Ezeliya(エゼリヤ。2021.3.17)-第246回英オークス(GI)の勝ち馬-

Result

Ezeliya(エゼリヤ) 牝 鹿毛 2021.3.17生 仏国・H H The Aga Khan’s Studs Sc生産 馬主・H H Aga Khan 愛国・D K Weld厩舎

Ezeliya(2021.3.17)の4代血統表
Dubawi
鹿毛 2002.2.7
種付け時活性値:0.50【18】
Dubai Millennium
鹿毛 1996.3.20
Seeking the Gold
鹿毛 1985.4.7
Mr. Prospector 1970.1.28
Con Game 1974.3.20
Colorado Dancer
黒鹿毛 1986.2.13
Shareef Dancer 1980.3.3
Fall Aspen 1976.3.9
Zomaradah
鹿毛 1995.2.21
Deploy
鹿毛 1987.5.15
Shirley Heights 1975.3.1
Slightly Dangerous 1979.4.8
Jawaher
鹿毛 1989.5.13
ダンシングブレーヴ 1983.5.11
High Tern 1982.5.1
Eziyra
栗毛 2014.2.3
仔受胎時活性値:1.50【6】
Teofilo
鹿毛 2004.2.9
種付け時活性値:0.25【9】
Galileo
鹿毛 1998.3.30
Sadler’s Wells 1981.4.11
Urban Sea 1989.2.18
Speirbhean
鹿毛 1998.5.25
デインヒル 1986.3.26
Saviour 1987.5.17
Eytarna
栗毛 2006.4.19
仔受胎時活性値:1.75【7】
Dubai Destination
鹿毛 1999.2.10
種付け時活性値:1.50【6】
★Kingmambo 1990.2.19
Mysterial 1994.1.27
Ebaziya
鹿毛 1989.3.18
仔受胎時活性値:2.00(0.00)【16】
Darshaan
黒鹿毛 1981.4.18
種付け時活性値:1.75【7】
Ezana
栗毛 1983.4.22
仔受胎時活性値:1.25【5】

<5代血統表内のクロス:Mr. Prospector4×5、Shirley Heights4×5、Northern Dancer5×5>

Ezeliya(2021.3.17)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Dubawi
(Mr. Prospector系)
Teofilo
(Galileo系)
Dubai Destination
(Mr. Prospector系)
Darshaan
(Mill Reef系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Darshaan
(Delsy)
6.50 or 4.50
(【6】+【7】+【16】+【5】)
母が愛GII勝ち馬
(No. 13-c)
2番仔
(2連産目)

*

2024年の第246回英オークス(GI。エプソムダウンズ芝12F6y)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 3 Ezeliya 牝3 58.1 Chris Hayes 2:42.06 D K Weld 2
2 2 Dance Sequence 牝3 58.1 William Buick 3 Charlie Appleby 3
3 10 War Chimes 牝3 58.1 Tom Marquand 1 1/2 David Menuisier 12
4 12 You Got To Me 牝3 58.1 Hector Crouch 3 3/4 Ralph Beckett 4
5 1 Caught U Looking 牝3 58.1 Colin Keane 3/4 Noel Meade 7
英オークスはエゼリヤが快勝、秋には凱旋門賞に挑戦も | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト
現地31日、英エプソム競馬場でG1英オークス(3歳牝馬、芝12ハロン)が行われ、C.ヘイズ騎乗のエゼリヤが快勝した。  レースは吉田勝己氏所有のメイキングドリームスが後続を離して逃げ、エゼリヤは後

エプソムダウンズ芝12ハロン6ヤード、稍重馬場、12頭立て。世界中のオークスの範たる英オークス、回数を重ねて2024年で246回。レースは吉田勝己氏の勝負服をまとったクリフォード・リー騎手のMaking Dreams(2021.4.28)が先導を果たし、馬順も大きく入れ替わることなく淀みない流れに。そうしてタッテナムコーナーを回り切って半マイル近い直線に向かったところでは、馬群が横に広がる競馬。坂の下りを利して各馬がスパートに掛かると、ラスト2ハロンの標識の地点で内を抜けて来たウィリアム・ビュイック騎手騎乗のDance Sequence(2021.3.19)、外を回ったクリス・ヘイズ騎手騎乗のEzeliyaの脚色が良く、勝負は12頭中2頭だけだったDubawi産駒の一騎討ちへ。ラスト1ハロンで馬体が接触加減に見えたところで、前に出ていたEzeliyaの迫力が勝り完全に先頭。緑の帽子、緑地の両肩に赤マークというおなじみの勝負服を乗せた鹿毛馬Ezeliya、ゴール地点では3馬身突き放しての完勝。2023年9月のコーク8ハロンのメイドン、2024年4月のナヴァン10ハロンのサルサビルS(愛GIII)、そして英オークスと3連勝で牝馬クラシックの頂点を蹄中に収めました。

