アスクビクターモア(2019.4.1)-第83回菊花賞(GI)の勝ち馬+α-

Result

アスクビクターモア 牡 鹿毛 2019.4.1生 千歳市・社台ファーム生産 馬主・廣崎利洋HD(株) 美浦・田村 康仁厩舎

アスクビクターモア(2019.4.1)の4代血統表

ディープインパクト
鹿毛 2002.3.25
種付け時活性値:0.00【16】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
ウインドインハーヘア
鹿毛 1991.2.20
Alzao
鹿毛 1980.2.28
Lyphard 1969.5.10
Lady Rebecca 1971.2.28
Burghclere
鹿毛 1977.4.26
Busted 1963
Highclere 1971.4.9
カルティカ
鹿毛 2007.2.1
仔受胎時活性値:0.75【11】
Rainbow Quest
鹿毛 1981.5.15
種付け時活性値:0.25【25】
Blushing Groom
栗毛 1974.4.8
Red God 1954.2.15
Runaway Bride 1962
I Will Follow
鹿毛 1975.4.29
▲Herbager 1956.4.19
Where You Lead 1970.4.23
Cayman Sunset
栗毛 1997.4.19
仔受胎時活性値:0.25【9】
★Night Shift
鹿毛 1980.4.4
種付け時活性値:0.00【16】
Northern Dancer 1961.5.27
Ciboulette 1961.5.19
Robinia
栗毛 1986.3.30
仔受胎時活性値:0.50【10】
Roberto
鹿毛 1969.3.16
種付け時活性値:0.00【16】
Royal Graustark
栗毛 1974.4.16
仔受胎時活性値:0.75【11】

<5代血統表内のクロス:Hail to Reason4×5、Northern Dancer4×5>

アスクビクターモア(2019.4.1)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ディープインパクト
(サンデーサイレンス系)
Rainbow Quest
(Blushing Groom系)
★Night Shift
(Northern Dancer系)
Roberto
(Hail to Reason系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Rainbow Quest
(カルティカ)
2.25 半姉が欧州GI2勝馬
(No. 1-l)
6番仔?
(2連産目?)

*

2022年の第83回菊花賞(GI。阪神芝3000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 14 アスクビクターモア 牡3 57 田辺 裕信 3:02.4 レコード 2-2-2-1 36.9 476
[0]
田村 康仁 2
2 4 ボルドグフーシュ 牡3 57 吉田 隼人 3:02.4 ハナ 12-13-10-4 36.3 496
[0]
宮本 博 7
3 17 ジャスティンパレス 牡3 57 鮫島 克駿 3:02.5 1/2 8-6-6-4 36.5 452
[0]
杉山 晴紀 4
4 11 ドゥラドーレス 牡3 57 横山 武史 3:03.4 5 12-12-10-9 37.2 490
[-4]
宮田 敬介 3
5 9 シホノスペランツァ 牡3 57 浜中 俊 3:03.4 クビ 16-16-16-13 36.8 478
[0]
寺島 良 17

2022年の第83回菊花賞。見る側としては非常に面白い競馬となりました。スタートダッシュ良く逃げたセイウンハーデス(2019.4.8)が刻んだラップは1000m通過が58秒7、2000m通過が2分1秒4。JRAの「菊花賞(過去GⅠ成績) JRA」のページにおいて、ラップタイムの記録が残る1986年の第47回以降を確認してみましたが、2000m通過が2分1秒台を記録したのは今回の第83回が初めてのこと。2000mを超えてもずっと厳しい流れが続き、2200m通過2分13秒5、2400m通過2分25秒4、2600m通過2分37秒3と菊花賞史上最速のラップを刻みました。2800m通過でようやくトーホウジャッカル(2011.3.11)が3分1秒0という超抜の時計で駆けた第75回のラップ2分49秒4が上回るのですが、

トーホウジャッカル(2011.3.11)-思い出のGI1勝馬を辿る(其の弐拾参)-
トーホウジャッカル 牡 栗毛 2011.3.11生 日高町・竹島 幸治氏生産 馬主・東豊物産(株) 栗東・谷 潔厩舎

今回も2分49秒5と僅かに0秒1差。その後のラスト1ハロンが「淀の芝外回りの坂越え」と「仁川の芝の最後の坂」の差なのでしょう。

2014年の第75回菊花賞(GI)の1F毎のラップタイムとラップの累計タイム
1F毎の
ラップ
13.0-12.0-12.0-12.0-11.9-
11.7-12.4-12.5-12.3-12.4-
12.2-11.7-11.7-11.6-11.6
ラップの
累計タイム
13.0-25.0-37.0-49.0-1:00.9-
1:12.6-1:25.0-1:37.5-1:49.8-2:02.2-
2:14.4-2:26.1-2:37.8-2:49.4-3:01.0
2022年の第83回菊花賞(GI)の1F毎のラップタイムとラップの累計タイム
1F毎の
ラップ
12.3-10.9-11.7-11.9-11.9-
12.1-12.6-13.3-12.6-12.1-
12.1-11.9-11.9-12.2-12.9
ラップの
累計タイム
12.3-23.2-34.9-46.8-58.7-
1:10.8-1:23.4-1:36.7-1:49.3-2:01.4-
2:13.5-2:25.4-2:37.3-2:49.5-3:02.4

