チェルヴィニア 牝 鹿毛 2021.2.3生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)サンデーレーシング 美浦・木村 哲也厩舎
ハービンジャー 鹿毛 2006.3.12 種付け時活性値:1.50【14】 |
Dansili 黒鹿毛 1996.1.27 |
▲デインヒル 鹿毛 1986.3.26 |
★Danzig 1977.2.12 |
Razyana 1981.4.18 | |||
Hasili 鹿毛 1991.3.12 |
Kahyasi 1985.4.2 | ||
Kerali 1984.3.4 | |||
Penang Pearl 鹿毛 1996.3.11 |
Bering 栗毛 1983.3.20 |
Arctic Tern 1973.5.11 | |
Beaune 1974.4.10 | |||
Guapa 鹿毛 1988.5.4 |
Shareef Dancer 1980.3.3 | ||
Sauceboat 1972.2.28 | |||
チェッキーノ 栗毛 2013.2.8 仔受胎時活性値:1.75【7】 |
キングカメハメハ 鹿毛 2001.3.20 種付け時活性値:0.75【11】 |
Kingmambo 鹿毛 1990.2.19 |
Mr. Prospector 1970.1.28 |
Miesque 1984.3.14 | |||
マンファス 黒鹿毛 1991.2.23 |
ラストタイクーン 1983.5.9 | ||
Pilot Bird 1983.2.9 | |||
ハッピーパス 鹿毛 1998.6.3 仔受胎時活性値:1.50【14】 |
サンデーサイレンス 青鹿毛 1986.3.25 種付け時活性値:0.75【11】 |
★Halo 1969.2.7 | |
Wishing Well 1975.4.12 | |||
ハッピートレイルズ 鹿毛 1984.5.29 仔受胎時活性値:1.25【13】 |
ポツセ 栗毛 1977.5.15 種付け時活性値:1.50【6】 |
||
ロイコン 鹿毛 1975.3.4 仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】 |
<5代血統表内のクロス:Northern Dancer5×5(父方)>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
ハービンジャー (デインヒル系) |
キングカメハメハ (Mr. Prospector系) |
サンデーサイレンス (Halo系) |
ポツセ (Forli系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
ハービンジャー | 6.50 or 4.50 (【7】+【14】+【13】+【8】) |
半兄ノッキングポイント (No. 4-d) |
2番仔 (2連産目) |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 | 斤 量 |
騎手 | 走破 時計 |
着差 | 通過 順位 |
上り 3F |
馬体重 [増減] |
調教師 | 人 気 |
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1 | 12 | チェルヴィニア | 牝3 | 55 | C.ルメール | 2:24.0 | 12-9-9-10 | 34.0 | 482 [-6] |
木村 哲也 | 2 | |
2 | 7 | ステレンボッシュ | 牝3 | 55 | 戸崎 圭太 | 2:24.1 | 1/2 | 9-9-9-12 | 34.0 | 458 [-4] |
国枝 栄 | 1 |
3 | 14 | ライトバック | 牝3 | 55 | 坂井 瑠星 | 2:24.4 | 1 3/4 | 15-14-13-15 | 34.1 | 476 [+6] |
茶木 太樹 | 3 |
4 | 2 | クイーンズウォーク | 牝3 | 55 | 川田 将雅 | 2:24.4 | クビ | 5-5-5-4 | 34.7 | 522 [+8] |
中内田 充正 | 5 |
5 | 18 | ランスオブクイーン | 牝3 | 55 | 横山 和生 | 2:24.4 | ハナ | 3-3-3-2 | 34.9 | 436 [-4] |
奥村 豊 | 14 |
1F毎の ラップ |
12.4 – 10.8 – 11.5 – 11.5 – 11.5 – 12.1 – 12.8 – 12.9 – 13.4 – 12.2 – 11.5 – 11.4 |
---|---|
ラップの 累計タイム |
12.4 – 23.2 – 34.7 – 46.2 – 57.7 – 1:09.8 – 1:22.6 – 1:35.5 – 1:48.9 – 2:01.1 – 2:12.6 – 2:24.0 |
上り | 4F 48.5 – 3F 35.1 |
