ハートレイク(Heart Lake) 牡 栗毛 1991.4.22生~1999.9.24没 英国・Sheikh Mohammed Bin Rashid Al Maktoum生産 馬主・Godolphin 愛国・John Oxx厩舎→UAE・Saeed bin Suroor厩舎
Nureyev 鹿毛 1977.5.2 種付け時活性値:1.25【13】 |
Northern Dancer 鹿毛 1961.5.27 |
Nearctic 黒鹿毛 1954.2.11 |
Nearco 1935.1.24 |
Lady Angela 1944 | |||
Natalma 鹿毛 1957.3.26 |
Native Dancer 1950.3.27 | ||
Almahmoud 1947.5.18 | |||
Special 鹿毛 1969.3.28 |
Forli 栗毛 1963.8.10 |
Aristophanes 1948 | |
Trevisa 1951 | |||
Thong 鹿毛 1964.4.23 |
Nantallah 1953.3.5 | ||
Rough Shod 1944 | |||
My Darling One 栗毛 1981.3.1 仔受胎時活性値:0.25【9】 |
Exclusive Native 栗毛 1965.4.17 種付け時活性値:1.75【15】 |
Raise a Native 栗毛 1961.4.18 |
Native Dancer 1950.3.27 |
Raise You 1946 | |||
Exclusive 栗毛 1953.4.12 |
Shut Out 1939 | ||
Good Example 1944 | |||
Princess Marshua 鹿毛 1974.1.14 仔受胎時活性値:1.50【6】 |
Prince John 栗毛 1953.4.6 種付け時活性値:1.00【20】 |
Princequillo 1940 | |
Not Afraid 1948 | |||
Marshua 鹿毛 1962.3.19 仔受胎時活性値:0.75【11】 |
Nashua 鹿毛 1952.4.14 種付け時活性値:0.25【9】 |
||
Emardee 黒鹿毛 1950 仔受胎時活性値:0.75【11】 |
<5代血統表内のクロス:Native Dancer4×4、Hyperion5×5(父方)、Nasrullah5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Nureyev (Northern Dancer系) |
Exclusive Native (Raise a Native系) |
Prince John (Princequillo系) |
Nashua (Nasrullah系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Exclusive Native | 3.25 (【9】+【6】+【11】+【11】) |
母が米GI馬 (No. 16) |
6番仔 (6連産目) |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 | 騎手 | 走破 時計 |
着差 | 調教師 | 人 気 |
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1 | 6 | ハートレイク | 牡4 | 武 豊 | 1:33.2 | S.ビン・スルール | 4 | |
2 | 11 | サクラチトセオー | 牡5 | 小島 太 | 1:33.2 | ハナ | 境 勝太郎 | 1 |
3 | 7 | タイキブリザード | 牡4 | 岡部 幸雄 | 1:33.3 | 3/4 | 藤沢 和雄 | 6 |
4 | 13 | ビコーペガサス | 牡4 | 的場 均 | 1:33.4 | 3/4 | 柳田 次男 | 10 |
5 | 10 | ホクトベガ | 牝5 | 横山 典弘 | 1:33.5 | 1/2 | 中野 隆良 | 3 |
1F毎の ラップ |
12.6 – 10.8 – 11.3 – 11.4 – 11.9 – 12.7 – 11.3 – 11.2 |
---|---|
ラップの 累計タイム |
12.6 – 23.4 – 34.7 – 46.1 – 58.0 – 1:10.7 – 1:22.0 – 1:33.2 |
上り | 4F 47.1 – 3F 35.2 |
国際競走として開放されて3年目、ついにカク外馬が安田記念の勝ち馬となりました。赤い帽子、ゴドルフィンのロイヤルブルーの勝負服に身を包んだ武豊騎手を鞍上に迎えた栗毛の流星、大きめの白いシャドーロールを着けたハートレイクが、中団位置から直線鋭くインを突き、小島太騎手騎乗のサクラチトセオー(1990.5.11)の追い込みを「ハナ」差封じました。
ラップを見ればGIマイル戦らしく1000m通過58秒0という締まった流れなのですが、東京芝の4コーナーから直線にかけて12秒7とレースの中で流れが一番緩んでいます。逃げたビコーアルファー(1990.4.24)と大塚栄三郎騎手が上手く息を入れるペースを作ったというところでしょうか。……名前を出してみて、リヴリア(1982.4.20)の仔ビコーアルファーも懐かしいですし「逃げの大塚」も懐かしい。ともあれ、直線坂下を迎えてから後続の勢いが勝り、タイキブリザード(1991.3.12)が最初に前に出たところで、内ラチ沿いのハートレイク、外から切れ込むようにしてサクラチトセオーと2頭が揃って末脚を見せました。ゴールに近付くにつれて鋭さを増したのがサスガにGIの勝負というところで、11秒3、11秒2と上がりのラップが上がっています。中でもハートレイク、追いすがるタイキブリザードを振り落とすように脚を伸ばし、最後の最後でサクラチトセオーが強襲して来ても凌ぎ切りました。