流れに流れて消耗戦となった今回はラスト1ハロンが12秒9。けれど、その12秒9をふるい出したアスクビクターモアと田辺裕信騎手の頑張りに、競馬の神様が「ハナ」だけ微笑みました。いやぁ、やっぱり最後は前々で必死に粘っていたアスクビクターモアと田辺騎手をメッチャ応援してしまいましたよ^^;。そうして終わってみれば、春に弥生賞(GII)を勝って皐月賞(GI)でジオグリフ(2019.2.25)の5着、東京優駿(GI)でドウデュース(2019.5.7)の3着と結果を出していたアスクビクターモア、

ジオグリフ(2019.2.25)-第82回皐月賞(GI)の勝ち馬-
ジオグリフ 牡 栗毛 2019.2.25生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 美浦・木村 哲也厩舎
ドウデュース(2019.5.7)-第89回東京優駿(GI)の勝ち馬-
ドウデュース 牡 鹿毛 2019.5.7生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(株)キーファーズ 栗東・友道 康夫厩舎

昨年の第82回のタイトルホルダー(2018.2.10)に続いて「弥生賞馬による阪神開催の菊花賞制覇」を遂げたのでした。

タイトルホルダー(2018.2.10)-第82回菊花賞(GI)の勝ち馬-
タイトルホルダー 牡 鹿毛 2018.2.10生 新ひだか町・岡田スタツド生産 馬主・山田 弘氏 美浦・栗田 徹厩舎

併せて阪神芝3000mの走破時計3分2秒4は菊花賞史上2位の好時計であると共に、第60回を制したナリタトップロード(1996.4.4)が2001年の阪神大賞典(GII)で叩き出した3分2秒5を0秒1上回る、阪神芝3000mのコースレコード。

年度代表馬の同期生を辿る(其の弐拾弐)-ナリタトップロード(1996.4.4)-
ナリタトップロード 牡 栗毛 1996.4.4生~2005.11.7没 門別町・佐々木牧場生産 馬主・山路 秀則氏 栗東・沖 芳夫厩舎

アスクビクターモア、強い競馬だったと思います。田辺騎手の勝ちに行く競馬と共に、本当にお見事でした。

*

またnetkeiba.comの記事

【菊花賞結果】アスクビクターモアが横綱相撲で押し切りV!ディープ産駒はクラシック歴代最多24勝目 | 競馬ニュース - netkeiba
23日、阪神競馬場で行われた菊花賞(3歳・牡牝・GI・芝3000m)は、逃げ馬から離れた2番手に付けた田辺裕信騎手騎乗の2番人気アスクビクターモア(牡3、美浦・田村康仁厩舎)が、2周目3・4コーナー… No.1競馬情報サイト「netkeib...

によりますとディープインパクト産駒は種牡馬歴代最多となる菊花賞5勝目かつ、種牡馬歴代最多となるクラシック競走24勝目ということ。ディープインパクト産駒の菊花賞馬を確認すれば、第77回のサトノダイヤモンド(2013.1.30)、第79回のフィエールマン(2015.1.20)、第80回のワールドプレミア(2016.2.1)、第81回のコントレイル(2017.4.1)、そして第83回のアスクビクターモア。

第77回菊花賞(GI)の勝ち馬。
サトノダイヤモンド 牡 鹿毛 2013.1.30生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・里見治氏 栗東・池江泰寿厩舎 サトノダイヤモンド(2013.1.30)の4代血統表 ディープインパクト 鹿毛 2002.3.25 種付け時活性値:0.50...
第79回菊花賞(GI)の勝ち馬-フィエールマン(2015.1.20)-
フィエールマン 牡 鹿毛 2015.1.20生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 美浦・手塚貴久厩舎
第80回菊花賞(GI)の勝ち馬-ワールドプレミア(2016.2.1)-
ワールドプレミア 牡 黒鹿毛 2016.2.1生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・大塚亮一氏 栗東・友道康夫厩舎
コントレイル(2017.4.1)-第81回菊花賞(GI)の勝ち馬。史上初、父仔2代の無敗の三冠、成る-
コントレイル 牡 青鹿毛 2017.4.1生 新冠・(株)ノースヒルズ生産 馬主・前田晋二氏 栗東・矢作芳人厩舎アリストテレス 牡 鹿毛 2017.4.8生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・近藤英子氏 栗東・音無秀孝厩舎

先達の4頭はいずれも複数GI勝ちを収めていますので、アスクビクターモアにも期待したいと思います。そしてまた今年の五大クラシックの勝ち馬を見れば、桜花賞(GI)と優駿牝馬(GI)の牝馬二冠を遂げたスターズオンアース(2019.2.27)、

スターズオンアース(2019.2.27)-第82回桜花賞(GI)の勝ち馬-
スターズオンアース 牝 黒鹿毛 2019.2.27生 千歳市・社台ファーム生産 馬主・(有)社台レースホース 美浦・高柳 瑞樹厩舎
スターズオンアース(2019.2.27)-第83回優駿牝馬(GI)の勝ち馬-
スターズオンアース 牝 黒鹿毛 2019.2.27生 千歳市・社台ファーム生産 馬主・(有)社台レースホース 美浦・高柳 瑞樹厩舎

