キタノカチドキ(1971.3.27)-優駿賞年度代表馬を辿る(No.3)-

Horse of the Year

キタノカチドキ 牡 鹿毛 1971.3.27生~1983.9.7没 門別・佐々木節哉氏生産 馬主・初田豊氏 栗東・服部正利厩舎

キタノカチドキ(1971.3.27)の4代血統表
テスコボーイ
黒鹿毛 1963
種付け時活性値:1.75【7】
Princely Gift
鹿毛 1951
Nasrullah
鹿毛 1940.3.2
Nearco 1935.1.24
Mumtaz Begum 1932
Blue Gem
鹿毛 1943
Blue Peter 1936.4.30
Sparkle 1935
Suncourt
黒鹿毛 1952
Hyperion
栗毛 1930.4.18
Gainsborough 1915.1.24
Selene 1919
Inquisition
黒鹿毛 1936
Dastur 1929
Jury 1929
ライトフレーム
黒鹿毛 1959.3.15
仔受胎時活性値:0.75【11】
ライジングフレーム
黒鹿毛 1947
種付け時活性値:0.75【11】
The Phoenix
鹿毛 1940
Chateau Bouscaut 1927
Fille de Poete 1935
Admirable
黒鹿毛 1942
Nearco 1935.1.24
Silvia 1927
グリンライト
栗毛 1947.4.6
仔受胎時活性値:0.75【11】
ダイオライト
黒鹿毛 1927
種付け時活性値:0.75【19】
Diophon 1921
Needle Rock 1915

栄幟
鹿毛 1938
仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】
プライオリーパーク
鹿毛 1922
種付け時活性値:1.75【15】
賀栄
栗毛 1923
仔受胎時活性値:1.50【14】

<5代血統表内のクロス:Nearco4×4>

キタノカチドキ(1971.3.27)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
テスコボーイ
(Princely Gift系)
ライジングフレーム
(Cyllene系)
ダイオライト
(Orby系)
プライオリーパーク
(Rock Sand系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
テスコボーイ 5.00 or 3.00 半妹リードスワロー
(No. 3-l フロリースカツプ系)
3番仔?
(2連産目?)

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1973年の第25回阪神3歳S(阪神芝1600m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 斤量 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 2 キタノカチドキ 牡2 54 武邦彦 1:36.2 服部正利 1
2 6 イツトー 牝2 53 高尾武士 1:36.7 3 田中好雄 3
3 8 タニノムテキ 牡2 54 小島貞博 1:37.0 1.3/4 戸山為夫 5
4 9 バンブトンオール 牡2 54 福永洋一 1:37.1 1/2 伊藤修司 4
5 1 スリーヨーク 牡2 54 稲部和久 1:37.1 アタマ 諏訪佐市 8

*

1974年の第34回皐月賞(東京芝2000m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 2 キタノカチドキ 牡3 武 邦彦 2:01.7 服部 正利 1
2 7 コーネルランサー 牡3 中島 啓之 2:01.9 1・1/2 勝又 忠 4
3 3 ミホランザン 牡3 柴田 政人 2:02.3 2・1/2 高松 三太 5
4 9 フエアーリユウ 牡3 星野 信幸 2:02.3 ハナ 橋本 輝雄 8
5 6 ニシキエース 牡3 小林 常泰 2:02.3 ハナ 森安 弘昭 6

*

1974年の第35回菊花賞(京都芝3000m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 3 キタノカチドキ 牡3 武 邦彦 3:11.9 服部 正利 1
2 11 バンブトンオール 牡3 福永 洋一 3:12.1 1・1/4 伊藤 修司 5
3 15 フエアーリユウ 牡3 星野 信幸 3:12.1 アタマ 橋本 輝雄 4
4 5 ホウスウセダン 牡3 久保 敏文 3:12.1 アタマ 久保 道雄 8
5 1 スリーヨーク 牡3 稲部 和久 3:12.1 アタマ 諏訪 佐市 2

