思い出の女馬を辿る(其の拾壱)-サクセスストレイン(1998.4.9)-

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サクセスストレイン 牝 鹿毛 1998.4.9生 新冠・明和牧場生産 馬主・鈴木芳夫氏 美浦・稲葉隆一厩舎

サクセスストレイン(1998.4.9)の4代血統表
ティッカネン
芦毛 1991.1.23
種付け時活性値:1.50
Cozzene
芦毛 1980.5.8
Caro
芦毛 1967.4.11
フオルテイノ 1959.4.19
Chambord 1955
Ride the Trails
鹿毛 1971.5.28
Prince John 1953.4.6
Wildwook 1965.5.18
Reiko
鹿毛 1979.1.29
★ターゴワイス
黒鹿毛 1970.4.10
Round Table 1954.4.6
Matriarch 1964.3.3
Beronaire
栗毛 1974.2.13
★リベロ 1965.3.13
ノーラツク 1968.4.25
キャリイアウト
栗毛 1989.5.3
仔受胎時活性値:2.00
ノーアテンシヨン
鹿毛 1978.3.1
種付け時活性値:0.50
Green Dancer
鹿毛 1972.4.14
Nijinsky 1967.2.21
Green Valley 1967
No No Nanette
芦毛 1973.2.4
★Sovereign Path 1956
Nuclea 1961
ポトマツクチエリー
鹿毛 1981.3.13
仔受胎時活性値:1.75
ノーザンテースト
栗毛 1971.3.15
種付け時活性値:0.25
Northern Dancer 1961.5.27
Lady Victoria 1962.2.20
サンサン
黒鹿毛 1969.4.9
仔受胎時活性値:0.75
Bald Eagle
鹿毛 1955.3.29
種付け時活性値:1.25
Sail Navy
鹿毛 1958.3.26
仔受胎時活性値:0.50

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×5、Grey Sovereign5×5、Princequillo5×5×5>

サクセスストレイン(1998.4.9)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ティッカネン
(フオルテイノ系)
ノーアテンシヨン
(Nijinsky系)
ノーザンテースト
(Northern Dancer系)
Bald Eagle
(Nasrullah系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ティッカネン 5.00 叔父ネイティヴハート
(No. 7-c)
4番仔
(4連産目)

*

2001年の第36回クイーンC(GIII。東京芝1600m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 6 サクセスストレイン 牝3 53 木幡初広 1:34.7 35.4 448
[-8]
稲葉隆一 11
2 4 ハッピーパス 牝3 53 岡部幸雄 1:34.7 アタマ 35.6 448
[0]
藤沢和雄 3
3 10 ショウナンバーキン 牝3 53 横山義行 1:35.0 2 35.1 428
[-10]
大久保洋吉 15
4 8 ピンクパピヨン 牝3 53 後藤浩輝 1:35.0 クビ 35.2 398
[-10]
音無秀孝 4
5 15 フィールドサンデー 牝3 53 M.デムーロ 1:35.1 クビ 35.4 468
[-8]
山内研二 2

*

もう20年近く前になるのかと思うと時の流れの早さを思いますが、とあるPOGに参加した時、私が指名した明和牧場産馬こそ、サクセスストレインだったのです。サクセスストレインは父ティッカネン、母キャリイアウトという血統から選んだ馬でした。

父ティッカネンは、その母Reikoが和田共弘氏のオーナーブリード馬。Reikoは父ターゴワイス、母父リベロが共に0交配という0の理論チックな生産馬でした。1999年9月号の「競馬最強の法則」誌上において、期待できる種牡馬として中島国治氏も取り上げられていました。

母キャリイアウトは、実は「血とコンプレックス」の中にも登場します。久々に出走となったダンノーブル(1989.3.28)のくだり、初茜賞の競走成績が記された、72ページを確認してみてください。キャリイアウトは明和牧場産馬で高松邦夫厩舎の所属馬でした。父ノーアテンションという極め付きの長距離得意種牡馬の仔ですけれど、自身は1200mで4勝を挙げました。

そんな父母を持つサクセスストレイン。0の理論的に血統を見た時、

  1. Nearco4本掛けも4代血統構成馬の活性値が「1.50、0.50、0.25、1.25」と別数値であること
    →知的素質向上の為に別数値の組み合わせを確認
  2. 上記1.の理由に付与して、牝馬であること
    →同系交配の累代で残先祖が減る配合は、牝馬に活躍馬が多い印象を持っています
  3. 5代血統表内にクロスが3つあるものの、いずれも片方の先祖が0遺伝で無弊害化されていること
    →Princequillo(1940)5×5×5、Northern Dancer(1961.5.27)5×4、Grey Sovereign(1948)5×5
  4. 母キャリイアウトが満8歳時交配であること
    →母の活性値「2.00」を狙いました
  5. 牝系の3代母が凱旋門賞馬サンサンであること
    →近親に活躍馬あり。サクセスストレインを選んだ時点では伯父バリアントウイナー(1990.5.3)くらいでしたけれど、サクセスストレインと同い年の叔父にネイティヴハート(1998.4.3)、後に従弟マーブルチーフ(2000.3.31)も輩出されました

