ハギノトップレディ(1977.4.4)-自分と同じ年に生まれた馬を辿る(No.3)-

ハギノトップレディ (Hagino Top Lady) | 競走馬データ - netkeiba https://db.netkeiba.com/horse/1977104003/ Series
ハギノトップレディ (Hagino Top Lady) | 競走馬データ - netkeiba https://db.netkeiba.com/horse/1977104003/

ハギノトップレディ 牝 黒鹿毛 1977.4.4生~2003.11.22没 浦河町・荻伏牧場生産 馬主・日隈 広吉氏 栗東・伊藤 修司厩舎

ハギノトツプレデイ(1977.4.4)の4代血統表
サンシー
黒鹿毛 1969.3.25
種付け時活性値:1.75【7】

Sanctus
鹿毛 1960.2.28
Fine Top
黒鹿毛 1949.4.12
Fine Art 1939
Toupie 1943
Sanelta
鹿毛 1954
Tourment 1944
Satanella 1941
Wordys
栗毛 1957.4.23
Worden
栗毛 1949.3.7
★Wild Risk 1940
Sans Tares 1939
Princesse d’Ys
鹿毛 1950
★Prince Bio 1941
Lacodis 1939
イツトー
黒鹿毛 1971.4.19
仔受胎時活性値:1.25【5】
ヴエンチア
黒鹿毛 1957
種付け時活性値:1.25【13】
Relic
青毛 1945
War Relic 1938
Bridal Colors 1931
Rose O’Lynn
鹿毛 1944
Pherozshah 1934
Rocklyn 1937
ミスマルミチ
鹿毛 1965.4.13
仔受胎時活性値:1.25【5】
ネヴアービート
栃栗毛 1960
種付け時活性値:1.00【4】
★Never Say Die 1951.3.26
Bride Elect 1952
キユーピツト
鹿毛 1957.2.28
仔受胎時活性値:1.75【7】
Nearula
鹿毛 1950
種付け時活性値:1.50【6】
マイリー
鹿毛 1953
仔受胎時活性値:0.75【3】

<5代血統表内のクロス:Nasrullah5×5(母方)>

ハギノトツプレデイ(1977.4.4)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
サンシー
(Fine Top系)
ヴエンチア
(Relic系)
ネヴアービート
(Never Say Die系)
Nearula
(Nasrullah系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
サンシー 5.00
(【5】+【5】+【7】+【3】)
華麗なる一族
(No.7-e マイリー系)
初仔

*

1980年の第40回桜花賞(阪神芝1600m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 5 ハギノトップレディ 牝3 伊藤 清章 1:36.2 伊藤 修司 2
2 16 タマモコトブキ 牝3 田島 良保 1:36.4 1・1/4 吉永 猛 7
3 17 シャダイダンサー 牝3 吉永 正人 1:36.4 ハナ 松山 吉三郎 4
4 11 ラフオンテース 牝3 岩元 市三 1:36.5 3/4 布施 正 1
5 6 ヒロノタイフウ 牝3 田島 日出雄 1:36.7 1・1/4 松田 由太郎 10

ハギノトップレディ、キャリア2戦、1勝馬の身で挑んだ桜花賞。血統馬が最も華のあるレースとも言える桜花賞で逃げ切り勝ちを収めました。3戦目での桜花賞勝利は、最少キャリア優勝記録として2025年現在も残っています。

*

1980年の第5回エリザベス女王杯(京都芝2400m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢 斤量 騎手 走破
時計
着差 調教師
1 18 ハギノトップレディ 牝3 55 伊藤清章 2:27.9 伊藤修司 3
2 10 タケノハッピー 牝3 55 飯田明弘 2:28.0 3/4 尾形藤吉 2
3 15 タマモコトブキ 牝3 55 田島良保 2:28.2 1 吉永猛 12
4 14 ジュウジアロー 牝3 55 安田富男 2:28.4 1 加藤修甫 6
5 3 ラフオンテース 牝3 55 岩元市三 2:28.5 1/2 布施正 9

優駿牝馬17着惨敗から2400mの距離は不適と思われたハギノトップレディ。けれど、不敵に逃げたハギノトップレディ、最後まで先頭を譲ることはありませんでした。距離を意識してかゆっくりした逃げだったものの、京都芝2400mで刻んだ2分27秒9は、前身のビクトリアカップ時代から通じてもレースレコードタイムでした。

