JRA賞年度代表馬を辿る(其の漆)-ビワハヤヒデ(1990.3.10)-

Horse of the Year

ビワハヤヒデ 牡 芦毛 1990.3.10生~2020.7.21没 福島・早田牧場新冠支場生産 馬主・(有)ビワ 栗東・浜田光正厩舎

ビワハヤヒデ(1990.3.10)の4代血統表
シャルード
芦毛 1983.4.15
種付け時活性値:1.50【6】
Caro
芦毛 1967.4.11
フオルテイノ
芦毛 1959.4.19
Grey Sovereign 1948.3.30
Ranavalo 1954
Chambord
栗毛 1955
Chamossaire 1942
Life Hill 1940
Angel Island
黒鹿毛 1976.5.4
Cougar
黒鹿毛 1966
Tale of Two Cities 1951
Cindy Lou 1955
Who’s to Know
黒鹿毛 1970.4.16
Fleet Nasrullah 1955.5.8
Masked Lady 1964.4.30
パシフィカス
鹿毛 1981.5.29
仔受胎時活性値:2.00【8】
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
種付け時活性値:0.75【19】
Nearctic
黒鹿毛 1954.2.11
Nearco 1935.1.24
Lady Angela 1944
Natalma
鹿毛 1957.3.26
Native Dancer 1950.3.27
Almahmoud 1947.5.18
Pacific Princess
鹿毛 1973.5.10
仔受胎時活性値:1.75【7】
★Damascus
鹿毛 1964.4.14
種付け時活性値:0.00【8】
Sword Dancer 1956.4.24
Kerala 1958.5.12
Fiji
栗毛 1960
仔受胎時活性値:1.00【12】
Acropolis
栗毛 1952
種付け時活性値:1.75【7】
Rififi
栗毛 1954
仔受胎時活性値:1.25【5】

<5代血統表内のクロス:Nasrullah5×5(父方)>

ビワハヤヒデ(1990.3.10)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
シャルード
(フオルテイノ系)
Northern Dancer
(Nearctic系)
Damascus
(Teddy系)
Acropolis
(Blandford系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Acropolis
(パシフィカス)
6.00
(【8】+【7】+【12】+【5】)
半弟ナリタブライアン
(No. 13-a)
4番仔
(3連産目)

*

1992年の第27回デイリー杯3歳S(GII。京都芝1400m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 8 ビワハヤヒデ 牡2 54 岸滋彦 1:21.7 レコード 5-4 46.5 476
[-8]
浜田光正 1
2 5 テイエムハリケーン 牡2 54 安田康彦 1:22.0 1.3/4 6-6 46.5 480
[-8]
布施正 4
3 2 マキハタテイオー 牡2 54 田島信行 1:22.6 3.1/2 2-2 47.7 432
[0]
新川恵 8
4 6 アンバーライオン 牡2 54 田所秀孝 1:22.8 1.1/2 2-3 47.8 424
[-8]
鹿戸幸治 3
5 3 ミスターチアズ 牡2 54 村本善之 1:23.0 1.1/2 9-9 47.1 494
[-2]
山内研二 7
1992年の第27回デイリー杯3歳S(GII。京都芝外1400m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.4 – 10.9 – 11.3 – 11.5 – 11.9 – 12.0 – 11.7
ラップの
累計タイム
12.4 – 23.3 – 34.6 – 46.1 – 58.0 – 1:10.0 – 1:21.7
上り 4F 47.1 – 3F 35.6

*

1993年の第41回神戸新聞杯(GII。阪神芝2000m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 1 ビワハヤヒデ 牡3 56 岡部幸雄 2:02.9   2-2-2-2 35.0 478
[+4]
浜田光正 1
2 8 ネーハイシーザー 牡3 56 塩村克己 2:03.1 1.1/2 1-1-1-1 35.4 486
[+10]
布施正 2
3 6 キングファラオ 牡3 56 上村洋行 2:04.4 8 6-5-3-4 36.2 438
[-6]
清水出美 5
4 9 トーヨーリファール 牡3 56 松永昌博 2:05.4 6 3-3-3-3 37.3 468
[0]
松永善晴 4
5 5 グランドシンゲキ 牡3 56 土肥幸広 2:06.5 7 9-9-9-6 37.5 482
[0]
岩元市三 6
1993年の第41回神戸新聞杯(GII。阪神芝2000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
13.3 – 11.6 – 13.2 – 13.2 – 12.4 – 12.1 – 11.9 – 11.8 – 11.7 – 11.7
ラップの
累計タイム
13.3 – 24.9 – 38.1 – 51.3 – 1:03.7 – 1:15.8 – 1:27.7 – 1:39.5 – 1:51.2 – 2:02.9
上り 4F 47.1 – 3F 35.2

