Seize the Grey(シーズザグレイ。2021.4.20)-第149回プリークネスS(米GI)の勝ち馬-

Result

Seize the Grey(シーズザグレイ) 牡 芦毛 2021.4.20生 米国・Jamm, LTD.生産 馬主・MyRacehorse 米国・D. Wayne Lukas厩舎

Seize the Grey(2021.4.20)の4代血統表
Arrogate
芦毛 2013.4.11
種付け時活性値:1.75【7】
Unbridled’s Song
芦毛 1993.2.18
Unbridled
鹿毛 1987.3.5
Fappiano 1977.5.19
Gana Facil 1981.2.9
Trolley Song
芦毛 1983.4.13
Caro 1967.4.11
Lucky Spell 1971.1.28
Bubbler
黒鹿毛 2006.4.5
Distorted Humor
栗毛 1993.3.19
フォーティナイナー 1985.5.11
Danzig’s Beauty 1987.3.7
Grechelle
黒鹿毛 1995.3.11
Deputy Minister 1979.5.17
Meadow Star 1988.5.19
Smart Shopping
鹿毛 2013.4.21
仔受胎時活性値:1.75【7】
Smart Strike
鹿毛 1992.5.21
種付け時活性値:1.00【20】
Mr. Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native 1961.4.18
Gold Digger 1962.5.28
Classy ‘n Smart
鹿毛 1981.5.20
Smarten 1976.4.17
No Class 1974.3.30
Shop Again
鹿毛 2002.3.20
仔受胎時活性値:0.50【10】
Wild Again
黒鹿毛 1980.5.22
種付け時活性値:1.25【21】
Icecapade 1969.4.4
Bushel-n-Peck 1958.3.21
Shopping
鹿毛 1988.5.14
仔受胎時活性値:1.25【13】
Private Account
鹿毛 1976.4.26
種付け時活性値:0.75【11】
Impish
栗毛 1972.5.19
仔受胎時活性値:1.75【15】

<5代血統表内のクロス:Mr. Prospector5×5×3>

Seize the Grey(2021.4.20)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Arrogate
(Mr. Prospector系)
Smart Strike
(Mr. Prospector系)
Wild Again
(Nearctic系)
Private Account
(Damascus系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Arrogate
(Bubbler)
5.25
(【7】+【10】+【13】+【15】)
伯父が米GI馬
(No. 8-h)
3番仔?
(3連産目?)

*

2024年の第149回プリークネスS(米GI。ピムリコ・ダート9.5F)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 6 Seize The Grey 牡3 57.2 Jaime A Torres 1:56.82 D Wayne Lukas 6
2 5 Mystik Dan 牡3 57.2 Brian Joseph Hernandez Jr 2 1/4 Kenneth McPeek 1
3 3 Catching Freedom 牡3 57.2 Flavien Prat アタマ Brad H Cox 2
4 8 Tuscan Gold 牡3 57.2 Tyler Gaffalione 6 Chad C Brown 4
5 7 Just Steel 牡3 57.2 Joel Rosario 2 1/4 D Wayne Lukas 7
シーズザグレイが米G1プリークネスSを制す、ミスティックダンは2着で二冠ならず | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト
米クラシック2戦目のG1プリークネスステークス(3歳、ダート9.5ハロン)が現地18日にピムリコ競馬場で行われ、6番人気のシーズザグレイが二の足速く先頭に立つと、ケンタッキーダービーとの二冠を狙う1

ピムリコ・ダート9.5ハロン、曇の重馬場、1頭取消して8頭立て。ケンタッキーダービー(米GI)を制したMystik Dan(2021.3.4)が二冠を賭けて出走した”The Run for the Black-Eyed Susans”。

Mystik Dan(2021.3.4)-第150回ケンタッキーダービー(米GI)の勝ち馬-
Mystik Dan(2021.3.4)-第150回ケンタッキーダービー(米GI)の勝ち馬-

Mystik Dan、ダービー馬のプライドを見せるべく先行策から勝機を伺いましたが、逃げの手に出たSeize The Greyが二冠の夢を阻みました。Seize The Grey、ケンタッキーダービー同日のアンダーカードであったパットデイマイルS(米GII)を制して臨んだプリークネスS、現地表記では「Muddy」という泥田のような馬場でハナを取り切ると、あれよあれよと逃げ粘り。ピムリコ・ダートの直線384ヤード(=およそ351m)で襲い掛かろうとしたMystik Danを振り切って、左へ右へのふらつきを見せたものの、最後は2と4分の1馬身差の完勝。Seize The Grey、芦毛の馬体が第149代のプリークネスS勝ち馬としてブラックアイドスーザンの黄色いレイを受けたのでした。

Seize The Greyの鞍上を務めたハイメ・A.トーレス騎手は今回のプリークネスSが米国三冠レース初騎乗であり、そのまま初勝利の快挙を遂げられました。グレードレースの勝利自体もSeize The Greyの前走パットデイマイルSであった現在25歳のトーレス騎手。AP通信が伝えるところによりますと、

BALTIMORE (AP) — Jaime Torres was watching horse racing on television in his native Puerto Rico in 2019 when he decided he wanted to be a jockey.

