ソングライン(2018.3.4)-第72回安田記念(GI)の勝ち馬-

Result

ソングライン 牝 青鹿毛 2018.3.4生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 美浦・林 徹厩舎

ソングライン(2018.3.4)の4代血統表
キズナ
青鹿毛 2010.3.5
種付け時活性値:1.75【7】
ディープインパクト
鹿毛 2002.3.25
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
ウインドインハーヘア
鹿毛 1991.2.20
Alzao 1980.2.28
Burghclere 1977.4.26
キャットクイル
鹿毛 1990.5.22
Storm Cat
黒鹿毛 1983.2.27
Storm Bird 1978.4.19
Terlingua 1976.2.7
Pacific Princess
鹿毛 1973.5.10
★Damascus 1964.4.14
Fiji 1960
ルミナスパレード
黒鹿毛 2011.3.11
仔受胎時活性値:1.50【6】
シンボリクリスエス
黒鹿毛 1999.1.21
種付け時活性値:0.75【11】
Kris S.
黒鹿毛 1977.4.25
Roberto 1969.3.16
Sharp Queen 1965.4.19
Tee Kay
黒鹿毛 1991.2.9
★Gold Meridian 1982.4.14
Tri Argo 1982.5.18
ルミナスポイント
青鹿毛 2003.2.23
仔受胎時活性値:1.75【7】
アグネスタキオン
栗毛 1998.4.13
種付け時活性値:1.00【4】
サンデーサイレンス 1986.3.25
アグネスフローラ 1987.6.18
ソニンク
黒鹿毛 1996.2.8
仔受胎時活性値:1.50【6】
★Machiavellian
黒鹿毛 1987.1.31
種付け時活性値:0.00【8】
Sonic Lady
鹿毛 1983.2.15
仔受胎時活性値:1.00【12】

<5代血統表内のクロス:サンデーサイレンス3×4、Hail to Reason5×5>

ソングライン(2018.3.4)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
キズナ
(サンデーサイレンス系)
シンボリクリスエス
(Roberto系)
アグネスタキオン
(サンデーサイレンス系)
★Machiavellian
(Mr. Prospector系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
キズナ
(サンデーサイレンス)
5.75 叔母ジューヌエコール
(No. B3)
初仔

*

2022年の第72回農林水産省賞典安田記念(GI。東京芝1600m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 13 ソングライン 牝4 56 池添 謙一 1:32.3 10-10 32.9 482
[-4]
林 徹 4
2 9 シュネルマイスター 牡4 58 C.ルメール 1:32.3 クビ 13-10 32.9 490
[前計不]
手塚 貴久 2
3 17 サリオス 牡5 58 D.レーン 1:32.3 アタマ 7-9 33.0 528
[-22]
堀 宣行 8
4 15 セリフォス 牡3 54 藤岡 佑介 1:32.4 1/2 10-13 32.8 490
[0]
中内田 充正 5
5 7 ファインルージュ 牝4 56 武 豊 1:32.5 クビ 5-3 33.5 500
[0]
木村 哲也 3

2022年の第72回農林水産省賞典安田記念。「日本競馬の父」安田伊左衛門の名前を冠した安田記念、今年は伊左衛門の生誕150周年記念競走として実施された一戦。18頭立ての東京芝1600m、「去年とは逆になった!!」と思わず叫んだ決勝点。4歳牝馬ソングライン、同じ2018年生まれ世代の牡馬シュネルマイスター(2018.3.23)の追撃を「クビ」だけ封じたところが悲願のGI初制覇と相成りました。鞍上の池添謙一騎手は一昨年の第70回を制したグランアレグリア(2016.1.24)以来となる安田記念2勝目。そうして管理される林徹調教師は開業5年目で嬉しいGI初勝利。林師は、ご本人は気にされなくとも、どうしても開成高校から東大というその学歴がフィーチャーされることもあります。

開成→東大→なぜ競馬の調教師?林徹「学歴に興味ないですから」(日比野恭三)
今年3月1日、林徹は調教師として美浦トレーニングセンターに開業した。開成高を経て東大卒。経歴を見るに学業エリートそのものだから、「異色」の2文字はつきまとう。

