平成の首位種牡馬を辿る(其の肆)-トニービン(1983.4.7)-

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トニービン(Tony Bin) 牡 鹿毛 1983.4.7生~2000.3.10没 愛国・P. J. B. O’Callaghan生産 馬主・Allevamento White Star 伊国・Luigi Camici厩舎

トニービン(1983.4.7)の4代血統表
カンパラ
黒鹿毛 1976.2.19
種付け時活性値:1.50
Kalamoun
芦毛 1970.4.30
ゼダーン
芦毛 1965
★Grey Sovereign 1948.3.30
Vareta 1953
Khairunissa
芦毛 1960
Prince Bio 1941
Palariva 1953
State Pension
鹿毛 1967
オンリーフオアライフ
黒鹿毛 1960
Chanteur 1942
Life Sentence 1949
Lorelei
鹿毛 1950
Prince Chevalier 1943
Rock Goddess 1943
Severn Bridge
栗毛 1965
仔受胎時活性値:0.25
Hornbeam
栗毛 1953
種付け時活性値:0.75
Hyperion
栗毛 1930.4.18
Gainsborough 1915.1.24
Selene 1919
Thicket
鹿毛 1947
Nasrullah 1940.3.2
Thorn Wood 1942
Priddy Fair
鹿毛 1956
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
Preciptic
栗毛 1942
種付け時活性値:1.25
★Precipitation 1933
Artistic 1930
Campanette
鹿毛 1948
仔受胎時活性値:1.75
Fair Trial
栗毛 1932
種付け時活性値:1.75
Calluna
青鹿毛 1943
仔受胎時活性値:1.00

<5代血統表内のクロス:Hyperion3×5×5、Gainsborough4×5(母方)、Nasrullah4×5、Prince Rose5×5(父方)>

トニービン(1983.4.7)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
カンパラ
(ゼダーン系)
Hornbeam
(Hyperion系)
Preciptic
(Hurry On系)
Fair Trial
(Fairway系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Fair Trial
(Severn Bridge)
5.00 or 3.00
(No. 19-b)
5番仔?

1994年の全日本首位種牡馬、トニービン。いわゆる「平成の種牡馬御三家」の先陣を切って現れたのは、凱旋門賞(仏GI)馬にして欧州のGIレース6勝の名馬、トニービン。1992年に初年度産駒がデビューすると、2年後の1994年には出走した3世代(現年齢表記2歳~4歳)で全日本首位種牡馬に輝きました。場合によっては春季の繁殖シーズンに300頭近くの種付けを行う、現在の多頭数交配の趨勢からは驚いてしまうことになりますが、トニービンは初年度種付頭数57頭・生産頭数45頭、2年度種付頭数65頭・生産頭数54頭、3年度種付頭数67頭・生産頭数58頭で、全日本首位種牡馬を獲得したのでした。

近時、トニービンに関する中島国治氏の記述を閲覧する機会を得ましたので、その一部を引用しておきますと、

トニービンの直系曽祖父ゼダーンがGrey Sovereignから”0の遺伝(17歳の種付け)”を受けているのでネアルコの近親弊害を逃れている。トニービンは、曽祖父Precipticがマッチェム系(ミホノブルボンの曽祖父ユアハイネスと同系)であるため、仔ども1代限りにおいて血を浄化させることが可能な”仕掛け型”種牡馬ある。今後も優秀な産駒をターフに送り続けるだろう。

(中略)

こうした異系の血を、ブルードメアサイアーもしくはグランドメアサイアーにもつ種牡馬は、仔ども1代限りにおいて血を浄化する。

-KKベストセラーズ、「競馬最強の法則」1993年8月号、P126及びP128より引用-

また、トニービンは欧州のGI6勝のうち、仏国で1勝、伊国で5勝を挙げています。愛国生まれの伊国の名馬、トニービン。欧州血脈ではありますが、

イタリア、ドイツの競馬場は右廻りのトラック・コースで日本の芝馬場にもっとも似ている。

-KKベストセラーズ、中島国治著「血とコンプレックス」、P274より抜粋-

より、日本に適合した能力を持ち合わせていた、ということも言えるでしょうか。平成期に活躍した社台さんの輸入種牡馬で言えば、ホワイトマズル(1990.3.21)、ファルブラヴ(1998.2.28)も伊国でGI勝ちを収めていました。

さて、トニービンの代表産駒を示しておきますと、

  1. ジャングルポケット(1998.5.7)
    →東京優駿(GI)、ジャパンカップ(GI)、共同通信杯(GIII)、札幌3歳S(GIII)ほか
  2. ウイニングチケット(1990.3.21)
    →東京優駿(GI)、京都新聞杯(GII)、弥生賞(GII)ほか
  3. エアグルーヴ(1993.4.6)
    →優駿牝馬(GI)、天皇賞・秋(GI)、札幌記念(GII)2回、産経大阪杯(GII)、マーメイドS(GIII)、チューリップ賞(GIII)ほか
  4. ベガ(1990.3.8)
    →優駿牝馬(GI)、桜花賞(GI)ほか
  5. ノースフライト(1990.4.12)
    →安田記念(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)、マイラーズC(GII)、京都牝馬特別(GIII)、阪神牝馬特別(GIII)、府中牝馬S(GIII)ほか
  6. サクラチトセオー(1990.5.11)
    →天皇賞・秋(GI)、AJCC(GII)、中山記念(GII)、京王杯オータムH(GIII)ほか
  7. オフサイドトラップ(1991.4.21)
    →天皇賞・秋(GI)、新潟記念(GIII)、七夕賞(GIII)ほか
  8. レディパステル(1998.4.26)
    →優駿牝馬(GI)、府中牝馬S(GIII)、中山牝馬S(GIII)ほか
  9. テレグノシス(1999.5.11)
    →NHKマイルカップ(GI)、毎日王冠(GII)、京王杯スプリングC(GII)ほか

おなじみの記述となりますが、GI勝ちを収めた9頭の産駒は、いずれも、東京競馬場で行われたGIレースを制しています。「府中と言えばトニービン産駒」でした。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

*

[トニービン(1983.4.7)の主な競走成績]

  1. 凱旋門賞(仏GI)、伊ジョッキークラブ大賞(GI)、ミラノ大賞(伊GI)2回、共和国大統領賞(伊GI)2回、フェデリコテシオ賞(伊GIII)、エリントン賞(伊GIII)
  2. 凱旋門賞(仏GI)、サンクルー大賞(仏GI)、伊ジョッキークラブ大賞(GI)2回、ローマ賞(伊GI)
  3. “キング・ジョージ”(英GI)、イタリア大賞(伊GI)、伊グランクリテリウム(GI)、テヴェレ賞(伊GII)

通算27戦15勝、2着5回、3着4回。

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