Rich Strike(リッチストライク) 牡 栗毛 2019.4.25生 米国・Calumet Farm生産 馬主・RED TR-Racing, LLC 米国・Eric R. Reed厩舎
Keen Ice 鹿毛 2012.3.25 種付け時活性値:1.50【6】 |
Curlin 栗毛 2004.3.25 |
Smart Strike 鹿毛 1992.5.21 |
Mr. Prospector 1970.1.28 |
Classy ‘n Smart 1981.5.20 | |||
Sherriff’s Deputy 鹿毛 1994.3.6 |
Deputy Minister 1979.5.17 | ||
Barbarika 1985.3.9 | |||
Medomak 鹿毛 2007.5.6 |
Awesome Again 鹿毛 1994.3.29 |
Deputy Minister 1979.5.17 | |
Primal Force 1987.4.27 | |||
Wiscasset 鹿毛 2000.3.5 |
Kris S. 1977.4.25 | ||
Tara Roma 1990.2.7 | |||
Gold Strike 黒鹿毛 2002.3.30 仔受胎時活性値:2.00(0.00)【16】 |
◆Smart Strike 鹿毛 1992.5.21 種付け時活性値:0.25【9】 |
Mr. Prospector 鹿毛 1970.1.28 |
★Raise a Native 1961.4.18 |
Gold Digger 1962.5.28 ♀ | |||
Classy ‘n Smart 鹿毛 1981.5.20 |
Smarten 1976.4.17 | ||
No Class 1974.3.30 | |||
Brassy Gold 鹿毛 1996.4.17 仔受胎時活性値:1.25【5】 |
Dixieland Brass 栗毛 1986.3.15 種付け時活性値:0.25【9】 |
Dixieland Band 1980.3.20 | |
Windmill Gal 1977.3.10 | |||
Panning for Gold 鹿毛 1978.5.19 仔受胎時活性値:0.25【17】 |
★Search for Gold 鹿毛 1969.1.6 種付け時活性値:0.00【8】 |
||
Apple Pan Dowdy 鹿毛 1967.5.16 仔受胎時活性値:0.50【10】 |
<5代血統表内のクロス:Smart Strike3×2、Deputy Minister4×4、Raise a Native5×4×5、Gold Digger(♀)5×4×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Keen Ice (Mr. Prospector系) |
◆Smart Strike (Mr. Prospector系) |
Dixieland Brass (Northern Dancer系) |
★Search for Gold (Raise a Native系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Keen Ice (Vice Regent) |
4.00 or 2.00 |
母が加GIII勝ち馬 (No. 9) |
7番仔? |
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着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 |
斤 量 |
騎手 |
走破時計 ・着差 |
調教師 |
人 気 |
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1 | 21 | Rich Strike | 牡3 | 57.2 | Sonny Leon | 2:02.61 | Eric R Reed | 20 |
2 | 3 | Epicenter | 牡3 | 57.2 | Joel Rosario | 3/4 | Steven Asmussen | 1 |
3 | 10 | Zandon | 牡3 | 57.2 | Flavien Prat | 3/4 | Chad C Brown | 3 |
4 | 13 | Simplification | 牡3 | 57.2 | Jose L Ortiz | 2 | Antonio Sano | 13 |
5 | 1 | Mo Donegal | 牡3 | 57.2 | Irad Ortiz Jr | クビ | Todd Pletcher | 5 |
2022年の第148回ケンタッキーダービー。本邦期待のUAEダービー(GII)馬クラウンプライド(2019.5.4)が出走、JRAで勝馬投票券も発売ということで例年以上に注目を集めた”The Run for the Roses”。
勝利を収めたのは、1頭取消が発生し、繰り上がり出走となったRich Strike。現地オッズでは単勝81.8倍の最低人気だったRich Strike、チャーチルダウンズ・ダート10ハロンでは不利と目される出走20頭の大外枠から発進すると、鞍上ソニー・レオン騎手が道中抑え気味に17~18番手あたりを待機。半マイル通過が45秒36という激流を後方で上手く脚を溜められたのでしょう。1マイル通過時点でも15番手に控えていたRich Strike、チャーチルダウンズの直線376mでは上手く内に進路を取ると、縫うようにして脚を伸ばしました。先に抜け出していた1番人気馬Epicenter(2019.1.29)、3番人気馬Zandon(2019.3.21)の勝負かと思われたところを強襲したRich Strike、最後はEpicenterを4分の3馬身交わしたのが決勝点。Rich Strike、史上に残るアップセットを見せて、栄光のケンタッキーダービー馬に輝きました。
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Rich Strikeの4代血統構成で気になるのは、なんと言っても「Smart Strike3×2」の強烈なインブリードでしょう。現代は世界的に近親交配馬が走る時代なのかも知れませんが、3×2(ないし2×3)となりますと、この辺境サイトで紹介している馬であれば、
