胎時活性値:0.25【17】

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer3×4、Almahmoud(♀)5×5>

デルタブルース(2001.5.3)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ダンスインザダーク
(サンデーサイレンス系)
Dixieland Band
(Northern Dancer系)
Alleged
(Ribot系)
Sir Ivor
(Sir Gaylord系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ダンスインザダーク 3.50
(【12】+【4】+【5】+【17】)
甥レッドデイヴィス
(No. 3-d)
7番仔
(7連産目)

*

2004年の第65回菊花賞(GI。京都芝3000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 18 デルタブルース 牡3 57 岩田 康誠 3:05.7 5-5-4-2 35.7 526
[+10]
角居 勝彦 8
2 5 ホオキパウェーブ 牡3 57 横山 典弘 3:05.9 1 1/4 16-15-14-10 35.1 478
[+2]
二ノ宮 敬宇 4
3 1 オペラシチー 牡3 57 佐藤 哲三 3:06.0 1/2 12-12-11-4 35.5 500
[-8]
佐々木 晶三 6
4 15 コスモバルク 牡3 57 五十嵐 冬樹 3:06.0 ハナ 1-1-1-1 36.1 486
[0]
田部 和則 2
5 11 ストラタジェム 牡3 57 福永 祐一 3:06.1 1/2 7-7-8-16 35.5 440
[0]
北橋 修二 16
2004年の第65回菊花賞(GI。京都芝3000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.8 – 11.9 – 11.3 – 12.4 – 12.0 –
11.9 – 13.3 – 12.8 – 12.8 – 12.9 –
13.5 – 12.3 – 11.8 – 11.7 – 12.3
ラップの
累計タイム
12.8 – 24.7 – 36.0 – 48.4 – 1:00.4 –
1:12.3 – 1:25.6 – 1:38.4 – 1:51.2 – 2:04.1 –
2:17.6 – 2:29.9 – 2:41.7 – 2:53.4 – 3:05.7
上り 4F 48.1 – 3F 35.8

記録を振り返ればデルタブルースの菊花賞が角居勝彦調教師と岩田康誠騎手のGI初勝利だったのでした。栗東の名門の一角となる角居厩舎、開業4年目の嬉しいGI初制覇。そしてまた鞍上の岩田騎手は兵庫県競馬組合に所属していた時分であり、NAR所属の騎手として史上初となるJRA・GI優勝の快挙となりました。そうして両者にGIをプレゼントしたデルタブルース、父ダンスインザダークとの父仔2代による勝利は「血の為せる業」というところか、前年のザッツザプレンティ(2000.5.26)に続く2年連続史上8例目の菊花賞父仔制覇となりました。

ダンスインザダーク(1993.6.5)
ダンスインザダーク 牡 鹿毛 1993.6.5生~2020.1.2没 千歳・社台ファーム生産 馬主・(有)社台レースホース 栗東・橋口弘次郎厩舎
ザッツザプレンティ(2000.5.26)-濁音・半濁音にてGI馬を辿る(No.4)-
ザッツザプレンティ 牡 鹿毛 2000.5.26生 千歳市・社台ファーム生産 馬主・(有)社台レースホース 栗東・橋口 弘次郎厩舎

しかし、デルタブルース。改めて菊花賞のレースを見れば、ヘビーステイヤーとも言うべき強さです。大外18番枠ものかは、スタートからすっと先団に取り付くと、道中は5番手で折り合い。2周目の坂のあたりでじわっと位置を上げて4番手。残り800mのあたりで気合を付けられると、直線の入口では逃げたコスモバルク(2001.2.10)に並びかけ、後続勢との伸び比べを我慢しきりました。ああいう「3角から4角でレースが忙しくなり始めて、脚色がちょっと怪しくなったと思ったら、直線で諦めずに脚を伸ばして頑張る」というのが、長距離得意馬の真骨頂のように思います。そしてまた岩田騎手の手腕はサスガで、菊花賞初騎乗にしてデルタブルースを菊花賞馬に導きました。

余談ですが、私が「前走九十九里特別を勝って菊花賞にやって来る馬は怖い」と思うようになったのは、デルタブルースの菊花賞勝ちによるものでした。まま、別路線からの挑戦者は、いつでもどこでも要注意なのですけれど^^;

