Goliath(ゴリアット) せん 鹿毛 2020.2.27生 独国・Gestüt Schlenderhan生産 馬主・Philip Baron von Ullmann 仏国・F-H Graffard厩舎
Adlerflug 栗毛 2004.3.3 種付け時活性値:1.75【15】 |
In the Wings 鹿毛 1986.1.17 |
Sadler’s Wells 鹿毛 1981.4.11 |
Northern Dancer 1961.5.27 |
Fairy Bridge 1975.5.4 | |||
High Hawk 鹿毛 1980.3.17 |
Shirley Heights 1975.3.1 | ||
Sunbittern 1970 | |||
Aiyana 鹿毛 1993.4.3 |
ラストタイクーン 黒鹿毛 1983.5.9 |
トライマイベスト 1975.4.28 | |
Mill Princess 1977.5.21 | |||
Alya 栗毛 1984.3.5 |
★Lombard 1967.1.31 | ||
Anatevka 1969.2.13 | |||
Gouache 鹿毛 2012.3.30 仔受胎時活性値:1.75【7】 |
Shamardal 鹿毛 2002.3.27 種付け時活性値:0.25【9】 |
Giant’s Causeway 栗毛 1997.2.14 |
Storm Cat 1983.2.27 |
Mariah’s Storm 1991.4.1 | |||
Helsinki 鹿毛 1993.5.25 |
Machiavellian 1987.1.31 | ||
Helen Street 1982.4.4 | |||
Guantana 鹿毛 2005.3.3 仔受胎時活性値:1.50【6】 |
Dynaformer 黒鹿毛 1985.4.1 種付け時活性値:0.75【19】 |
Roberto 1969.3.16 | |
Andover Way 1978.4.11 | |||
Guadalupe 黒鹿毛 1999.1.26 仔受胎時活性値:1.25【5】 |
★Monsun 黒鹿毛 1990.3.4 種付け時活性値:0.00【8】 |
||
Guernica 鹿毛 1994.2.6 仔受胎時活性値:1.00【4】 |
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×5、Mill Reef5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Adlerflug (Sadler’s Wells系) |
Shamardal (Storm Cat系) |
Dynaformer (Roberto系) |
★Monsun (Bahram系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Adlerflug (Anatevka) |
5.50 (【7】+【6】+【5】+【4】) |
曾祖母が伊オークス馬 (No. 22-d) |
2番仔 (2連産目) |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 | 斤 量 |
騎手 | 走破時計 ・着差 |
調教師 | 人 気 |
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1 | 3 | Goliath | せん4 | 61.2 | Christophe Soumillon | 2:27.43 | F-H Graffard | 7 |
2 | 8 | Bluestocking | 牝4 | 59.9 | Rossa Ryan | 2 1/4 | Ralph Beckett | 3 |
3 | 7 | Rebel’s Romance | せん6 | 61.2 | William Buick | 3 1/4 | Charlie Appleby | 2 |
4 | 9 | Sunway | 牡3 | 56.2 | James Doyle | 4 3/4 | David Menuisier | 6 |
5 | 1 | Auguste Rodin | 牡4 | 61.2 | Ryan Moore | 1 1/4 | A P O’Brien | 1 |
アスコット芝11ハロン211ヤード、良馬場、9頭立て。Goliath、これは戦前7番人気の馬の走りではありませんでした。↑で引いたしたAt The RacesのYouTube動画のコメント欄でもAt 2:01 Montjeu appeared in my mind.
と述べられていた方がいらしたのですが、Montjeu(1996.4.4)が制した2000年の”キング・ジョージ”ばりに、Goliathのアスコット芝直線の550ヤードでの手応えが段違いでした。Auguste Rodin(2020.1.26)とRebel’s Romance(2018.3.19)というブリーダーズカップ・ターフ(米GI)の勝ち馬どうしの叩き合いを横目に馬なりで並びかけ、ラスト1ハロンで鞍上のクリストフ・スミヨン騎手が仕掛けるとあっという間の抜け出し。差し迫った紅一点、Montjeuの直孫にしてプリティポリーS(愛GI)勝ち馬Bluestocking(2020.2.11)との差があることを大きく2度、小さく1度後ろを振り返って確認されたスミヨン騎手、最後は流す余裕すら見せて2と4分の1馬身差を着けての完勝。Goliath、GI初制覇をGI初挑戦となった上半期の欧州選手権距離王者を決める大一番で果たすと共に、確認する限りでは史上初のせん馬による”キング・ジョージ”優勝を遂げました。
