Royal Heroine(ロイヤルヒロイン) 牝 黒鹿毛 1980.5.12生~2002没 愛国・L. Ryan生産 馬主・Robert E. Sangster 米国・John H. M. Gosden厩舎
リイフオー 黒鹿毛 1975.4.1 種付け時活性値:1.00【4】 |
Lyphard 鹿毛 1969.5.10 |
Northern Dancer 鹿毛 1961.5.27 |
Nearctic 1954.2.11 |
Natalma 1957.3.26 | |||
Goofed 栗毛 1960.3.29 |
Court Martial 1942.3.20 | ||
Barra II 1950 | |||
Klaizia 黒鹿毛 1965.3.17 |
Sing Sing 鹿毛 1957 |
Tudor Minstrel 1944.2.16 | |
Agin the Law 1946 | |||
Klainia 鹿毛 1960 |
Klairon 1952.3.31 | ||
Kalitka 1954 | |||
My Sierra Leone 栗毛 1971 仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】 |
Relko 鹿毛 1960 種付け時活性値:0.50【10】 |
Tanerko 鹿毛 1953.5.3 |
Tantieme 1947 |
La Divine 1943 | |||
Relance 栗毛 1952 |
Relic 1945 | ||
Polaire 1947 | |||
Smeralda 芦毛 1966 仔受胎時活性値:1.00【4】 |
Grey Sovereign 芦毛 1948.3.30 種付け時活性値:0.25【17】 |
Nasrullah 1940.3.2 | |
Kong 1933 | |||
Brilliant Stone 黒鹿毛 1955 仔受胎時活性値:0.50【10】 |
Borealis 栗毛 1941 種付け時活性値:1.25【13】 |
||
Cobble Stone 黒鹿毛 1943 仔受胎時活性値:0.75【11】 |
<5代血統表内のクロス:Nearco5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
リイフオー (Lyphard系) |
Relko (Teddy系) |
Grey Sovereign (Nasrullah系) |
Borealis (Teddy系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Borealis (My Sierra Leone) |
4.25 or 2.25 (【8】+【4】+【10】+【11】) |
孫に仏GI馬 (No. 1-w) |
2番仔? |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 | 斤 量 |
騎手 | 走破時計 ・着差 |
調教師 | 人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | Royal Heroine | 牝4 | 55.8 | Fernando Toro | 1:32 3/5 | John H. M. Gosden | 1 |
2 | 3 | Star Choice | 牡5 | 57.2 | James McKnight | 1 1/2 | Carl A. Nafzger | 10 |
3 | 5 | Cozzene | 牡4 | 57.2 | Walter A. Guerra | クビ | Jan H. Nerud | 3 |
4 | 7 | Tights | 牡3 | 55.8 | Chris J. McCarron | クビ | Lazaro S. Barrera | 7 |
5 | 1 | Tsunami Slew | 牡3 | 55.8 | Eddie J. Delahoussaye | 1 | Edwin Gregson | 6 |
2023年の現在に続く米国の競馬の祭典ブリーダーズカップ・ワールド・チャンピオンシップ。その初年度1984年の4番目のレースは芝のレースとしては最初のレースとなったブリーダーズカップ・マイル。10頭立てを大外10番枠からの発進となった紅一点、1番人気だったRoyal Heroine、入りの2ハロン22秒3/5、半マイル45秒3/5、4分の3マイル1分8秒4/5という淀みないラップを5~6番手で構えると、最終コーナーでは外から進出。同じ1980年生まれ世代の芦毛のCozzene(1980.5.8)が抜け出そうとしたところで「そうはさせないわ」とばかりに追いかけたRoyal Heroine。三日月のような流星を持つ黒鹿毛の牝馬が、白の帽子、薄い緑に青袖という当世おなじみであった大馬主ロバート・E.サングスター氏の勝負服を乗せて、直線で颯爽と先頭に躍り出ました。最後は最低人気であったStar Choice(1979.4.3)が差し迫りましたが、1馬身半差を着けたところがゴール地点。Royal Heroine、牡馬勢を相手に完勝を収めると共に、ハリウッドパーク・芝8ハロンで刻んだ走破時計1分32秒3/5は、トラックレコードかつ芝マイルにおける当時の北米レコード。Royal Heroine、高貴なヒロインという馬名にふさわしい、華々しい勝利でした。
