思い出の女馬を辿る(其の壱)-シスタートウショウ(1988.5.25)-

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シスタートウショウ 牝 栗毛 1988.5.25生~2015.3.3没 静内・トウショウ牧場生産 馬主・トウショウ産業(株) 栗東・鶴留明雄厩舎

シスタートウショウ(1988.5.25)の4代血統表
トウシヨウボーイ
鹿毛 1973.4.15
種付け時活性値:1.50
テスコボーイ
黒鹿毛 1963
Princely Gift
鹿毛 1951
Nasrullah 1940.3.2
Blue Gem 1943
Suncourt
黒鹿毛 1952
Hyperion 1930.4.18
Inquisition 1936
ソシアルバターフライ
鹿毛 1957.4.13
Your Host
栗毛 1947
★Alibhai 1938
Boudoir 1938
Wisteria
鹿毛 1948
★Easton 1931
Blue Cyprus 1941
コーニストウシヨウ
栗毛 1977.6.12
仔受胎時活性値:0.50
ダンデイルート
鹿毛 1972.5.10
種付け時活性値:1.00
Luthier
黒鹿毛 1965.3.22
Klairon 1952
Flute Enchantee 1950
Dentrelic
栗毛 1965.3.20
Prudent 1959.4.20
Relict 1958
ローズトウシヨウ
鹿毛 1965.4.13
仔受胎時活性値:0.75
テユーダーペリオツド
栃栗毛 1957
種付け時活性値:1.75
Owen Tudor 1938
Cornice 1944
ワカシラオキ
鹿毛 1960.4.15
仔受胎時活性値:1.00
ソロナウエー
鹿毛 1946
種付け時活性値:1.25
シラオキ
栗毛 1946.4.7
仔受胎時活性値:1.25

<5代血統表内のクロス:Hyperion4×5×5>

シスタートウショウ(1988.5.25)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
トウシヨウボーイ
(Princely Gift系)
ダンデイルート
(Clarion系)
テユーダーペリオツド
(Owen Tudor系)
ソロナウエー
(Fairway系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
テユーダーペリオツド
(コーニストウシヨウ)
3.50 全弟トウショウオリオン
(No. 3-l フロリースカツプ系)
6番仔
(2連産目)

*

1991年の第51回桜花賞(GI。京都芝1600m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 15 シスタートウショウ 牝3 55 角田晃一 1:33.8 47.5 460
[-6]
鶴留明雄 4
2 12 ヤマノカサブランカ 牝3 55 柴田善臣 1:34.1 2 47.4 436
[0]
中村好夫 13
3 18 ノーザンドライバー 牝3 55 岡潤一郎 1:34.3 1.1/2 48.2 430
[-14]
鶴留明雄 2
4 2 スカーレットブーケ 牝3 55 武豊 1:34.8 3 48.3 440
[-6]
伊藤雄二 3
5 7 イソノルーブル 牝3 55 松永幹夫 1:35.2 2.1/2 49.3 434
[+4]
清水久雄 1

1991年の第51回桜花賞。阪神競馬場の改修のために京都競馬場での開催となったこの年の桜花賞は、強豪牝馬が揃いました。戦前に単勝オッズが10倍を切った上位5頭を人気順に確認してみますと、

  1. イソノルーブル(1988.3.13)
    →戦前まで5戦5勝。4歳牝馬特別(GII。現フィリーズレビュー)、ラジオたんぱ杯3歳牝馬S(GIII。レースの系譜としては現在はホープフルS、GI)と重賞2勝。ご存知、後の第52回優駿牝馬(GI)の勝ち馬
  2. ノーザンドライバー(1988.4.16)
    →前年1990年の最優秀3歳牝馬(現最優秀2歳牝馬)。デイリー杯3歳S(GII。現デイリー杯2歳S)、ペガサスS(GIII。現アーリントンC)と重賞2勝。後に孫として全日本2歳優駿(JpnI)を制したディアドムス(2012.1.24)を輩出
  3. スカーレットブーケ(1988.4.11)
    →クイーンC(GIII)、札幌3歳S(GIII。現札幌2歳S)と重賞2勝。後にダイワメジャー(2001.4.8)、ダイワスカーレット(2004.5.13)という大馬2頭の母になったことでも知られます
  4. シスタートウショウ(1988.5.25)
    →本稿の主役。戦前まで3戦3勝。桜花賞の前走チューリップ賞(当時OP、現GII)ではスカーレットブーケに0秒4差の快勝
  5. ミルフォードスルー(1988.3.18)
    →シンザン記念(GIII)、函館3歳S(GIII。現函館2歳S)と重賞2勝。後に仔ランフォザドリーム(1994.4.3)、孫フィーユドゥレーヴ(2001.4.20)、オウケンサクラ(2007.3.31)と3世代続けてJRA重賞勝ち馬の祖となりました

