Justify 牡 栗毛 2015.3.28生 米国・John D. Gunther生産 馬主・China Horse Club International Ltd., WinStar Farm, Starlight Racing, Head of Plains Partners LLC 米国・Bob Baffert厩舎
Scat Daddy 黒鹿毛 2004.5.11 種付け時活性値:0.50 |
ヨハネスブルグ 鹿毛 1999.2.23 |
ヘネシー 栗毛 1993.3.25 |
Storm Cat 1983.2.27 |
Island Kitty 1976.2.23 | |||
Myth 鹿毛 1993.2.26 |
▲オジジアン 1983.3.17 | ||
Yarn 1987.3.1 | |||
Love Style 栗毛 1999.3.22 |
Mr. Prospector 鹿毛 1970.1.28 |
★Raise a Native 1961.4.18 | |
Gold Digger 1962.5.28 | |||
Likeable Style 鹿毛 1990.1.30 |
Nijinsky 1967.2.21 | ||
Personable Lady 1981.2.21 | |||
Stage Magic 栗毛 2007.5.4 仔受胎時活性値:1.75 |
Ghostzapper 鹿毛 2000.4.6 種付け時活性値:1.50 |
Awesome Again 鹿毛 1994.3.29 |
Deputy Minister 1979.5.17 |
Primal Force 1987.4.27 | |||
Baby Zip 鹿毛 1991.3.24 |
Relaunch 1976.3.16 | ||
Thirty Zip 1983.4.23 | |||
Magical Illusion 栗毛 2001.5.15 仔受胎時活性値:1.25 |
Pulpit 鹿毛 1994.2.15 種付け時活性値:1.50 |
A.P. Indy 1989.3.31 | |
Preach 1989.3.26 | |||
Voodoo Lily 鹿毛 1987.3.9 仔受胎時活性値:1.25 |
Baldski 黒鹿毛 1974.5.15 種付け時活性値:1.00 |
||
Cap the Moment 栗毛 1980.2.11 仔受胎時活性値:1.50 |
<5代血統表内のクロス:Mr. Prospector5×3×5、Nijinsky4×5、Narrate(♀)5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Scat Daddy (Storm Cat系) |
Ghostzapper (Deputy Minister系) |
Pulpit (Seattle Slew系) |
Baldski (Nijinsky系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Ghostzapper (Relaunch) |
5.75 |
曾祖母が米GIII勝ち馬 (No. 1-h) |
3番仔? (3連産目?) |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破時計 ・着差 |
調教師 |
人 気 |
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1 | 1 | Justify | 牡3 | 57.2 | Mike E Smith | 2:28.18 | Bob Baffert | 1 |
2 | 6 | Gronkowski | 牡3 | 57.2 | Jose L Ortiz | 1 3/4 | Chad C Brown | 8 |
3 | 4 | Hofburg | 牡3 | 57.2 | Irad Ortiz Jr | 1 3/4 | William Mott | 2 |
4 | 8 | Vino Rosso | 牡3 | 57.2 | John R Velazquez | クビ | Todd Pletcher | 3 |
5 | 7 | Tenfold | 牡3 | 57.2 | Ricardo Santana Jr | 3 1/2 | Steven Asmussen | 5 |
2018年の第150回ベルモントS。Justify、史上13頭目の米国クラシック三冠、成る。そしてまた、Seattle Slew(1974.2.15)以来41年ぶり史上2頭目の無敗の米国クラシック三冠、成る。栗毛の流星、青のシャドーロール、そして今回は共同馬主であるチャイナホースクラブの赤い勝負服も鮮やかにJustify、ベルモントパーク・ダート12Fを終始先頭で駆け抜けました。「さもありなん」と、事も無げにベルモントSも制したJustify、ただただ、ただただ見事な「トリプルクラウン」達成でした。