Royal Heroineの鞍上を務めた智国(チリ)出身のフェルナンド・トロ騎手はキャリア通算3555勝を挙げ、今年2023年に米国競馬名誉の殿堂入りを果たされた名手。ブリーダーズカップ開催のレースについては12回騎乗されて、Royal Heroineによるブリーダーズカップ・マイルが最初で最後の勝利だったということです。またトロ騎手の英語版ウィキペディアの記事によりますと、「Significant horses」の最後に「Wishing Well」の名前があります。言わずと知れたサンデーサイレンス(1986.3.25)の母であるWishing Well(1975.4.12)、現役時代38戦12勝の内23戦9勝はトロ騎手によるもので、ゲイムリーH(米GII)、ウィルシャーH(米GIII)の米グレードレース2勝もトロ騎手によるものでした。
またRoyal Heroineの父は本邦輸入種牡馬であるリイフオー。現役時代は3勝を挙げクインシー賞(仏GIII)勝ちに留まったセカンドクラスのマイラーでしたが、その能力は種牡馬入りしてから大いに開花しました。リイフオーの主な代表産駒を示しておきますと、
- Royal Heroine(1980.5.12)
→ブリーダーズカップ・マイル(米GI)、ハリウッドダービー(米GI)、メイトリアークS(米GI)ほか。牝馬。本稿の主役 - トロメオ(1980.5.10)
→バドワイザーミリオンS(米GI)ほか。牡馬。ダイワテキサス(1993.4.2)の父 - ニツポーテイオー(1983.4.21)
→天皇賞・秋(GI)、安田記念(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)ほか。牡馬。1980年代の日本の名馬の1頭 - アンテイーカ(1985.2.19)
→ローレルフューチュリティS(米GI)ほか。牡馬 - Delighter(1985.4.6)
→イエローリボンS(米GI)ほか。牝馬 - ウィニングスマイル(1983.3.30)
→スプリンターズS(GII)、根岸S(GIII)ほか。牡馬 - サニーライト(1983.2.20)
→スプリングS(GII)ほか。牡馬 - サンキリコ(1985.3.30)
→ロイヤルロッジS(英GII)、ジュライS(英GIII)、ソラリオS(英GIII)。牡馬。ダンツフレーム(1998.4.19)、アローキャリー(1999.3.1)の母父 - Heart of Joy(1987.3.1)
→パロマーH(米GII)、ラスシエネガスH(米GIII)、サンシメオンH(米GIII)、ネルグウィンS(英GIII)ほか。牝馬。マイネルラヴ(1995.3.8)の母 - Contract Law(1987.3.25)
→リッチモンドS(英GII)。牡馬 - アイランドゴツテス(1982.3.11)
→京王杯オータムH(GIII)、関屋記念(GIII)ほか。牝馬 - ヒシノリフオー(1982.5.5)
→関屋記念(GIII)ほか。牡馬
リイフオーが種牡馬入りした初年度である1979年に愛国で種付けしたのがRoyal Heroine、トロメオの2頭。1980年から1983年までの4年間は日本で稼働してニツポーテイオーを始めとして5頭の中央重賞勝ち馬を輩出。1983年の時点でRoyal Heroineがハリウッドダービー、トロメオがアーリントンミリオンSと米国でGI勝ちを見せたため、1984年から米国で供用されましたが、残念ながら1986年の11歳時に早世。「世代・年次別(サラ系総合)|種牡馬情報|リイフオー(GB)|JBISサーチ(JBIS-Search)」におけるアーニングインデックスは「2.39」という高い数値を示し、種牡馬として供用された3カ国すべてでGレース勝ち馬を輩出したリイフォー。その繁殖能力の確かさの、1番最初の体現者が、愛娘Royal Heroineでした。
それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。
*
[Royal Heroine(1980.5.12)の主な競走成績]
- ブリーダーズカップ・マイル(米GI)、ハリウッドダービー(米GI)、メイトリアークS(米GI)、ビヴァリーヒルズH(米GII)、オペラ賞(仏GII)、イングルウッドH(米GIII)、チャイルドS(英GIII)
- ラモナH(米GI)、アーリントンミリオンS(米GI)、ハンガーフォードS(英GIII)、ローザーS(英GIII)
- パロマーH(米GIII)、ネルグウィンS(英GIII)
通算21戦10勝、2着4回、3着2回。