東京芝2400m、曇の良馬場、18頭立て。
○ 優駿牝馬(GⅠ)(オークス)
本競走は、イギリスの『オークス』に範をとり、1938 年に『阪神優駿牝馬』の名称で創設された重賞競走。当時は、我が国と競馬先進国で、3 歳牝馬の成長度に半年程度の差があると考えられていたため、秋に実施されていた。1946 年に開催場を東京競馬場に変更したことを機に、現在の『優駿牝馬』に改称。1953 年には実施時期を諸外国と同様の春に変更し、現在に至る。
オーク(Oak)は、樫を意味する英語。『英ダービー』の創設者である第 12 代ダービー卿エドワード・スミス・スタンレーは、樫の森が茂るオークスと呼ばれる土地を所有していた。1779 年、彼はエリザベス・ハミルトンと結婚した際に、その記念として競馬を開催することを思い立ち、その中に夫人の希望を入れ、3 歳牝馬のレースを行い、これを『オークス』と名付けたと言われている。
終わってみれば2番人気、1番人気、3番人気という上位人気馬が馬券圏内を占め、「ファンはよく知っている」という結果。けれど、果たされたのは桜花賞(GI)馬による二冠ではなく、母がクビ差で敗れた舞台で娘がその無念を晴らしたという浪花節。桜花賞で13着に沈んだチェルヴィニア、戦前まで[2-1-0-0]だった左回り、そして主戦のクリストフ・ルメール騎手に手綱が戻ったことで本領を発揮しました。レースはハナを主張したショウナンマヌエラ(2021.1.30)と、2011年の第72回優駿牝馬で逃げて2着だったピュアブリーゼ(2008.3.19)の娘ヴィントシュティレ(2021.2.2)がやり合った結果、入りの600m34秒7、1000m57秒7というラップの記録が残る1986年以降では最速となる1000m通過となり、見ている側としては面白い展開となった一戦。ただ、やはりあまりにも速い入りとなったためか、2000m通過は2分1秒1であり、1000mから2000mは1分3秒4という極端に緩んだペース。東京芝Bコースの直線525.9mに入った時には大きく横に広がった馬群、残り400mで先頭に立ったのは大外から果敢に先行3番手から進んでいた1勝馬ランスオブクイーン(2021.3.20)、東京のクイーンC(GIII)勝ち馬クイーンズウォーク(2021.3.14)がそれに迫り、ラスト200mを切って内からステレンボッシュ(2021.2.12)が伸び、先に抜け出した2頭の間隙を突いたライトバック(2021.1.14)も応戦しましたが、それらを外から一気に負かしに掛かったのがチェルヴィニア。最後は桜花賞馬が意地を見せようとしたところを捻じ伏せたチェルヴィニア。緑の帽子に「黒、赤十字襷、袖黄縦縞」を乗せた鹿毛の大作、半馬身先んじたのが栄光の決勝点でした。
*
では、以下にチェルヴィニアの簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。
ハッピートレイルズ 1984.5.29 0勝 |シンコウラブリイ 1989.2.2 10勝 マイルチャンピオンシップ(GI) 毎日王冠(GII) スワンS(GII) ニュージーランドT4歳S(GII) クイーンS(GIII) ラジオたんぱ賞(GIII)ほか ||ロードクロノス 1995.3.27 8勝 中京記念(GIII)ほか ||レディベローナ 1996.4.18 0勝 |||ケイアイベローナ 2003.4.5 0勝 ||||クインズサターン 2013.5.7 13勝 武蔵野S(GIII)2着 マーチS(GIII)2着ほか ||||ケイアイロベージ 2018.4.7 現役 千葉S(OP)ほか |||マイネエポナ 2009.3.14 1勝 フェアリーS(GIII)2着ほか ||レディミューズ 1997.4.24 3勝 チューリップ賞(GIII)2着 |||シンメイフジ 2007.2.12 3勝 関東オークス(JpnII) 新潟2歳S(JpnIII) |||フェリス 2010.2.22 0勝 ||||ロードマイウェイ 2016.3.4 6勝 チャレンジC(GIII)ほか ||||ストーリア 2019.3.30 4勝 関越S(OP) 中山牝馬S(GIII)2着 ||トレジャー 1998.4.28 4勝 都大路S(OP) 目黒記念(GII)2着 セントライト記念(GII)2着 ダービー卿CT(GIII)2着 ||ピサノグラフ 2002.3.21 4勝 |||ムイトオブリガード 2014.4.13 6勝 アルゼンチン共和国杯(GII)ほか ||サムワントゥラブ 2005.4.3 1勝 |||レトロロック 2012.3.22 6勝 小倉日経オープン(OP) ||マザーウェル 2007.3.16 1勝 |||タイセイトレイル 2015.2.5 5勝 アルゼンチン共和国杯(GII)2着 |タイキマーシャル 1992.3.21 8勝 エプソムC(GIII)ほか |シンコウビューティ 1993.3.31 0勝 ||ハッピールック 1998.3.22 5勝 