の5点に注意しました。ともあれ、実際走ってみるまでは、どうなるか分かりませんよね。たまたま、サクセスストレインが走ってくれただけです(^^;)

*

現年齢表記2歳冬のフェアリーS(GIII)。11番人気を跳ね返してテンシノキセキ(1998.3.29)の2着に突っ込んで来てくれた時、阪神競馬場で小躍りしていました。買っていた馬券は、単複100円ずつだったと思います。でも、ホントに嬉しかったですね。また、フェアリーSにおいて初めて確認できたサクセスストレインの走法は、クビの低い、身体全体を使った良いフォームでした。その駆ける姿を見て「ダテに重賞で2着にはなれない。馬鹿にしたものではない」と思ったものでした。

そして、3歳2戦目が↑に挙げたクイーンC。3歳初戦の菜の花賞(OP)を3番人気7着で株を落としてしまい、これまた11番人気で挑んだ一戦。赤い帽子に「茶、黄袖」の勝負服、鼻面に流星が走る鹿毛馬サクセスストレイン。スタート直後に掛かり気味になり、「あぁぁ……」と思ったことを今でも思い出します(笑)。けれど、3コーナーから4コーナーに掛けて割合に良い手応えで進んで、直線、馬場中央を堂々と駆けてきた時は、ビックリするくらいに大きな声で、自宅のテレビ画面に叫んでいました(笑)。最後の最後、最内を行くハッピーパス(1998.6.3)をアタマだけ捕らえた時、テレビ東京系の中継では矢野吉彦アナウンサーが「わずかに外、サクセスストレインか!!」と叫ばれた瞬間、大写しになったサクセスストレインが、ホントに愛しく思えましたね。狂喜乱舞でした。勝ち時計の1分34秒7は当時レース史上2位の好タイム。購入していた馬券はサクセスストレインの複勝500円と、 サクセスストレインとリトルソルジャー(1998.4.24)とのワイド100円だったと記憶しています。

#余談。リトルソルジャーは、クイーンCの前走クロッカスS(OP)を勝っていました。リトルソルジャーの母オースピス(1982.4.20)が明和牧場産馬であり、大叔父に中島氏の配合馬であるアバンティー(1979.6.15)がいます。ええ、明和牧場馬券を狙っていたのでした。

サクセスストレインのその後。2001年の3歳牝馬限定GIレースでは第61回桜花賞(GI)7着、第62回優駿牝馬(GI)4着、第6回秋華賞(GI)4着と 、いずれも「ちょいと足らず」の結果でした。「GIで甘いサンサンの仔孫」、まさにその通りの走りっぷりでした。それでも優駿牝馬、秋華賞は共にテイエムオーシャン(1998.4.9)、レディパステル(1998.4.26)、ローズバド(1998.4.29)の後に続いたのですから、「1998年生まれ世代の牝馬では4番手の評価を得ても良い」と思ったものです。

そんなサクセスストレイン。結果的にはクイーンCが最後の勝利となり、同時に20世紀の明和牧場産の牝馬として最後の重賞勝ち馬となりました。そして繁殖牝馬として繋養されたのは、新冠のビッグレッドファーム。新冠のビッグレッドファームの大部分は、元々は明和牧場の用地でした。現在も明和牧場は残っていますが、名前は変われど故郷の場所に帰れたのですから、サクセスストレインは幸せな馬だと思います。

サクセスストレインは現在は同じ新冠のコスモヴューファームで繋養されています。ゴールドシップ(2009.3.6)との間に出来た2018年生まれの産駒が私と同じ誕生日ですので、「これは20年越しで応援しないといけない」と思いました。

 

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[サクセスストレイン(1998.4.9)の主な競走成績]

  1. クイーンC(GIII)
  2. フェアリーS(GIII)

通算14戦3勝、2着1回。

*

マイシンザン
マイシンザン

サクセスストレイン。このサイトの管理人の、本当に思い出の女馬らしい。

ワイルドブラスター
ワイルドブラスター

まま、GIII1勝馬ではなかなか記事に出来ませんよね。記事の分量も多いですし、思い入れを感じます。

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