*

1993年の第54回菊花賞(GI。京都芝3000m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 7 ビワハヤヒデ 牡3 岡部 幸雄 3:04.7 レコード 濱田 光正 1
2 15 ステージチャンプ 牡3 南井 克巳 3:05.6 5 矢野 進 9
3 9 ウイニングチケット 牡3 柴田 政人 3:05.7 1/2 伊藤 雄二 2
4 11 キングファラオ 牡3 上村 洋行 3:05.9 1・1/2 清水 出美 11
5 17 タマモハイウェイ 牡3 土肥 幸広 3:06.1 1・1/2 吉永 忍 13
1993年の第54回菊花賞(GI。京都芝3000m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
13.4 – 11.4 – 11.3 – 12.6 – 12.9 –
12.6 – 13.3 – 12.7 – 12.7 – 12.8 –
12.4 – 12.0 – 11.5 – 11.5 – 11.6
ラップの
累計タイム
13.4 – 24.8 – 36.1 – 48.7 – 1:01.6 –
1:14.2 – 1:27.5 – 1:40.2 – 1:52.9 – 2:05.7 –
2:18.1 – 2:30.1 – 2:41.6 – 2:53.1 – 3:04.7
上り 4F46.6 – 3F 34.6

1993年の第54回菊花賞。ビワハヤヒデ、芦毛の新王者のGI初勝利は、苦難を乗り越えた後の満3歳秋に成されました。

満2歳冬の第44回朝日杯3歳S(現朝日杯フューチュリティS、GI)2着、明けて満3歳春の共同通信杯4歳S(現共同通信杯、GIII)2着、第53回皐月賞(GI)2着、第60回東京優駿(GI)2着。つぶさに見れば、敗れたレースでも、ビワハヤヒデは最後の最後までしぶとく伸びています。交わされた後でも、差し返そうとする姿が見えます。本当に「一所懸命に走る馬」でした。

新馬戦1秒7差の大差圧勝、もみじS(OP)1分34秒3、デイリー杯3歳S(現デイリー杯2歳S、GII)1分21秒7の連続レコード勝ちと、デビュー時の3連勝のインパクトが大きく、朝日杯の敗戦以降は早熟のマイラー説も流れたビワハヤヒデ。けれど、そんな世評をあざ笑うかのように、満3歳夏における栗東での猛稽古により、ついに真価を発揮したのは素面を見せた満3歳秋。

前哨戦である神戸新聞杯(GII)を完勝して単勝2.4倍の1番人気に推されたビワハヤヒデ。前週の第108回天皇賞・秋(GI)を前にした調教後に故障が発覚したメジロマックイーン(1987.4.3)の後を引き継ぐかのように、同じ芦毛の偉大な先輩の後を追うかのように、5馬身差の圧勝を以て菊花賞を勝利しました。その勝ち時計3分4秒7は日本レコード。また、前々年のレオダーバン(1988.4.25)、前年のライスシャワー(1989.3.5)に続いて東京優駿の2着馬が3年連続で菊花賞を制しました。

なお、ビワハヤヒデが菊花賞を制したのは1993年11月7日です。そしてまた前年、1992年11月7日にはデイリー杯3歳Sを制しています。浪花節的なお話になりますが、この11月7日は、ビワハヤヒデの2代目担当厩務員だった荷方末盛さんのお誕生日。情に厚い馬ビワハヤヒデ、自分を大切に想ってくれる人の為に、2年連続で素敵なプレゼントを贈りました。

