ジャンダルム 牡 黒鹿毛 2015.4.25生 米・North Hills Co. Limited生産 馬主・前田 幸治氏 栗東・池江 泰寿厩舎
Kitten’s Joy 栗毛 2001.5.8 種付け時活性値:1.25【13】 |
El Prado 芦毛 1989.2.3 |
Sadler’s Wells 鹿毛 1981.4.11 |
Northern Dancer 1961.5.27 |
Fairy Bridge 1975.5.4 | |||
Lady Capulet 芦毛 1974.4.3 |
★Sir Ivor 1965.5.5 | ||
Cap and Bells 1958.5.21 | |||
Kitten’s First 鹿毛 1991.2.27 |
Lear Fan 鹿毛 1981.2.2 |
Roberto 1969.3.16 | |
Wac 1969.1.23 | |||
That’s My Hon 栗毛 1983.5.25 |
L’Enjoleur 1972.4.23 | ||
One Lane 1961.5.16 | |||
ビリーヴ 鹿毛 1998.4.26 仔受胎時活性値:2.00【16】 |
サンデーサイレンス 青鹿毛 1986.3.25 種付け時活性値:0.75【11】 |
★Halo 黒鹿毛 1969.2.7 |
Hail to Reason 1958.4.18 |
Cosmah 1953.4.4 | |||
Wishing Well 鹿毛 1975.4.12 |
Understanding 1963.2.17 | ||
Mountain Flower 1964.3.23 | |||
グレートクリスティーヌ 鹿毛 1987.4.24 仔受胎時活性値:0.50【10】 |
Danzig 鹿毛 1977.2.12 種付け時活性値:0.25【9】 |
Northern Dancer 1961.5.27 | |
Pas de Nom 1968.1.27 | |||
Great Lady M. 芦毛 1975.3.23 仔受胎時活性値:0.75【11】 |
Icecapade 芦毛 1969.4.4 種付け時活性値:1.25【5】 |
||
Sovereign Lady 芦毛 1969.4.17 仔受胎時活性値:1.25【5】 |
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×4、Hail to Reason5×4、Nearctic5×5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Kitten’s Joy (Sadler’s Wells系) |
サンデーサイレンス (Halo系) |
Danzig (Northern Dancer系) |
Icecapade (Nearctic系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Kitten’s Joy | 4.50 |
母がGI2勝馬 (No. 22-d) |
7番仔? |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破 時計 |
着差 |
通過 順位 |
上り 3F |
馬体重 [増減] |
調教師 |
人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | ジャンダルム | 牡7 | 57 | 荻野 極 | 1:07.8 | 3-2 | 34.6 |
508 [-2] |
池江 泰寿 | 8 | |
2 | 7 | ウインマーベル | 牡3 | 55 | 松山 弘平 | 1:07.8 | クビ | 8-9 | 34.1 |
468 [0] |
深山 雅史 | 7 |
3 | 6 | ナランフレグ | 牡6 | 57 | 丸田 恭介 | 1:08.0 | 3/4 | 13-12 | 33.9 |
490 [0] |
宗像 義忠 | 5 |
4 | 4 | ダイアトニック | 牡7 | 57 | 岩田 康誠 | 1:08.0 | クビ | 5-6 | 34.6 |
478 [0] |
安田 隆行 | 10 |
5 | 9 | ナムラクレア | 牝3 | 53 | 浜中 俊 | 1:08.0 | アタマ | 7-6 | 34.5 |
466 [-4] |
長谷川 浩大 | 2 |
2022年の第56回スプリンターズS。ジャンダルム、7歳秋にしてのGI初制覇は、スプリンターズS史上初の母仔制覇。母ビリーヴが2002年の第36回スプリンターズSを制してから丸20年、孝行息子がついにGIの高みを掴みました。