サスガに3頭に留まります。ともあれ、その3頭は世界的な活躍馬。Enable(2014.2.12)はGI11勝の大名牝、シンコウキング(1991.4.24)は種牡馬として国際GI馬7頭を輩出、ノーザンテースト(1971.3.15)は日本史上に残る大種牡馬。0の理論的にはEnableはSadler’s Wells(1981.4.11)、シンコウキングはNorthern Dancer(1961.5.27)というクロスの対象となる牡先祖がグリーン0、ノーザンテーストはLady Angela(1944)の牝馬クロスによるピンク0という分かりやすい0化がされている馬たちでした。Rich Strikeはクロスの対象となる牡先祖であるSmart Strikeがブルー0であり、上記の3頭とは様相が異なります。ブルー0を近い代で持つ活躍馬は、一発大駆けをする反面、調子の波が大きい印象もあるのですが、Rich Strikeはどのような競走成績を残してくれますでしょうか。
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Rich Strikeと共に殊勲を立てたレオン騎手はベネズエラ出身の32歳。このケンタッキーダービーが初めてのGレース制覇だったということ。
見れば目鼻立ちのしっかりしたレオン騎手。ケンタッキーダービーのゴール後の様も格好良く、世にはまだ知られていなくとも、隠れた腕利きはいるものだと改めて思いました。
また管理されるエリック・R・リード調教師、馬主であるRED TR-Racing, LLCも今回のケンタッキーダービーがGI初勝利。
そうして、生産のカルメットファーム。紆余曲折を経て今もなお「名門」であることを知らしめました。オーナーブリード馬で挙げた8勝はケンタッキーダービーにおいて馬主としての最多勝、そして生産名義では2勝とケンタッキーダービー合計10勝(!!)。そんなカルメットファームが送り出した10頭のケンタッキーダービー馬を列挙しておきますと、
- Whirlaway(1938.4.2)
→1941年の第67回の勝ち馬。米国史上5頭目の三冠馬。2022年現在、三冠に加えトラヴァーズSも制している唯一の馬 - Pensive(1941.2.5)
→1944年の第70回の勝ち馬。ケンタッキーダービーとプリークネスSの二冠を制覇。Hyperion(1930.4.18)の直仔にして、後述のPonderの父 - Citation(1945.4.11)
→1948年の第74回の勝ち馬。米国史上8頭目の三冠馬。史上初の100万ドルホース - Ponder(1946.4.14)
→1949年の第75回の勝ち馬。上述のPensiveの仔。初年度産駒Needles(1953.4.29)もケンタッキーダービーを制して父仔3代ケンタッキーダービー馬となりました - Hill Gail(1949.4.19)
→1952年の第78回の勝ち馬。クレイグダーロツチ(1922)系と同じくSt. Simon(1881)の全姉Angelica(1879)を牝系祖とする。0の理論的にはミホノブルボン(1989.4.25)の「形」の由来とされます - アイアンリージ(1954.3.11)
→1957年の第83回の勝ち馬。Gallant Man(1954.3.20)、Round Table(1954.4.6)、Bold Ruler(1954.4.6)等を破ってのケンタッキーダービー勝ちも、Gallant Manは鞍上のゴール板の誤認があったことで知られます。日本で種牡馬として有馬記念馬ストロングエイト(1969.3.23)を輩出 - Tim Tam(1955.4.19)
→1958年の第84回の勝ち馬。ケンタッキーダービーとプリークネスSの二冠を制覇。上述のCitation以来となる三冠を狙うもベルモントSは2着。Tentam(1969.4.24)、Known Fact(1977.3.15)というIntent(1948)系の種牡馬の母父でもあります -
フォワードパス(1965.3.28)
→1968年の第94回の勝ち馬。ケンタッキーダービーはダンサーズイメージ(1965.4.10)の投薬違反による失格に伴う繰り上がりの優勝でしたが、プリークネスS1着、ベルモントS2着という紛れもない名馬でした - Strike the Gold(1988.3.21)
→1991年の第117回の勝ち馬。カルメットファームのオーナーブリード馬ではない初めてのケンタッキーダービー馬。父はやはりカルメットファームの生産馬であったAlydar(1975.3.23) - Rich Strike(2019.4.25)
→2022年の第148回の勝ち馬。本稿の主役。カルメットファーム生産による31年ぶりのケンタッキーダービー馬は、1913年の第39回を制したDonerail(1910)の単勝92倍に次ぐ大穴の勝利
三冠馬2頭、二冠馬3頭を含む10頭。むぅ、目を剥いてしまいますね。1頭目がいきなり三冠馬のWhirlawayで以降8頭目のフォワードパスまでがオーナーブリード馬。9頭目のStrike the Goldと10頭目のRich Strikeが生産のみですが、2頭は共に馬名にStrikeを持つ栗毛馬ですね。
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ケンタッキーダービーを制したからには、2週間後のプリークネスS(米GI)に向かわない訳にはいきませんね。Rich Strike、生まれ故郷の偉大な先達5頭に続いて二冠を達成することが出来ますでしょうか。栗毛の流星、左後一白の美麗馬の進路に光明がありますように。
それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。
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#ケンタッキーダービーについて道中の馬群を上空から、そして直線で見事な切り返しを見せたRich Strikeとレオン騎手を捉えた映像。
##恐らく夕暮れ時の撮影。光の加減もありますが、栗毛が煌めいています。
###554本の赤いバラを使用するレイが出来上がるまでを追った動画。人の手による仕事、やはりその出来上がりの美しさよ(^^)