*

1994年の第87回京都記念(GII。阪神芝2200m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 6 ビワハヤヒデ 牡4 59 岡部幸雄 2:16.8   2-2-2-2 37.0 478
[-4]
浜田光正 1
2 7 ルーブルアクト 牡6 57 清山宏明 2:17.9 7 1-1-1-1 38.1 452
[+2]
小原伊佐美 5
3 3 ニホンピロナーリー 牡5 57 武豊 2:18.1 1.1/4 3-3-3-3 38.1 472
[-4]
伊藤雄二 4
4 9 シゲノランボー 牡6 57 河内洋 2:18.2 1/2 7-8-8-8 37.3 440
[+2]
須貝彦三 7
5 4 ライスシャワー 牡5 60 的場均 2:18.3 3/4 5-4-3-4 38.3 444
[-2]
飯塚好次 2
1994年の第87回京都記念(GII。阪神芝2200m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
13.3 – 11.6 – 12.5 – 13.1 – 12.9 – 12.3 – 12.4 – 11.7 – 11.8 – 12.5 – 12.7
ラップの
累計タイム
13.3 – 24.9 – 37.4 – 50.5 – 1:03.4 – 1:15.7 – 1:28.1 – 1:39.8 – 1:51.6 – 2:04.1 – 2:16.8
上り 4F 48.7 – 3F 37.0

*

1994年の第109回天皇賞・春(GI。阪神芝3200m)の結果(上位6頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 11 ビワハヤヒデ 牡4 岡部 幸雄 3:22.6 基準タイム 濱田 光正 1
2 6 ナリタタイシン 牡4 武 豊 3:22.8 1・1/4 大久保 正陽 2
3 5 ムッシュシェクル 牡6 藤田 伸二 3:23.2 2・1/2 小林 稔 3
4 4 ナイスネイチャ 牡6 松永 昌博 3:23.3 クビ 松永 善晴 7
5 7 マチカネタンホイザ 牡5 柴田 善臣 3:23.3 クビ 伊藤 雄二 5
5 9 ステージチャンプ 牡4 南井 克巳 3:23.3 同着 矢野 進 4
1994年の第109回天皇賞・春(GI。阪神芝3200m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
13.6 – 12.5 – 12.8 – 12.7 – 12.5 –
13.0 – 12.7 – 12.9 – 13.0 – 12.8 –
12.7 – 12.6 – 12.1 – 12.5 – 11.9 –
12.3
ラップの
累計タイム
13.6 – 26.1 – 38.9 – 51.6 – 1:04.1 –
1:17.1 – 1:29.8 – 1:42.7 – 1:55.7 – 2:08.5 –
2:21.2 – 2:33.8 – 2:45.9 – 2:58.4 – 3:10.3 –
3:22.6
上り 4F 48.8 – 3F 36.7

1994年の第109回天皇賞・春。ニチドウタロー(1976.3.20)が3分18秒7のレコードで制した1980年の第81回以来、14年ぶりに阪神芝3200mで行われました。最後の直線、同期の皐月賞馬が襲い掛かって来るやいなや、もういちど脚を伸ばして突き放しました。弟ナリタブライアン(1991.5.3)が前週の第54回皐月賞でコースレコード勝ちを収めた翌週のこと。サスガに兄貴も強かった。

*

1994年の第35回宝塚記念(GI。阪神芝2200m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 13 ビワハヤヒデ 牡4 岡部 幸雄 2:11.2 レコード 濱田 光正 1
2 8 アイルトンシンボリ 牡5 藤田 伸二 2:12.0 5 畠山 重則 8
3 5 ダンシングサーパス 牡4 熊沢 重文 2:12.2 1・1/4 内藤 繁春 6
4 2 ナイスネイチャ 牡6 松永 昌博 2:12.4 1 松永 善晴 3
5 6 ネーハイシーザー 牡4 塩村 克己 2:12.6 1・1/2 布施 正 2
1994年の第35回宝塚記念(GI。阪神芝2200m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.8 – 10.8 – 11.2 – 12.2 – 12.4 – 12.4 – 12.3 – 12.1 – 11.6 – 11.6 – 11.8
ラップの
累計タイム
12.8 – 23.6 – 34.8 – 47.0 – 59.4 – 1:11.8 – 1:24.1 – 1:36.2 – 1:47.8 – 1:59.4 – 2:11.2
上り 4F 47.1 – 3F 35.0