ジャンダルム、中山芝1200mの1枠2番から抜群の発馬を見せ、ハナに立とうかとしたところを二の脚、三の脚を使ったテイエムスパーダ(2019.4.25)を行かせて、道中はやや離れた3番手。最初の600mが32秒7というスプリンターズSらしい激流を落ち着いて追走していたジャンダルム、3角から4角で前に詰め寄る姿は8番人気馬のそれには見えず。直線入り口を過ぎて先頭に立つと、後はジャンダルムと荻野極騎手の世界。ラスト100mでようやく振るわれた荻野騎手の左ムチの鼓舞に応えてジャンダルム、最後はウインマーベル(2019.5.8)、ナランフレグ(2016.4.5)、ダイアトニック(2015.5.12)、ナムラクレア(2019.3.30)等が迫りましたが、ウインマーベルを「クビ」だけ封じたところが決勝点。ジャンダルム、通算29戦目、7回目のGI挑戦で見事な勝ちっぷりを見せてくれました。
そうしてジャンダルムの鞍上を務めた荻野騎手もデビュー7年目、GI騎乗3回目での嬉しいGI初制覇。2020年10月の信越S(L)においてジャンダルムにテン乗りの1着を決めてから2年、ジャンダルムのベストパートナーはやはり荻野騎手というところを見せてくれました。決勝点を過ぎた後に小さく左拳を握った控えめなガッツポーズと共に、レース後の勝利騎手インタビューでも落ち着いた受け答えでしたし、改めて「好青年」ぶりが浮き彫りとなった荻野騎手、飛躍を期待したいと思わせてくれる若手騎手のひとりです。おめでとうございました(^^)
ジャンダルムは2017年の9月の阪神芝1600mの新馬戦、11月のデイリー杯2歳S(GII)を連勝し、
12月のホープフルS(GI)でもタイムフライヤー(2015.2.1)の2着と早期からマイル~2000mの距離でも活躍を見せていたのですが、長じて母の血が発揮されたのか、中山芝1200mでGI馬と相成りました。そしてまた「ファンはよく見ているなぁ」と感心するのですけれど、前走北九州記念(GIII)で17着に沈んだジャンダルムを、中山芝1200mのスプリンターズSで8番人気に推していたのは、戦前まで中山芝1200m[2-0-0-1]というコース適性を見越してのことだったのでしょう。着外となったのは昨年2021年の第55回スプリンターズSにおいてピクシーナイト(2018.5.14)の11着だけ。その際はジャンダルムの鞍上は別騎手でしたので、結局、ジャンダルムは荻野騎手とのコンビでは中山芝1200m3戦3勝。終わってみれば今年のオーシャンS(GIII)において1着だったジャンダルム、2着だったナランフレグが、今回のスプリンターズSでも1着、3着。先日記事をアップしたダイタクヤマト(1994.3.13)も第34回スプリンターズSを制した際に中山芝1200m3戦3勝となったように、馬は得意なコースは嬉々として走るのはよくあるお話ですし、併せて騎手相性も大切ですね。
ジャンダルムの血統的な見解をちょろっとだけ述べますと「Kitten’s Joy×サンデーサイレンス牝馬」という組み合わせは、そうは発生せず、組み合わせの希少性が活力を生む例のひとつと思います。例が古くて恐縮ですが、組み合わせの希少性が生み出した極め付けの日本の名馬はヤマニンゼファー(1988.5.27)と思っています。「ニホンピロウイナー×Blushing Groom×ガーサント×ハクリヨウ」という4代血統構成、カタカナ馬名の累代父に挟まれた母父Blushing Groomの妙味。正にヤマニンポリシー(1981.5.4)というべき、錦岡牧場さんの執念の配合です。
そしてまた、スプリンターズSで決勝点を過ぎた後のジャンダルムと荻野騎手の姿を見て「あぁ、マエコウさんの勝負服に白い帽子やった」と思ってしまいました。8月にノーリーズン(1999.6.4)の記事をアップした際にも記したのですが、
ファレノプシス(1995.4.4)、ノーリーズン、ビリーヴ、ヘヴンリーロマンス(2000.3.27)、ローブデコルテ(2004.4.28)、アーネストリー(2005.5.17)、ビートブラック(2007.5.23)、キズナ(2010.3.5)、ワンアンドオンリー(2011.2.23)、コントレイル(2017.4.1)、そしてジャンダルム。ノースヒルズ関連馬で1枠発進時にJRA・GIを制した11頭目がジャンダルムとなりました。改めて、それは「水色、赤十字襷」を基調とした勝負服に白い帽子の印象が残るはずですわ\(^o^)/
2歳時に新馬からデイリー杯2歳Sを勝つというエリート街道に乗ったジャンダルム。雌伏の時を経て、7歳春にオーシャンSで重賞2勝目を遂げ、7歳秋にスプリンターズSでGI馬に登り詰める。諦めずに頑張るということを思い直させてくれたジャンダルム、本当に偉いと思います。海の外で凱旋門賞(仏GI)に挑むノースヒルズ軍団の後輩ディープボンド(2017.2.18)にも聞こえたかな、そのスプリンターズS制覇。私にとっても記憶に残る一戦となりました。
それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。