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1974年の優駿賞年度代表馬、キタノカチドキ。駆ける姿を見れば、大柄な鹿毛の馬体に小さな顔、額に星1つも麗しく、キタノカチドキ。これはカッコいいサラブレッドの見本のような馬だと感じました。ただ、その悍性のキツさは、主戦を務められた「名人」武邦彦騎手をして難しい馬の筆頭として挙げられる程だったとか。

ともあれ、その悍性のキツさを勝負根性に昇華したキタノカチドキ。新馬、デイリー杯3歳S、オープン、阪神3歳S、きさらぎ賞、スプリングS、そして中央競馬史上初の単枠指定となった皐月賞と7戦7勝。皐月賞の勝ち時計2分1秒7はレースレコードであり、その強さと速さから第41回東京優駿も確勝と思われましたが、当年の厩務員ストライキの影響も大きかったのか、コーネルランサー(1971.4.16)の3着に終わりました。

コーネルランサー(1971.4.16)-自分の生まれ日に東京優駿を制した馬を辿る(No.3)-
コーネルランサー 牡 栗毛 1971.4.16生~1991.9.16没 荻伏・大島牧場生産 馬主・久保谷唯三氏 東京・勝又忠厩舎

ただ、敗れてもそのままで終わらなかったのが、サスガにキタノカチドキ。秋に復帰し神戸新聞杯、京都新聞杯と菊花賞の前哨戦を連勝すると、本番でも同期生14頭を引き連れて1着でゴールイン。管理された服部正利調教師の「服部ラッパ」よろしく勝鬨をあげたキタノカチドキ、単勝1.2倍の圧倒的支持に応え、見事クラシック二冠馬に輝いたのでした。

*

キタノカチドキの戦績を確認すれば[11-2-1-1]。着外に終わったのは、結果的に現役最終戦となった1975年の第20回有馬記念のみという本物の強豪馬です。戦績を更に見てみれば2000m以下のレースは[10-1-0-0]、2000m超級のレースは[1-1-1-1]。日本競馬にスピード革命を起こしたと言われた父テスコボーイから受け継いだ本質は、やはりスピードだったのでしょう。そしてまた母系が紡いだ豊かなスピードは、甥ニホンピロウイナー(1980.4.27)が「時代の申し子」として短距離GI3勝を以て示してみせました。

そのスピードを次代に継承するべく種牡馬入りしたキタノカチドキ。同父のトウショウボーイ(1973.4.15)と甥ニホンピロウイナーの種牡馬としての活躍、そして最終的には1を超えていた自身のアーニングインデックスを見るにつけ、現年齢表記12歳という比較的若い年齢での死は惜しまれます。種牡馬としての代表産駒を挙げておきますと、

  1. タカノカチドキ(1977.4.26)
    →京都4歳特別ほか。京都4歳特別では2着のグリーンチドリ(1977.3.23)もキタノカチドキ産駒でした。タカノカチドキは菊花賞ではノースガスト(1977.3.17)の3着
  2. トーワカチドキ(1979.4.29)
    →金鯱賞(GIII)ほか
  3. マチカネイシン(1982.4.8)
    →小倉大賞典(GIII)
  4. カイラスアモン(1984.4.28)
    →東京新聞杯(GIII)ほか。甥にマイネルレコルト(2002.5.10)

という4頭の中央重賞勝ち馬の他にも、安田記念(GI)2着のホリノカチドキ(1982.5.10)、GIII2着4回のカシマアーバン(1980.4.24)、そして大井の東京3歳優駿牝馬の勝ち馬ラドンナリリー(1979.5.12)-リンデンリリー(1988.3.16)の母-等を送り込みました。時代が下って21世紀の活躍馬では、母方のPrincely Gift系3段掛けが大変気になったコスモバルク(2001.2.10)の曾祖母父にキタノカチドキの名前が見えます。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[キタノカチドキ(1971.3.27)の主な競走成績]

  1. 皐月賞、菊花賞、阪神3歳S、マイラーズC、京都新聞杯、神戸新聞杯、スプリングS、デイリー杯3歳S、きさらぎ賞
  2. 天皇賞・春
  3. 東京優駿

通算15戦11勝、2着2回、3着1回。

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