札幌日経オープン(OP) みなみ北海道S(OP) アルゼンチン共和国杯(GII)2着 ダイヤモンドS(GIII)2着ほか |サンタフェトレイル 1994.6.16 5勝 ||キングストレイル 2002.2.17 4勝 セントライト記念(GII) 京成杯オータムH(GIII)ほか |ハッピーパス 1998.6.3 5勝 京都牝馬S(GIII)ほか ||パストフォリア 2009.2.12 4勝 |||サブライムアンセム 2019.1.26 現役フィリーズレビュー(GII)ほか ||コディーノ 2010.2.15 3勝 東京スポーツ杯2歳S(GIII) 札幌2歳S(GIII)ほか ||チェッキーノ 2013.2.8 3勝 フローラS(GII) 優駿牝馬(GI)2着 |||ノッキングポイント 2020.1.30 現役 新潟記念(GIII)ほか |||チェルヴィニア 2021.2.3 (本馬) 優駿牝馬(GI) アルテミスS(GIII) |レジェンドトレイル 2003.2.4 不出走 ||グランデストラーダ 2016.5.4 5勝 スパーキングレディーC(JpnIII)3着 ||ウェルカムニュース 2019.4.19 現役 カノープスS(OP)
この4号族d分枝系は私にとっても印象深い牝系のひとつです。ハッピートレイルズの初仔シンコウラブリイは私が競馬を意識して見始めた最初期に走っていた名牝であり、藤沢和雄調教師に初重賞制覇と初GI制覇を贈りました。シンコウラブリイの半妹であるハッピーパスは京都牝馬S勝ち馬ですけれど、サクセスストレイン(1998.4.9)がクイーンCを制した際のアタマ差2着が懐かしい。そんなハッピーパスの娘チェッキーノは2016年の第77回優駿牝馬においてシンハライト(2013.4.11)にクビ差の2着。そうして8年の時を経た2024年、チェルヴィニアがシンコウラブリイのマイルチャンピオンシップ以来、牝系にとっては31年ぶりのGI勝利を、母チェッキーノの雪辱を果たすように優駿牝馬で遂げたのでした。
#今回の優駿牝馬で2着だったステレンボッシュの鞍上をテン乗りで務めた戸崎圭太騎手。実はチェッキーノが2着だった際にもテン乗りで2着でした。戸崎騎手、優駿牝馬はエバーブロッサム(2010.1.31)、ルージュバック(2012.4.22)、チェッキーノ、ステレンボッシュと4回目の2着でした。東京芝2400mのクラシックを2着で敗れた悔しさ、来週、晴らしてくれることを期待しています。
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種牡馬に目を転じますと、チェルヴィニアの父ハービンジャーは産駒11世代目でクラシック初制覇となりました。産駒のクラシック初制覇はちょっと意外な感もありましたが、ハービンジャーの平地GI勝ち産駒を確認してみますと、
- ディアドラ(2014.4.4)
→英ナッソーS(GI)、秋華賞(GI)、アイルランドT府中牝馬S(GII)、クイーンS(GIII)、紫苑S(GIII)ほか。牝馬 - モズカッチャン(2014.2.27)
→エリザベス女王杯(GI)、フローラS(GII)ほか。牝馬 - ペルシアンナイト(2014.3.11)
→マイルチャンピオンシップ(GI)、アーリントンC(GIII)ほか。牡馬 - ノームコア(2015.2.25)
→香港カップ(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)、札幌記念(GII)、富士S(GIII)、紫苑S(GIII)ほか。牝馬 - ブラストワンピース(2015.4.2)
→有馬記念(GI)、AJCC(GII)、札幌記念(GII)、新潟記念(GIII)、毎日杯(GIII)ほか。牡馬 - ナミュール(2019.3.2)
→マイルチャンピオンシップ(GI)、富士S(GII)、チューリップ賞(GII)ほか。牝馬 - チェルヴィニア(2021.2.3)
→優駿牝馬(GI)、アルテミスS(GIII)。牝馬。本稿の主役
2017年秋の京都GIでの産駒の活躍ぶりも既に懐かしい。「淀の呼吸が合うのかな」というのは昨秋のマイルチャンピオンシップにおけるナミュールでも思ったところですが、チェルヴィニアは”キング・ジョージ”(英GI)11馬身差という歴史的大勝を見せたハービンジャーらしさを、東京芝2400mという12ハロン級GIで見せてくれました。
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桜花賞大敗から優駿牝馬で巻き返すという、おいそれとは見られない芸当をやってのけたチェルヴィニア。レベルが高いと感じる2021年生まれ世代において、3歳牝馬の頂点に立った彼女の、金看板を背負った後の走りも楽しみにしたいもの。シンプルに好きな牝系から現れた第85代の優駿牝馬勝ち馬チェルヴィニア、その馬生にどうぞ幸多からんことを。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。