フレンチデピュティ(French Deputy) 牡 栗毛 1992.1.30生~2025.1.6没 米国・Irving Cowan & Marjorie Cowan生産 馬主・Cowan, Marge and Irving M. 米国・Neil D. Drysdale厩舎
Deputy Minister 黒鹿毛 1979.5.17 種付け時活性値:1.00【12】 |
Vice Regent 栗毛 1967.4.29 |
Northern Dancer 鹿毛 1961.5.27 |
Nearctic 1954.2.11 |
Natalma 1957.3.26 | |||
Victoria Regina 栗毛 1958.5.18 |
Menetrier 1944 | ||
Victoriana 1952 | |||
Mint Copy 黒鹿毛 1970.2.24 |
★Bunty’s Flight 黒鹿毛 1953.4.26 |
Bunty Lawless 1935 | |
Broomflight 1947 | |||
Shakney 黒鹿毛 1964 |
Jabneh 1952 | ||
Grass Shack 1951 | |||
Mitterand 鹿毛 1981.2.19 仔受胎時活性値:0.50【10】 |
Hold Your Peace 鹿毛 1969.1.24 種付け時活性値:0.75【11】 |
Speak John 鹿毛 1958.2.7 |
Prince John 1953.4.6 |
Nuit de Folies 1947 | |||
Blue Moon 鹿毛 1948 |
Eight Thirty 1936 | ||
Blue Grail 1943 | |||
Laredo Lass 黒鹿毛 1971.3.19 仔受胎時活性値:0.25【9】 |
★Bold Ruler 黒鹿毛 1954.4.6 種付け時活性値:0.00【16】 |
Nasrullah 1940.3.2 | |
Miss Disco 1944 | |||
Fortunate Isle 黒鹿毛 1959.4.24 仔受胎時活性値:0.75【11】 |
Ambiorix 黒鹿毛 1946 種付け時活性値:1.00【12】 |
||
Slippy 鹿毛 1950 仔受胎時活性値:2.00(0.00)【8】 |
<5代血統表内のクロス:Nearco5×5>
父 | 母父 | 祖母父 | 曾祖母父 |
---|---|---|---|
Deputy Minister (Northern Dancer系) |
Hold Your Peace (Prince John系) |
★Bold Ruler (Nasrullah系) |
Ambiorix (Tourbillon系) |
形相の遺伝 | 料の遺伝 | 牝系 | 母の何番仔? |
Deputy Minister | 3.50 or 1.50 (【10】+【9】+【11】+【8】) |
母が米GI馬 (No. 4-m) |
4番仔? (2連産目?) |
*
着 順 |
馬 番 |
馬名 | 性齢 | 斤 量 |
騎手 | 走破時計 ・着差 |
調教師 | 人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | フレンチデピュティ | 牡3 | 51.3 | Gary Stevens | 1:33.53 | Neil D. Drysdale | 1 |
2 | 1a | Mr. Greeley | 牡3 | 53.1 | Julie Krone | 4 | Nicholas P. Zito | 3 |
3 | 5 | Top Account | 牡3 | 52.2 | Pat Day | 2 | Neil J. Howard | 2 |
4 | 1 | Suave Prospect | 牡3 | 54.0 | Jerry Bailey | 2 1/4 | Nicholas P. Zito | 3 |
5 | 4 | Excelerate | せん3 | 51.3 | Ruben Hernandez | 6 1/2 | Randy Mills | 6 |
フレンチデピュティが制した唯一のグレードレースである1995年のジェロームH。入りの2ハロン22秒60、半マイル通過44秒70、6ハロン通過1分8秒60というハイペースで流れた6頭立て。道中離れた3、4番手あたりで進むと、ベルモントパーク・ダートの3コーナーから4コーナーでマクって進出。直線、番手先行から先に抜け出していたMr. Greeley(1992.5.2)を捉えると後は抜け出すだけで、ゴールポストでは4馬身差を着けての快勝。
勝ちタイムは1分33秒53で、これはこの年のベルモントパーク競馬場ダート1マイル戦における最速タイムだった。
ジェロームHのレース結果を引いたEquibaseによりますと、フレンチデピュティが叩き出したEquibase® Speed Figureは「127」。現在のジェロームSにおいてEquibaseのスピード指数が残る1992年以降では2025年現在最高の数値であり、ダート8ハロンで行われた同レース史上2位の好タイムです。
