ベルシャザール 牡 青鹿毛 2008.4.25生 千歳市・社台ファーム生産 馬主・(有)社台レースホース 栗東・松田 国英厩舎
キングカメハメハ 鹿毛 2001.3.20 種付け時活性値:1.50【6】 |
Kingmambo 鹿毛 1990.2.19 |
Mr. Prospector 鹿毛 1970.1.28 |
★Raise a Native 1961.4.18 |
Gold Digger 1962.5.28 | |||
Miesque 鹿毛 1984.3.14 |
Nureyev 1977.5.2 | ||
Pasadoble 1979.4.1 | |||
マンファス 黒鹿毛 1991.2.23 |
ラストタイクーン 黒鹿毛 1983.5.9 |
トライマイベスト 1975.4.28 | |
Mill Princess 1977.5.21 | |||
Pilot Bird 鹿毛 1983.2.9 |
★Blakeney 1966.3.28 | ||
The Dancer 1977.3.31 | |||
マルカキャンディ 青鹿毛 1996.5.13 仔受胎時活性値:0.75【11】 |
サンデーサイレンス 青鹿毛 1986.3.25 種付け時活性値:0.25【9】 |
★Halo 黒鹿毛 1969.2.7 |
Hail to Reason 1958.4.18 |
Cosmah 1953.4.4 | |||
Wishing Well 鹿毛 1975.4.12 |
Understanding 1963.2.17 | ||
Mountain Flower 1964.3.23 | |||
ジーナロマンティカ 鹿毛 1988.3.31 仔受胎時活性値:1.75【7】 |
セクレト 鹿毛 1981.2.12 種付け時活性値:1.50【6】 |
Northern Dancer 1961.5.27 | |
Betty’s Secret 1977.5.4 | |||
Waya 鹿毛 1974.3.30 仔受胎時活性値:1.25【13】 |
Faraway Son 鹿毛 1967.3.30 種付け時活性値:1.50【6】 |
||
War Path 鹿毛 1963.3.4 仔受胎時活性値:0.50【10】 |
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
キングカメハメハ (Mr. Prospector系) |
サンデーサイレンス (Halo系) |
セクレト (Northern Dancer系) |
Faraway Son (Tourbillon系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
キングカメハメハ | 4.25 (【11】+【7】+【13】+【10】) |
母がGIII勝ち馬 (No. 1-e) |
5番仔 (5連産目) |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 | 斤 量 |
騎手 | 走破 時計 |
着差 | 通過 順位 |
上り 3F |
馬体重 [増減] |
調教師 | 人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 12 | ベルシャザール | 牡5 | 57 | C.ルメール | 1:50.4 | 13-9-8-6 | 36.1 | 538 [+2] |
松田 国英 | 3 | |
2 | 8 | ワンダーアキュート | 牡7 | 57 | 武 豊 | 1:50.4 | クビ | 10-9-10-10 | 35.9 | 522 [+3] |
佐藤 正雄 | 6 |
3 | 6 | ホッコータルマエ | 牡4 | 57 | 幸 英明 | 1:50.5 | 1/2 | 2-2-2-2 | 36.6 | 506 [-2] |
西浦 勝一 | 1 |
4 | 7 | ブライトライン | 牡4 | 57 | 福永 祐一 | 1:51.0 | 3 | 5-6-6-6 | 36.8 | 528 [+6] |
鮫島 一歩 | 7 |
5 | 14 | ニホンピロアワーズ | 牡6 | 57 | 酒井 学 | 1:51.2 | 1 1/4 | 2-3-2-2 | 37.2 | 540 [+8] |
大橋 勇樹 | 5 |
1F毎の ラップ |
12.4 – 11.0 – 13.4 – 12.4 – 12.4 – 12.2 – 12.0 – 12.0 – 12.6 |
---|---|
ラップの 累計タイム |
12.4 – 23.4 – 36.8 – 49.2 – 1:01.6 – 1:13.8 – 1:25.8 – 1:37.8 – 1:50.4 |
上り | 4F 48.8 – 3F 36.6 |
現在はチャンピオンズカップ(GI)として施行されている年末のダート王決定戦、ジャパンカップダートとして行われた最後の回が2013年の第14回。そんな第14回を制したのは「劇音楽「ベルシャザールの饗宴」に登場するバビロニア王の名」を名前に戴くベルシャザール。
まずはベルシャザールのごく簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。
ジーナロマンティカ 1988.3.31 3勝 ロングアイランドH(米GII)3着
|マルカキャンディ 1996.5.13 7勝 府中牝馬S(GIII)
||ライムキャンディ 2005.5.4 2勝 クイーンC(GIII)2着
||ベルシャザール 2008.4.25 (本馬) 6勝 ジャパンカップダート(GI) 武蔵野S(GIII)ほか
ベルシャザールの母マルカキャンディが制した2001年の府中牝馬Sは印象に残ったレースでして、マルカキャンディ、ティコティコタック(1997.3.11)、スリーローマン(1997.5.20)の関西馬3頭による「クビ」「クビ」の差し比べ。見れば2着の秋華賞(GI)馬を挟んで、1着馬、3着馬がGI勝ち馬の母となりました。スリーローマンの仔は「伝説の新馬戦」の4着馬にして菊花賞(GI)馬スリーロールス(2006.4.26)。またマルカキャンディは京都芝1800mの下鴨Sで1分44秒7のコースレコードを計時しましたが、下鴨Sを制したのは2001年5月13日であり、自身満5歳の誕生日を勝利で祝ったのでした。