Ezeliyaの鞍上を務めたヘイズ騎手は英国クラシック初勝利となりました。ゴール地点で右腕を振り上げ、ゴール後は左腕でガッツポーズ。嬉しさが爆発していました。また、↑で引いたThe Jockey Clubの英オークスの動画タイトルがEzeliya delivers second Betfred Oaks for Dermot Weld 43 YEARS after his first 😮となっているように、愛国の名伯楽であるダーモット・ウェルド調教師は1981年のBlue Wind(1978.5.3)以来、実に43年ぶりの英オークス2勝目。そしてオーナーブリーダーであるアガ・カーン4世は、私が確認した限りでは、超意外なことに英オークスは初制覇。Aliysa(1986.2.11)による1989年の英オークス1位入線失格から35年。そのAliysaの失格の裁定を不服として英国競馬をボイコットした5年間があったにせよ、やっぱり超意外。ともあれEzeliyaの英オークス優勝により、

  1. アガ・カーン3世
    →Udaipur(1929)、Masaka(1945)
  2. アリ・カーン王子
    →Petite Etoile(1956)
  3. アガ・カーン4世
    →Ezeliya(2021.3.17)。本稿の主役

と、父子3代での英オークス制覇となったのでした。サスガに出て来る馬名が「うぉっ」と思わされます。Udaipurは日本の名種牡馬となったヒンドスタン(1946)の祖母であり、東京優駿勝ち馬バンブーアトラス(1979.4.27)の5代母であり、Wild Again(1980.5.22)の4代母でもあります。またMasakaは明和牧場で繋養された種牡馬シルバーシャーク(1963)の祖母であり、Masaka自身の母がMajideh(1939)ということで、日本語読みの「まさか、まじでー」の響きに親近感を覚えることでおなじみ(!?)です。Masakaの子孫にはLashkari(1981.4.3)Kahyasi(1985.4.2)等もいます。Petite Etoileは代を重ねて「スーパーメア」Zarkava(2005.3.31)の5代母となりました。随分と余談となってしまいましたので余談ついでに、Aliysaが失格となった英オークスを繰り上がり1着となったのはSnow Bride(1986.2.28)。アガ・カーン4世のオーナーブリード馬であったBlushing Groom(1974.4.8)、その娘Snow Brideはラムタラ(1992.2.2)の母としても知られています。

という訳で自分で手数を増やし過ぎる悪癖の結果、Ezeliyaの話題から逸走してしまいましたが、Ezeliyaの簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。

Ebaziya 1989.3.18 4勝 キラヴランS(愛GIII)2着ほか
|Ebadiyla 1994.3.21 3勝 愛オークス(GI) ロワイヤルオーク賞(仏GI)ほか
||Eyshal 2004.2.14 5勝 愛ナショナルS(GI)3着ほか
||Ebalista 2005.3.14 1勝
|||Ebiyza 2010.2.5 1勝 ロワイヤリュー賞(仏GII)
||||Ebaiyra 2017.2.26 5勝 コリーダ賞(仏GII) ポモーヌ賞(仏GII) アレフランス賞(仏GIII) ロワイヨモン賞(仏GIII)ほか
||Ebanoran 2011.3.13 6勝 愛ダービートライアルS(GIII)2着ほか
||Edelpour 2012.3.24 2勝 バリーローンS(愛GIII)2着
|Enzeli 1995.4.5 6勝 ゴールドC(英GI) ドンカスターC(英GIII)
|Edabiya 1996.4.8 2勝 モイグレアスタッドS(愛GI)ほか
|Ebaza 2002.5.24 0勝
||Emiyna 2008.3.13 2勝 アサシS(愛GIII)ほか
|Elbasana 2004.3.3 0勝
||Edelmira 2011.3.13 2勝 ギヴサンクスS(愛GIII)
|Eytarna 2006.4.19 2勝
||Eziyra 2014.2.3 6勝 ブランドフォードS(愛GII) バリーローンS(愛GIII) キルターナンS(愛GIII) ギヴサンクスS(愛GIII) パークS(愛GIII)ほか
|||Ezeliya 2021.3.17 (本馬) 英オークス(GI) サルサビルS(愛GIII)
|Estimate 2009.4.4 5勝 ゴールドC(英GI) ドンカスターC(英GII) サガロS(英GIII) クイーンズヴァーズ(英GIII)ほか

アガ・カーン4世の名繁殖系のひとつである13号族c分枝系、馬名の頭文字「E」のライン。特筆すべきはEzeliyaの曾祖母EbaziyaからEbadiyla、Enzeli、Edabiya、そしてEstimateと4頭のGI馬が輩出されていることでしょう。今回の英オークスにはチャールズ3世国王の持ち馬Treasure(2021.4.6)も出走していてエプソムダウンズ競馬場への来臨の姿も見られましたが、Estimateはエリザベス2世女王の持ち馬としてロイヤルアスコット開催のゴールドCを制した馬として知られています。Estimateはアガ・カーン4世からエリザベス2世女王に贈られた馬でもありました。

エリザベス2世女王陛下の愛馬たち-後編-
エリザベス2世女王陛下の愛馬たち-後編-Highclere(ハイクレア)、Dunfermline(ダンファームリン)、Estimate(エスティメイト)

↑で引いたJRA-VAN Worldの記事では、秋の進路の選択肢に凱旋門賞(仏GI)も上がっているというEzeliya。確認してみればアガ・カーン4世の凱旋門賞勝ちは、上述のZarkavaが制した2008年が最後となっています。Ezeliya、16年ぶり5度目の凱旋門賞優勝を、アガ・カーン4世にプレゼントできるでしょうか。仏国生まれの愛国調教馬にして英オークス馬Ezeliya、生国の大レースの快走も期待したいと思います。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

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