振り返れば開放初年の1993年はヤマニンゼファー(1988.5.27)が勝ち、カク外馬はLotus Pool(1987.3.12)5着、Kitwood(1989.5.12)6着。Lotus Poolは(有)大樹ファームが馬主でしたので、「緑、白星散、袖白縦縞」の勝負服。そしてまたジャンプラ賞(仏GI)の勝ち馬KitwoodはNureyev産駒にしてシェイク・モハメドの持ち馬で鞍上が武騎手。1994年は前哨戦の京王杯スプリングC(GII)でスキーパラダイス(1990.5.12)、Zieten(1990.3.23)、Sayyedati(1990.1.26)、Dolphin Street(1990.2.27)と上位4頭が1990年生まれ世代のカク外馬であり、特にスキーパラダイスの持ったまんまの勝ちっぷりに、ザイーテンならぬ「目がテン」になったのを覚えています。「うわ、本番もカク外馬に持って行かれるのか……」かと思いきや、ノースフライト(1990.4.12)とトーワダーリン(1990.4.21)という日本生産調教の1990年生まれ世代の牝馬2頭、鞍上も角田晃一騎手と田中勝春騎手という競馬学校5期生のワンツーで、カク外馬はDolphin Streetの3着が最高着順。
そうして迎えた1995年の安田記念を制したのがハートレイク。1995年当時、日本生産調教のNorthern Dancer直系馬は0の理論的にはミニモの遺伝を受けている馬しかJRA・GIを勝てていませんでしたので、「カク外馬でNureyev産駒の絶対数が少ないから、日本の競馬ではチャレンジャーの精神を持ってGIレースに臨めたんやろうなぁ」と思ったもの。世界的大種牡馬Nureyevは日本でも「サスガ」というところを見せていて、JBISによると日本で走った産駒のアーニングインデックスは「4.47」。ハートレイクはNureyev産駒として初めてJRA重賞を勝った馬でもありました。そしてまたハートレイクが安田記念を制した3週間後、曾祖母Marshuaからの別分枝馬が宝塚記念(GI)を制しました。ダンツシアトル(1990.5.13)、タイキブリザードとのSeattle Slew(1974.2.15)産駒のワンツーを決めて、京都芝2200mを2分10秒2という日本レコード駆け。「同一牝系馬の連動する活躍」は、1993年から1994年にかけてビワハヤヒデ(1990.3.10)とナリタブライアン(1991.5.3)兄弟によって、いやと言う程知らされたのです。それに輪を掛けるように1995年、西洋で生まれた馬たちが東洋の島国で立て続けにGIレースを制したことにより、改めて思い知らされることになりました。
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ハートレイクは1996年にも来日し、輸送トラブルがあったにも関わらず、59kgを背負った京王杯スプリングC(GII)で勝利を収め、日本の馬場適性を見せました。1990年代半ばはヒシアマゾン(1991.3.26)やワンダーパヒューム(1992.3.7)等Nureyevの孫たちもJRA・GIを制していた時期ということもあり、種牡馬として社台スタリオンステーションで繋養されたハートレイク。しかしながら3年目の夏となる1999年、シャトル先の豪州において不慮の事故で夭折。産駒唯一の重賞勝ち馬であったプレシャスカフェ(1999.3.29)が種牡馬供用されたものの、たった1年で御役御免。また、ブルードメアイサーとしてラジオNIKKEI賞(GIII)を制したアロマカフェ(2007.3.9)を輩出しましたが、母父としての唯一の重賞勝ち馬でした。人との奇縁は巡るのか、ハートレイクが制した安田記念で2着だったサクラチトセオーの鞍上だった小島騎手が、調教師となって管理されたプレシャスカフェとアロマカフェ。そしてまた「カフェ」の冠名からも明らかなように、2頭共に西川家の持ち馬でした。
栗毛の流星の鮮やかさが印象に残るハートレイク。安田記念の季節が巡ると思い出す馬の1頭です。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。
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[ハートレイク(1991.4.22)の主な競走成績]
- 安田記念(GI)、京王杯スプリングC(GII)、コンコルドS(愛GIII)
- 香港国際ボウル(GIII)
通算17戦6勝、2着3回、3着1回。
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安田記念はハートレイクが外国調教馬として初めて制した後、Fairy King Prawn(フェアリーキングプローン。1995.10.13)、Bullish Luck(ブリッシュラック。1999.4.3)の香港勢2頭が制しているな。
ええ。特にFairy King Prawnが制した2000年は2着にディクタット(1995.2.25)が入り、外国調教馬のワンツーフィニッシュでした。
「また安田記念で外国調教馬の速く強い姿を見てみたいもの」とは、このサイトの管理人の言。