Jaime Torres wins the Preakness with Seize the Grey 2 years after starting to ride horses | AP News

2019年に故郷のプエルトリコで競馬をテレビ観戦していた時に騎手になりたいと思ったというトーレス騎手。2022年にレースに騎乗し始めて、2024年には米国のクラシックジョッキーになられた。その展開の速さに驚きますが、志を立ててから寸暇を惜しんで努力を積み重ねてこられたであろうプエルトリカンによる、アメリカンドリームの体現がSeize The GreyのプリークネスSでした。

そしてまたSeize The Greyを管理される名伯楽ダレル・ウェイン・ルーカス調教師は、7回目のプリークネスS制覇にして、御年88歳という史上最年長の米国クラシック優勝調教師となられました。ルーカス師のプリークネスS7勝を確認してみますと、

  1. Codex(1977.2.28)
    →プリークネスS(米GI)、サンタアニタダービー(米GI)、ハリウッドダービー(米GI)。牡馬
  2. Tank’s Prospect(1982.5.2)
    →プリークネスS(米GI)、アーカンソーダービー(米GI)ほか。牡馬
  3. タバスコキャット(1991.4.15)
    →ベルモントS(米GI)、プリークネスS(米GI)、サンラファエルS(米GII)、エルカミノレアルダービー(米GIII)ほか。牡馬
  4. ティンバーカントリー(1992.4.12)
    →プリークネスS(米GI)、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(米GI)、シャンペンS(米GI)、バルボアS(米GIII)ほか。牡馬
  5. カリズマティック(1996.3.13)
    →ケンタッキーダービー(米GI)、プリークネスS(米GI)、レキシントンS(米GII)ほか。牡馬
  6. Oxbow(2010.3.26)
    →プリークネスS(米GI)、ルコントS(米GIII)ほか。牡馬
  7. Seize The Grey(2021.4.20)
    →プリークネスS(米GI)、パットデイマイルS(米GII)ほか。牡馬。本稿の主役

筆頭に名前が挙がったCodexによる1980年のプリークネスSがルーカス師の米国三冠レース初勝利でした。また7頭中3頭がカタカナ馬名ということで馴染みのある馬たちも見えますね。名繁殖牝馬Fall Aspen(1976.3.9)の仔であるティンバーカントリーがプリークネスSを制した1995年は、ケンタッキーダービーとベルモントS(米GI)をサンダーガルチ(1992.5.23)で勝利されていて、史上初めて「別馬で同一年の米国三冠すべてを勝利」を果たされたのでした。ウィキペディア日本語版のルーカス師の記事にも記載がありますが、ルーカス師は1994年のタバスコキャットによるプリークネスSから1996年のGrindstone(1993.1.23)によるケンタッキーダービーまで米国三冠6連勝(!!)も遂げられています。1996年当時、月刊『優駿』の石川ワタルさんによる海外競馬ニュースで米国三冠6連勝を知った時「むぅ、正に名伯楽やなぁ」と思ったもの。なお、ルーカス師の米国三冠勝利は今回のプリークネスSで通算「15」となりました。シンプルにスゴいm(_ _)m

では、以下にSeize The Greyの簡単な近親牝系図を示しておきます。近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。

Shopping 1988.5.14 3勝
|Bought in Dixie 1996.3.29 7勝 フォールハイウエイトH(米GII)3着ほか
|Shop Here 1998.4.6 2勝
||Fifth Avenue 2003.3.22 2勝 アディロンダックS(米GII)2着ほか
||Shopit 2005.4.25 1勝
|||Shoplifted 2017.4.11 2勝 ホープフルS(米GI)2着ほか
||Shoppers Return 2006.4.13 3勝
|||Imprimis 2014.2.9 9勝 シェイカータウンS(米GII) ケンタッキーダウンズターフスプリントS(米GIII)ほか
|Shop Again 2002.3.20 4勝
||Power Broker 2010.2.15 4勝 フロントランナーS(米GI) インディアナダービー(米GII)ほか
||Smart Shopping 2013.4.21 1勝
|||Seize the Grey 2021.4.20 (本馬) プリークネスS(米GI) パットデイマイルS(米GII)ほか
|Miss Shop 2003.3.30 9勝 パーソナルエンスンS(米GI) ランパートH(米GII) ターンバックジアラームH(米GIII)ほか
||Tin Type Gal 2013.4.28 3勝 ボイリングスプリングズS(米GIII) ミスグリリョS(米GIII)ほか
|Trappe Shot 2007.2.18 6勝 トゥルーノースH(米GII)ほか

Seize The Greyの牝系は米国で継承されている8号族h分枝系。伯父、大叔母が米GI勝ち馬であるほか近親に活躍馬がかなり見えます。活力充分。

Seize The Greyの紹介が遅くなりましたので、既にベルモントSが次の土曜日に迫っているのですが、Seize The GreyはベルモントSに出走する模様。約1ヶ月という短期決戦の米国三冠、今年2024年と来年2025年は三冠最終戦がサラトガ・ダート10ハロンで行われます。例年とは異なる舞台における米国の3歳馬たちによるクラシック最後の戦い、東洋の空の下から楽しみにしたいと思います。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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