発走前にイソノルーブルが左前脚の落鉄。結局、蹄鉄の再装蹄はなされないまま、靴を忘れたシンデレラとなったイソノルーブルというアクシデントもあった、この一戦。

拮抗した人気馬たちの花軍(はないくさ)に断を下したのは、シスタートウショウ。当時デビュー3年目であった角田晃一騎手(現調教師)の強気な攻めの騎乗で、向こう正面中団から徐々に位置を押し上げ、4角を回る時には既に先頭。直線、足取りも軽やかに、シスタートウショウ。おいでおいでとばかりに、最後は追い込んで来た人気薄のヤマノカサブランカ(1988.4.12)に2馬身差の快勝。

シスタートウショウが京都芝外回り1600m、稍重の馬場で記録した勝ち時計は1分33秒8。同じトウショウボーイ産駒のアラホウトク(1985.3.24)が持っていた桜花賞レコード1分34秒8を1秒更新する驚異のレコードタイムでした。

シスタートウショウの鞍上であった角田騎手はGI初勝利、管理された鶴留明雄調教師はリワードウイング(1982.4.26)による1985年の第10回エリザベス女王杯(GI)以来となるGI2勝目、そして生産馬主のトウショウ牧場にとっては、父トウショウボーイによる1976年の第21回有馬記念(現GI)以来となる15年ぶりの八大競走制覇でした。

*

シスタートウショウ、その栗毛の流星、なんという美しさよ。私にとって、牡馬のグッドルッキングホースの1番がトウカイテイオー(1988.4.20)のままならば、牝馬のグッドルッキングホースの1番はシスタートウショウのまま。1988年生まれ世代の同期生に絶世の美男と美女がよくぞ揃ったものです。

ただ、悲しいかな、私が出会った1993年、現年齢表記5歳時のシスタートウショウは、すでに本来のシスタートウショウでは無かったのかも知れません。彼女が制した↑の第51回桜花賞や、2着に敗れはしたものの鬼気迫る追い込みを見せた第52回優駿牝馬のVTRを見るにつけ、その思いを強くします。

シスタートウショウの天賦の才は、屈腱炎という病魔により、残念ながら、削がれていたのでした。けれど、それでも彼女は健気に走りました。ムービースター(1986.4.9)のレコード駆けに負けじと2着に頑張った中山記念(GII)、牡牝混合の強豪ひしめく中でヤマニンゼファー(1988.5.27)から0秒2差の4着に踏ん張った外国馬開放初年度の第43回安田記念(GI)。まぶたを閉じれば、一瞬。

美しい栗毛がターフに揺れて、「海老、黄ダイヤモンド、紫袖」の勝負服をまとった、当時22歳の角田晃一騎手と共に駆けた姿。私の競馬者人生の最初期に出会った美形、シスタートウショウ。

ずっと変わらず、大好きな馬です。

 

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

#余談。第51回桜花賞の上位人気5頭に続く6番人気はタニノクリスタル(1988.4.4)。ええ、タニノギムレット(1999.5.4)のお母さんですね。タニノギムレットは、シスタートウショウの1歳年上の全姉エナジートウショウ(1987.4.22)の仔であるタニノシスター(1993.3.22)との間に、超絶の仔をもうけました。ウオッカ(2004.4.4)

*

[シスタートウショウの主な競走成績]

  1. 桜花賞(GI)
  2. 優駿牝馬(GI)、中山記念(GII)

通算12戦4勝、2着2回。

*

マイシンザン
マイシンザン

シスタートウショウさん、ホンマに綺麗やわ。

ワイルドブラスター
ワイルドブラスター

「美形」というのは、正に彼女のためにある言葉ですね。

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