*

2006年の第146回メルボルンカップ(豪GI。フレミントン芝3200m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 2 デルタブルース 牡5 56 岩田 康誠 3:21.42 角居 勝彦 7
2 12 ポップロック 牡5 53 Damien Oliver 0.1L 角居 勝彦 1
3 23 Maybe Better せん4 50 Chris Munce 4.6L Brian Mayfield-Smith 4
4 13 Zipping せん5 52.5 Glen Boss 6.1L Graeme Rogerson 4
5 9 Land ‘n Stars せん6 53 J F Egan 7.6L Jamie Poulton 19

デルタブルースが真のヘビーステイヤーであるところを見せ付けたのは、5歳時に挑んだ世界最大のハンデ戦、国を動きを止めるレースである豪州伝統のメルボルンカップ。前走コーフィールドC(豪GI)3着とひと叩きして臨んだ一戦、23頭立てのフレミントン芝3200mを出色のスタートから先行2、3番手の積極的な競馬。緩やかな曲線を描くフレミントンの3角から4角、先頭に立っていたトップハンデ59kgの欧州の名長距離馬Yeats(2001.4.23)との差を徐々に詰め、直線450mで早め先頭に立つと、菊花賞同様に我慢強く脚を伸ばしました。そうして最後の最後、唯1頭だけ迫って来たのが同い年のステーブルメイト・ポップロック(2001.3.19)。日本馬どうしのしのぎの削り合い、最後はGI馬の矜持を見せたデルタブルースが0.1馬身だけ先んじたところがゴール。角居厩舎所属の2001年生まれ世代の2頭による見事なワンツーフィニッシュでした。

デルタブルース、史上初となる日本生産調教馬によるメルボルンカップ勝利であり、鞍上の岩田騎手は自身初の海外遠征でいきなりGI制覇を遂げるという離れ業を演じられました。そうしてデルタブルース、このメルボルンカップ勝利により、2006年~2007年シーズンの豪州最優秀長距離馬に選出されるという栄誉にも浴しました。当然のことながら、これもまた史上初のことでした。

*

デルタブルースの戦歴を確認すれば「初」という文字が度々躍り出る訳ですが、やはり初めてのことを遂げた馬、人というのは記憶に残っていくもの。デルタブルース、21世紀の初頭に現れた本物のステイヤー。柔らかみのあるその鹿毛の馬体、白い流星に四肢の白いバンテージ、「黒、赤十字襷、袖黄縦縞」の勝負服を背にして長距離戦を駆けた姿。デルタブルース、忘れずに思い出して行きたい、ダンスインザダーク産駒の1頭です。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

*

[デルタブルース(2001.5.3)の主な競走成績]

  1. メルボルンカップ(豪GI)、菊花賞(GI)、ステイヤーズS(GII)
  2. ジャパンカップ(GI)、コーフィールドC(豪GI)、阪神大賞典(GII)

通算32戦6勝、2着2回、3着3回。

*

マイシンザン
マイシンザン

デルタブルースの主な勝ち鞍を見れば、メルボルンカップ、菊花賞、そしてステイヤーズSと、正に「長距離砲」という感があるなぁ。

ワイルドブラスター
ワイルドブラスター

はい。このサイトの管理人、デルタブルースの記事を書いて「短距離の活躍馬も良いけれど、やっぱり長距離の活躍馬も良いなぁ」と、しみじみと思ったそうです。

マイシンザン
マイシンザン

そうか。管理人自身も陸上の長距離走をやっているから、肩入れしたくなるんやろうね。

ワイルドブラスター
ワイルドブラスター

ええ。アラフィフを迎えても走っているみたいですから、なおのことですね。

https://twitter.com/northern_horse/status/1459068752163577859

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公益財団法人 ジャパンスタッドブックインターナショナル (@JAIRS_JP) on X
訃報 デルタブルースの死亡について 2004年の菊花賞を優勝し たデルタブルースが10月8日に死亡したとの連絡がありました 23歳でした 現所有者であったオールド・フレンズ・ジャパンからコメントはこちらをご覧ください

デルタブルース、23歳で逝きました。日本生産調教馬として史上初めてメルボルンカップを制した偉業は、いつまでも語り継がれます。21世紀の超長距離砲、本当にお疲れ様でした。合掌。

#2023年05月03日(水)初出、2024年10月11日(金)記事改め。

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