そんなマルカキャンディの仔ベルシャザール。母が芝の重賞勝ち馬ということもあり、デビュー時は芝路線を走っていました。2歳時の2010年10月、母がレコードを所持していた京都芝1800mの新馬戦で勝利を収めると、萩S(OP)3着の後、暮れの中山芝2000mのホープフルS(OP)を勝ちました。こうなると当然クラシック制覇を目指すべく重賞戦線に進む訳ですが、同じ2008年生まれ世代にトンデモナイ相手がいました。金色の三冠馬となるオルフェーヴル(2008.5.14)。
ベルシャザール、3歳の始動となった共同通信杯(GIII)4着の後、不意に阪神芝1800mで開催となったスプリングS(GII)でオルフェーヴルから4分の3馬身差2着と頑張ったものの、東京芝2000mの皐月賞(GI)ではオルフェーヴルの11着と惨敗。それでも不良馬場の東京優駿(GI)ではオルフェーヴルとウインバリアシオン(2008.4.10)からは離されたものの3着と素質の高さを改めて見せました。「ならば」と秋に飛躍を目指したベルシャザールでしたけれど、セントライト記念(GII)4着の後、菊花賞(GI)ではオルフェーヴルの17着に沈みました。
明けて4歳の初戦となったダービー卿チャレンジT(GIII)。菊花賞で距離不適という判断がなされたのか、マイル戦で仕切り直しのはずでしたが15着に敗れると、あろうことか左前脚の骨折の憂き目に。併せて喘鳴症も発症していたというベルシャザール、結局休養は1年以上に及び、レースに戻って来たのは5歳の晩春。松田国英調教師の「(骨折した馬に)芝のスピード競馬はさせたくないのでダートへ転戦した。」という英断が、ベルシャザールの能力を開花させることになりました。復帰となった京都ダート1800mのナリタブライアンCで0秒2差の3着といきなりの好走を見せると、6月の中京ダート1800mの白川郷Sで2着に5馬身差を着けて、ベルシャザール自身2年半ぶりの勝利。9月の中山ダート1800mのラジオ日本賞(OP)は0秒4差の2着だったものの、10月の東京ダート2100mのブラジルC(OP)でダートのオープン競走初勝利。勢いを付けて臨んだ11月の東京ダート1600mの武蔵野S(GIII)では、ホープフルS以来のコンビとなるクリストフ・ルメール騎手を背に1番人気に応えて重賞初制覇を遂げたのでした。
そうして迎えた、12月の阪神ダート1800mのジャパンカップダート。5歳になってからダート戦線に参入した「別路線からの挑戦者」ベルシャザール、ダート路線の猛者であったホッコータルマエ(2009.5.26)、ローマンレジェンド(2008.2.24)、エスポワールシチー(2005.4.22)、ニホンピロアワーズ(2007.5.3)等を相手ににまったく怯むこと無く臨み、レースは道中中団の外側から徐々に進出すると、直線で眼を見張る末脚を見せました。前粘りのホッコータルマエを捉えに掛かったベルシャザールに対して、更に外からワンダーアキュート(2006.3.14)が差し迫り、最後は「クビ」「2分の1馬身」の混戦。決勝点、僅かに抜け出していたのは緑の帽子に「黄、黒縦縞、袖青一本輪」の勝負服をまとったルメール騎手を乗せた、青の頭巾の青鹿毛馬ベルシャザール。3連勝を遂げると共に、バビロニア王ならぬダート王を戴冠。そしてまた、実はルメール騎手では3戦3勝の負け無しでのGI初優勝となったのでした。
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お母さんのマルカキャンディが印象に残る馬だったからでしょうか、気になる存在であったベルシャザール。ダート王を蹄中に収めてくれた時は本当に嬉しかったもの。ベルシャザールのジャパンカップダートは、伯楽として知られた松田師にとっても、古馬年齢に達した牡馬による初めてのGI勝利でした。マツクニ先生、かつて自身の手掛けたキングカメハメハの仔だったのですから、喜びもひとしおだったでしょう。新マツクニ流の体現者となるべくさらなる活躍を期待したベルシャザール、結局、ジャパンカップダートが最初で最後のGI勝ちでしたけれど、登り詰めた姿を見られたのは良かったと本当に思っています。
2023年現在は青森県の東北牧場(フォレブルー)で繋養されているベルシャザール。彼を紹介する写真が
「むぅ。仕事とはいえ、直接的すぎる^^;」と思わず唸ってしまったのですが、青森の名門で世代を重ねる役目、立派に続けて欲しいと願います。産駒の稼ぎ頭であるシャイニーロック(2016.3.15)はオープンクラスの芝マイル戦で頑張っていますし、ベルシャザール、種牡馬としてもまだまだ活躍を期待しています。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。
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[ベルシャザール(2008.4.25)の主な競走成績]
- ジャパンカップダート(GI)、武蔵野S(GIII)
- スプリングS(GII)
- 東京優駿(GI)、フェブラリーS(GI)
通算18戦6勝、2着2回、3着4回。
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ベルシャザールは2013年のJRA賞最優秀ダートホースに選出されているから、正に当年のダート王よな。
ええ。ホッコータルマエがダートグレード競走6勝を挙げていましたが、差し置いての受賞でした。
ジャパンカップダートで3着に下しているし、JRAの競走成績で見ればベルシャザールがトップに立つわな。
はい。フェブラリーS(GI)を勝った同い年で同郷、同馬主のグレープブランデー(2008.4.11)もジャパンカップダートで負かしていますので。
やっぱり大一番の直接対決で勝ちを収めるというのは印象付けには大事よね。