Lyphard(1969.5.10)-北の踊り子とその子孫を辿る(No.3)-

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Lyphard(リファール) 牡 鹿毛 1969.5.10生~2005.6.10没 米国・J. O. Burgwin生産 馬主・Germaine Wertheimer 仏国・Alec Head厩舎

Lyphard(1969.5.10)の4代血統表
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
種付け時活性値:1.75【7】
Nearctic
黒鹿毛 1954.2.11
Nearco
黒鹿毛 1935.1.24
Pharos 1920.4.4
Nogara 1928
Lady Angela
栗毛 1944
Hyperion 1930.4.18
Sister Sarah 1930
Natalma
鹿毛 1957.3.26
Native Dancer
芦毛 1950.3.27
Polynesian 1942.3.8
Geisha 1943
Almahmoud
栗毛 1947.5.18
Mahmoud 1933
Arbitrator 1937
Goofed
栗毛 1960.3.29
仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】
Court Martial
栗毛 1942.3.20
種付け時活性値:0.25【17】
▲Fair Trial
栗毛 1932
Fairway 1925.4.15
Lady Juror 1919
Instantaneous
鹿毛 1931
▲Hurry On 1913.5.7
Picture 1925
Barra
栗毛 1950
仔受胎時活性値:0.25【9】
Formor
栗毛 1934
種付け時活性値:1.75【15】
Ksar 1918
Formose 1923
La Favorite
鹿毛 1934
仔受胎時活性値:1.75【15】
Biribi
芦毛 1923
種付け時活性値:0.50【10】
La Pompadour
栗毛 1922
仔受胎時活性値:0.75【11】

<5代血統表内のクロス:Phalaris5×5、Scapa Flow5×5、Gainsborough5×5>

Lyphard(1969.5.10)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Northern Dancer
(Nearctic系)
Court Martial
(Fair Trial系)
Formor
(Ksar系)
Biribi
(Rabelais系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Northern Dancer 4.75 or 2.75 半妹Nobiliary
(No. 17-b)
3番仔?
(2連産目?)

*

1972年の第51回ジャック・ル・マロワ賞(仏GI。ドーヴィル芝1600m)の結果(上位3頭)

馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 Lyphard 牡3 54 Freddy Head 1:38.2 Alec Head
2 High Top 牡3 54 William Carson  
3 Jan Ekels 牡3 54 Jimmy Lindley  

*

1972年の第107回フォレ賞(仏GI。ロンシャン芝1400m)の結果(上位5頭)

馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 Lyphard 牡3 61 Freddy Head 1:23.7 Alec Head
2 Martinmas 牡3 61 P Waldron  
3 Libelinha 牝2 49.5 L Auriemma  

*

北の踊り子の馬名連想。前回のNijinsky(1967.2.21)はヴァーツラフ・ニジンスキー

Nijinsky(1967.2.21)-北の踊り子とその子孫を辿る(No.2)-
Nijinsky(ニジンスキー) 牡 鹿毛 1967.2.21生~1992.4.15没 加国・Edward P.Taylor生産 馬主・Charles W. Engelhard Jr. 愛国・Vincent O'Brien厩舎

今回のLyphardはニジンスキーの妹であるブロニスラヴァ・ニジンスカの下で学んだセルジュ・リファールに由来するということ。

そんなLyphardについて、中島国治氏がチラッとだけ述べられていた記事を引いておきます。

リファール(lyhpard 1969年)はアメリカ産であるが、同馬はフランス、イギリスで活躍した。今年8月16日に日本のタイキシャトルが勝利したジャック・ル・マロワ賞(GI)の勝馬で他ではフォレ賞(GI)に勝っている。同馬は1973年にフランスで種牡馬となり、1978年からアメリカで供用された。馬体が小さいことから、ザ・リトル・リッチマンの渾名がついたほどに種付料を稼いだ名種牡馬であった。

KKベストセラーズ、「競馬最強の法則」1998年10月号、P85より引用-

Lyphardは父Northern Dancerと同じく体高が15.2ハンド(≒154.4cm)程の小柄な馬でした。額に流れる大きな流星も受け継いだLyhpard、よく似たのは容姿だけではなく、種牡馬成績も父に勝るとも劣らない大成功を収めました。以下にLyphardの代表産駒を示しておきますと、

