コスモドリーム(1985.6.13)-五十音にて名馬を辿る(No.10)-

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コスモドリーム 牝 鹿毛 1985.6.13生~2015.2没 白老町・上田牧場生産 馬主・田邉 廣己氏 栗東・松田 博資厩舎

コスモドリーム(1985.6.13)の4代血統表
ブゼンダイオー
鹿毛 1974.5.25
種付け時活性値:0.50【10】
ダイコーター
鹿毛 1962.6.8
ヒンドスタン
黒鹿毛 1946
Bois Roussel 1935
Sonibai 1939
ダイアンケー
鹿毛 1950.4.12
★Lillolkid 1941
Bonnie Luna 1941
アランバード
鹿毛 1963.5.9
アドミラルバード
黒鹿毛 1952
Nearco 1935.1.24
Woodlark 1944
アランデール
鹿毛 1952.10.10
Propontis 1941
Frillora 1945
スイートドリーム
鹿毛 1979.4.18
仔受胎時活性値:1.25【5】
ラツキーソブリン
鹿毛 1974.1.28
種付け時活性値:1.00【4】
Nijinsky
鹿毛 1967.2.21
Northern Dancer 1961.5.27
Flaming Page 1959.4.24
Sovereign
鹿毛 1965
Pardao 1958
Urshalim 1951
ゲラン
栗毛 1964.5.30
仔受胎時活性値:1.50【14】
ソロナウエー
鹿毛 1946
種付け時活性値:0.25【17】
Solferino 1940
Anyway 1935
ミスブゼン(NZ)
栗毛 1952.9.5
仔受胎時活性値:0.625【10.5】
Summertime(GB)
黒鹿毛 1946
種付け時活性値:1.375【5.5】
Imperial Gold(NZ)
栗毛 1945
仔受胎時活性値:1.50【6】

<5代血統表内のクロス:Bois Roussel4×5(父方)>

コスモドリーム(1985.6.13)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ブゼンダイオー
(Bois Roussel系)
ラツキーソブリン
(Nijinsky系)
ソロナウエー
(Fairway系)
Summertime
(Hurry On系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Summertime 4.875 従弟オースミシャダイ
(No. 18 ミスブゼン系)
初仔
(不受胎後)

*

1988年の第49回優駿牝馬(GI。東京芝2400m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 9 コスモドリーム 牝3 熊澤 重文 2:28.3 松田 博資 10
2 19 マルシゲアトラス 牝3 南井 克巳 2:28.5 1・1/2 宇田 明彦 11
3 6 アインリーゼン 牝3 東 信二 2:28.8 1・3/4 新関 力 4
4 18 フリートーク 牝3 増沢 末夫 2:28.8 クビ 鈴木 康弘 6
5 7 シヨノロマン 牝3 武 豊 2:29.1 1・3/4 庄野 穂積 2

1988年の第49回優駿牝馬。母スイートドリームが不受胎後の初仔であるコスモドリーム、優駿牝馬当日が東京競馬場における初騎乗だった熊沢重文騎手を背に道中馬群外側から徐々に位置を押し上げ、直線では馬場中央を力強く伸びました。勝ちっぷりだけを見ると、とても10番人気馬の走りには見えなかったコスモドリーム。鞍上の熊沢騎手は20歳3ヶ月という、2022年現在も残るJRAにおける優駿牝馬の最年少勝利記録でGI初勝利、管理される松田博資調教師もGI初勝利と相成りました。後にベガ(1990.3.8)ブゼンキャンドル(1996.4.24)ブエナビスタ(2006.3.14)レーヴディソール(2008.4.8)ジョワドヴィーヴル(2009.5.13)ハープスター(2011.4.24)など幾多の名牝を管理されることになる「牝馬作りの名人」であった松田師、その手腕の確かさを見せ付けた、初めてのGI制覇でもありました。

