シリウスシンボリ(1982.3.26)-自分の生まれ日に東京優駿を制した馬を辿る(No.4)-

Special feature

シリウスシンボリ 牡 鹿毛 1982.3.26生~2012.4.8没 門別・シンボリ牧場生産 馬主・和田共弘氏 美浦・二本柳俊夫厩舎ほか

シリウスシンボリ(1982.3.26)の4代血統表
モガミ
青鹿毛 1976.5.18
種付け時活性値:1.25
Lyphard
鹿毛 1969.5.10
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Goofed
栗毛 1960.3.29
Court Martial 1942.3.20
Barra 1950
ノーラツク
黒鹿毛 1968.4.25
Lucky Debonair
鹿毛 1962.5.2
Vertex 1954.4.16
Fresh as Fresh 1957.5.14
No Teasing
黒鹿毛 1957.4.7
Palestinian 1946
No Fiddling 1945
スイートエプソム
鹿毛 1976.2.28
仔受胎時活性値:1.25
パーソロン
鹿毛 1960
種付け時活性値:1.75
Milesian
鹿毛 1953
My Babu 1945.3.2
Oatflake 1942
Paleo
鹿毛 1953
★Pharis 1936
Calonice 1940
シレトコ
栗毛 1970
仔受胎時活性値:1.25
★タカウオーク
黒鹿毛 1961.4.7
種付け時活性値:0.00
Native Dancer 1950.3.27
Ampola 1949
Pochette
栗毛 1960
仔受胎時活性値:0.25
Worden
栗毛 1949
種付け時活性値:0.50
Diplomatic Bag
鹿毛 1954
仔受胎時活性値:1.25

<5代血統表内のクロス:Native Dancer4×5>

シリウスシンボリ(1982.3.26)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
モガミ
(Lyphard系)
パーソロン
(My Babu系)
★タカウオーク
(Native Dancer系)
Worden
(Wild Risk系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
パーソロン 4.00
(No. 13-e)
2番仔
(2連産目)

*

1985年5月26日行われた第52回東京優駿(GI。東京芝2400m)の結果(馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 16 シリウスシンボリ 牡3 加藤 和宏 2:31.0 二本柳 俊夫 1
2 12 スダホーク 牡3 田原 成貴 2:31.5 3 古山 良司 2
3 22 スクラムダイナ 牡3 岡部 幸雄 2:31.5 ハナ 矢野 進 4
4 23 ランドヒリュウ 牡3 村本 善之 2:31.8 2 小林 稔 9
5 24 ダイヤモンドラーン 牡3 安田 富男 2:32.1 1・3/4 仲住 芳雄 18
6 20 ストロングアロー 牡3 的場 均 2:32.3 1・1/4 元石 孝昭 15
7 8 サクラサニーオー 牡3 小島 太 2:32.5 1・1/4 境 勝太郎 3
8 14 グリーンカップ 牡3 根本 康広 2:32.8 1・1/2 橋本 輝雄 8
9 25 ロンスパーク 牡3 宮田 仁 2:33.3 3 大久保 洋吉 17
10 2 ビンゴチムール 牡3 蛯沢 誠治 2:33.8 3 古賀 末喜 19
11 17 メジロジェスター 牡3 柴田 政人 2:33.9 1/2 浅見 国一 13
12 11 レオティンゴ 牡3 大塚 栄三郎 2:34.0 1/2 稗田 敏男 14
13 5 ブラックスキー 牡3 郷原 洋行 2:34.1 クビ 矢野 照正 5
14 4 ワイエムゴシマ 牡3 田島 良保 2:34.1 ハナ 谷 八郎 10
15 19 アクティブダイナ 牡3 東 信二 2:34.1 ハナ 二本柳 俊夫 11
16 10 トウカイブラボー 牡3 田所 秀孝 2:34.2 1/2 田所 秀雄 21
17 18 アイアンサムソン 牡3 秋山 忠一 2:34.3 クビ 小林 稔 16
18 6 トウショウサミット 牡3 中島 啓之 2:34.3 アタマ 奥平 真治 7
19 26 ハマノキャプテン 牡3 大崎 昭一 2:34.4 1/2 中村 貢 12
20 7 ディクタプリンス 牡3 徳吉 一己 2:34.5 1/2 矢野 幸夫 26
21 13 トレードマーク 牡3 嶋田 功 2:34.7 1 富田 六郎 6
22 15 リキサンワイス 牡3 吉永 正人 2:37.1 大差 奥平 真治 23
23 9 シュウザンチャンプ 牡3 増沢 末夫 2:37.3 1・1/4 鈴木 康弘 25
24 3 バンダルオー 牡3 菅原 泰夫 2:37.4 1/2 大和田 稔 20
25 1 ゴットリバー 牡3 栗田 伸一 2:37.5 3/4 鶴留 明雄 24
26 21 ジョーダッシュ 牡3 花松 進 2:38.1 3・1/2 荒木 静雄 22

