2017年のクラシック候補生を確認する(番外編・其の壱)

タイムトリップ 牡 黒鹿毛 2014.3.26生 浦河・鵜木唯義氏生産 馬主・中村祐子氏 美浦・菊川正達厩舎

タイムトリップ(2014.3.26)の4代血統表
ロードアルティマ
黒鹿毛 2000.1.23
種付け時活性値:1.25
Seeking the Gold
鹿毛 1985.4.7
Mr. Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native 1961.4.18
Gold Digger 1962.5.28
Con Game
黒鹿毛 1974.3.20
Buckpasser 1963.4.28
Broadway 1959.2.21
Secrettame
栗毛 1978.3.15
Secretariat
栗毛 1970.3.30
Bold Ruler 1954.4.6
Somethingroyal 1952.3.12
Tamerett
黒鹿毛 1962.2.17
Tim Tam 1955.4.19
Mixed Marriage 1952
ミルフォードスバル
鹿毛 2001.4.11
仔受胎時活性値:1.00

ホークアタック
鹿毛 1992.5.10
種付け時活性値:0.00
Silver Hawk
鹿毛 1979.4.20
Roberto 1969.3.16
Gris Vitesse 1966.3.2
Speaking of Sweets
鹿毛 1978.5.24
Elocutionist 1973.3.4
Rolltosweets 1964
グリーンサムナー
鹿毛 1994.5.29
仔受胎時活性値:1.50
シャーディー
鹿毛 1986.5.20
種付け時活性値:1.75
Danzig 1977.2.12
Unfurled 1974.4.3
アヤテンリユウ
鹿毛 1980.4.15
仔受胎時活性値:1.25
シヤトーゲイ
栗毛 1960.2.29
種付け時活性値:0.75
フオーテリング
黒鹿毛 1961
仔受胎時活性値:0.50

<5代血統表内のクロス:Tom Fool5×5(父方)>

タイムトリップ(2014.3.26)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ロードアルティマ
(Mr. Prospector系)
★ホークアタック
(Roberto系)
シャーディー
(Danzig系)
シヤトーゲイ
(Khaled系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
シャーディー
(グリーンサムナー)
4.25 ディアチャンスと同牝系
(No. 14-a フオーテリング系)
5番仔
(不受胎後)

2016年のカンナS(OP)、2017年のクロッカスS(OP)とオープン特別2勝を遂げて、世代を代表する短距離馬候補に名乗りを上げたのはタイムトリップ。その馬名の意味は、そのまま「時間旅行」。馬主の名義はまったく違いますが、タイムトリップの馬上に収まる「黒」一色の勝負服は、かつてのシンコウラブリイ(1989.2.2)等を思い出させます。馬主の中村祐子氏は、ロードホースクラブに競走馬の現物出資をしているロードサラブレッドオーナーズの代表、かつケイアイファームの代表ですね。

タイムトリップの父ロードアルティマは現役時代に6勝を挙げ、その主な勝ち鞍は札幌日刊スポーツ杯(準OP)というマイナーな成績でした。が、母Secrettame、つまりは米国の名種牡馬Gone West(1984.3.10)の半弟、かつ父がやはり米国の名種牡馬Seeking the Goldという血統背景もあり種牡馬として供用されました。とはいえ、血統背景だけでは厳しいのが、現在の日本競馬の繁殖界。ロードアルティマの種付け頭数/生産頭数を見ると、

  1. 初年度(2009年)
    →10頭/5頭
  2. 2年度(2010年)
    →4頭/3頭
  3. 3年度(2011年)
    →1頭/1頭
  4. 4年度(2012年)
    →5頭/3頭

と低調な推移も致し方なし。ところが、初年度5頭の内3頭がJRAでデビューすると、その内の2頭、ロードシュプリーム(2010.2.22)とナカナカ(2010.4.22)が2歳戦で勝ち上がり。少ない駒で勝ち上がると注目されるもので、ロードアルティマ、5年度となる2013年は63頭/53頭と、種付け頭数は前年比1160%まで跳ね上がりました。2014年生まれのタイムトリップは、その63頭の種付けがなされて53頭が生まれた世代の内の1頭ですね。タイムトリップ、ロードアルティマの名を更に高めるべく、頑張って欲しいものです。

タイムトリップの最優性先祖である祖母父シャーディーは現役時代に5勝を挙げ、その主な勝ち鞍に愛2000ギニー(GI)、セントジェームズパレスS(英GI)、クレイヴンS(英GIII)とマイル戦のGI2勝、GIII1勝があります。シャーディーと同じ1986年生まれ世代のDanzig産駒にはデインヒル(1986.3.26)、Polish Precedent(1986.3.16)というところも見え、0の理論的には8歳時の0交配を受けた馬たちですね。

さて、シャーディーの代表産駒には、

  1. Velvet Moon(1991.2.13)
    →ローザーS(英GII)。ドバイワールドカップ(UAE・GI)の勝ち馬ムーンバラッド(1999.3.4)の母
  2. Papering(1993.4.5)
    →リディアテシオ賞(伊GII)、フェデリコテシオ賞(伊GIII)ほか
  3. Wizard King(1991.4.22)
    →ビーズウイングS(英GIII)、コンコルドS(愛GIII)2回、バリーコーラスS(愛GIII)、マクドナボランドS(愛GIII)ほか
  4. Desidera(1992.3.28)
    →ベルリン大賞(独GIII)ほか
  5. チェックメイト(1995.5.10)
    →ダービー卿チャレンジT(GIII)、東京新聞杯(GIII)ほか
  6. タカラシャーディー(2000.3.31)
    →毎日杯(GIII)、青葉賞(GII)2着、共同通信杯(GIII)2着

