Poet’s Word 牡 鹿毛 2013.4.5生 愛国・Woodcote Stud Ltd生産 馬主・Saeed Suhail 英国・Sir Michael Stoute厩舎
Poet’s Voice 鹿毛 2007.3.7 種付け時活性値:1.25 |
Dubawi 鹿毛 2002.2.7 |
Dubai Millennium 鹿毛 1996.3.20 |
Seeking the Gold 1985.4.7 |
Colorado Dancer 1986.2.13 | |||
Zomaradah 鹿毛 1995.2.21 |
Deploy 1987.5.15 | ||
Jawaher 1998.5.13 | |||
Bright Tiara 栗毛 1989.3.27 |
Chief’s Crown 鹿毛 1982.4.7 |
Danzig 1977.2.12 | |
Six Crowns 1976.4.21 | |||
Expressive Dance 芦毛 1978.4.24 |
★Riva Ridge 1969.4.13 | ||
Exclusive Dancer 1967.5.30 | |||
Whirly Bird 鹿毛 2001.5.26 仔受胎時活性値:0.75 |
Nashwan 栗毛 1986.3.1 種付け時活性値:1.50 |
Blushing Groom 栗毛 1974.4.8 |
Red God 1954.2.15 |
Runaway Bride 1962 | |||
Height of Fashion 鹿毛 1979.4.14 |
Bustino 1971.4.14 | ||
Highclere 1971.4.9 | |||
Inchyre 鹿毛 1993.2.4 仔受胎時活性値:1.75 |
◆Shirley Heights 鹿毛 1975.3.1 種付け時活性値:0.25 |
Mill Reef 1968.2.23 | |
Hardiemma 1969 | |||
Inchmurrin 鹿毛 1985.1.30 仔受胎時活性値:1.75 |
Lomond 鹿毛 1980.2.3 種付け時活性値:1.00 |
||
On Show 黒鹿毛 1978.4.18 仔受胎時活性値:1.50 |
<5代血統表内のクロス:Shirley Heights5×3、Northern Dancer5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Poet’s Voice (Mr. Prospector系) |
Nashwan (Red God系) |
◆Shirley Heights (Mill Reef系) |
Lomond (Northern Dancer系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Nashwan (Whirly Bird) |
5.75 |
半姉が英GIII2勝 (No. 7-a) |
6番仔? (2連産目?) |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破時計 ・着差 |
調教師 |
人 気 |
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1 | 8 | Poet’s Word | 牡5 | 60.3 | James Doyle | 2:25.84 | Sir Michael Stoute | 2 |
2 | 6 | Crystal Ocean | 牡4 | 60.3 | William Buick | クビ | Sir Michael Stoute | 1 |
3 | 4 | Coronet | 牝4 | 59 | Olivier Peslier | 9 | John Gosden | 3 |
4 | 7 | Salouen | 牡4 | 60.3 | Silvestre De Sousa | 4 | Sylvester Kirk | 6 |
5 | 3 | Rostropovich | 牡3 | 55.3 | Seamie Heffernan | 短アタマ | A P O’Brien | 5 |
2018年の第68回”キング・ジョージ”。サー・マイケル・スタウト調教師の管理馬2頭の火の出るような叩き合い。先に抜け出したのは内のCrystal Ocean(2014.2.8)とウィリアム・ビュイック騎手、それを追い掛けたのが外のPoet’s Wordとジェームズ・ドイル騎手。かたやCrystal Oceanは今年2018年に入ってからゴードンリチャーズS(英GIII)1着、アストンパークS(英GIII)1着、ハードウィックS(英GII)1着。こなたPoet’s Wordは今年2018年に入ってから第21回ドバイシーマクラシック(UAE・GI)2着、ブリガディアジェラードS(英GIII)1着、第125回プリンスオブウェールズS(英GI)1着。近走で連勝している馬どうしの戦いは、追い掛けた側の強みか、あるいは年長馬の矜持か、決勝点で僅かに「クビ」だけ先んじて、Poet’s Word。ロイヤルアスコット開催のプリンスオブウェールズSに続く、アスコット競馬場のGI連勝を以て、欧州選手権距離の最上級レースをその蹄中に収めました。Poet’s WordとCrystal Oceanの激戦により堅良の芝で刻まれた勝ち時計2分25秒84は、2013年の第63回を制したノヴェリスト(2009.3.10)の2分24秒60に続く、”キング・ジョージ”史上2位の好タイム。ステーブルメイト2頭の名勝負と速い勝ち時計、2018年のこれまでの選手権距離のレースではベストバウトと言えるのではないでしょうか。見事なレースでした。