*
フレンチデピュティ、今年2025年1月6日に老衰で逝ってしまったということ。「33歳」という高齢による大往生は、社台スタリオンステーションに繋養されていた先輩種牡馬であるノーザンテースト(1971.3.15)と同じでした。
種牡馬として功成り名を遂げたフレンチデピュティ。その代表産駒を改めて確認しておきますと、
- Left Bank(1997.5.9)
→ホイットニーH(米GI)、シガーマイル(米GI)、ヴォスバーグS(米GI)ほか。牡馬。2002年のエクリプス賞最優秀古牡馬に選出されるも同年に疝痛により夭折。彼が存命であれば、北米でもフレンチデピュティの血は継承されていたのではないでしょうか - ノボジャック(1997.3.24)
→JBCスプリント(統一GI)、東京盃(統一GII)、黒船賞(統一GIII)2回、群馬記念(統一GIII)2回、クラスターC(統一GIII)、北海道スプリントC(統一GIII)ほか。牡馬 - クロフネ(1998.3.31)
→ジャパンカップダート(GI)、NHKマイルカップ(GI)、武蔵野S(GIII)、毎日杯(GIII)ほか。牡馬 - Mayo On the Side(1999.2.9)
→ヒューマナディスタフH(米GI)ほか。牝馬 - Genereux(1999.9.10)
→5月25日大賞(亜GI)ほか。牡馬 - House Party(2000.4.4)
→プライオレスS(米GI)ほか。牝馬 - エイシンデピュティ(2002.4.9)
→宝塚記念(GI)、金鯱賞(GII)、京都金杯(GIII)、エプソムC(GIII)ほか。牡馬 - アドマイヤジュピタ(2003.3.1)
→天皇賞・春(GI)、阪神大賞典(GII)、アルゼンチン共和国杯(JpnII)。牡馬 - フレンドシップ(2003.5.9)
→ジャパンダートダービー(統一GI)ほか。牡馬 - ピンクカメオ(2004.4.24)
→NHKマイルカップ(JpnI)ほか。牝馬 - レジネッタ(2005.5.11)
→桜花賞(JpnI)、福島牝馬S(GIII)ほか。牝馬 - サウンドトゥルー(2010.5.15)
→チャンピオンズカップ(GI)、東京大賞典(GI)、JBCクラシック(JpnI)、日本テレビ盃(JpnII)ほか。せん馬
という12頭のGI級競走勝ち馬を始めとして多様なタイプの仔を輩出しました。第1回JBCスプリントを制したノボトゥルー、ダート1600m1分33秒3、ダート2100m2分5秒9という衝撃の連続日本レコード駆けを見せたクロフネ、コツコツと地力を高めて6歳時に宝塚記念を制したエイシンデピュティ、GI初挑戦となった天皇賞・春を出遅れながらも制したアドマイヤジュピタ、僚馬フラムドパシオン(2003.5.6)の分もとジャパンダートダービーを制したフレンドシップ、18頭立て17番人気のNHKマイルCでアッと言わせたピンクカメオ、小牧太騎手にJRAのクラシック競走勝ちをもたらしたレジネッタ、ダートのGI級競走3勝を果たした強者サウンドトゥルー。フレンチデピュティ、日本で走った代表産駒たちの名前を挙げてみれば、万能の名種牡馬でした。
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そしてまたフレンチデピュティはブルードメアサイアーとしても能力を発揮しマイネルホウオウ(2010.4.23)、ショウナンパンドラ(2011.3.10)、マカヒキ(2013.1.28)、レインボーライン(2013.4.1)、ゴールドドリーム(2013.4.19)、アンジュデジール(2014.5.1)、マルシュロレーヌ(2016.2.4)、レッドルゼル(2016.3.25)等のGI級競走勝ち馬を送り込みました。ブルードメアサイアーとしても、やっぱり万能。
フレンチデピュティ、33年の馬生、本当にお疲れ様でした。空の上から子孫の走り、見守っていてあげてください。合掌。
それでは、これから走る馬、人すべてが無事でありますように。
[フレンチデピュティ(1992.1.30)の主な競走成績]
- ジェロームH(米GII)
通算6戦4勝、2着1回。
#フレンチデピュティが制したジェロームHで2着だったMr. Greeleyも競走成績は米GII3勝のセカンドクラスに終わった馬でしたけれど、種牡馬として多数のG競走勝ち馬を輩出した名種牡馬となりました。日本で走ったMr. Greeleyの仔にマーメイドS(GIII)3着のミスパスカリ(2001.3.5)がいますが、そうクロフネの半妹ですね。Mr. Greeleyは祖母が名牝Lianga(1971)であり、ダンサーズイメージ(1965.4.10)がグランドメアサイアーに現れますので気になる種牡馬の1頭でした。
##フレンチデピュティの血を持つ馬は左回りに強い印象があり、私の中では「左回りのフレンチデピュティ」という競馬格言があります。フレンチデピュティの父Deputy Ministerは凝縮された北米血脈を持つ故に、子孫も左回りに脚が合うのかも知れません。