等がいます。名前を挙げた中では、やはり日本で走った2頭。チェックメイトは、満6歳の春にマイルGIIIを連勝してGIにもチェックを掛けようとしたところで、疝痛に見舞われ死亡したのが残念でした。タカラシャーディーは、シャーディー産駒らしさを見せず、鬼っ子的に距離が伸びても頑張りました。

*

ミラアイトーン 牡 青鹿毛 2014.3.22生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・島川隆哉氏 栗東・池江泰寿厩舎

ミラアイトーン(2014.3.22)の4代血統表
Lonhro
黒鹿毛 1998.12.10
種付け時活性値:1.625
Octagonal
黒鹿毛 1992.10.8
Zabeel
鹿毛 1986.10.25
Sir Tristram 1971.4.7
Lady Giselle 1982.3.28
Eight Carat
黒鹿毛 1975.3.7
Pieces of Eight 1963
Klairessa 1969
Shadea
黒鹿毛 1988.10.1
Straight Strike
黒鹿毛 1977.2.23
Mr. Prospector 1970.1.28
Bend Not 1972.2.2
Concia
鹿毛 1978.9.18
First Consul 1970.4.19
My Tricia 1974.10.9
タイタンクイーン
黒鹿毛 2005.5.8
仔受胎時活性値:2.00
Tiznow
鹿毛 1997.3.12
種付け時活性値:1.75
Cee’s Tizzy
芦毛 1987.4.21
Relaunch 1976.3.16
テイズリー 1981.4.27
Cee’s Song
黒鹿毛 1986.3.20
Seattle Song 1981.2.19
Lonely Dancer 1975.5.29
Ensnare
黒鹿毛 1996.3.3
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
Seeking the Gold
鹿毛 1985.4.7
種付け時活性値:0.50
Mr. Prospector 1970.1.28
Con Game 1974.3.20
トラップパス
鹿毛 1986.5.5
仔受胎時活性値:0.25
Danzig
鹿毛 1977.2.12
種付け時活性値:0.00
I Pass
鹿毛 1978.4.8
仔受胎時活性値:1.75

<5代血統表内のクロス:Mr. Prospector4×4、Buckpasser5×5(母方)>

ミラアイトーン(2014.3.22)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Lonhro
(Sir Tristram系)
Tiznow
(Intent系)
Seeking the Gold
(Mr. Prospector系)
Danzig
(Northern Dancer系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Lonhro 6.00 or 4.00 マイニングと同牝系
(No. 8-h)
4番仔?
(3連産目?)

デビュー戦の小倉芝1800m1着、2戦目の中山芝2000mの葉牡丹賞4着、そして3戦目の京都芝1400m1着。鞍上にはいずれも武幸四郎騎手。島川隆哉オーナーは、武兄弟への手厚いフォローが見られます。ミラアイトーン(Moira Aithon)、その馬名の意味は「運命(ギリシャ語)+ギリシャ神話の太陽神の馬の名」ということ。運命の不思議な手綱は、果たして、武幸四郎騎手に「初勝利と最終勝利が重賞制覇」という導きをなすのでしょうか。

ミラアイトーンの形相の対象は父Lonhro。父Lonhroの種付け時活性値は14.5歳時の「1.625」、母父Tiznowの種付け時活性値は7歳時の「1.75」と、Tiznowのほうが種付け時活性値は高いのですが、

逆にその差が一世代分に満たない場合、つまり被遺伝世代深度が1未満の場合には交配する牡の形相を受けて遺伝することになる。

だから、もしマグニテュードの精子の活性値よりも母の先祖の種牡馬の精子の活性値の最高数値の方が高くても、差が0.25より小さかったなら、ミホノブルボンはマグニテュードの”形””相”を遺伝したことになる。

-KKベストセラーズ、中島国治著「血とコンプレックス」、P237より引用-

という原典の記述より、「1.75-1.625=0.125」と、差は0.25未満のため、形相の対象はLonhroという判断です。

さて、Lonhroは現役時代に26勝を挙げ、その主な勝ち鞍にクイーンエリザベスS(豪GI)、マッキノンS(豪GI)、オーストラリアンC(豪GI)、コーフィールドギニー(豪GI)、ジョージライダーS(豪GI)2回、ヤルンバS(現コーフィールドS、豪GI)2回、チッピングノートンS(豪GI)、ジョージメインS(豪GI)、CFオーアS(豪GI)と1400mから2000mの距離でGI11勝、グループレース合計24勝という2000年代初頭を飾る豪州のスーパーホースです。

Lonhroは種牡馬としても能力を発揮し、2010年~2011年シーズンの豪州首位種牡馬に輝きました。また、私が確認した時点では、51頭のステークスウイナーを輩出し、108のステークス勝ちを記録しています。そんなLonhroの代表産駒を記しておきますと、

  1. Beaded(2005.9.10)
    →ドゥームベン10000(豪GI)ほか
  2. Denman(2006.10.17)
    →ゴールデンローズS(豪GI)ほか
  3. Benfica(2008.10.6)
    →ザTJスミス(豪GI)
  4. Mental(2008.11.14)
    →パティナックファームクラシック(豪GI)ほか
  5. Pierro(2009.10.5)
    →ゴールデンスリッパーS(豪GI)、サイアーズプロデュースS(豪GI)、シャンペンS(豪GI)、カンタベリーS(豪GI)、ジョージライダーSほか
  6. Bounding(2010.9.14)
    →レイルウェイS(新GI)ほか
  7. Exosphere(2012.8.25)
    →ゴールデンローズSほか

上記の中ではDenman、Benfica、Pierro、ExosphereがLonhroの後継種牡馬として、オセアニアの一大父系であるSir Tristramの血の継承を果たそうとしています。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

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