*

「華麗なる一族」。私がこのフレーズを覚えたのは山崎豊子さんの作品ではなく、競馬が先でした。着想を得られた詩人の志摩直人さん、これは素晴らしい転用でした。

イツトー 1971.4.19 7勝 高松宮杯 スワンSほか
|ハギノトツプレデイ 1977.4.4 (本馬) 7勝 桜花賞 エリザベス女王杯 高松宮杯 京都牝馬特別ほか
||ダイイチルビー 1987.4.15 6勝 安田記念(GI) スプリンターズS(GI) 京王杯スプリングC(GII) 京都牝馬特別(GIII)ほか
|||ダイイチシガー 1994.6.4 2勝 サンケイスポーツ賞4歳牝馬特別(GII)2着 優駿牝馬(GI)3着 クイーンC(GIII)3着
||ドリームドリーム 1988.5.6 4勝
|||ボストンタイム 1995.6.3 4勝
||||ドリームサンデー 2004.5.9 6勝 オーストラリアT(OP) 金鯱賞(GII)2着 中日新聞杯(GIII)2着ほか
||ウメノアスコット 1989.4.19 1勝
|||ウメノダンサー 1994.5.22 4勝
||||サダムイダテン 2005.5.3 1勝 ラジオNIKKEI杯2歳S(GIII)2着
|||マイネルセレクト 1999.5.29 10勝 JBCスプリント(統一GI) 東京盃(統一GII) ガーネットS(GIII) シリウスS(GIII) 黒船賞(統一GIII)ほか
|ニッポーハヤテ 1978.4.24 7勝 安田記念3着
|ハギノカムイオー 1979.4.1 8勝 宝塚記念 高松宮杯 スワンS 京都新聞杯 スプリングS 神戸新聞杯
|アイランドオリーブ 1984.3.28 1勝
||オギトゥインクル 1988.5.5 1勝
|||オギブルービーナス 1993.5.8 2勝
||||ブルーショットガン 1999.5.2 7勝 阪急杯(GIII)ほか
|チュニカオー 1985.3.30 4勝 すばるS(OP) 阪神大賞典(GII)3着
|カムイイットー 1986.4.27 2勝 シンザン記念(GIII)3着
||ドリームクロス 1994.4.27 0勝
|||エイムアットビップ 2005.2.26 2勝 ファンタジーS(GIII)2着 阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)3着
||ステラアクトレス 2001.5.10 2勝
|||アイオライト 2017.3.13 6勝 栗東S(L) 大沼S(L) ベテルギウスS(L)ほか

快速馬の系譜、ですね。現年齢表記2歳の新馬戦で「2歳レコード」を出す馬は数あれど、「古馬も含めた日本レコード」を出せる馬というのは、そうそうお目に掛かれません。ハギノトップレディはデビューとなった1979年8月12日、函館芝1000mで「57秒2」という記録を打ち立てました。それは当時の芝1000mの日本レコードを0秒2上回る空恐ろしい時計でした。その後、芝1000mの日本レコードは更新され続けています。けれどJRAサイト内の「函館競馬場:中央競馬レコードタイム表 JRA」を確認すれば、やがて丸46年を迎えようとしている2025年の今を以て、芝コース2歳のレコードタイムとしてハギノトップレディの「57秒2」が燦然と輝いています。

その函館の地での戦いといえば、4歳時の1981年8月2日の巴賞はオールドファンの記憶に残る一戦として語られています。ハギノトップレディvsブロケード(1978.3.16)という、1歳違いの桜花賞馬どうしの名勝負。いつぞやの月刊『優駿』でも取り上げられていました。

よくぞ市井に映像が残っていたものだと感心しますが、それにも増して、ハギノトップレディの粘り腰に感心します。3角から4角、そして直線の走りは胸が熱くなることしきり。ハギノトップレディが牝馬ながら59kgを背負ってのレース、ぜひご覧ください。

ハギノトップレディは、その豊かなスピードを次世代にも伝えたことにより、真の名花であることを知らしめました。天馬トウショウボーイ(1973.4.15)との間に生まれた愛娘ダイイチルビーは安田記念、スプリンターズSと古馬牡牝混合GIを2勝。母ハギノトップレディのスピードを逃げから差しに転換したその様は、祖母イットーの馬名の由来の通り「一刀両断」の切れ味でした。中央競馬でグレード制が施行された後、数多の名牝が現れていますが、古馬牡牝混合GI2勝以上を挙げた馬はダイイチルビーが最初でした。

伊藤雄二氏(1937.1.14~2022.8.17)-名伯楽を偲ぶ・前編-
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21世紀も20年以上経過した現在、華麗なる一族の活躍が1990年代初頭までに見られたような、華々しいものではない印象はあります。けれど、良いものは色褪せない。華麗なる一族の牝系祖マイリー(1953)が日本に渡来してから65年以上経ちましたが、小岩井牝系や御料牝系と同じように、これからも活躍馬を送り続けて欲しいと願い、その本流とも言えるハギノトップレディの仔孫たちに期待して、この記事の結びといたします。

 

それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。

[ハギノトツプレデイ(1977.4.4)の主な競走成績]

  1. 桜花賞、エリザベス女王杯、高松宮杯、京都牝馬特別

通算11戦7勝、3着1回。

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