天狼星は冬に輝く一等星ですが、競馬界の天狼星が最も輝いたのは、晩春でした。額に星ひとつを戴いたシリウスシンボリ、3ヶ月ぶりも、重馬場も、周囲の人間のゴタゴタもいとやせず、重賞初制覇を見事に第52回東京優駿で果たしました。そうして「ゆかりちゃんのおかげです!!」。優勝騎手インタビューでの開口一番、シリウスシンボリの鞍上を務められた加藤和宏騎手が放たれた一言。妻への感謝の言葉と共に、師匠・二本柳俊夫調教師の思いには結果で応えられた加藤騎手。騎手時代には第22回のオートキツ(1952.5.6)で「ダービージョッキー」に輝いた二本柳師に「ダービートレーナー」の称号を贈ることとなりました。そしてまた色々ありながらではありましたが、シンボリ勢は前年の第51回を制したシンボリルドルフ(1981.3.13)に続いて、2年連続の東京優駿制覇と相成りました。

シリウスシンボリの父モガミは和田共弘氏と北野豊吉氏の共同所有馬として仏国で走り、リステッドレースのフォール賞を勝つに留まったマイナー種牡馬でした。しかしながら日本のLyphard系種牡馬の嚆矢として、初年度種付け頭数32頭&生産頭数22頭からシリウスシンボリ、2年度種付け頭数37頭&生産産駒25頭からメジロラモーヌ(1983.4.9)を輩出して、種牡馬として功成り名を遂げました。以後もレガシーワールド(1989.4.23)ブゼンキャンドル(1996.4.24)という平地GI勝ち馬のほか、メジロアイガー(1983.4.7)、シンボリクリエンス(1985.3.21)、メジロマスキット(1985.5.16)、メジログッテン(1987.5.9)、ローズムーン(1989.4.16)という中山大障害の勝ち馬たちや、平地と障害で重賞勝ち馬となったメジロワース(1985.4.17)など活躍馬を多く送り込んだ名種牡馬でした。シンボリやメジロの活躍馬多かったのは、オーナーの愛に応える形だったのでしょう。そしてまた青鹿毛で気性の難しい種牡馬と言えば、今でこそサンデーサイレンス(1986.3.25)ですが、私が競馬を見始めた頃はモガミの代名詞でした。あとモガミと言えば、豊かな腹袋ですね^^;

今回は出走26頭すべての成績を掲載したのですが、18着だったトウショウサミット(1982.5.5)の中島啓之騎手。果敢な逃げで魅せてくれたのですけれど、中島騎手は東京優駿から16日後に肝臓がんにより死去されたのでした。中島騎手が生前唯一の東京優駿勝利を収められたのが第41回のコーネルランサー(1971.4.16)、そして最後の騎乗となったのが本稿で紹介した第52回。たまたまではありますが、共にレースが行われた日付が5月26日であったことを深く思いました。私がこの記事を書いている時点では、中島騎手が死去された歳と同じ42歳。5月26日を過ぎてからアップしていますので私は既に43歳ですけれど、馬齢を重ねてしまったものです。

*

狼の目のように青く見える星、天狼星ことシリウス。その輝きは、太陽を除くと、地球から見える恒星では1番なのだとか。

鹿毛の額に星ひとつのシリウスシンボリ。1歳年上の、鹿毛の額に三日月の狂気を宿した先輩が、太陽のような輝きを放った為に、その影に隠れがちではあります。

けれど日本のダービー馬が欧州に長期滞在して挑み続けたその姿は、30年以上が過ぎた現在、改めて讃えられて良いように思います。

天駆けるシリウスシンボリよ、海外に挑戦する日本の後輩たちを、空の上から見守っていてください。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[シリウスシンボリ(1982.3.26)の主な競走成績]

  1. 東京優駿(GI)
  2. 毎日王冠(GII)、フォワ賞(仏GIII)
  3. ロワイヤルオーク賞(仏GI)

通算26戦4勝、2着4回、3着2回。

タイトルとURLをコピーしました