  1. Durtal(1974.4.9)
    →チェヴァリーパークS(英GI)ほか。牝馬
  2. Pharly(1974.4.22)
    →ムーラン・ド・ロンシャン賞(仏GI)、フォレ賞(仏GI)、リュパン賞(仏GI)ほか
  3. Dancing Maid(1975.4.29)
    →仏1000ギニー(GI)、ヴェルメイユ賞(仏GI)ほか。牝馬
  4. Reine de Saba(1975.5.7)
    →ディアヌ賞(仏GI)、サンタラリ賞(仏GI)。牝馬
  5. Three Troikas(1976.1.25)
    →凱旋門賞(仏GI)、仏1000ギニー(GI)、ヴェルメイユ賞(仏GI)、サンタラリ賞(仏GI)ほか。牝馬
  6. リファーズウィッシュ(1976.3.18)
    →ユナイテッドネイションズH(米GI)ほか。GIII2勝のウィッシュドリーム(1989.5.11)の父
  7. Chain Bracelet(1977.2.27)
    →トップフライトH(米GI)ほか。牝馬
  8. Monteverdi(1977.4.10)
    →デューハーストS(英GI)ほか。エイシンプレストン(1997.4.9)★の母父
  9. Al Nasr(1978.2.11)★
    →イスパーン賞(仏GI)ほか。輸入種牡馬ナスルエルアラブ(1985.3.27)の父
  10. Lydian(1978.2.25)★
    →ベルリン大賞(独GI)、ミラノ大賞(伊GI)ほか
  11. サング(1978.3.30)★
    →イエローリボン招待S(米GI)、メイトリアークS(米GI)、ヴァニティH(米GI)ほか。牝馬
  12. Au Point(1980.5.7)
    →ドワイヤーS(米GI)
  13. Esprit du Nord(1980.4.5)
    →オイロパ賞(独GI)、ミラノ大賞(伊GI)ほか。1983年、1984年とジャパンカップ(GI)に連続出走したエスプリデュノール。1983年はStanerra(1978.5.4)の3着
  14. Sabin(1980.3.12)
    →イエローリボン招待S(米GI)、ゲイムリーH(米GI)ほか。牝馬
  15. Ends Well(1981.4.8)
    →ユナイテッドネイションズH(米GI)ほか
  16. ダハール(1981.5.7)
    →リュパン賞(仏GI)、センチュリーH(米GI)、サンルイレイS(米GI)、サンフアンカピストラーノ招待H(米GI)ほか。母が世紀の名牝Dahlia(1970.3.25)、半弟が輸入種牡馬リヴリア(1982.4.20)。ダハールが制したサンルイレイSはシンボリルドルフ(1981.3.13)も出走していました
  17. ダンシングブレーヴ(1983.5.11)
    →凱旋門賞(仏GI)、”キング・ジョージ”(英GI)、英2000ギニー(GI)、エクリプスS(英GI)ほか。1980年代欧州最強馬。後述のJolyphaの全兄
  18. Manila(1983.2.5)
    →ブリーダーズカップ・ターフ(米GI)、アーリントンミリオンS(米GI)、ユナイテッドネイションズH(米GI)2回、ターフクラシックS(米GI)ほか
  19. Riviere D’or(1985.1.31)
    →サンタラリ賞(仏GI)ほか。牝馬。ガロアクリーク(2017.2.27)の曾祖母
  20. Ensconse(1986.3.20)★
    →愛1000ギニー(GI)ほか。牝馬
  21. Pearl Bracelet(1986.2.17)★
    →仏1000ギニー(GI)。牝馬
  22. Jolypha(1989.4.20)
    →ディアヌ賞(仏GI)、ヴェルメイユ賞(仏GI)ほか。牝馬。上述のダンシングブレーヴの全妹
  23. Queens Court Queen(1989.2.26)
    →サンタマルガリータ招待H(米GI)、サンタマリアH(米GI)ほか。牝馬
  24. スキーパラダイス(1990.5.12)
    →ムーラン・ド・ロンシャン賞(仏GI)ほか。牝馬。1994年のムーラン・ド・ロンシャン賞で武豊騎手に海外GI初勝利をプレゼント
  25. Goldmark(1992.1.20)
    →仏グランクリテリウム(GI)ほか

代表産駒全般に言えるのは「仏米の芝GI勝ち馬が多い」ということでしょう。「芝向きのスピード、瞬発力」というのが、私が競馬を見始めた頃のLyphardの血を持つ馬の印象でした。そしてまたLyphard直仔のGI勝ち馬の牡牝割合を見れば25頭中12頭が牡馬、13頭が牝馬です。牡馬産駒にGI勝ち馬が寄ったNijinskyとの相違点が見て取れます。Nijinsky直仔のGI級レース勝ち馬の牡牝割合を見れば、35頭中27頭が牡馬、8頭が牝馬です。

ともあれ、Lyphardの代表産駒の巨頭は1983年生まれ世代の牡馬2頭。かたやダンシングブレーヴは1980年代欧州最強馬。

日本に輸入された凱旋門賞馬を辿る(其の肆)-ダンシングブレーヴ(1983.5.11)&トニービン(1983.4.7)-
ダンシングブレーヴ(Dancing Brave) 牡 鹿毛 1983.5.11生~1999.8.2没 米国・Glen Oak Farm & Gainesway Farm生産 馬主・Khalid Abdullah 英国・Guy Harwood厩舎 トニービン(Tony Bin) 牡 鹿毛 1983.4.7生~2000.3.10没 愛国・P. J. B. O'Callaghan生産 馬主・Allevamento White Star 伊国・Luigi Camici厩舎