Poet’s Wordの鞍上のドイル騎手、馬主のサイード・スハイル氏は、共に”キング・ジョージ”初制覇。そして、Poet’s Wordを管理されるスタウト師は、実に6回目となる”キング・ジョージ”制覇。”キング・ジョージ”6勝は、5勝で並んでいたディック・ハーン調教師、サイード・ビン・スルール調教師から抜け出して”キング・ジョージ”の単独リーディングトレーナー記録となりました。そんなスタウト師の、”キング・ジョージ”6勝を確認すると、
- Shergar(1978.3.3)
→1981年の第31回。英ダービー(GI)-史上最大着差となる10馬身差勝ち-、愛ダービー(GI)に続くGI3連勝。種牡馬入り後に誘拐されてしまったことでも知られる悲運の名馬 - オペラハウス(1988.2.24)
→1993年の第43回。コロネーションC(英GI)、エクリプスS(英GI)に続くGI3連勝。日本で種牡馬としてテイエムオペラオー(1996.3.13)、メイショウサムソン(2003.3.7)、ニホンピロジュピタ(1995.5.3)等の活躍馬を輩出 - Golan(1998.2.24)
→2002年の第52回。2001年の英2000ギニー(GI)以来となるGI2勝目は、2001年の第21回ジャパンカップ(GI)以来のぶっつけ勝利 - コンデュイット(2005.3.23)
→2009年の第59回。2008年の英セントレジャーS(GI)、ブリーダーズカップ・ターフ(米GI)に続くGI3勝目。後に同2009年のブリーダーズカップ・ターフで連覇を果たしてGI4勝を遂げた名馬 - ハービンジャー(2006.3.12)
→2010年の第60回。ジョンポーターS(英GIII)、オーモンドS(英GIII)、ハードウィックSに続くGレース4連勝目は11馬身差かつ2分26秒78のコースレコードの大圧勝。2018年現在、日本で種牡馬として活躍中 - Poet’s Word(2013.4.5)
→2018年の第68回。本稿の主役
初めての勝利だったShergar以外の5頭は、古馬になってからの”キング・ジョージ”制覇でした。スタウト師は2018年現在まで英ダービー5勝、英2000ギニー5勝、英オークス(GI)2勝、英1000ギニー(GI)2勝、英セントレジャー1勝と、モチのロンで3歳戦でも活躍を見せられているのですが、古馬の管理育成もサスガの手腕と唸らされます。日本にも馴染み深いSingspiel(1992.2.25)、ピルサドスキー(1992.4.23)も古馬になってからGI勝ちを重ねた名馬でした。むぅ、正に名伯楽、サー・マイケル・スタウト。
*
では、以下にPoet’s Wordのごく簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。
Inchyre 1993.2.4 1勝
|Inchiri 1998.4.29 2勝
||Hawk's Eye 2006.3.24 6勝 アルゴアC(南阿GIII)ほか
|Inchberry 2000.5.6 0勝
||Divine Unicorn 2014.4.25 タタソールズC(豪GIII)ほか
|Whirly Bird 2001.5.26 5勝
||Whirly Dancer 2007.5.1 2勝
|||Beckford 2015.2.22 レイルウェイS(愛GII)ほか
||Malabar 2012.3.27 3勝 サラブレッドS(英GIII) プレスティージS(英GIII)
||Poet's Word 2013.4.5 (本馬) "キング・ジョージ"(英GI) プリンスオブウェールズS(英GI) ブリガディアジェラードS(英GIII) グロリアスS(英GIII)ほか
|Ursa Major 2009.5.12 4勝 愛セントレジャートライアルS(GIII)
英愛で継承されている7号族a分枝系。祖母からの分枝系ではPoet’s Wordが初めてのGI勝ち馬となりました。なお、Poet’s Wordの1歳年下の半弟ユーノテソーロ(2014.4.18)は、テソーロの冠名で知られる了徳寺健二オーナーの持ち馬として走りましたが、1戦0勝のまま地方抹消となったようです。
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プリンスオブウェールズSでは昨年2017年の第141回英チャンピオンS(GI)で7馬身離されたCracksman(2014.4.9)に対して2馬身と4分の1差で逆襲を果たし、”キング・ジョージ”では僚友のCrystal Oceanとのクビ差の勝負を制したPoet’s Word。5歳にして完全に本格化した古馬王者、スタウト師の管理馬であり、その速い馬場への適性を考えると「第38回ジャパンカップに出走してくれないものか」と思ってしまいます。ともあれPoet’s Word、まずは激戦の疲れを癒やして、次走以降のさらなる活躍を期待したいものです。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。