1994年の第35回宝塚記念。関西テレビの中継では杉本清アナウンサーに「今日も涼しい顔をしたまま」と言わしめて、楽々と勝ったビワハヤヒデ。弟ナリタブライアンの第61回東京優駿制覇を受けて、兄貴は日本レコードで宝塚記念を勝ち、GI3勝目となりました。1994年前期の2000m以上の牡牝混合GIを、2頭で全部かっさらって行ったことになります。レースの2着には「アイルトンセナ、いや、アイルトンシンボリ」のアイルトンシンボリ(1989.5.1)でした。

*

1994年の第40回産経賞オールカマー(GIII。中山芝2200m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 8 ビワハヤヒデ 牡4 57 岡部幸雄 2:14.5   2-2-2-1 35.4 470
[-4]
浜田光正 1
2 3 ウイニングチケット 牡4 57 武豊 2:14.8 1.3/4 6-5-4-3 35.5 462
[+6]
伊藤雄二 2
3 5 ロイスアンドロイス 牡4 57 横山典弘 2:15.0 1 1-1-1-2 35.9 488
[-2]
松山康久 4
4 2 トミシノポルンガ 牡5 56 安藤勝己 2:16.1 7 4-3-3-4 36.9 438
[0]
加藤健 3
5 7 シャコーグレイド 牡6 56 江田照男 2:16.1 クビ 8-7-5-4 36.6 468
[-6]
矢野照正 5
1994年の第40回産経賞オールカマー(GIII。中山芝2200m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
13.0 – 12.1 – 13.2 – 12.6 – 12.8 – 12.2 – 11.5 – 11.7 – 11.8 – 11.6 – 12.0
ラップの
累計タイム
13.0 – 25.1 – 38.3 – 50.9 – 1:03.7 – 1:15.9 – 1:27.4 – 1:39.1 – 1:50.9 – 2:02.5 – 2:14.5
上り 4F 47.1 – 3F 35.4

*

ビワハヤヒデは、浜田光正調教師、荷方末盛厩務員、岡部幸雄騎手のそれぞれの「愛」に応える形で、自身の内に秘めたる「才能」を徐々に具現化していきました。花開いてからは、まぁ、呆れるほどに強かった。素質だけで走ってGIレースで僅差の勝負ができる馬が真に強くなった時。「馬に実が入った」という事を、彼から学びました。

1400mから3000mまでの幅広い距離でレコード4回。通算16戦10勝、2着5回。オールマイティーな強さと速さと、稀に見る安定性を併せ持った、「最強の兄貴」というのが、彼の真の姿。

満3歳春以降の主戦であった岡部騎手の言を引いておくと

「いつも自分から積極的に競馬をして、勝ちに行こうとした。ペースの速い、遅いに関係なく、自ら出て行く。そして最後まで手抜きをしない。いま、こういう馬はなかなかいないですよ。すごい名馬だと思いますね」

月刊『優駿』、2002年11月号、P59より引用-

本当に「一所懸命に走る馬」というイメージが、ただただ、残っています。白面の王者、ビワハヤヒデ。いつまでも忘れられない名馬です。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[ビワハヤヒデ(1990.3.10)の主な競走成績]

  1. 菊花賞(GI)、天皇賞・春(GI)、宝塚記念(GI)、京都記念(GII)、神戸新聞杯(GII)、デイリー杯3歳S(GII)、オールカマー(GIII)
  2. 東京優駿(GI)、有馬記念(GI)、皐月賞(GI)、朝日杯3歳S(GI)、共同通信杯4歳S(GIII)

通算16戦10勝、2着5回。

#2023年02月05日(日)記事改め。

20世紀の名馬 第20位 ビワハヤヒデ
20世紀の名馬 第20位 ビワハヤヒデ 超兄貴。 ……誰だ!ブs(ry とか顔デk(ry とか言う奴は!   競馬動画→mylist/7354219

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