平成元年のJRAクラシック勝ち馬を辿る(其の肆)-ウィナーズサークル(1986.4.10)-

Pedigree

ウィナーズサークル 牡 芦毛 1986.4.10生~2016.8.27没 茨城・栗山牧場生産 馬主・栗山博氏 美浦・松山康久厩舎

ウィナーズサークル(1986.4.10)の4代血統表
シーホーク
芦毛 1963.3.16
種付け時活性値:1.50
Herbager
鹿毛 1956
Vandale
鹿毛 1943
Plassy 1932
Vanille 1929
Flagette
栗毛 1951
Escamillo 1939
Fidgette 1939
Sea Nymph
芦毛 1957
★Free Man
鹿毛 1948
Norseman 1940
Fantine 1943
Sea Spray
芦毛 1947
Ocean Swell 1941
Pontoon 1940
クリノアイバー
栗毛 1977.5.4
仔受胎時活性値:2.00
グレートオンワード
鹿毛 1971.5.7
種付け時活性値:1.25
Sir Ivor
鹿毛 1965.5.5
Sir Gaylord 1959.2.12
Attica 1953
Princesse Isabelle
鹿毛 1954
Prince Chevalier 1943
Isabelle Brand 1943
クロシエツト
鹿毛 1958
仔受胎時活性値:0.50
Mossborough
栗毛 1947
種付け時活性値:0.50
Nearco 1935.1.24
All Moonshine 1941
La Cloche
黒鹿毛 1953
仔受胎時活性値:1.00
★Le Lavandou
鹿毛 1944
種付け時活性値:0.00
Angelus
黒鹿毛 1936
仔受胎時活性値:2.00(0.00)

<5代血統表内のクロス:Firdaussi5×5>

ウィナーズサークル(1986.4.10)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
シーホーク
(Herbager系)
グレートオンワード
(Sir Gaylord系)
Mossborough
(Nearco系)
Le Lavandou
(Djebel系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
シーホーク 5.50 or 3.50 半兄クリノサンフオード
(No. 21-a)
3番仔
(2連産目)

*

1989年の第56回東京優駿(GI。東京芝2400m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 3 ウィナーズサークル 牡3 57 郷原洋行 2:28.8    48.8 478
[-4]
松山康久 3
2 20 リアルバースデー 牡3 57 菅原泰夫 2:28.9 1/2 49.3 460
[0]
佐藤林次郎 6
3 24 サーペンアップ 牡3 57 田村正光 2:28.9 ハナ 48.2 520
[+2]
梶与四松 11
4 10 トーワトリプル 牡3 57 増沢末夫 2:29.3 2.1/2 50.0 494
[+2]
柄崎孝 8
5 14 ロングシンホニー 牡3 57 河内洋 2:29.4 1/2 49.7 458
[+4]
小林稔 1

平成最初の東京優駿を制したのは、史上初の茨城県産馬にして、史上初の芦毛馬。合わせて、自身初の芝レース勝利がなんと東京優駿でもありました。そんな記録を残したのは、名前も高らかにウィナーズサークル。名付け親は管理された松山康久調教師だったそうです(参考WEB)。

平成元年の第56回東京優駿は、史上稀に見る大混戦でした。戦前の単勝の上位人気馬を確認してみると、、、

  1. ロングシンホニー(1986.4.28)
    →単勝6.0倍。未勝利、フリージア賞、若草S(OP)と3連勝で駒を進めて来た「関西の秘密兵器」。フリージア賞4馬身差勝ち、若草S9馬身差勝ちのインパクトが大きかったのでしょう。その父パーソロン(1960)のラストクロップでもありました
  2. マイネルブレーブ(1986.5.15)
    →単勝6.1倍。共同通信杯4歳S(GIII)を勝ち、NHK杯(GII)3着からの臨戦。父クライムカイザー(1973.5.22)との父仔制覇の期待も掛かった同馬は、実は父同様に中島国治氏の配合馬でした(参考WEB)
  3. ウィナーズサークル(1986.4.10)
    →単勝7.3倍。本稿の主役。第49回皐月賞(GI)2着の鋭脚と、シーホーク産駒ということで、その長距離適正を見込まれたのでしょう
  4. ドクタースパート(1986.4.29)
    →単勝8.7倍。第49代皐月賞馬でありながらも、4番人気まで。後のステイヤーズS(GIII)レコード勝ちを思うと、距離をこなせてもおかしくありませんでしたが、、、
  5. サクラホクトオー(1986.4.3)
    →単勝9.9倍。第40回朝日杯3歳S(GI)の勝ち馬も、年明け2戦、不良馬場による惨敗続きで評価を落としていました

と、上位5頭までが単勝一桁台の人気でした。1番人気のロングシンホニーが単勝6.0倍ですから、いかに票が割れていたかというところですね。なお、1番人気の単勝6.0倍というのは、1984年のグレード制導入後の東京優駿では、最も高い単勝1番人気のオッズです。

そんな大混戦を断ったのは、単勝3番人気だった、ウィナーズサークル。24頭立てという古き良き時代の名残を感じさせる多頭数のこのレース、1枠3番という枠順の利もあり、ウィナーズサークルは「剛腕」郷原洋行騎手のエスコートにより、内ラチ沿いを8番手あたりで進みました。いわゆる「ダービーポジション」をしっかりとキープしたウィナーズサークル、直線を向くと内から5頭目のところをキレイに抜け出してきました。先に先頭に立っていたリアルバースデー(1986.5.25)、大外一気に追い込んで来たサーペンアップ(1986.5.8)との接戦になりましたが、きっちりかっちり、半馬身だけ先んじてゴールイン。ウィナーズサークル、東京優駿という最高の大舞台で、その能力を見事に発揮したのでした。

ウィナーズサークルの鞍上の郷原騎手はオペックホース(1977.3.5)に続いて東京優駿2勝目。管理された松山康久調教師もミスターシービー(1980.4.7)に続いて東京優駿2勝目。馬主の栗山博氏は、史上初の茨城県産の東京優駿勝ち馬のオーナーブリーダーとなられました。

*

晩年は東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場で過ごしていたウィナーズサークル。……いま、リンクを挿入する為に東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場のWEBページに行ったのですが、トップページの「研究概要」の欄に使われている写真、ウィナーズサークルですよね。サスガにダービー馬。

そんな晩年のウィナーズサークルを松山師が尋ねられた時の動画を紹介して、本稿の結びといたします。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[ウィナーズサークル(1986.4.10)の主な競走成績]

  1. 東京優駿(GI)
  2. 皐月賞(GI)

通算11戦3勝、2着5回。

*

#余談。シーホーク産駒、松山師、オペックホース、東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場と、本稿に現れるワードを拾えば、やはり「太陽の王子」を思うところです。モンテプリンス(1977.4.1)。モンテプリンスは、康久師の父君である吉三郎師の管理馬でした。

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