Guernica 1994.2.6 不出走 |Guadalupe 1999.1.26 4勝 伊オークス(GI)ほか ||Guantana 2005.3.3 3勝 ヴァルターJヤコブス牝馬賞(独GIII)2着ほか |||Guardini 2011.2.21 4勝 ゲルリンク賞(独GII) JRAプレート(豪GIII) リス賞(仏GIII)ほか |||Gouache 2012.3.30 2勝 ||||Goliath 2020.2.27 (本馬) "キング・ジョージ"(英GI) エドヴィル賞(仏GIII)ほか |||Guizot 2013.4.15 9勝 ヴィンターファヴォリテン賞(独GIII)3着 TSカーリオンC(豪GIII)3着ほか ||Guiliani 2011.4.5 5勝 バイエリシェスツフトレネン(独GI) デュッセルドルフ春季マイレ(独GIII)ほか ||Guignol 2012.5.8 6勝 バーデン大賞(独GI) バイエルン大賞(独GI)2回 バーディシェン経済大賞(独GII)ほか |グワダラハラ 2001.3.17 5勝 ポモーヌ賞(仏GII)2着 ジェフリーフリアS(英GIII)2着ほか |Getaway 2003.3.24 9勝 バーデン大賞(独GI) ドイツ賞(独GI) ドーヴィル大賞(仏GII) 英ジョッキークラブS(GII) ケルゴルレイ賞(仏GII) リュテース賞(仏GIII)ほか
Goliathの牝系は22号族d分枝系。近親馬に「頭文字G」で始まる馬しか見えないことからお分かりになるように、独国で継承されているボトムライン。Goliathは曾祖母Guadalupeがオークスディターリアの勝ち馬であり、近親には独国の中長距離のGI勝ち馬が見えますね。ミドルディスタンス以上の競馬に対する独国牝系の勝負強さ。つい先日紹介したパリ大賞(仏GI)勝ち馬Sosie(2021.3.30)でも垣間見ました。あ、GoliathとSosieはブルードメアサイアーがShamardalであることも共通していますね(^^)
お話をGoliathに戻しますと、0の理論的には最優性先祖と判断した父Adlerflugは現役時代に4勝を挙げ、その主な勝ち鞍に独ダービー(GI)、ドイツ賞(独GI)があります。ハイライトはやはり独ダービー制覇であり、ハンブルク芝2400mを7馬身差勝ちの圧勝でした。
Turf-Times Deutschlandにアップされている写真は素敵な写真が多いのですが、Adlerflugは栗毛の四白流星と共にその瞳の美しさに「これは可愛いオメメの牡馬やなぁ」と素直に思いました。Adlerflug、種牡馬になるために厳しさを求める独国でも、馬体審査の折には馬相も含めて高い評価を得たのではないかと思います。そんなAdlerflugの代表産駒を生年月日順に確認しておきますと、
- Ito(2011.4.17)
→バイエルン大賞(独GI)、ゲルリンク賞(独GII)、バーディシェンウンターネーメン大賞(独GII)ほか。牡馬。後述のIn Swoopの全兄 - Iquitos(2012.5.22)
→バーデン大賞(独GI)、バイエリシェスツフトレネン(独GI)、バイエルン大賞(独GI)、バーディシェン経済大賞(独GII)ほか。牡馬 - Lacazar(2014.2.23)
→独オークス(GI)、ハンブルクレーシングクラブ会員賞(独GIII)。牝馬 - In Swoop(2017.3.7)
→独ダービー(独GI)、シャンティイ大賞(仏GII)、エドゥヴィル賞(仏GIII)ほか。牡馬。上述のItoの全弟 - Torquator Tasso(2017.4.21)
→凱旋門賞(仏GI)、バーデン大賞(独GI)、ベルリン大賞(独GI)、ハンザ大賞(独GII)2回ほか。牡馬 - Alenquer(2018.2.21)
→タタソールズゴールドC(愛GI)、キングエドワード七世S(英GII)、ウィンターダービー(英GIII)、サンダウンクラシックトライアルS(英GIII)ほか。牡馬 - Mendocino(2018.3.6)
→バーデン大賞(独GI)ほか。牡馬 - India(2018.3.18)
→オイロパ賞(独GI)、アレフランス賞(仏GIII)、ハノーファー秋季牝馬賞(独GIII)、フュルステンベルクレネン(独GIII)、マクデブルク市大賞(独GIII)ほか。牝馬 - Goliath(2020.2.27)
→”キング・ジョージ”(英GI)、エドヴィル賞(仏GIII)ほか。せん馬。本稿の主役
辺境サイトで産駒を紹介するのも4頭目となりますと、サスガは2020年から2022年まで3年連続で独国首位種牡馬の大種牡馬Adlerflug。17歳時の2021年に心不全での他界がとても残念ですが、代表産駒に牡馬が多くいますので父系が継承されて行くことを祈りたいと思います。
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なお、グラファール師は今後のゴリアットについて、セン馬のため凱旋門賞の出走資格がないことから「ブリーダーズカップやジャパンカップ、全ての選択肢がオープンだ」とし、現時点で具体的に話せることはないとコメントしている。
伏兵ゴリアットがキングジョージを快勝、グラファール師は今後の選択肢にジャパンCも | JRA-VAN World – 海外競馬情報サイト
“キング・ジョージ”の快走ぶりからその進路も注目される存在となったGoliath。仏国のフランシス-アンリ・グラファール厩舎の所属馬だけに、牡馬であれば凱旋門賞(仏GI)となるところでしょうけれど、せん馬故に出走できず。「ならば」と向かう先は米国かあるいは日本か。クラシックディスタンスの「巨人」となり得るGoliath、仏国の4歳せん馬の今後も楽しみにしたいと思います。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。
#Goliath。日本の各種WEBでは「ゴリアット」と訳されていますが、現地実況ではやっぱり「ゴライアス」と発音されているように思います。ただ、旧約聖書のダビデとゴリアテを思うと、ゴリアットでも仕方が無いのかな、と。あ、ゴライアスで、Nijinsky(1967.2.21)産駒の種牡馬ゴライタス(1980.2.7)を思い出したのは、ここだけのお話です^^;