カルティエ賞年度代表馬を辿る(其の弐拾壱)-Treve(2010.4.7)-

Horse of the Year

Treve(トレヴ) 牝 鹿毛 2010.4.7生 仏国・Haras du Quesnay生産 馬主・Haras du Quesnay→Sheikh Joaan al Thani 仏国・Criquette Head-Maarek厩舎

Treve(2010.4.7)の4代血統表
Motivator
鹿毛 2002.2.22
種付け時活性値:1.75
Montjeu
鹿毛 1996.4.4
Sadler’s Wells
鹿毛 1981.4.11
Northern Dancer 1961.5.27
Fairy Bridge 1975.5.4
Floripedes
鹿毛 1985.5.11
★Top Ville 1976.4.5
Toute Cy 1979.5.4
Out West
黒鹿毛 1994.2.8
Gone West
鹿毛 1984.3.10
Mr. Prospector 1970.1.28
Secrettame 1978.3.15
Chellingoua
鹿毛 1983.1.30
Sharpen Up 1969.3.17
Uncommitted 1974.3.23
Trevise
鹿毛 2000.5.6
仔受胎時活性値:0.25
Anabaa
鹿毛 1992.3.13
種付け時活性値:1.75
Danzig
鹿毛 1977.2.12
Northern Dancer 1961.5.27
Pas de Nom 1968.1.27
Balbonella
鹿毛 1984
★ゲイメセン 1975.5.16
Bamieres 1978.3.19
Trevillari
鹿毛 1987.2.3
仔受胎時活性値:1.00
Riverman
鹿毛 1969
種付け時活性値:0.25
★Never Bend 1960.3.15
River Lady 1963.5.17
Trevilla
鹿毛 1981.1.26
仔受胎時活性値:1.25
Lyphard
鹿毛 1969.5.10
種付け時活性値:0.75
Trillion
鹿毛 1974.4.15
仔受胎時活性値:1.50

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer4×4・5、Riverman3×5(母方)>

Treve(2010.4.7)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Motivator
(Sadler’s Wells系)
Anabaa
(Danzig系)
◆Riverman
(Never Bend系)
Lyphard
(Northern Dancer系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Motivator 4.00 Triptychと同牝系
(No. 4-n)
4番仔?
(前年産駒無し後?)

*

2013年の第164回ディアヌ賞(仏GI。シャンティイ芝2100m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 2 Treve 牝3 57 Thierry Jarnet 2:03.77 Mme C Head-Maarek 4
2 10 Chicquita 牝3 57 Antoine Hamelin 4 A De Royer-Dupre 9
3 3 Silasol 牝3 57 Olivier Peslier 短クビ C Laffon-Parias 3
4 11 Tasaday 牝3 57 Mickael Barzalona 1 1/4 A Fabre 5
5 7 Pearlside 牝3 57 Stephane Pasquier 3 M Delcher Sanchez 8

*

2013年の第108回ヴェルメイユ賞(仏GI。ロンシャン芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 3 Treve 牝3 54.5 Frankie Dettori 2:36.82 Mme C Head-Maarek 1
2 11 Wild Coco 牝5 58 Tom Queally 1 3/4 Lady Cecil 4
3 9 Tasaday 牝3 54.5 Mickael Barzalona 3 1/2 A Fabre 2
4 2 Orion Love 牝3 54.5 Fabrice Veron 短クビ H-A Pantall 10
5 10 Galvaun 牝4 58 Pierre-Charles Boudot 3/4 A Fabre 9

*

2013年の第92回凱旋門賞(仏GI。ロンシャン芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 15 Treve 牝3 54.5 Thierry Jarnet 2:32.04 Mme C Head-Maarek 2
2 8 オルフェーヴル 牡5 59.5 Christophe Soumillon 5 池江泰寿 1
3 9 Intello 牡3 56 Olivier Peslier クビ A Fabre 5
4 11 キズナ 牡3 56 武豊 2 佐々木晶三 3
5 10 Penglai Pavilion 牡3 56 Mickael Barzalona 2 A Fabre 10

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2014年の第93回凱旋門賞(仏GI。ロンシャン芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 3 Treve 牝4 58 Thierry Jarnet 2:26.05 Mme C Head-Maarek 6
2 4 Flintshire 牡4 59.5 Maxime Guyon 2 A Fabre

10

3 15 Taghrooda 牝3 54.5 Paul Hanagan 1 1/4 John Gosden 1
4 20 Kingston Hill 牡3 56 Andrea Atzeni 3/4 Roger Varian 12
5 5 Dolniya 牝3 54.5 Christophe Soumillon クビ A De Royer-Dupre 10

*

https://youtu.be/OtxFZBYfVkI&start=10
2015年の第107回サンクルー大賞(仏GI。サンクルー芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 4 Treve 牝5 56.5 Thierry Jarnet 2:27.59 Mme C Head-Maarek 1
2 8 Flintshire 牡5 58 Vincent Cheminaud 1 1/4 A Fabre 3
3 9 Dolniya 牝4 56.5 Christophe Soumillon 2 1/2 A De Royer-Dupre 2
4 3 Manatee 牡4 58 Mickael Barzalona 1 1/2 A Fabre 4
5 7 Meleagros 牡6 58 Adrien Fouassier 3 Alain Couetil 5