Justifyの鞍上であるマイク・スミス騎手は、2010年の第142回のDrosselmeyer(2007.4.1)、2013年の第145回のパレスマリス(2010.5.2)に続いてベルモントS3勝目。管理されるボブ・バファート調教師は2001年の第133回のPoint Given(1998.3.27)、2015年の第147回のAmerican Pharoah(2012.2.2)に続いてベルモントS3勝目。そして、馬主に名前を連ねるウインスターファームも、2010年の第142回のDrosselmeyer、2016年の第148回のクリエイターII(2013.3.30)に続いて、やはりベルモントS3勝目。3が並んだJustifyに関わる人たち。Justifyの三冠、果たされるべくして、果たされました。皆様、おめでとうございました。
そんな13頭目の米国クラシック三冠馬となったJustify。史上に残る先達と共に列挙しておきますと、
- Sir Barton(1916.4.26)
→通算31戦13勝、2着6回、3着5回。現行の米国クラシック三冠を制した、記念すべき初めての馬 - Gallant Fox(1927.3.23)
→通算17戦11勝、2着3回、3着2回。2018年現在、仔Omahaと共に、史上唯一の父仔による米国クラシック三冠を達成 - Omaha(1932.3.24)
→通算22戦9勝、2着7回、3着2回。2018年現在、父Gallant Foxと共に、史上唯一の父仔による米国クラシックを達成 - War Admiral(1934.5.2)
→通算26戦21勝、2着3回、3着1回。0の理論的には、その父Man o’ War(1917.3.29)が満16歳時のミニモの遺伝馬 - Whirlaway(1938.4.2)
→通算60戦32勝、2着15回、3着9回。2018年現在、三冠に加えトラヴァーズS(現米GI)も制している唯一の馬 - Count Fleet(1940.3.24)
→通算21戦16勝、2着4回、3着1回。1951年の北米首位種牡馬にも輝き「名馬にして名種牡馬」となりました - Assault(1943.3.26)
→通算42戦18勝、2着6回、3着7回。テキサス州産の唯一の三冠馬は、幼少期の右前脚の負傷を乗り越えた名馬 - Citation(1945.4.11)
→通算45戦32勝、2着10回、3着2回。名門カルメットファームの栄光を支えた史上初の100万ドルホース - Secretariat(1970.3.30)
→通算21戦16勝、2着3回、3着1回。2018年現在も三冠レースすべてでレコードタイムを保持する2代目ビッグレッド - Seattle Slew(1974.2.15)
→通算17戦14勝、2着1回。史上初めて無敗で米国クラシック三冠を制したアメリカンドリームの体現馬 - Affirmed(1975.2.21)
→通算29戦22勝、2着5回、3着1回。2年連続で現れた米国クラシック三冠馬は、宿敵Alydar(1975.3.23)との対決を制したド根性の権化 - American Pharoah(2012.2.2)
→通算11戦9勝2着1回。Affirmed以来37年ぶりの米国クラシック三冠を達成し、更にはブリーダーズカップ・クラシック(米GI)まで制した、21世紀最初の三冠馬 - Justify(2015.3.28)
→本稿の主役。Seattle Slew以来41年ぶりとなる史上2頭目の無敗の米国クラシック三冠馬
いずれ違わぬ米国の名馬たち。米国競馬の黄金時代と言われた1970年代に3頭が輩出された後、1980年代、1990年代、2000年代には果たされなかった「トリプルクラウン」、2010年代に2頭が達成しました。American PharoahとJustify、共にバファート師の管理馬。名伯楽、その手腕「サスガ」の一言に尽きます。なお、2頭の米国クラシック三冠馬の調教師となった人物は、Gallant FoxとOmahaの父仔三冠馬を管理されたジェームズ・エドワード・フィッツシモンズ調教師以来2人目です。
*
Justifyに関しては、第144回ケンタッキーダービー(米GI)、第143回プリークネスS(米GI)を制した際に牝系や最優性先祖について述べました。ネタ切れになった今回は、Justifyの祖母父系にも現れる、米国競馬史上初めての無敗のクラシック三冠馬の4代血統表をアップしておきます。
Seattle Slew 牡 黒鹿毛 1974.2.15生~2002.5.7没 米国・Ben S. Castleman生産 馬主・Mickey and Karen L. Taylor, Tayhill Stable/Jim Hill, et. al. 米国・William H. Turner, Jr. 厩舎→米国・Douglas R. Peterson厩舎
Bold Reasoning 黒鹿毛 1968.4.29 種付け時活性値:1.25 |
Boldnesian 鹿毛 1963.4.14 |