松田師の管理馬には、牡馬ですとアドマイヤドン(1999.5.17)タイムパラドックス(1998.5.23)アドマイヤムーン(2003.2.23)等がいます。また松田師ご自身がジャンプレースの名騎手であったことから、1980年代から1990年代の初頭にはブルキング(1978.5.7)、ヒカリファミリー(1979.4.20)、ブリージーラッド(1981.3.8)、カルストンファスト(1983.3.13)、ビックフォルテ(1988.5.3)等ジャンプレースの活躍馬も多く見られました。コスモドリームの生産である上田牧場は炭鉱王・上田清次郎氏が興した牧場として知られますが、上田氏の持ち馬にはジャンプレースの活躍馬も多かったため「平地はもちろんジャンプ」でも、という生産姿勢を取られていたことでも知られており、松田師も縁が深かったのでしょう。活躍馬を多く抱えられていた松田師がテレビの画面に映られる際、お召になっていた姿も印象に残る松田厩舎の「黄、黒元禄、黄袖」という調教服は、上田氏や上田牧場の勝負服と同じデザイン。その勝負服でビックリを見せ付けられたのがブゼンキャンドルの秋華賞(GI)でしたね^^;

さて、コスモドリームの生い立ちはよく知られているところです。今一度引いておきますと、

父・ブゼンダイオーはダイコーター産駒の条件馬で、4歳時(1977年)には毎日杯で2番人気に推されたが7着であった。引退後は上田牧場で自家用種牡馬になったものの、実際には当て馬が主な仕事となっていた。母・スイートドリームは未出走馬で、血統的に特筆すべきところはなかった。(中略)スイートドリームは後ろに立った馬を蹴り上げようとする悪癖があり、高価な種牡馬を種付けするにはリスクが大きかった。それでも何とかモガミを種付けしたものの不受胎となったため、万が一蹴り飛ばされても損害が少ないという理由でブゼンダイオーに練習用種牡馬として白羽の矢が立った。1985年にコスモドリームが誕生するが、誕生日は6月13日という遅生まれであった。

コスモドリーム – Wikipedia

また、コスモドリームについては「血とコンプレックス」でもチラっと触れられています。併せて引いておきますと、

いろいろな要素を最適に配合すれば、安い種付け料の種牡馬の産駒でも十分にGIを勝てるのである。メジロパーマーの父メジロイーグルで50万、ミホノブルボンの父マグニテュードで15万、オグリキャップの父ダンシングキャップの種付け料は5万、コスモドリームの父ブゼンダイオーに至っては無料であった。

KKベストセラーズ、中島国治著「血とコンプレックス」、P273より-

1985年生まれ世代、同い年のチャンスブレッドどうしの戦いは現年齢表記3歳時の1988年の高松宮杯(GII)で実現しており、オグリキャップ(1985.3.27)、ランドヒリュウ(1982.4.12)に続いた3着馬こそ、優駿牝馬勝ちから果敢に挑んだコスモドリームでした。

昭和最後の牝馬クラシック勝ち馬であり、名種牡馬ヒンドスタンを直父系に持つ最後のJRA・GI勝ち馬でもあった、コスモドリーム。自身と共に東京芝2400mを駆けた熊沢騎手は、34年を経た2022年の今もなお現役の騎手として活躍されていますが、2月の落馬負傷により現在も加療中の模様。コスモドリーム、空の上から熊沢騎手を見守っていてあげてください。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

*

[コスモドリーム(1985.6.13)の主な競走成績]

  1. 優駿牝馬(GI)
  2. 京都大賞典(GII)、小倉記念(GIII)
  3. 高松宮杯(GII)

通算13戦4勝、2着3回、3着3回。

*

ワイルドブラスター
ワイルドブラスター

このサイトの管理人、松田調教師と熊沢騎手の組み合わせですと、「父の名はロングファスト」と紹介されていた、1993年7月号の月刊『優駿』のビックフォルテさんの京都大障害・春を思い出す、ですって。

マイシンザン
マイシンザン

初めて購入した月刊『優駿』やから、印象に残ったんやな。

ワイルドブラスター
ワイルドブラスター

兄さんのNHK杯(GII)勝ちの記事も載っていましたし。あっ、熊沢騎手と言えば、兄さんの朝日チャレンジC(GIII)勝ちの時の鞍上でしたね。

マイシンザン
マイシンザン

そう。ミキオさんと競馬学校同期の熊沢さんにもお世話になったんよ。3角から4角、押して押して、最後まで鼓舞してくれはった。感謝。

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