そんな林師と共に安田記念でGI初勝利を遂げたソングライン。JRAがグレード制を施行した1984年以降、GI格付けがなされた安田記念を制した牝馬を確認してみれば、

  1. ダイイチルビー(1987.4.15)
    →6勝。安田記念(GI)、スプリンターズS(GI)、京王杯スプリングC(GII)、京都牝馬特別(GIII)ほか
  2. ノースフライト(1990.4.12)
    →8勝。安田記念(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)、マイラーズC(GII)、京都牝馬特別(GIII)、サンケイスポーツ阪神牝馬特別(GIII)、府中牝馬S(GIII)ほか
  3. ウオッカ(2004.4.4)
    →10勝。東京優駿(JpnI)、ジャパンカップ(GI)、安田記念(GI)2回、天皇賞・秋(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)、チューリップ賞(JpnIII)ほか
  4. グランアレグリア(2016.1.24)
    →9勝。桜花賞(GI)、安田記念(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)2回、スプリンターズS(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)、阪神C(GII)、サウジアラビアロイヤルC(GIII)ほか
  5. ソングライン(2018.3.4)
    →本稿の主役。安田記念(GI)、富士S(GII)、1351ターフスプリント(沙GIII)ほか

ソングラインが5頭目であり、名前を挙げた先輩たち4頭はいずれも牡牝混合の古馬GIを2勝以上挙げています。

*

ソングラインが紅梅S(L)を制した際に

#ソングラインの4代血統表を見るとあれこれ書きたくなるのですが、また近々書く機会があるように思いましたので、今回は止めておきます^^;

ヴェイルネビュラ(2018.2.18)&ソングライン(2018.3.4)-2021年のクラシック候補生を確認する(No. 12)-

と書いていたのですが、やっぱり、あれこれ書きたくなった時に書いておかないと、何を書こうとしていたのか忘れてしまうものです。紅梅Sを3馬身差で鮮やかに勝ち切った姿を見て「あ、これは桜花賞候補」と思ったのは覚えているのですが^^;

ともあれ、改めてソングラインの血統について確認してみれば、

  1. ボトムラインがブリティッシュ・ハーフブレッドのB3号族
  2. 0の理論的にはサンデーサイレンスのブルー0クロス馬による初めてのJRA・GI制覇
  3. 母の初仔

が気になるところです。

1つ目。ブリティッシュ・ハーフブレッドは、サラブレッドの定義が修正された1969年のジェネラルスタッドブック第36巻から掲載された、元々はサラブレッド系種として判別されていた牝系。そんなブリティッシュ・ハーフブレッドのB3号族は、欧州マイルGI3勝馬Sonic Ladyの最後の仔であるソニンクからの分枝系が現代日本に馴染みが深く、ロジユニヴァース(2006.3.11)ディアドラ(2014.4.4)、そしてソングライン等が輩出されています。またB3号族の別分枝系の近年の活躍馬にはメジャーエンブレム(2013.3.26)もいます。

2つ目。私が確認、判断する限りですけれど、ソングラインは、0の理論的にはサンデーサイレンスのブルー0クロス馬による初めてのJRA・GI制覇を遂げた馬となりました。サンデーサイレンスはその父Haloから16歳時交配のミニモの遺伝を受けており、クロスとなっても弊害が薄い馬という認識なのですが、ソングラインが現れるまでは、エフフォーリア(2018.3.10)のように「サンデーサイレンス自身が0となっているクロス馬」がGI勝ち馬となっていました。今回の安田記念で5着だったファインルージュ(2018.3.11)も、ソングラインと同じキズナ産駒でサンデーサイレンス3×4のブルー0クロスを持つ馬ですが、これからはサンデーサイレンスのブルー0クロスを持つ配合のGI馬も増えていくのでしょう。

3つ目。ソングラインは母ルミナスパレードの初仔です。上段でも取り上げた0の理論におけるブルー0クロスを用いた印象的なGI馬にはフサイチコンコルド(1993.2.11)エリモエクセル(1995.5.18)等もいますが、ソングライン同様、母が前年産駒なし後の仔です。「初仔に名馬あり」「空胎後に名馬あり」です。

*

上述の通り、安田記念を制した古馬牝馬の先達4頭はいずれも牡牝混合の古馬GIを2勝以上挙げているように、実力が確かめられる東京芝1600mの古馬牡牝混合GI、本当のチカラが無ければ勝てない舞台を勝つ牝馬というのは、やはり傑出した能力を持っているのでしょう。

並大抵の牝馬では勝てない安田記念でGI初優勝を遂げたソングライン、次走以降のGIレースでの活躍を、心から楽しみにしたいと思います。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

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