★Bold Ruler 黒鹿毛 1954.4.6 |
Nasrullah 1940.3.2 |
Miss Disco 1944 | |||
Alanesian 鹿毛 1954.4.28 |
Polynesian 1942.3.8 | ||
Alablue 1945 | |||
Reason to Earn 鹿毛 1963 |
Hail to Reason 黒鹿毛 1958.4.18 |
Turn-to 1951 | |
Nothirdchance 1948 | |||
Sailing Home 栗毛 1948 |
★Wait a Bit 1939 | ||
Marching Home 1932 | |||
My Charmer 鹿毛 1969.3.25 仔受胎時活性値:1.00 |
Poker 鹿毛 1963.3.20 種付け時活性値:1.25 |
★Round Table 鹿毛 1954.4.6 |
Princequillo 1940 |
Knight’s Daughter 1941 | |||
Glamour 鹿毛 1953.4.2 |
Nasrullah 1940.3.2 | ||
Striking 1947 | |||
Fair Charmer 栗毛 1959.2.3 仔受胎時活性値:0.25 |
Jet Action 栗毛 1951 種付け時活性値:1.75 |
Jet Pilot 1944 | |
Busher 1942 | |||
Myrtle Charm 鹿毛 1946 仔受胎時活性値:1.00 |
Alsab 鹿毛 1939.4.28 種付け時活性値:1.50 |
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Crepe Myrtle 鹿毛 1938 仔受胎時活性値:1.75 |
<5代血統表内のクロス:Nasrullah4×4、War Admiral5×5(母方)、Baby League(♀)5×5(母方)>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Bold Reasoning (Bold Ruler系) |
Poker (Princequillo系) |
Jet Action (Blenheim系) |
Alsab (Himyar系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Jet Action (Fair Charmer) |
4.00 |
半弟Lomond (No. 13-c) |
初仔 |
*
米国の誇る名馬、Seattle Slew。0の理論的なネタとなり恐縮ですが、中島国治氏はファシグ・ティプトンのセリ名簿からSeattle Slewをチョイスされたそうな。
1978年の夏の初めにタイヘイ牧場の六郎田靖氏が、キーンランドで馬を買うからセリ名簿から選んでみてくれ、と私が牧場へ行ったときに頼まれた。(中略)なぜ六郎田氏が私に頼んだかである。それは、1975年のファッシグチプトンの名簿の中から私が1頭選んだ馬がシアトルスルー(Seattle Slew 1974年)であったからだ。同馬はアメリカの三冠馬となった。
-「競馬最強の法則」、1998年10月号、P87より抜粋-
なお、1978年のキーンランド・セプテンバー・セールにおいて、六郎田氏や保手浜忠弘氏が相乗りで購入されようとした馬は、後のNureyev(1977.5.2)だったそうです。
また、Seattle Slewについて、写真家・今井壽惠さんのコメントを引いておきますと、
馬と対決していて恐ろしいと思うことがたまにありますが、(中略)シアトルスルーも同じように恐ろしく感じた一頭です。シアトルスルー自身は穏やかな馬なんですが、眼が狂気と紙一重なんです。こうした精神的に深い馬は怖いですね。
-月刊『優駿』、1999年3月号、P15より抜粋-
今井壽惠さんといえば、シンボリルドルフ(1981.3.13)も写真で取り続けられていた訳ですが、米日の無敗の三冠馬どうしに、共通する「狂気」を感じ取られていたのかもしれません。
そしてまた、種牡馬Seattle Slewの米国での活躍は21世紀にBold Rulerの父系をつなげる原動力となり、日本にもダンツシアトル(1990.5.13)、タイキブリザード(1991.3.12)、ヒシナタリー(1993.2.16)、マチカネキンノホシ(1996.4.2)などの活躍馬を送り込んでくれました。
*
史上13頭目の米国クラシック三冠を無敗で遂げたJustify。馬体重570kg程という栗毛の巨体を有することから、もしかしたら、3代目ビッグレッドになるのやもしれません。Justify、21世紀2頭目の米国クラシック三冠馬のこれからに、どうぞ幸多からんことを。極東の空の下から、祈っています。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。