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2015年の第110回ヴェルメイユ賞(仏GI。ロンシャン芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 8 Treve 牝5 58.5 Thierry Jarnet 2:34.09 Mme C Head-Maarek 1
2 1 Candarliya 牝3 55 Christophe Soumillon 6 A De Royer-Dupre 6
3 3 Sea Calisi 牝3 54.5 Mickael Barzalona 1/2 F Doumen 3
4 7 Frine 牝5 58.5 Olivier Peslier 6 C Laffon-Parias 8
5 4 Beautiful Romance 牝3 54.5 William Buick アタマ Saeed bin Suroor 3

*

2013年のカルティエ賞年度代表馬、Treve。日本悲願の凱旋門賞制覇に2年連続で挑んだオルフェーヴル(2008.5.14)、2年目となった2013年の第92回の相手が3歳牝馬Treveだった訳ですが、↑の動画のとおり5馬身差を着けられては、あきらめもつくというものです。オルフェーヴルは第92回凱旋門賞の次走、引退レースとなった第58回有馬記念(GI)で8馬身差の大圧勝を収めます。そんなオルフェーヴルを、斤量5kg差があったにせよ、5馬身置き去りにするとは……。Treve、その走りは正に「トレビアン」というところですけれど、「Trêve」を翻訳にかけると、仏語の意味としては「休戦」だそうです。Treve、第92回凱旋門賞もちょっと休戦してくれたら良かったのですが、そうは問屋が卸さないのが世界の競馬の厳しさですね。なお、Treveの牝系を見ると、高祖母Trillion-Triptych(1982.4.19)の母-からTreveまで5代続いて頭文字「T」で始まる馬名が受け継がれています。

Treveは4歳時の2014年の第93回凱旋門賞も制して、1977年の第56回と1978年の第57回を勝利したAlleged(1974.5.4)以来、史上6頭目となる凱旋門賞連覇を果たしました。2014年は第122回ガネー賞(仏GI)2着、第121回プリンスオブウェールズS(英GI)3着、第109回ヴェルメイユ賞4着と1勝も出来ていない中での出走でしたが、見事な巻き返しを見せました。なお、凱旋門賞を連覇した6頭を示しておきますと

  1. Ksar(1918)
    →1921年の第2回と1922年の第3回。Tourbillon(1928)の父
  2. Corrida(1932)
    →1936年の第17回と1937年の第18回。牝馬による初めての連覇
  3. Tantieme(1947)
    →1950年の第29回と1951年の第30回。メジロデュレン(1983.5.1)の直系高祖父
  4. Ribot(1952.2.27)
    →1955年の第34回と1956年の第35回。16戦16勝、言わずと知れた史上に残る超名馬
  5. Alleged(1974.5.4)
    →1977年の第56回と1978年の第57回。上述のRibotを直系曽祖父に持つ
  6. Treve(2010.4.7)
    →2013年の第92回と2014年の第93回。本稿の主役。連覇は36年ぶり、牝馬による連覇は77年ぶりという快挙

Treveは、前馬が成し得なかった「凱旋門賞3連覇」を果たすべく、5歳時の2015年も現役を続けました。2014年の不調とは打って変わって、コリーダ賞(仏GII)1着、第107回サンクルー大賞1着、第110回ヴェルメイユ賞1着と、戦前まで年間3戦3勝。否が応でも期待は高まりました。けれど、第94回凱旋門賞で待っていたのは、世代交代。後述するGolden Horn(2012.3.27)が、Sea The Stars(2006.4.6)ワークフォース(2007.3.14)に続いて、21世紀3頭目となる「英ダービーと凱旋門賞を制した馬」となったのでした。

凱旋門賞3連覇を目指したものの、第94回では惜しくも4着に敗れてしまったTreve。それでも、その強さと速さは末永く賞賛されるものです。3歳時の2013年、第164回ディアヌ賞で見せたシャンティイ芝2100mにおける2分3秒77のコースレコード勝利、そして日本の夢を吹っ飛ばしてしまった第92回凱旋門賞の5馬身差勝ち。4歳時の2014年、不調を囁かれながらも史上6頭目の連覇を果たした第93回凱旋門賞。そして、5歳時の2015年、第94回凱旋門賞の前まで年間3戦3勝と強さを重ねたその姿。

消長の激しい牝馬であるにもかかわらず、3年連続で2000m超級の牡牝混合GI制覇を遂げたTreve。2010年代を飾る真の名花、その仔どもたちの走りも期待しています。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[Treveの主な競走成績]

  1. 凱旋門賞(仏GI)2回、ディアヌ賞(仏GI)、サンクルー大賞(仏GI)、ヴェルメイユ賞(仏GI)2回、コリーダ賞(仏GII)
  2. ガネー賞(仏GI)
  3. プリンスオブウェールズS(英GI)

通算13戦9勝、2着1回、3着1回。

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