菊花賞のアスクビクターモアと3勝が「千歳市・社台ファーム生産」によるものです。春に「社台本流が巻き返しに掛かっている感もある」とスターズオンアースの桜花賞、優駿牝馬の勝利時に記しましたけれど、秋の菊花賞でもその意を強くしました。アスクビクターモアはもちろんですが、今回の菊花賞2着のボルドグフーシュ(2019.3.23)は、スターズオンアースと同じ「千歳市・社台ファーム生産 馬主・(有)社台レースホース」です。

そんな訳で「こんな辺境WEBやのに、今週はたくさん閲覧していただいているなぁ。菊花賞やもんなぁ。でも『非根幹距離はRoberto系』ならば、この馬をアップできていない。きっと本当は神戸新聞杯3着馬も確認されたかったやろうなぁ」と思ってしまいましたので、惜しくもハナ差2着だったボルドグフーシュの4代血統表をアップしておきます。遅きに失して、誠に申し訳ない。

ボルドグフーシュ 牡 栗毛 2019.3.23生 千歳市・社台ファーム生産 馬主・(有)社台レースホース 栗東・宮本 博厩舎

ボルドグフーシュ(2019.3.23)の4代血統表
スクリーンヒーロー
栗毛 2004.4.18
種付け時活性値:1.50【14】

グラスワンダー
栗毛 1995.2.18
Silver Hawk
鹿毛 1979.4.20
Roberto 1969.3.16
Gris Vitesse 1966.3.2
Ameriflora
鹿毛 1989.1.29
Danzig 1977.2.12
Graceful Touch 1978.4.13
ランニングヒロイン
鹿毛 1993.4.8
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
ダイナアクトレス
鹿毛 1983.5.4
ノーザンテースト 1971.3.15
モデルスポート 1975.2.23
ボルドグザグ
芦毛 2009.4.12
仔受胎時活性値:0.25【9】
Layman
栗毛 2002.4.7
種付け時活性値:1.50【6】
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
ライール
芦毛 1996.3.31
Nureyev 1977.5.2
Alydaress 1986.4.1
Belga Wood
芦毛 1996.2.24
仔受胎時活性値:1.00【12】
Woodman
栗毛 1983.2.17
種付け時活性値:1.00【12】
Mr. Prospector 1970.1.28
プレイメイト 1975.4.12
Madame Belga
芦毛 1990.5.4
仔受胎時活性値:1.25【5】
Al Nasr
黒鹿毛 1978.2.11
種付け時活性値:0.75【11】
Belga
芦毛 1968.2.7
仔受胎時活性値:1.25【21】

<5代血統表内のクロス:サンデーサイレンス3×3、Hail to Reason5×5×5、Northern Dancer5×5×5>

ボルドグフーシュ(2019.3.23)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
スクリーンヒーロー
(Roberto系)
Layman
(サンデーサイレンス系)
Woodman
(Mr. Prospector系)
Al Nasr
(Lyphard系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
スクリーンヒーロー 3.75 母が仏GIII勝ち馬
(No. 16-b)
7番仔
(8連産目)

ボルドグフーシュ、その馬名意味は「幸せな英雄(ハンガリー語)」ということ。今回の2着に関して、ボルドグフーシュを管理される宮本博調教師のコメント、

良く走ってます。神様はまだ私にGIを獲るな、と言ってるのだと思います。

【菊花賞レース後コメント】アスクビクターモア田辺裕信騎手ら | 競馬ニュース – netkeiba.com

が重く響きます。勝負の厳しさを思うと共に、ボルドグフーシュが宮本師にGIの栄冠をもたらせてくれることを願います。

*

という訳で、メチャクチャ長い記事となってしまいました。2022年のクラシック最終戦は素晴らしく見応えのある一戦でした。まずは出走18騎の馬人に疲れが残らないことを祈りつつ、次なる戦いが馬人にとって、どうぞ良きものでありますように。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

#2023年08月11日(金)追記。一昨日、不意に流れて来たニュースに「えっ!!」と大きな声を上げてしまいました。アスクビクターモア、その血統構成とその強さから応援したくなる馬でした。特に東京優駿3着時に見せた粘り腰から

#終始先行2番手から3着に頑張ったアスクビクターモア(2019.4.1)。ハイラップの中、最後もダノンベルーガ(2019.2.7)に交わされず「クビ」だけ先んじたところに根性と能力を感じました。だいぶん強いと思います。0の理論的な見解からは秋以降のほうが楽しみが大きいですし、弥生賞(GII)馬は菊花賞(GI)でも好成績を残す印象がありますので、三冠最終戦に進むのであれば注目したいと思います。

と書いていて、菊花賞を勝ってくれた時は本当に嬉しかった。まだまだ現在進行系で書けるはずだったアスクビクターモアについて、過去形で書かなければいけないという事実。今はただ、アスクビクターモアとの不意の別れを惜しむばかりです。合掌。

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