こなたManilaは米国競馬名誉の殿堂入り。両巨頭は1986年の第3回ブリーダーズカップ・ターフで直接対決を果たし、Manilaが1着、ダンシングブレーヴが4着という結果でした。

この第3回ブリーダーズカップ・ターフは9頭立てではありましたが超強力なメンバーが揃っており、2着Theatrical(1982.3.13)、3着Estrapade(1980.3.31)-クリミナルタイプ(1985.3.29)の半姉-の他、ダハール、Darara(1983.5.11)-Darshaan(1981.4.18)の半妹にして後にGI馬4頭を送る名繁殖牝馬-、アイバーズイメージ(1983.2.23)、Pillaster(1982.2.16)等GI勝ち馬が目白押しの一戦でした。そうして9頭中3頭がLyphard産駒のGI馬だったのは、サスガは名種牡馬Lyphardというところです。

Lyphardの血は、日本の軽快な馬場にも合致しました。直父系にLyphardを持つ馬で日本において活躍した種牡馬を生年順に確認しておきますと、

  1. リイフオー(1975.4.1)
    →仏3勝。クインシー賞(仏GIII)。ニッポーテイオー(1983.4.21)の父。海外繋養時の産駒にトロメオ(1980.5.10)-ダイワテキサス(1993.4.2)の父-、Royal Heroine(1980.5.12)、サンキリコ(1985.3.30)-ダンツフレーム(1998.4.19)&アローキャリー(1999.3.1)の母父-等
  2. モガミ(1976.5.18)
    →仏3勝。フォール賞(仏L)。シリウスシンボリ(1982.3.26)メジロラモーヌ(1983.4.9)レガシーワールド(1989.4.23)ブゼンキャンドル(1996.4.24)等の父。他に中山大障害勝ち馬5頭
  3. ダンシングブレーヴ(1983.5.11)
    →上述。日本導入後の産駒にエリモシック(1993.3.19)キョウエイマーチ(1994.4.19)、キングヘイロー(後述)、テイエムオーシャン(1998.4.9)等。海外繋養時の産駒に後述のコマンダーインチーフ、ホワイトマズルほか
  4. コマンダーインチーフ(1990.5.18)
    →英愛5勝。英ダービー(GI)、愛ダービー(GI)。アインブライド(1995.4.14)レギュラーメンバー(1997.6.16)等の父
  5. ホワイトマズル(1990.3.21)
    →海外中央6勝。伊ダービー(GI)。スマイルトゥモロー(1999.4.20)★、イングランディーレ(1999.5.21)★、シャドウゲイト(2002.3.23)アサクサキングス(2004.3.23)ニホンピロアワーズ(2007.5.3)★等の父
  6. キングヘイロー(1995.4.28)
    →中央6勝。高松宮記念(GI)。カワカミプリンセス(2003.6.5)ローレルゲレイロ(2004.5.3)★等の父

1990年代後期以降はダンシングブレーヴとその子孫の活躍が目立ちます。ただ、父系継承は、、、ですが。

そしてまたLyphardの血と言えば、ディープインパクト(2002.3.25)の母父がLyphardの仔Alzao(1980.2.28)であることにより、日本の生産界に深く入り込んでいます。Lyphardの血そのものは、日本のサラブレッドの血統表の中で後世に影響を与え続けて行きます。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[Lyphard(1969.5.10)の主な競走成績]

  1. ジャック・ル・マロワ賞(仏GI)、フォレ賞(仏GI)、ダリュー賞(仏GII)
  2. ムーラン・ド・ロンシャン賞(仏GI)

通算12戦6勝、2着1回。

#本当に余談。私が「リファール」という名前に最初に触れたのは、実は競馬でもバレエでもありません。国産テーブルトークRPGの傑作として知られる「ソード・ワールドRPG」の舞台となる架空世界フォーセリアにあるアレクラスト大陸の都市のひとつとして、「リファール」という名前が使われていたのでした。フォーセリア世界のデザイナーである水野良さんや清松みゆきさんが競馬がお好きということで、フォーセリア世界には競走馬の馬名由来と思しき名称が多く見られます。至高神「ファリス」、大地母神「マーファ」、戦神「マイリー」、暗黒神「ファラリス」。その他にも「ミルリーフ」、「ゴーヤマー」、「ミゴリ」、「ジャカオ」、「フォルティノ」等も神の名前として使用されています。むぅ、本当に余談^^;